神林長平のレビュー一覧

  • 敵は海賊・海賊版 DEHUMANIZE
    神林作品というと重厚なイメージがあったのですが、この作品はとても軽やかなSF活劇という感じで気楽に楽しめます。
    2人の海賊課刑事は両方とも猫だと思ってたんですが、猫はアプロだけだというのを途中で気づきました(笑)。
    タイトルの「海賊版」の意味が解説を読んでも結局分からなかったんですが、意味があるんで...続きを読む
  • 完璧な涙2
    よくこの作品を漫画にしたなあと思います。
    探していたものは実はなんだったのだろうか。
    そんなことを思いました。
    東城さんの少年・少女は相変わらず魅力的ですね。
  • ルナティカン
    大企業が開発したアンドロイド両親によって養育された少年は、企業により保護される「王子様」として月面都市で暮らしていたが、地球からやって来た女性作家と、彼のボディーガードも務めていた“ルナティカン”出身の自由探偵により、自分の出自が月の被差別民・ルナティカンだと知る――
    映画「A.I.」(人間とアンド...続きを読む
  • 機械たちの時間
    ストーリー自体は一人の男を主人公に据えたハードボイルドともサスペンスとも言えるシンプルなドラマだが、作品世界の設定がとても「神林的」で、そうしたギャップがちょっと面白い作品。未来の火星から過去の地球へ跳ばされた、脳内に戦略情報プロセッサTIPを埋め込まれたMMHS(マン・マシン・ハイブリッド・ソルジ...続きを読む
  • 敵は海賊・短篇版
    実は敵は海賊シリーズを最初に読んだのはこの巻の最後に収録されている被書空間でした。その頃はSFマガジンに掲載された短編を各年ごとに編纂した短編集が出版されてたんですよね。あのシリーズよかったよなあ…。そのシリーズで梶尾さんも知ったし、読んだことのなかった作家を色々と知りました。言ってみれば今創元から...続きを読む
  • 敵は海賊・A級の敵
    この表紙ではないのですがきっと内容は同じだと思うので。

    敵は海賊シリーズの比較的新しいほうなのかな?物質的に存在を持つ、確かに在るモノと物的質量は無いが確かに存在するモノと言うちょっと考え出すと頭がこんがらがりそうなテーマをいつもよく調理して食べさせてくれるなあと感心するばかりです。
    そしてすべて...続きを読む
  • 蒼いくちづけ
    自分を騙した男への強い殺意を抱きながら死んだテレパスの少女。死によっても消えなかったその強い意志としての殺意は、人間的な意識と切り離された純粋な憎悪となって加害者以外をも対象として広がって行く…。ファンタジーめいたホラー、あるいはホラーめいたファンタジー、というべきストーリーだが、センチメンタルに流...続きを読む
  • ライトジーンの遺産
    臓器崩壊現象が多発する未来では人工臓器が主流。オール人工人造人間の主人公は感応力的な超能力でその日暮らしをしていた!…というハードボイルドホームドラマ。
  • 小指の先の天使
    短篇集だけど、同じ世界の中の別々の物語、だろうか?
    映画「マトリックス」の世界に似た、デジタルで創り上げられた仮想世界と、リアルな世界とが存在する中で、人々が色々なことを思い、経験する。
    神林作品らしく、どれも物静かな雰囲気。
    その中の1つ「猫の棲む処」、猫の描写がとても良い。
    猫を飼いたくなっちゃ...続きを読む
  • 今宵、銀河を杯にして
    「飲んではハイに/醒めては灰に/飲もうぜ/今夜/銀河を杯にして」…ということで、タイトルの「杯」は「さかずき」ではなく、「はい」。タイトルからしてすでにダジャレ風味だが、内容も惑星ドーピアで戦う地球軍の戦車“マヘル-シャラル-ハシ-バズ”とお気楽一等兵&二等兵+自称天才新人少尉を中心にごくごく軽いノ...続きを読む
  • プリズム
    冒頭にある通り「あなたがいて わたしがいる」話だ。
    その言葉の意味するところは、本書を読め、その言葉通りの話だ。

    タイトル通り、多面体な話。
    それぞれ独立した世界が少しづつ位相を変えて展開し、それらが全てでひとつの世界を成している。
    ハイ・ファンタジーかつハードSF。
  • 宇宙探査機 迷惑一番
    読んだのは光文社版。多元平行宇宙横断探査機の、本体そのものではなく言語発生機であるところの、名づけて「迷惑一番」と呼ばれるもの。機械でありながら非常に脳天気な彼が多元平行宇宙を飛び回り言語記述していく物語と、彼の物語に巻き込まれた(と言える)脳天気な宇宙戦闘機パイロットたちの物語が、ごくごく軽いテン...続きを読む
  • 言壺
    これが「小説SF」(SF小説ではなく)の走りなのかな?
    言葉の自己産出性に対する高いチュートリアル性。
    自分でも何か書きたくなってくる気持ち。
  • 小指の先の天使
    読むのに長くかかっちゃった;

    近未来の世界のお話で短編集?とは言わないのかな。
    一つ一つのお話はつながってないけど、みんな世界観は似たような感じです。
    私もいろいろ考えるタイプだからこういう表現は変かもしれないけど、思春期っぽい感じがする本でした。

    表紙のイラストの通り猫が出てくるのですが、その...続きを読む
  • 言葉使い師
    神林長平、第二短編集。「スフィンクス・マシン」「愛娘」「美食」と、前半三篇はどれもじわじわと怖い話で、後味が悪いというか、読後もかなりダメージが残る。後半三篇も怖いと言えば怖いのだが、神林作品らしい“夢”のような雰囲気を持ったSFで、個人的にはこちらのタイプの作品の方が好み。特に、表題作「言葉使い師...続きを読む
  • 蒼いくちづけ
    テレパスと普通人が月と地球に住んでる設定のSF。強い殺意を持ったまま死んだテレパスが、付近住民に迷惑かける話。
    ラストがどうなるのかと期待していたが、なんか青春ドラマのような終わらせ方に、ちょっと唖然。
  • 七胴落とし
    これはトップをねらえ2!の元ネタだと思う。
    SF初心者にはあんまりおすすめしないけど中身はさすが
    神林長平。
  • 永久帰還装置
    神林長平、読むたびに思うけど・・・難しい~~。
    世界の存在はかくも不安定なものなのか。

    とりあえず、自分が何者であるか証明することは難しい、ということは
    良く分かった。
    確かに、発行された証明書自体が意味をなさない場所では、
    「この証明書がありますから!」といったところで
    意味はないもの。
  • 魂の駆動体
    神林長平を語る上でのひとつのキーワードが「ことば」であるなら、
    もうひとつは「人と機械」である。

    ただし、今までの機械は主張する機械であった。
    「魂」を持った機械であった。
    今回は違う。「魂」をゆさぶる機械だ。

    私自身は、あまり「クルマ」という機械に
    詳しくないので、テクニカルな面でややくどいと...続きを読む
  • 言葉使い師
    夢と現実が入り混じる物語の短編集。何が悪かったのか、どうすればよかったのか、無言の問いかけと突きつけられる現実の鋭さに愕然となります。
    お勧めなのは表題作「言葉使い師」と、「イルカの森」、「甘やかな月の錆」ですね。