神林長平のレビュー一覧
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血の通った姉と弟の恋愛。そんな神林とは思えない異色作の雰囲気を漂わせる本著ですが、読んでみたらいつもの神林でした。
序盤こそ弟アシリスの葛藤や、姉のイシスの行動など、およそ考えられない甘い恋愛的な内容が続いていきますが、途中からはいつもの思索小説然とした物語が展開していきます。
物語としては、リンボス(月)世界の住人であるアシリスとイシスは自らの恋を成立させられる世界を事象制御装置アスタートを使ったカスミ(地球)に生み出そうとする。しかしそこに犯罪者であり天才的な論理士バールや、治安士スローン、イシスの同僚セラフ。そしてバールによって生み出された人間ルシファ。彼らの行動が文字通り入り混じり、 -
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血の通った姉と弟の恋愛。そんな神林とは思えない異色作の雰囲気を漂わせる本著ですが、読んでみたらいつもの神林でした。
序盤こそ弟アシリスの葛藤や、姉のイシスの行動など、およそ考えられない甘い恋愛的な内容が続いていきますが、途中からはいつもの思索小説然とした物語が展開していきます。
物語としては、リンボス(月)世界の住人であるアシリスとイシスは自らの恋を成立させられる世界を事象制御装置アスタートを使ったカスミ(地球)に生み出そうとする。しかしそこに犯罪者であり天才的な論理士バールや、治安士スローン、イシスの同僚セラフ。そしてバールによって生み出された人間ルシファ。彼らの行動が文字通り入り混じり、 -
Posted by ブクログ
とある女性が恋人に裏切られ、非業の死を遂げる。やがて彼女の思いは周囲に死を振りまいていく。ホラーによくある展開です。
しかしそこにSF要素を足して神林氏が書くとまったくの別物になるのがなかなか面白いところでした。
内容は、あらすじにもあるようにテレパスの少女ルシアの死後の感情が暴走し、次々に人を殺していくというもの。それを止めるべく、無限心理警察刑事(テレパシー能力を持った超法規的存在=テレパシーを持った海賊課のような感じ)であるOZが絡んでいく。という内容です。
神林氏らしい淡々とした切り口であるにも関わらず意外と読みやすく、スラスラと最後まで読み終えることが出来ました。読む前は異色作か -
Posted by ブクログ
アルカの腕、バトルウッドの心臓、セシルの眼、ダーマキスの皮膚、エグザントスの骨、ヤーンの声、ザインの卵の7編で構成される、ハーボドイルドSF短編集。
ハードボイルド……なのかなぁ。
ハードボイルドって語源は「堅ゆで卵」。つまり状況や環境、感情に左右されないって意味だと思うんですが、この物語の主人公は結構感情で動いてたりする部分があるように見受けられて、あんまりハードボイルド感はありませんでした。ウィスキー好きとか、詩集がすきとか。そういう所はハードボイルドといえなくもないですけど。
物語のテーマは臓器崩壊と人工臓器を巡る人々の生き方的な内容。それらのやり取りサイファという超能力者である主人