有吉佐和子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
こういう女って、確かにいるな…
読んでいるうちに、蔦代のことがオゾましく、どんどん不気味に思えてくる。
この話の主人公は、むしろ正子よりも蔦代なのかもしれない。
蔦代は、「正子には常に劣っている」という劣等感が、おそらく自分でも気付かぬうちに、正子への足手まといを、自分に演じさせている。
しかし、蔦代の腹黒い感情など、作品には全く登場しない。
むしろ、限りなく純粋で、情に厚そうなのである。
しかしこの蔦代という女、自分の欲望に限りなく純粋がゆえ、そのためには手段を選ばない。
それが悪であることにすら、気付かない。
女の純粋こそ最も始末が悪く、残酷なのだ。
…と、思った。
正子は最後、とうとう蔦代と絶交する。
正子にとって蔦代は、くされ縁の、古い恋人の様なモノだったのではないか。絶交して開放されたあとの正子は、実に清々しいものである。
女同士の関係の描き方が、とても秀逸な作品。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ嘘で塗り固めた人生。
自分のルーツである生みの親まで否定し、自分に都合のいい物語を作り上げる。
現実の自分を愛することができなかったから、理想の自分を演じることに執着したのかもしれない。
コンプレックスが反骨精神を生み、なりたい人物像に近づくように人一倍努力し、バレないように嘘を重ねていく。
彼女にとって夫も子どもたちも周囲からの評判も、宝石と同じように自分を輝かせる道具のように見えた。
すべては「完璧で高貴な富小路公子」という虚像を完成させ、自分を最高に輝かせるための装飾品。
自分が完璧に演出したヒロインを生きていたのかもしれない。
完璧なセルフプロデュースによって、最後まで自分を一番魅力的に魅せることができて満足だったのではないかと思う。本当の自分は誰にも見せたくなかった。
でもこれは私の想像なので、彼女が本当にそう考えていたのかは作中では確かめられない。
何より残念だったのは、私が1番読みたかったものが、まさにこの物語の裏側にあったこと。
自分がものすごく興味があるのは、嘘をつきながら生きる人間の心理なんだと思う。
彼女がなぜ嘘をつくようになったのか、初めての嘘がバレなかった時に思ったこと、自分の嘘を疑いもなく信じている人を見て何を思ったのか。
成功するたびに何を思い、罪悪感を感じることはあったのか…。
有吉さんの描く彼女の心理描写も読みたかった。