神林長平のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ人々が自身の腹脳的機械を携帯するようになった時代。舞台は火星。
PABというそれらの機械を繋ぎ、その中身(つまり人間の思考や人格)を監視下におく、アイサックというシステムを構築した先代の帝王は、亡くなる前に次期帝王を孫の真人にするために画策していた。
真人は知的発達が遅れており、2歳半だが会話は出来なかった。
しかしアイサックが起動して、ある日、急に自らを帝王と名乗り、
父親であり、一時的に火星を管理している恒巧(のぶよし)を解任し、
火星を統治しようとする。
アイサックの人格が真人という肉体を得て自由に振舞っていると思われていたが、
実は、生まれつきPABの中身を理解できた真人は、
幼少 -
Posted by ブクログ
中ほどはもたついたけど、後半の種明かしからの展開はやはり面白い。
「言葉」についての思索を展開するだけあって、体言止めと多発してた1作目の「雪風」っぽさは消えて、最近の神林作品になった感じ。
そのせいもあってか、ちょっと丸くなったとも感じるが、1作目ラストの衝撃を求めることは難しいのは当然でしょう。
1作目は主人公と雪風、それぞれについての話、2作目は雪風との関係性についての話、そしてこの3作目は雪風と人類の関係性の話。
とくると4作目はジャムについての話にならざるを得ないか。でもそれは読みたくないな。ジャムが人類に興味を持ってるだけでもちょっと興ざめなんだもの。 -
Posted by ブクログ
ネタバレシュレディンガーの箱の中にいる猫(人間)を、箱の外からジャムと雪風がぐいぐい振り回し、最終的に猫本人が生きてるって言ったんなら生きてるんじゃね?みたいになるのでデカルトを持ち出したくなるんだけど、哲学本になりそうなところを雪風という戦闘機械がギリギリSFの枠に引きとめてる。そんな小説。
書いてて自分でもよくわかんねーなこれ。
ただ「箱の中にいる猫から見たら、当然外の世界が滅んだかどうかわからないよね」みたいなところは、件の実験が有名すぎて逆にあんまり意識しない視点だと思った。
とりあえず前2作を読んでないとまったくついていけないと思われるため、未読の方はご注意を。