あらすじ
仮想世界の動物園でキリンが鳩を食べたら、それは現実に住まう神の御業なのだろうか?あるいは、仮想世界で生涯を終えた者がいて、その魂はどこへ向かうのだろうか?人間の意識と神についての思索が、現実と仮想の間を往還する──二十年の歳月を費やした著者の原点にして到達点たる連作集。
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Posted by ブクログ
仮想世界で生涯を終えた者の魂は、果たしてどこへ向かうのだろうか?
ヒトはどこから来てどこへ行くのか?これはこの作者がどの命題なのでしょうか?短編集なのですが、まるで計算されたのかごとく物語がつながっているように感じました。
Posted by ブクログ
ラノベでよく言われる表紙買い。その名前の通り、表紙に引かれて購入することのことです。それと同様に、タイトル買いというものも存在します。この本を手に取ったのは、まさしくタイトルに惹かれたからです。
あらすじにもある通り、本著は氏が二十年間にバラバラと発表した短編をまとめた一冊です。各短編は繋がっているような繋がっていなかったり、独特の連帯感を持っています。二十年という隔たりがありながらもそのテーマは一貫している辺り、氏の書きたいものが何かが伺える一冊であります。
仮想世界における現実とは何か。現実世界における現実とは何か。結局のところ現実とは主観認識でしかないというのは、この本以外でも書かれているように、氏の普遍的な自論なのでしょう。
神林氏の本に共感を抱けるかどうかはこの自論に賛同できるかどうかに拠るところが大きいのかな、とかそんな事を思いました。
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人間の意識と紙についての思索が現実と仮想の間を往還する。
20年の歳月を費やして神林長平が達した到達点にして原点とも言える連作集。
深く切ない命の旋律を聴いてみませんか?
Posted by ブクログ
ソロンの話を多分5回位読み返してしまった!
設定を同じくする連作集なんですが、
一冊読むととても感慨深い、残る物があります。
SFというカテゴライズに収まりきれない、流石としか!
Posted by ブクログ
神林長平、読むの数年ぶりですかね。
肉体を捨て仮想世界を選んだ人々と現実世界を選んだ人々が生きる世界で,様々な視点から人の意識について思索するSF連作集。
どの作品も好きですが,特に好みなのは「抱いて熱く」と「なんと清浄な街」。
「抱いて熱く」は,世界観提示のために冒頭に置いているのでしょうか。どんな世界が描かれるのかとなかなかわくわくさせてくれました。恋愛ものでもあります。
「なんと清浄な街」は登場人物の会話を通して思索を突き詰めていく感じが好きです。仮想現実に生きる人々の世界認識の話。
救いがあるのかないのか明言されなくとも,やさしい雰囲気のする読後感のよい話が多くて,神林作品でも好みの一冊となりました。
Posted by ブクログ
現実と仮想空間、機械と人間、躰と精神…そんなハードSFな話題を、いたって素朴な視点からいくつか切り取ってみたよ、なんて感じの短編集。どの話でも、その中で大きなイベントがおこるわけではないけど、確かにその前後で何かがあったということは伝わってくる。いわば番外編みたいな話たち。でも、だからこそ俯瞰した視点から描ける。解説にもあったけど、今作は特に「余白」が大きいんだと思った。その余白に何を書き入れるかは、もっと神林作品を読んでからじゃないと!というわけで次の本を…。
Posted by ブクログ
仮想空間(意識だけで生きる)がテーマの6篇を収めた短編集です。
『意識は蒸発する』であった、情報は動的であるというくだりが好きです。端的で解りやすい説明だと思う。
いわゆる「自分以外は生きていないのではないか?」という疑惑は、SFに限らずホラーでもよく見るパターンだけれど、有限のハードを使用するシステムだから要求に対して再配置が行われて初めて情報が生まれる、というのはなるほどと思った。面白かったです。
買うなら、猫のソロンが表紙になっている文庫版がおすすめです。これ。猫は常に猫。かわいいです。
Posted by ブクログ
工業学校出身のSF作家である神林氏の作品は、ファンタジックな世界を繰り広げながらも絶対的に現実的。猫のソロンの描写一つとっても、胸が痛くなるほどリアルな感触。「現実」と「仮想」の二つの世界を軸にした連作短編集であるこの作品では、“本当の”生とは何なのか、存在とは、意識とは…と深く考えさせられる。心に切り込んでくる独特の鋭さが個人的に大好き。
Posted by ブクログ
独特な世界を感じる神林長平のSF短編6編。重苦しい設定なのに、登場人物は淡々としていることが多い。表紙がいいのにどうして登録されてないんだろう。敵は海賊シリーズの次作を待ってるんだけどな〜。
Posted by ブクログ
雰囲気が外国の作品のように感じた、登場人物の名前は日本人なのに…
雪風もこんな雰囲気だったかもしれない。
だけど、解説の桜庭一樹さん程にはハマれなかった。
Posted by ブクログ
SF。短編集。連作?
全体を通して、”VR”と”意識”がテーマか。
「抱いて熱く」が好き。一番分かりやすく、ロマンチックな恋愛SF。
「なんと清浄な街」もミステリチックで良い。
3作目からは少し分かりにくい感じ。