あらすじ
火星で目覚めた素性不明の男は、自らを永久追跡刑事と称した。この世界を創造し、自由に改変する能力を持つ犯罪者・ボルターを追っているという。戦略情報局のケイ・ミンはその話を疑いつつも、彼の真摯で誠実な態度に惹かれていく。ボルターの巧妙な世界改変による攻撃に対抗しつつ絆を深め合う二人だが、情報局の人工知性体・マグザットの介入も加わり火星崩壊が迫る――虚実混交の中で信頼と陰謀がせめぎ合う傑作長篇。
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Posted by ブクログ
多面的な神林作品群のエッセンスがぐっと濃縮されたような作品。
神林節とロマンスの配合が絶妙だと思うので、神林作品初挑戦の人に一冊お勧めするなら(個人的には)本作を推したいです。
(読みやすさ優先なら「ライトジーンの遺産」、ハード路線なら「雪風」)
雪風と交互に読んで、神林氏はどんだけロマンティストなんや…!と悶えるのも楽しいですw
Posted by ブクログ
SFが大好きです。
んで、神林長平は「戦闘妖精雪風」から好きになったんだけど。
設定はもちろんのこと。
言葉の選び方、使い方がSFを超越してると思います。
一言でいうなら「カッコいい」です…。
クリームパンのくだりはなんか切ない。
読み終わった後に「あーー面白かった!!!!」と力いっぱい言える作品です。
Posted by ブクログ
世界を創造する能力を持った犯罪者ボルダーを追う、永久追跡刑事。
これはあれですねラブストーリー。
あと感じたのは新しい世界の見方を教えられた気がします。
Posted by ブクログ
神林氏の書く小説は、氏の哲学が強く感じられる本です。本を読んでいるというよりは、登場人物の思考を解して氏の主義主張を読んでいる感じ。今回の本は特にそれが強かったです。
主人公である蓮角(レンカク)が何度も主張している「自分が思うから現実がそうなっているんだ」という主観的な世界観はデカルトの「我思う、ゆえに我あり」に通じています。そして、それが氏の哲学なんだろうな、と思いました。
この本はたしかにSFです。ただし、科学小説ではありません。
「SFとは科学小説(Science Fiction)ではなく、思索小説(Speculativ Fiction)だ」と言った小説家はハインラインだったでしょうか。この本はつまりそういう本で、科学的で空想的なギミックを用いた思索小説という色が顕著な物語です。
Posted by ブクログ
神林長平、読むたびに思うけど・・・難しい~~。
世界の存在はかくも不安定なものなのか。
とりあえず、自分が何者であるか証明することは難しい、ということは
良く分かった。
確かに、発行された証明書自体が意味をなさない場所では、
「この証明書がありますから!」といったところで
意味はないもの。