長門さんが“ミステリックサイン”のラストで読んでる、“膚の下”(火星シリーズ3作目)の2作目に当たる本。
この人の書くものは本当に、コミュニケーションの話だな…!と思う火星シリーズ2作目。
しかも“言葉”を使用したコミュニケーション。感覚を同期させることも不可能ではない世界において、あえて言葉を交
...続きを読むわした上での共感に重きを置く思想というのか、考えかたというのか、それがとても素敵だなぁと思います。
感覚と実感の差異とか、そういうものの書き方がもの凄い好きです。
そして、そういうものを浮き彫りにする仕組みを作るのがとても上手い。PABなんて機械の発想、どこからでてきたんだろう。
あと、機械人の独白が本当たまらなかった…。機械人が魂を定義するとそうなるのか…!という。
無に対抗する存在プロセッサなんて、なんて切実な響きかと。
彼と地球人のやりとりも好きです。「あなたの魂に安らぎあれ」が、こうくるのか。
神林さんの書く“魂”は、攻殻機動隊での“ゴースト”に近いんだろうな。
と、ここまで散々SFとしての側面を書いておきながらなんですが、お話としては父と子のお話です。
テーマは普遍的でも表現手法が違うとここまで違ってみえるんだなという。
アニメで、これの三作目を読んでた長門さんは、もちろんこれも読んだのだと思うのです。
どう思ったのかものすごく聞いてみたい。