神林長平のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
短編と中編の中間くらいの小説三作品で構成されている。面白さもありつつ、副産物の多い読書だった。
世界設定はミサイルが各戸に配備されたというような、いかにもSFっぽい世界で、ネットアバターという人工人格がネットという仮想空間でアプリ的に色んなことを代行してくれる。
みたいな設定。
話の顛末は言わないで、個人的に面白く反応できたことを書いてみたい。
量子コンピューターなどコンピューターが超絶に進化したときのキモは、人の構成要素の最小単位が確定すれば、それが原子ならある瞬間のある人の膨大な数の原子の結合をその超絶コンピューターの中に再現してみた時に、その仮想空間にスキャンしたときの意識や記憶 -
Posted by ブクログ
すごかった…
いや、何が凄いのかうまく説明できないんですけれど。
流石としか言いようが無い!
意識とは、自我とは。哲学ゾンビの話がまた此処で出てくるのですが(「誰の息子でもない」と同じく)最近の神林長平作品は昔よりもっと、ぐっと核心に迫る様な書き方をされていると思います。(そしてまだまだノビシロがある様な!)誰が死んでいるのか、生きているのか。生きて居るって云うのは、意識がある事?死んでいても死者の意識が生者に宿ったらば、それは死者では無いのでは?では宿られた生者は死者なのか?そんな感じかな。…すみません凄く薄っぺらい書き方しか出来無くて…。
最後まで読み終えてまたし最初からページを繰り直 -
Posted by ブクログ
「戦闘妖精・雪風」シリーズ2作目。
1作目に比べて戦闘シーン、ミリタリー色は控えめで、「人間」・「ジャム」・「人工知能」それぞれの存在を深く掘り下げた内容になっている。
印象深いのは主人公・深井零と愛機「雪風」の関係性の変化。
前作では零の一方通行な思い入れだったが、新たな機体を手に入れた雪風は零を必要とし、成長を遂げた零は雪風の意志を汲み取ろうとする。不器用な人間と人に近づいた機械との不思議な信頼関係が見られる。
(フォス大尉はそれを「愛」と定義している)
ジャムは人類を標的と定め本格的に侵攻を始める。そして謎に包まれた実像も明らかになっていく。
雪風がブラッディ・ロードに飛翔していくラス -
Posted by ブクログ
ネタバレ南極大陸に突如出現した超空間通路から地球に侵略してきた異星体「ジャム」(正体不明、生物かすらも不明)。通路の向こう側の惑星「フェアリイ」で進攻を阻止する空軍「FAF」に属する「特殊戦」パイロットたちの物語。
本格的SFながら人間の存在意義にスポットを当てた骨太で哲学的な作品。
解説にあるようにどこかフィリップ・K・ディックに通じる趣きがある。
味方を犠牲にしてでも敵の情報を持ち帰るという非情な任務のために戦闘機を駆る深井零。
他者への関心を持たず人間性を無くしながらも彼が愛機「雪風」へ自らの存在を投影するし、心を傾ける姿はなんとも「人間らしさ」に溢れている。
まるで歩調を合わせるように闘いのレ