有吉佐和子のレビュー一覧

  • 真砂屋お峰 新版

    Posted by ブクログ

    最近、「青い壺」の再評価で見直されている有吉佐和子の中期の長編。解説の松井今朝子が指摘するようにお峰の変節は「近代小説としては読み解けない」つまり、破綻しているのだが、そこを除けばスカっと鮮かな読後感をもたらすいい小説。有吉佐和子はときおりこのような構成が破綻した小説をものしていて、批判の対象にされることもあるが、しかしそれゆえに「そんなことはどうでもいいのだ、女はこういうものなのだ」という迫力を以って真に迫ってくる…と言ったら褒め過ぎか。

    0
    2026年01月17日
  • 非色

    Posted by ブクログ

    1964年、筆者がニューヨークに留学した頃のアメリカを描いた作品。
    令和の今読んでも、まったく古臭くなく時にユーモアを感じさせる描写もあり飽きずに読み進めることが出来た。
    差別は肌の色ではない、階級によるもの。時代が変わっても尚、人間の本質は変わらない。

    p325
    金持ちは貧乏人を軽んじ、頭のいいものは悪い人間を馬鹿にし、逼塞して暮らす人は昔の系図を展げて世間の成り上がりを罵倒する。要領の悪い男は才子を薄っぺらだと言い、美人は不器量ものを憐み、インテリは学歴のないものを軽蔑する。人間は誰でも自分よりなんらかの形で以下のものを設定し、それによって自分をより優れていると思いたいのではないか。そ

    0
    2026年01月02日
  • 開幕ベルは華やかに

    Posted by ブクログ

    有吉佐和子の長篇ミステリ作品『開幕ベルは華やかに』を読みました。
    有吉佐和子の作品は約8年前に読んだ『悪女について』以来なので久しぶりですね。

    -----story-------------
    二億円用意しろ。
    さもなくば大詰めで女優を殺す。
    大ベストセラー作家の遺作、伝説の絶頂エンタテインメント!

    突然の降板を宣言した有名劇作家に代わり、帝国劇場の急場を救うことになった演出家・渡紳一郎。
    元妻で脚本家の小野寺ハルと共に土壇場で作り上げた舞台は、大女優らの名演で大入りが続く。
    だが一本の怪電話で事態は一変。
    「二億円用意しろ。さもなくば大詰めで女優を殺す」。
    舞台の裏で絡み合う愛憎劇、そして

    0
    2026年01月01日
  • 恍惚の人

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    共働きの夫婦が認知症という言葉もまだない時代に自宅介護をして看取るまでを描いた作品。
    登場人物の考え方にはさすがに時代を感じたが、老人ホーム等の施設に簡単には入れないというところは変わっていない。今の時代に家でお世話するのが本人にとって一番幸せだなんて福祉関係者が家族に言おうもんなら訴えられそう。
    旦那さんはほとんど何もしないのに一人で頑張るお嫁さんは本当にすごい。普通なら夫婦関係もっと悪化しそう。
    割と早めにおじいちゃんがなくなったから自宅介護でなんとかなったけどこれがもっと長引いて更に状況が悪化したらと考えると本当に地獄だと思う。自分が認知症になって何も解らなくなったらと思うと、尊厳死とか

    0
    2025年12月18日
  • 華岡青洲の妻

    Posted by ブクログ

    嫁姑バトルの話だった。和歌山の青洲の里に行った時に案内の方が、「本読みました〜?あれは、ねぇ〜」って苦笑してたからかえって気になる本だったので読んでみた。有吉佐和子面白い。

    0
    2025年12月16日
  • 母子変容 下

    Posted by ブクログ

    時は戦後間もない昭和中期。新劇の女王、森江耀子の前に突然、若い頃に生き別れた娘が現れた。顔も佇まいも母親と瓜二つ。田舎で祖母に育てられたとは思えないほどの垢抜けた美しさだ。母親に憧れて自分も女優になるという。その感動のご対面をカメラに収めようと、楽屋にマスコミが詰めかけた。なんてことない話を母親の視点から、娘の視点から何度も何度も繰り返し説明して長編にしている。ご対面部分だけで上巻の半分まで引っ張っているのだから、ちょっと退屈になってくるんですよねー。
    母親の恋人を娘が好きになるところから話は面白くなるが、それでも大きな進展はない。しかし、母親と娘の微妙な心の動き。好きなんだけど相容れない複

    0
    2025年11月20日
  • 紀ノ川

    Posted by ブクログ

    紀ノ川、奈良県では吉野と呼ばれる川が、和歌山に入ると紀ノ川と呼ばれ、有田川の北を走って和歌山湾に流れ込む。
    紀ノ川沿いの九度山で、旧家に生まれ祖母に躾けられた花が、名家に相応しくお金と時間をかけて、しきたりにのっとった結婚の儀式を行うところから話が始まる。それはもう本当の話なのかと疑いたくなるほどの異様な式だ。川の流れに逆らってはいけないということで下流へ嫁に行く、というところまでは受け入れられるが、五艘の船に信頼縁者が乗り込み、その下流の六十谷(むそた)まで、途中何件かの旧家で休息を取りながら一日かけてゆっくりと下っていく、とか、披露宴は男しか入れないとか、結婚式まで二人はほとんど顔も合わ

    0
    2025年10月24日
  • 新装版 和宮様御留

    Posted by ブクログ

    有吉作品、今までハズレなしだったんだけど、さすがに本作はわたしには少し難しかった!開国直前の日本のことを知らなすぎ、京言葉がなかなか入ってこなかった。みんなが何を言っているのかさっぱりわからないままで公家に飲み込まれるフキの気持ちは、よくわかった。
    和宮様の生活、本当にこんなものだったら、確かに気が滅入るな。声も出せず、下の世話までされ、質素なごはんを少し食べるだけの生活…。
    歴史好きの人だったらもっと楽しめたはず。

    0
    2025年10月13日
  • 夕陽ヵ丘三号館

    Posted by ブクログ

    有吉佐和子さんブームに乗って「悪女について」以来久しぶりに有吉作品を読んでみました。

    エリート商社マンを夫に持つ音子。夫が大阪から東京に転勤となり、念願の新築社宅に入居。新しい暮らしに心躍るのものの社宅内での噂話、子どもの成績の優劣や進学などに振り回されていくお話です。

    家電が進化し「女が閑になった」と言われた時代。時間ができた専業主婦のエネルギーは子どもの教育問題へと向かっていきます。結果、音子は息子の一挙手一投足に一喜一憂するようになり、同じ社宅に住む主婦の言動にも被害妄想とも取れる反応を示し、時にヒステリックに泣いたりご近所を罵ったり。その様子には恐怖すら覚えました。
    個人的には音子

    0
    2025年10月08日
  • 有田川

    Posted by ブクログ

    紀伊半島の南西を走り、和歌山湾(淡路島の南島)に流れ込む有田川。その両岸には今もところどころでみかん畑が山肌を埋めている。
    時は明治の初め、有田川の上流からタンスの引き出しに乗せられ流れてきた女の子が御霊(ごりょう)の山持ちの家に拾われ大切に育てられた。が、自分が拾われた子だと知り、有田川の氾濫で川に流されたことをきっかけに家を離れ滝川原の蜜柑農家で面倒見てもらうことになった。それが千代10歳のこと。そこからは蜜柑一筋の人生を辿るが、赤ん坊だった妹の悠紀のことだけは忘れない。愛しい、会いたい、思いを募らせているうちにひょんなことから御霊の家で生存を知られ、父母が会いにきた。そこからまた交流が

    0
    2025年10月08日
  • 乱舞

    Posted by ブクログ

    『連舞』の続編
    家元が交通事故で急逝。そこから話はいっきに跡目争いのお家騒動に移行してゆく。 あちこちで天一坊的なものが湧いて出て ひと昔前のサスペンスのようだ。
    秋子と千春の直接対決的なものを期待していたので正直少し残念だった。

    秋子は終盤 「私は変わったのではない、育ったのだ。」と自分に言いきかせているが、一番の要因は“梶川 月”の名跡を継いだことだと思う。 “月”の名跡が秋子を育てたのだ。
    それに比べて寿々と千春のなんと変わらないことか…。

    最後 このまま秋子のひとり勝ちで終わるのかと思いきや何もかも思い通りというわけにはいかなかった。

    0
    2025年08月30日
  • 挿絵の女 単行本未収録作品集

    Posted by ブクログ

    不可もなし、という感じ。
    可もな短編集だが、どの作品もそれなりには興味を持って読めたが、特別印象に残っていない。
    星は3つ。まさに平均レベル。

    0
    2025年08月27日
  • 夕陽ヵ丘三号館

    Posted by ブクログ

    昭和の社宅事情のお話。
    一流企業といわれる伊沢商事の大阪支店から東京支店に夫が転勤になった音子は、元々 東京生まれのため、喜んでいた。
    大阪でも社宅住まいだったが、建物が古く色々と難儀した。
    また、大阪の雰囲気も音子には合わず馴染めなかった。
    東京の社宅は新しく建ったばかりで快適だった。
    でも、人間関係はどこでも同じ。
    社宅は夫の仕事の関係等で、妻同士も気を遣うし、噂もあっという間に尾ひれがついて拡がっていくのだから、おそろしや…
    しかも、音子は息子に対しても過保護なところがあって、要領もいまいち良くなく、危なかしい。
    なので、社宅のいざこざに巻き込まれてしまうのだ。
    それにしても、今も昔も女

    0
    2025年08月25日
  • 紀ノ川

    Posted by ブクログ

    明治大正昭和に生きた女4人の人生が描かれている。
    家への執着。伝統への反発。そして時代は変わっていく。

    いざとなって頼るのは男の実家ではなくて女の実家…
    この言葉印象深い。

    「死んだ家」の土台だったそうです。

    0
    2025年08月13日
  • 女二人のニューギニア

    Posted by ブクログ

    有吉さんで良かった S43年なんてネットも無いし、情報を得るのがとても難しい時代にこの体験をしていたとは…
    有吉さんでなければ現地に行かない(行けない)だろうし、文章も書けないだろう。そう思うと有吉さんで良かった。

    0
    2026年01月03日
  • 挿絵の女 単行本未収録作品集

    Posted by ブクログ

    短編六編の作品集。
    中でも閻魔大王が出てくる崔敏殻が面白かった。
    現代ではなかなか使われなくなった言葉も風情も新鮮に感じられるのは筆者の魅力なのだとおもいます。

    0
    2025年07月07日
  • 夕陽ヵ丘三号館

    Posted by ブクログ

    おそらく1975年前後の東京の有名商社の社宅に住む奥さまの話

    2012年に新装版がでた時に読んで今回は再読
    その時に読んだ時は面白く感じたけど、今回読むと社宅での人間関係の煩わしさが今の時代からみるとある意味ゾッとする。

    俯瞰してみると、夫人たちが自身の虚栄心に振りまわされているのは滑稽であるけど、当時の日本の急激な経済成長に従って、文化的な生活を与えられた主婦たちはこのようなものだったんだと改めて思った。

    そして、有吉佐和子はその女性とその内面を描くことが巧みだと感じた。

    0
    2025年06月26日
  • 有吉佐和子ベスト・エッセイ

    Posted by ブクログ

    装丁の女性、凛として作者のイメージにぴったり。
    解説で書かれていたように、エッセイ集は少なかったとは。

    「女二人のニューギニア」は衝撃的だったけれど、これを読むとなるほどと思わせる片鱗がところどころに。
    やはり、海外で育ったおおらかさが根底にあるのだろうか。

    さてさて、これから少しずつ小説を紐解いていこうと思う。

    0
    2025年04月22日
  • 紀ノ川

    Posted by ブクログ

    和歌山の旧家を舞台に明治から昭和にかけて四世代の女性を通して時代による価値観の移り変わりを描いた作品。
    力作であることは間違いないが、庶民感覚とはあまりにかけ離れた大地主一家の価値観がそのまま時代を表しているとは決して思えず、そのせいで素直に読めなかったところが残念です。

    0
    2025年04月02日
  • 有吉佐和子ベスト・エッセイ

    Posted by ブクログ

    「悪女について」は大好きな小説でしたが、作者の有吉佐和子のことを何も知りませんでした。

    この本を読み、海外生活が長かったことや、どうやって文学の道へ進んだのかも知りました。
    家族や友人の話、食べ物の話…有吉佐和子という作家を垣間見れる素晴らしいエッセイ。

    0
    2025年03月25日