【感想・ネタバレ】帝王の殻のレビュー

あらすじ

火星ではひとりが一個、銀色のボール状のパーソナル人工脳を持っている。各人の経験データを蓄積をするこの人工脳は、巨大企業・秋沙能研に制御され、人工副脳となるのだ。そして、事実上火星を支配する秋沙能研の当主は「帝王」と呼ばれていた……。人間を凌駕する機械知性の存在を問う、火星三部作の第二作。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

人々が自身の腹脳的機械を携帯するようになった時代。舞台は火星。
PABというそれらの機械を繋ぎ、その中身(つまり人間の思考や人格)を監視下におく、アイサックというシステムを構築した先代の帝王は、亡くなる前に次期帝王を孫の真人にするために画策していた。

真人は知的発達が遅れており、2歳半だが会話は出来なかった。
しかしアイサックが起動して、ある日、急に自らを帝王と名乗り、
父親であり、一時的に火星を管理している恒巧(のぶよし)を解任し、
火星を統治しようとする。

アイサックの人格が真人という肉体を得て自由に振舞っていると思われていたが、
実は、生まれつきPABの中身を理解できた真人は、
幼少期から両親や使用人、大勢の大人の考えに日常的に触れ続けてきた。
その膨大な”大人の思考”と、幼児である自分の肉体とのギャップを解消するために、真人は機械知性の人格だと思い込み、振舞っていた。

ある種肉体というのは殻であり、外界と接するための窓であり、
実在世界に影響を及ぼせない人工知性がそれを熱望するのもおかしくはない。
だが、これから先の未来で、実在世界が重視され続けるのだろうか?
確かに、現代では体験すること、つまり実際に経験することの価値が高まっている。これからどうなっていくのだろうか。

むずかしいなーーーーー??

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2015年12月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 火星三部作の二作目は、(今度こそ)火星の話。
 どうしてそこまで火星人がPABを必要とするようになったのかが、作中ではちょっと分かりにくかった。ありもしない空想だとは思わないけれど。
 私が自分との対話を、あまり必要としない人間だからなのかもしれない。「渋谷から新宿までの終電は何時かな?」とか機械に話しかけてるCMさえ気持ち悪いなあと感じる私としては、ちょっと共感しにくいところもある。
 文学におけるアバンギャルドについて、人間>機械、精神>肉体といった価値観の上位下位が逆転すること、みたいな話を高校のとき現代文の授業で聞いたけど(教材は安部公房『棒』だった)、機械知性が人間の肉体を渇望するこの作品はまさにアバンギャルド! ともいえるけれど、それをさらに親子の絆が超越してくる、普遍で不変なテーマが根底にあって、安心感。

 女形医師がよかった。しかし何度見てもオヤマ医師と読んでしまう。

0
2012年05月03日

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