有吉佐和子のレビュー一覧
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昭和の社宅事情のお話。
一流企業といわれる伊沢商事の大阪支店から東京支店に夫が転勤になった音子は、元々 東京生まれのため、喜んでいた。
大阪でも社宅住まいだったが、建物が古く色々と難儀した。
また、大阪の雰囲気も音子には合わず馴染めなかった。
東京の社宅は新しく建ったばかりで快適だった。
でも、人間関係はどこでも同じ。
社宅は夫の仕事の関係等で、妻同士も気を遣うし、噂もあっという間に尾ひれがついて拡がっていくのだから、おそろしや…
しかも、音子は息子に対しても過保護なところがあって、要領もいまいち良くなく、危なかしい。
なので、社宅のいざこざに巻き込まれてしまうのだ。
それにしても、今も昔も女 -
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著名作家の著者が同じく和歌山出身の同年の友人・人類学者の畑中幸子氏を訪ねてニューギニアを訪問したのは1968年3月からの約1月。想像を絶するような過酷な環境で悪戦苦闘する有吉さん、それを現地に親しんでいる畑中氏が叱咤激励しながらジャングルを歩き、現地のネイティブと交流している姿が微笑ましい。著者の文体がウィットに富んでいて、こんなに楽しい文章を書く人なのかと意外だった。現地人のほとんど全裸の様子、西洋文化に少し触れていた部族と、全く初めての部族の間の侮蔑の様子、大蛇を美味しいと言って食べざるを得ず、畑中氏にゲテモノ好きとして呆れられる著者!実はゲテモノを食べるしかなかったようなのだが。現地人に
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昭和47年に刊行されたという本作
もう50年以上前に書かれているというのに現在にも続く少子高齢化、老人福祉政策の問題にびっくりする
敷地内同居をする義母が亡くなり、残された義父の老人性痴呆に気付いたところから物語が始まる
主人公の昭子は当時においては少なかったであろうフルタイム勤務
子どもは高校2年生で受験を控えている
夫は父親の老いた姿を自分と重ね合わせ、目を背ける
そんな中、ボケる前には昭子を虐められていた義父茂蔵を介護することになった
この時代、夫は何もしないものであり、労いの言葉さえもなく女が全てを背負うのが当然という雰囲気
専業主婦が多かったのでそういう風潮だったのだろう
今 -
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『青い壺』が面白かったので、今作品も読んでみました。主人公(富小路公子=鈴木君子)は出てこないで、関わりのあった27人から聞くインタビュー形式の小説。
ある人には悪女、ある人には良い人。
『一度きりの人生なのだから美しいものだけを見て生きたい』清く正しくが好きな君子。
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■"27人視点の君子"の話は少し多すぎな感じがしたけど、それぞれ読んで思ったのは、
・社会でうまく立ち回れるように知識をつける
・肉体関係を求めた男には悪女となっている
・利用価値がある人に近づくのがうまい
・自身の人生で美しくない所は修正してしまう
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文化人類学者で友人の畑中幸子が住むニューギニアの奥地を訪ねた滞在記。想像を絶する出来事の連続と抱腹絶倒の二人の丁々発止。
自分が生まれる前に書かれた話なんだけど全然文章が古くなくて死ぬほど面白い。笑って済ませられないレベルのことも多々起こるんだけど(よく生きて帰ってきたなあ、とか帰国後のマラリアのくだりもびっくりした)、それをネタに一冊書いてしまうんだから作家魂ってすごい。今はさすがに全く同じということはないんだろうけど、日本ではおとなしい畑中さんがキャラが変わって現地でのフィールドワークに命を懸けている描写にもがつんときた。これだけの情熱を傾けられる学者さんってすごい。こういう人に十分な資金 -
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不審な死を遂げた鈴木君子について27人の視点で時系列もばらばらに描かれる
君子視点がないため、読者は27人の情報から【鈴木君子】の存在を形作ることになる。
君子を天使や女神のように考えるものもいれば、それこそ悪女や鬼のように考える人もいる
おもしろいのはこの27人も、本人が主張する内容(例えばAは自分は仕事はまじめにやっていたと主張)とべつの章の他者からの印象(Bは、Aは仕事を他人に押し付けていると思っている)のように食い違いがあること
よく言われることだけど、事実は1つしかないけど真実は人の数だけ存在する、ということを体現した作品。
鈴木君子に大して、自分がどう形作るかで読み方が変わ