あらすじ
三名の首都圏情報防衛軍団兵士が帯びた特別任務は、首相の行方不明になった愛猫を捜し出せ、というもの。ただし、その猫は、脳に貴重な情報が入力された、人類の存亡を決する猫なのだ。しかし、三名は、コンタクトしようとして失敗。しかも、現在地不明のここは、すでに死後の世界なのか? 俊英が描くSF長篇
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Posted by ブクログ
すごく不思議ででも泣きたくなるくらい綺麗な世界にひたーっとひたれる作品。この不条理差は絵本的世界観に近いのかも。たむらしげるさんにクジラ書いてもらいたい(笑)
最後の終わり方が好き。
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フムン。久しぶりの神林だけど、相変わらずはずれのない作家だよなぁ。はずれになる理由があるとするならハヤカワのサイズがでかくなったぐらい。早く戻せ馬鹿。で、感想。おもしれぇ。月並みな表現だが本当に面白い。何がってまず、突如「ここは死後の世界」とかなる。異次元とかじゃない。そして、死とは何か、意識とは何かの解釈。この解釈が本書の鍵となる。この人だいたい意識とは?世界は本当に見えたとおりなのか?って題材だけど毎回解釈が違ったり視点が違う本を書いてる。すごいと思う。こんだけ数を出してるのに解釈をほぼ毎回異なってるのだ。
雪風、海賊シリーズに次ぐ面白さ。神林全開。
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この世には二種類の人間がいる。
死んでいることに気づいている者と、そうでない人間の、二種類。
自分の死に気づいている者は、当然ながら死んでいる。
死んでいることがわかっていない人間は
生を信じるがゆえに、やがて死を受け入れざるを得ない。
ようするにこの世は死者でいっぱいだ。
タイトルがアレなせいか絶版になっていた本ですが、刷りなおされました。自分は祖母の死しか経験していませんが、そのことを想起させられる、そんな本です。
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主人公の先輩の性格がラテルぽくて好きです。
題名と表紙だけを見ると宗教書のようですが、中身は、夢と現実の混ざり合う世界を描くSFです。
最後泣けます。
Posted by ブクログ
借本。
最初の文章を頭において読み進めると、とても面白く楽しい本。
(忘れると難解な本になるかも)
展開が、やんわりと脳みそをかき回されつつも、
最後はウルッとくるものがあり、なかなか。
「読んでよかった〜」と思わせる一冊。
Posted by ブクログ
神林作品のちょっと前に出た作品群の中では一番好きな作品。多分、読み返した回数で言えば五本の指に入ると思う。
いつものように突如として世界が不確定なものになってしまい、その世界に主人公達が翻弄される話。感触的には、舞台設定は全く違うのだけど「今宵、銀河を杯にして」あたりに似ている気がする。
Posted by ブクログ
日本スペオペ界の重鎮神林長平先生のSF小説。都圏情報防衛軍団兵士降旗勝情報少尉、大黒桂一等情報士、知念翔起情報軍曹の三名が首相の行方不明の愛猫(アメショー)
を探す為新兵器マタタビ装置によって現地に飛ばされた。だがそこは空には絶滅したはずの鯨が飛び交い、200メートル下には生まれ故郷が広がっっている。はたして自分達は死んでしまったのか?死後の世界。霊界。自己認識。形而上的思想をユーモラスにコント形式で進む独特の神林文体にひきこまれます。ラストにちょっと泣いた。
徳間書店のハードカバーの装丁がとても好きでした。青空の下ゴミの山を登る情報軍の表紙と裏表紙は猫のオットーが地球を手毬のように抱えているイラストでした。
Posted by ブクログ
神林氏の小説は、哲学的な内容をバックグラウンドにしながら、哲学的文学にありがちな、登場人物たちの悶々とした内面描写をあまり感じません。たぶん神林氏の描くキャラ達は自分なりの独自の哲学(線引きと割り切り)が出来ているキャラばかりだからだと思います。登場人物たちは自らの生き方を貫きながら、同時に読者には哲学的な問いかけをしている。
この「死して咲く花、実のある夢」もそんな話。自分達は既に死んでいて、生死の狭間にいる。そんな状況に置かれても自らの価値観に準じる三人の登場人物。
終始、非現実的な展開が繰り広げられますが、決して荒唐無稽ではない。生死の狭間という状況に置かれながら決して迷わない(一人除く)人物たち。
冗長に説明文を入れる事で主張するのではなく、淡々とした内容で生死についての話が綴られています。