有吉佐和子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
こういう女って、確かにいるな…
読んでいるうちに、蔦代のことがオゾましく、どんどん不気味に思えてくる。
この話の主人公は、むしろ正子よりも蔦代なのかもしれない。
蔦代は、「正子には常に劣っている」という劣等感が、おそらく自分でも気付かぬうちに、正子への足手まといを、自分に演じさせている。
しかし、蔦代の腹黒い感情など、作品には全く登場しない。
むしろ、限りなく純粋で、情に厚そうなのである。
しかしこの蔦代という女、自分の欲望に限りなく純粋がゆえ、そのためには手段を選ばない。
それが悪であることにすら、気付かない。
女の純粋こそ最も始末が悪く、残酷なのだ。
…と、思った。
正子は最後、とうとう蔦代と絶交する。
正子にとって蔦代は、くされ縁の、古い恋人の様なモノだったのではないか。絶交して開放されたあとの正子は、実に清々しいものである。
女同士の関係の描き方が、とても秀逸な作品。 -
Posted by ブクログ
文章が美しくてサラサラと読める。仕事の昼休憩時間で細切れでも読み進められる短編集。内容はどれも誰にでも起こりうる身近な人生の物語。母方の実家が窯元の私にとっては祖父が思うようにならなかった焼き物は割っていたのを知っているので、読み始めからスムーズに没入。しかし、壺そのものに関しては、他の読者よりも私は厳しく見てしまっているかもしれない。焼いた本人は自分の持ちうる能力からしたら奇跡のような出来映えの青磁の壺のようだが、いけた花の見栄えが決まらなかったりと、どうも壺自体に主張がありすぎるように思えてならなくて不穏。念が入りすぎているのか。そんな壺が、様々な人の人生の転換点を見ていくように手から手へ。老化、介護、相続、嫉妬、貧富・教養の格差など、人はそれぞれ、その人の人生で一つぐらい小説が書けるというが、まさにそのような短編がずらり。私のお気に入りは7話と8話。教養は文化と戦時中でもフルコースのテーブルセッティングでドレスアップして芋のみのディナーコースを楽しんだ夫婦とその後に続く息子夫婦の本当のホロホロ鳥のディナーの話。芋のみののコースは私の父を思い起こさせる、そういう発想の人だったなと。そして、私も父の危篤の知らせを受けた夜中に駆けつけるのにパジャマから着替えたのは1番好きなワンピースで、車中でバッチリメイクして向かったことを思い出した。およそ、知らせを受けて駆けつける出たちではないものの、もし、それが別れなら、父に見せたかったのはその姿だったから。結局、その晩は持ちこたえて、1ヶ月くらいはその後生きてくれた。そんなこんなを思い出しつつ。