神林長平のレビュー一覧

  • 敵は海賊・海賊版 DEHUMANIZE

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    雪風シリーズに続いての「敵は海賊」シリーズ。
    どうも、ドタバタ劇的な感覚が強い。まぁシリアスな部分ももちろんあるが、登場人物たちがそれを強く感じさせないくらいコミカルに描かれている。特にアプロ。
    もう何冊かこのシリーズを読んでみたくなった。

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    2013年07月19日
  • グッドラック 戦闘妖精・雪風

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    第一作目で充分完結しているように思えたが、このような形でさらにスケールアップして続くとは思わなかった。
    機械と人間の複合生命体という概念、ジャム人間、哲学的存在としてのジャム。
    一作目は人間が機械から拒絶されることで、あまりにもそれが完璧に美しく終わっていた。が、今作は機械との共生を、主人公の零の成長を通して納得感のある形で描かれる。この物語はこれからどうなっていくのが、全く読めない。

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    2013年07月06日
  • グッドラック 戦闘妖精・雪風

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    零の性格が人間味を帯びるにつれて、雪風もヒトに近づいていく。

    ヒトと機械の境界線の定義ってSFではありきたりなテーマなのかもしれないけど、この本がおもしろいのは、ヒトはヒトなりに、機械は機械なりにキャラが立っているからかなーと思う。

    マクロな視点でみると、機械はヒトを必要としていないように見えるけど、ミクロではしっかり繋がっている。

    ミクロ、大事だね。

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    2013年06月30日
  • 完璧な涙2

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    東城さんの描く青年は、良いなぁ。非常に失礼だが、ストーリーは私にはぴんとこない…古い感傷的なSF…としか。でもそれに乗っている青年の表情は、とても好きだ。「禁区」の続きが読みたくなった。

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    2013年06月20日
  • 敵は海賊・不敵な休暇

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    シリーズ第四弾の敵は、「顔のない男」。
    文字通り見えざる敵を相手に翻弄される海賊課と匋冥ですが、彼等の強烈な個性が「プロット」に収まりきるわけもなく、やがて物語は書き手の意志を離れ、登場人物たる彼等自身の手によってクライマックスへと向かいます。

    書くものと書かれるもの、物語の内側と外側。
    そんな神林ワールドも満載の読み応えある一冊です。

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    2013年05月07日
  • 敵は海賊・海賊たちの憂鬱

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    敵は海賊シリーズ第三作。
    今回は正体不明の不死身の男、マーマデュークを巡って海賊課と匋冥がサベイジを舞台に大乱闘を繰り広げます。

    一人と一匹と一艦によるお馴染みのドタバタ劇は勿論健在ですが、今作ではキャラクターそれぞれの感傷的な部分、表題である「憂鬱」がクローズアップされる場面が多く、読み手が彼らに感情移入すればするほど、物語の鍵を握る黒幕の正体に近付いていくことでしょう。

    また海賊側――その絶対的存在である匋冥――の生き様や、正義と悪・生と死の定義といった哲学的な要素もちりばめられており、シリーズならではの読み応えに満足の溜息をつきつつ、休むことなく手は続刊へ伸びるのです。

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    2013年04月24日
  • 小指の先の天使

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    ソロンの話を多分5回位読み返してしまった!
    設定を同じくする連作集なんですが、
    一冊読むととても感慨深い、残る物があります。
    SFというカテゴライズに収まりきれない、流石としか!

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    2013年04月22日
  • いま集合的無意識を、

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    伊藤計劃に釣られて読んだ。他の作品も良かったが、やはり表題作が刺激的。ハーモニーの解釈は自分と同じだったけれど、その一歩先とSFの意義に踏み込み若者へ警鐘を鳴らす。
    他のも読んでみようかな。人類が端末化する過渡期ってこんな感じ?

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    2013年03月23日
  • 宇宙探査機 迷惑一番

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    平行宇宙間を移動する探査機と、彼に遭遇した地球軍の一小隊の巻き起こす騒動を描く。ストーリーとしてはよくよく考えると浮かばれない話だが、登場人物の「脳天気」さのおかげで話が辛気臭くならず、最後まで調子よく読み進められてしまう。小隊員らは彼らの浮かばれない状況を認識しつつ、それでもあくまで楽天的。彼らの人生観について意識させられた。

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    2013年06月09日
  • 敵は海賊・海賊の敵

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    久々(6年ぶり)の敵海新刊。いつものメンバーでいつものやりとりがあったりするだけでニヤリ。内容的には後半の展開が忙しかったからもう少しゆっくり風呂敷畳んで欲しかったところ。それにしても、ヨウ冥は出てくるだけでテンション上がるなー!

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    2013年02月26日
  • 敵は海賊・海賊の敵

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     宗教という発明をネタに神林作品にしてはわかりやすくあっさり楽しかったです。以前はこの人の本って半分飛ばし読みにならざるをえない…というか、なんかすごく難解でぽかーん?とすることが多かったのですが。
     雪風のアンブロークンアローもすごく面白かったから、自分の好みがこっち寄りに変わったのかも?このシリーズ全部と七胴落としあたりから読み直してみたくなりました。

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    2013年02月19日
  • 戦闘妖精・雪風(改)

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    みんなが名作と言うので読んでみたが。
    人間にとって機械とは何か。機械がさらに高機能となっていったときに何が起こるのかについて考える手掛かりとはなりそうだが。

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    2018年10月14日
  • 敵は海賊・海賊の敵

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    久しぶりの新刊!嬉しいです。
    アプロもラテルもラジェンドラも相変わらずで何より(で良いのか悪いのか)。
    久々のフィラール舞台でシャルも出てくるしクラーラも出てくるし萄冥さんも人間だったねえと改めて実感しました。ちょっとこういうシチュエーションはときめきますね。それにしても怖いものナシのポワナさんでしたがある意味こういう天然が一番したたかに生き延びるのかも知れないなあなんて思いました。まあ一番したたかなのはアプロでしょうけれどもね。面白かったです。

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    2013年02月05日
  • 敵は海賊・海賊の敵

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    いつも通りの楽しいドタバタ劇で、いつものように、人の想いや言葉が世界を世界たらしめているという主題。

    なんだけど、匋冥神(たぶん信仰という妄想が生み出した何らかのエネルギー)がフリーザーから出現したのはピンとこなかったな。聖剣シューフェンバルドゥの方は違和感ないんだけど。

    ついにラテルに彼女というか妻が出来るのか(しかも聖剣のお赦し付き)と思いきや、やっぱりフラれるのね。

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    2013年02月03日
  • 言葉使い師

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    ネタバレ

    スフィンクス・マシンが印象に残った。
    言葉使い師はもう少し読み込んでみたい。

    境界。
    どこからどこまでが意識なのか、言葉なのか、機会なのか、人なのか。

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    2013年01月03日
  • いま集合的無意識を、

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    6つの短編からなるSFでした。
    最終話は去年読んだ「ハーモニー」へのアンサー(私)小説だったが、ハーモニーにそんな面白さを感じなかった俺としてはなんでアンサー?ってとこでしたが読んで納得。
    しかし最近読んでる本に関連性(関係性か)があるなぁ。
    知らないうちにゴーストが囁いてるのかな。

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    2012年12月04日
  • 言壺

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    ネタバレ

    私を生んだのは姉だった。
    この言葉から始まる、最初の収録話「綺文」で何処か新しい世界に連れて行ってもらえるような予感を感じた。
    結果として、難しくてよくわからなかったというのが正直なところ。
    ただ、物語の流れに沿いながら、初めて言葉に対して考える機会を持つことが出来た。

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    2012年12月04日
  • 帝王の殻

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    火星三部作で最後に読んだもの。PABシステムが気持ち悪すぎて鳥肌。自分と会話するって想像しただけで嫌です。

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    2012年11月11日
  • アンブロークンアロー 戦闘妖精・雪風

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    ネタバレ

    雪風3作目。
    ジャムとの戦いが、物理的なものから観念的なものへと急速にシフトしてゆき、息を呑む。

    全く異質な存在とコミュニケイトするために、感覚を同期させようとする雪風。
    人間と戦闘知性体の感覚が混ざり合って生まれた“無人世界”の、無機質で寂寞とした雰囲気が何ともいえず不気味だった。

    不安定な時間と空間のなかで、冷静に状況を判断しようとする深井大尉らの凄さも改めて実感。
    一方で、特殊戦メンバーの心理に興味を示し始める雪風に幾ばくかの可愛らしさを感じたりもしてしまい…人間の錯覚って面白い。

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    2012年11月11日
  • いま集合的無意識を、

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    ネタバレ

    6つの短編から成る珠玉のSF小説。
    『戦闘妖精雪風』のスピンオフ「ぼくの、マシン」と、
    故 伊藤計劃との仮想対話「いま、集合的無意識を」も収録。

     現実世界やネットワーク世界、多世界解釈世界と様々な舞台のなかで、人間の“意識”“自我”“無意識”に切り込んでいるのが面白い。
    特に、伊藤計劃の描こうとした世界のその先にあるものを考察する表題作の切れ味は鋭い。

    ネットワークを人間の体外意識野に見立て、そこに集合する無数の意識〈わたし〉=虚構〈フィクション〉 が暴走したときの脅威を指摘している。

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    2012年11月10日