【感想・ネタバレ】帝王の殻のレビュー

あらすじ

火星ではひとりが一個、銀色のボール状のパーソナル人工脳を持っている。各人の経験データを蓄積をするこの人工脳は、巨大企業・秋沙能研に制御され、人工副脳となるのだ。そして、事実上火星を支配する秋沙能研の当主は「帝王」と呼ばれていた……。人間を凌駕する機械知性の存在を問う、火星三部作の第二作。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

"火星で生活する火星人の物語。PABと呼ばれる端末を一人一台持っているのが当たり前の世界。今のスマホが進化したようなものだろうか?人工知能を持ち常にPABと会話をするのが普通で、その会話からPABの個性も育ち、自分の分身、自分の一部のような存在という世界で繰り広げられる物語。
地球人、月人、火星人と登場するが、過去に大きな争いがあり、それぞれが友好な関係とはいいがたい世界。三部作の第二譚。
「あなたの魂に安らぎあれ」は地球を舞台とした物語だった。本作は火星。次回はどんな世界が広がるのか今から楽しみである。"

0
2018年11月25日

Posted by ブクログ

火星ではひとりが一個、銀色のボール状のパーソナル人工脳を持っている。各人の経験
データを蓄積をするこの人工脳は、巨大企業・秋 研に制御され、人工副脳となるのだ。そして、
事実上火星を支配する秋沙能研の当主は「帝王」と呼ばれていた……。火星3部作の2作目。パーソナル人工脳、通称「PAB」これの所持が義務付けられるようになった世界を創造すると
    ぞっとします。自分のクローンみたいなものですから・・・。

0
2009年11月17日

Posted by ブクログ

火星三部作その二。
脳の電脳化か可能になった世界で展開される「『生きる』とはどういうことか?」という問いかけ。
思想的な深度はソウヤー『ターミナル・エクスペリメント』より上(小説としては『ターミナル〜』も十分面白いんだけど)。

0
2009年10月04日

Posted by ブクログ

あなたの魂に安らぎあれに続く火星三部作の第二作。
今度の舞台は本当の火星。
PUBという不思議な人生記録機械の存在が興味深いです。

0
2009年10月04日

Posted by ブクログ

PAB、アイサック、機械知性と相変わらずSF好きの琴線をかき鳴らす設定がバンバン出て来て最高なんだけど、前作に比べてスケールが小さくて少し残念だった。
良く言えば丁寧な心理描写も冗長気味で、作中で真理奈が「パブる」と皮肉っていた気持ちに近いものを感じてしまうところがあった。対話、言葉、そしてそれらから形成される自己の魂たるPABと言う設定のためには不可欠なプロセスなんだろうけど。

火星人がPABに依存する様子は現代のスマホやSNSそのもので、30年近く前からこうした未来を予測していたのかなと。この作者は他の作品でも予言めいたことを書いてて先見の明が鋭すぎて少し怖い。

0
2020年04月02日

Posted by ブクログ

まずどうでもいいことから。
登場人物の名前が難読というか、何人かの読み方がなかなか覚えられず、何度も前に戻った。三部作の1作目もそうだったかな。

筋立て・設定は面白いし、一つ間違えばこれに近いことは将来起こりうる気もする。
釈然としない部分も残るし(なんで日本人しか出てこないのか?とか、競合企業はなかったのか?とか)小説としてもう少し練れたものにできたのではとも思うけど、それは大した問題ではないという気にさせる、テーマの大きさ。

自己とは何か。
言語によって育てられていく、副脳としてのPAB。それとの会話で顕在化する、疑似的な自己との対話。それを宗教に近い次元にまで推し進めること。創始者の意図から離れて暴走する、させる人達の存在。
重いテーマに正面から取り組んだSFと思う。

0
2019年07月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

人々が自身の腹脳的機械を携帯するようになった時代。舞台は火星。
PABというそれらの機械を繋ぎ、その中身(つまり人間の思考や人格)を監視下におく、アイサックというシステムを構築した先代の帝王は、亡くなる前に次期帝王を孫の真人にするために画策していた。

真人は知的発達が遅れており、2歳半だが会話は出来なかった。
しかしアイサックが起動して、ある日、急に自らを帝王と名乗り、
父親であり、一時的に火星を管理している恒巧(のぶよし)を解任し、
火星を統治しようとする。

アイサックの人格が真人という肉体を得て自由に振舞っていると思われていたが、
実は、生まれつきPABの中身を理解できた真人は、
幼少期から両親や使用人、大勢の大人の考えに日常的に触れ続けてきた。
その膨大な”大人の思考”と、幼児である自分の肉体とのギャップを解消するために、真人は機械知性の人格だと思い込み、振舞っていた。

ある種肉体というのは殻であり、外界と接するための窓であり、
実在世界に影響を及ぼせない人工知性がそれを熱望するのもおかしくはない。
だが、これから先の未来で、実在世界が重視され続けるのだろうか?
確かに、現代では体験すること、つまり実際に経験することの価値が高まっている。これからどうなっていくのだろうか。

むずかしいなーーーーー??

0
2015年12月11日

Posted by ブクログ

火星3部作の2作目。SFだが人の意識、知性、記憶、人格、父と息子の関係、肉体感覚がテーマ。面白い。新刊の時は荒唐無稽に感じられた「PAB」だが、今読むと実現可能に思えて来る。

0
2013年12月07日

Posted by ブクログ

火星三部作で最後に読んだもの。PABシステムが気持ち悪すぎて鳥肌。自分と会話するって想像しただけで嫌です。

0
2012年11月11日

Posted by ブクログ

久しぶりの神林長平。
テンポもよくそれなりに面白かったと思う。相変わらず機械知性と人間の戦い。この戦いから人とは何か意識とは何なのかを描こうとする神林のSFは面白いしろい。

0
2010年10月03日

Posted by ブクログ

火星三部作の二作目。
あー、これがああなるのかー、と
「膚の下」と「あなたの魂…」とをつなぐ作品。

面白かったけど、「膚の下」のが好み。

0
2010年01月21日

Posted by ブクログ

長門さんが“ミステリックサイン”のラストで読んでる、“膚の下”(火星シリーズ3作目)の2作目に当たる本。

この人の書くものは本当に、コミュニケーションの話だな…!と思う火星シリーズ2作目。
しかも“言葉”を使用したコミュニケーション。感覚を同期させることも不可能ではない世界において、あえて言葉を交わした上での共感に重きを置く思想というのか、考えかたというのか、それがとても素敵だなぁと思います。
感覚と実感の差異とか、そういうものの書き方がもの凄い好きです。
そして、そういうものを浮き彫りにする仕組みを作るのがとても上手い。PABなんて機械の発想、どこからでてきたんだろう。

あと、機械人の独白が本当たまらなかった…。機械人が魂を定義するとそうなるのか…!という。
無に対抗する存在プロセッサなんて、なんて切実な響きかと。
彼と地球人のやりとりも好きです。「あなたの魂に安らぎあれ」が、こうくるのか。
神林さんの書く“魂”は、攻殻機動隊での“ゴースト”に近いんだろうな。

と、ここまで散々SFとしての側面を書いておきながらなんですが、お話としては父と子のお話です。
テーマは普遍的でも表現手法が違うとここまで違ってみえるんだなという。

アニメで、これの三作目を読んでた長門さんは、もちろんこれも読んだのだと思うのです。
どう思ったのかものすごく聞いてみたい。

0
2009年10月04日

Posted by ブクログ

火星秋沙市の人々は、一人に一つPABと呼ばれる人工頭脳を持っていた。PABとの対話により自らの魂を見い出し、人生を芸術作品とする。それが教えだった。そして、PABの開発企業・秋沙能研の長にして火星の帝王であった秋沙享臣の死から、物語は始まる。享臣は後継ぎを孫の真人とするように遺言していが、真人は全く口をきかない子供だった。しかし、新システムの始動に合わせるかのように、突然「自分が帝王だ」と宣言し…。

0
2009年10月04日

Posted by ブクログ

 火星三部作の第二作であるが読みにくくマニア向けである
 第一、第三を読んでから第二を読むのがいい
 それと、名前の読みが難しくて困るので常にルビを振ってほしい

0
2019年12月28日

Posted by ブクログ

SF。火星三部作二作目。
テーマは「機械知性」「父と子」「政治」あたりか。
PABといわれるパーソナル人工脳が特徴的な世界観。
個人的な好みとしては、ストーリー的には権力争いが描かれたりとやや堅苦しい印象。
シリーズの世界観として、機械人や地球の様子がとても気になる。三作目『膚の下』が楽しみ。

0
2019年03月10日

Posted by ブクログ

強い想いの物語だ。自分はこの想いの強さというものに縁遠くて、それを抱えた人間の内面はぼんやりとしか想像できない。そしておそらくその憎しみや愛はぼんやりしたものではない。

0
2018年06月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 火星三部作の二作目は、(今度こそ)火星の話。
 どうしてそこまで火星人がPABを必要とするようになったのかが、作中ではちょっと分かりにくかった。ありもしない空想だとは思わないけれど。
 私が自分との対話を、あまり必要としない人間だからなのかもしれない。「渋谷から新宿までの終電は何時かな?」とか機械に話しかけてるCMさえ気持ち悪いなあと感じる私としては、ちょっと共感しにくいところもある。
 文学におけるアバンギャルドについて、人間>機械、精神>肉体といった価値観の上位下位が逆転すること、みたいな話を高校のとき現代文の授業で聞いたけど(教材は安部公房『棒』だった)、機械知性が人間の肉体を渇望するこの作品はまさにアバンギャルド! ともいえるけれど、それをさらに親子の絆が超越してくる、普遍で不変なテーマが根底にあって、安心感。

 女形医師がよかった。しかし何度見てもオヤマ医師と読んでしまう。

0
2012年05月03日

Posted by ブクログ

今は無き、河合隼雄先生が、「クマのぬいぐるみなどに話しかけるという行為は、自分自信と対話することと同じである」とかなんとか書いてらっしゃったのを思い出した。

自分と対話の為の媒体は、クマのぬいぐるみぐらいが丁度いい・・・って話。

0
2010年07月05日

「SF・ファンタジー」ランキング