神林長平のレビュー一覧

  • いま集合的無意識を、

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    『いま集合的無意識を』で筆者は“暴走する知性は意識=フィクションで制御できるだろう。だが、暴走する意識をコントロールする術を人類は、おそらく持っていない”と語ったが、先に描かれる5つの短編では、人々が、じわじわ、ゆっくりと、真綿で首を締めるかのごとく自我を、意識をシステムに吸い取られていくさまが描かれている。21世紀の戦争は戦場ではなく日常に入り込んできている。そうした世界は徐々にこうやって、思考を管理する世界をもたらすのでは?→『ぼくのマシン』//その先にやってくるのは『ハーモニー』の世界かもしれない。

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    2016年07月31日
  • 戦闘妖精・雪風(改)

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    圧巻。
    ジャンル的にはSF戦争モノということになるのだろうけど、本質はむしろ、限定された空間での思考実験的なアプローチにあり、それが全編にわたって静謐な印象を与えているように感じた。大衆文学でありながら、人間の本質を問いかける真摯な作品。ただラストが弱く感じたので少し評価下げ。
    戦争とか戦闘機といった部分で躊躇してる人は、そういった要素はむしろ付随的な要素でしかないので心配ないかと。
    静かな作品を読みたいという人には是非。

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    2016年01月29日
  • 帝王の殻

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    ネタバレ

    人々が自身の腹脳的機械を携帯するようになった時代。舞台は火星。
    PABというそれらの機械を繋ぎ、その中身(つまり人間の思考や人格)を監視下におく、アイサックというシステムを構築した先代の帝王は、亡くなる前に次期帝王を孫の真人にするために画策していた。

    真人は知的発達が遅れており、2歳半だが会話は出来なかった。
    しかしアイサックが起動して、ある日、急に自らを帝王と名乗り、
    父親であり、一時的に火星を管理している恒巧(のぶよし)を解任し、
    火星を統治しようとする。

    アイサックの人格が真人という肉体を得て自由に振舞っていると思われていたが、
    実は、生まれつきPABの中身を理解できた真人は、
    幼少

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    2015年12月11日
  • 戦闘妖精・雪風(改)

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    ネタバレ

    戦闘機での戦闘描写等、専門用語の嵐に最初は面食らったものの、読み進めるうちに綿密な世界観に胸躍るようになりました。人間対異星体と思っていた構図が、次第に地球機械対異星体なのでは?となっていく内容や、登場人物たちの苦悩にすごく引き付けられました。結局、敵の正体が何であるのかは判明しませんが、それは続編で、というところでしょうか。

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    2015年12月11日
  • 絞首台の黙示録

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    まさに死刑執行の場面から始まり、その後、話の核心がつかめないまま進む。
    結局生きてるのは誰?と、途中何度も思った。

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    2015年11月13日
  • いま集合的無意識を、

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    神林長平的なカタログとも見えるが、始めと終わりを「ぼくの、マシン」と表題作とすることで、著者がパソコンとネットに関して持っている意見のようなものが見える構成になってる。

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    2015年05月06日
  • 敵は海賊・海賊の敵

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    ちょ、まさかの夫認定にぐわっとなりました。なんて、かわいい。
    2度目のラジェンドラさま!
    アプロも、そうかーラテルの膝でねたいのかー、と。可愛すぎるわ。
    ホテル支配人の日記が良い。

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    2015年03月24日
  • 天国にそっくりな星

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    ネタバレ

    なんて魅力的な玲美。
    これまでよりもちょっととぼけた感じで、山田章博の漫画を思い出しました。表紙の絵が、ちょっと抜けた感じと合ってるなー、と。
    何を平然とタクシーの運転手を。

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    2015年03月24日
  • 鏡像の敵

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    追う者と追れるものは良い。(断言)。
    SFには疎いので、あ、ほぼサイコパス、とか、こういう設定は割と昔からあるんだなぁ、とか思いました。
    解説面白かったです。

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    2015年03月17日
  • 蒼いくちづけ

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    敵は海賊・雪風シリーズ以外のものをほぼ初めて読みましたが、割と真面目に刑事もので。敵は海賊で真面目に事件を追ったら、こうなるんだろうな、と面白かったです。
    孤独な男同士の共感もたまらないが、孤独な男と赤ん坊もやばいな、と。

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    2015年03月19日
  • 敵は海賊・短篇版

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    あ、クラーラはこちらが正しいのですね。
    ふたごは、何、もう出てこないのですか?
    じゃ、ジャム捕まえちゃったの。

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    2015年03月04日
  • 敵は海賊・正義の眼

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    海賊課に縁のない地域というのが新鮮。
    リジーの無意識の傲慢さや、古式ゆかしい感じの恋文が。
    素敵なスケール。
    カーリー内には色々なものが納められてますね。

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    2015年03月02日
  • 敵は海賊・不敵な休暇

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    以前、この巻の途中まで読んだ気が。
    チーフ・バスターの状況が結構ハードボイルドでした。
    ジュビリー、よく迷惑かかってますね。
    特殊能力のあるスパイ…。トランジスタにヴィーナスですね、と考えると笑えてくる。(…おじさんだけど。薄い顔のおじさんだけど。)
    アプロの真面目な戦闘がかっこよいです。

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    2015年02月23日
  • 敵は海賊・海賊たちの憂鬱

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    これを読むと、日本の擬人化の歴史について思いを馳せたくなります。そもそもどっから生まれたのか、単に戦後のオタク文化の中から生まれたの?あ、見立てってこと?
    まぁつまり、ラジェンドラやカーリーがよいな、ってことです。

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    2015年02月20日
  • 今宵、銀河を杯にして

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    飲兵衛でだらしなく、だが妙に憎めない、そんな戦車兵たちの不思議な戦闘行動を記録した一冊。
    とりあえずは飲みたくなる。不思議な愛嬌がある本でした。

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    2015年02月07日
  • 敵は海賊・海賊版 DEHUMANIZE

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    物語に没頭できるものが読みたくて読み返し。
    やっぱ面白いわー。そして歩く黒猫、たまににゃん喋りは可愛いから、ひどくてもしょうがない。

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    2015年02月04日
  • アンブロークンアロー 戦闘妖精・雪風

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    中ほどはもたついたけど、後半の種明かしからの展開はやはり面白い。
    「言葉」についての思索を展開するだけあって、体言止めと多発してた1作目の「雪風」っぽさは消えて、最近の神林作品になった感じ。
    そのせいもあってか、ちょっと丸くなったとも感じるが、1作目ラストの衝撃を求めることは難しいのは当然でしょう。
    1作目は主人公と雪風、それぞれについての話、2作目は雪風との関係性についての話、そしてこの3作目は雪風と人類の関係性の話。
    とくると4作目はジャムについての話にならざるを得ないか。でもそれは読みたくないな。ジャムが人類に興味を持ってるだけでもちょっと興ざめなんだもの。

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    2014年10月26日
  • アンブロークンアロー 戦闘妖精・雪風

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    ネタバレ

     シュレディンガーの箱の中にいる猫(人間)を、箱の外からジャムと雪風がぐいぐい振り回し、最終的に猫本人が生きてるって言ったんなら生きてるんじゃね?みたいになるのでデカルトを持ち出したくなるんだけど、哲学本になりそうなところを雪風という戦闘機械がギリギリSFの枠に引きとめてる。そんな小説。

     書いてて自分でもよくわかんねーなこれ。

     ただ「箱の中にいる猫から見たら、当然外の世界が滅んだかどうかわからないよね」みたいなところは、件の実験が有名すぎて逆にあんまり意識しない視点だと思った。

     とりあえず前2作を読んでないとまったくついていけないと思われるため、未読の方はご注意を。

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    2014年10月03日
  • 膚の下(上)

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    火星三部作の最終作。

    人に限りなく近づけて作られたサイボーグ「アートルーパー」を主人公にしたSF小説。

    「人間でないもの」の目を通して荒廃する地球に住む人間たちを描くことで、「人とは」「人の創造主とは」「創造とは」を読み手に考えさせる小説だ。

    後半の主人公が提唱する地球の保護方法はどこか宗教めいていたり、周りの人間の理解が非常にスムーズだったりと引っかかる点は少しあったが、おおむね楽しく読めた。

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    2014年08月19日
  • 戦闘妖精・雪風(改)

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    久々のSFということで最初は、独特な言い回しや間のとり方に戸惑ったが、慣れてしまえば内容は面白いし楽しめた。

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    2014年08月15日