神林長平のレビュー一覧
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ラノベでよく言われる表紙買い。その名前の通り、表紙に引かれて購入することのことです。それと同様に、タイトル買いというものも存在します。この本を手に取ったのは、まさしくタイトルに惹かれたからです。
あらすじにもある通り、本著は氏が二十年間にバラバラと発表した短編をまとめた一冊です。各短編は繋がっているような繋がっていなかったり、独特の連帯感を持っています。二十年という隔たりがありながらもそのテーマは一貫している辺り、氏の書きたいものが何かが伺える一冊であります。
仮想世界における現実とは何か。現実世界における現実とは何か。結局のところ現実とは主観認識でしかないというのは、この本以外でも書かれて -
Posted by ブクログ
核戦争後の放射能汚染は、火星の人間たちを地下の空洞都市へ閉じ込め、アンドロイドに地上で自由を謳歌する権利を与えた。
半はおもに地下空洞都市、後半は火星地表での物語となっており、なぜ人類はアンドロイドをつくったのか、ほんとうにアンドロイドをつくったのは人類なのか、人類は何処からきたのか、失われた過去の歴史に眠る秘密とは何か、などの謎を解き明かしながら物語は一気に「エンズビル」と呼ばれるアンドロイドたちの神が降臨する佳境へとなだれ込んでいきます。火星3部作の一作目。地下都市の独特な文化や雰囲気がとても興味深かったクライマックスの怒涛の展開は興奮した。 -
Posted by ブクログ
とにかく好きな作品。読んでも読んでも掴み切れないというか、読むたびに気が付くというか。
途中はけっこうグロい描写もあるのだが、とにかく色々な世界が詰め込まれているし、ファンタジー風あり、ハードボイルド風あり、ハードSF風ありで全て思い出そうとすると筋も登場人物もゴッチャになってしまう。
実際、色々な世界を次々と転々とするエピソードの中で、かなりの登場人物は同一存在でもあるわけなのでゴッチャになってもOKだと思う。
特に好きなのは色をモチーフにした魔の世界。それから、プロローグの黒い天使が突如現れるところなど。
雨が降っていたせいか、この場面を読むと映画『ブレードランナー』を。ブレランを見て