神林長平のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ途中まで、機械の固有意識と人間の意志の近づかなさを読んでいたように思うのだが気づくと機会と強くつながってきた深井零によって分かり合おうとする存在になっていく。
愛という言葉を持ち出すのは私は陳腐だと思ったが、本当にそうなのだろう。
昨年発売された短編集「いま集合的無意識を、」や長編「ぼくらは都市を愛していた」で”機械に使われる人間”という像が出現したような気がするのだが、それよりも雪風では分かり合おうとする努力、敬意が強い気がする。
というか、あおの2冊で提起した問題の一部をこの作品で答えている気がする。深井零という特殊な人格であるがかれはそれをクリアした。
零の変化と、異星体ジャムの変化 -
Posted by ブクログ
彼は本当に言葉使い師であり続けようとしている。
そう感じた。
神林長平の短篇集。
言葉とコミュニケーションが彼の中に自分が言葉使い師である上で重要な問題なのだろう。
素敵な、雪風のフェアリィ星を彷彿とさせるような章名と
言葉が手段として生命としてある今の世界と違うたくさんの世界を描いた物語たち。
言葉は力を持ち、力を与え、力を削がれ、人間をよく見てきた。
初めの章の
ワーカム(文章執筆支援ソフト)の危機は既に迫っている。
その時に私たちを襲うのはなにものだろうか。誰の意志なんだろうか。
この本を読んでない人がいたら無言で私は差し出したいくらい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ最初に断っておきます。
これから書く感想は、個人的なノートに書いたものを転載しているだけなので非常に分裂的な文章になっているが、オレの頭は正常である(はず)のでご安心ください。
神林作品の登場人物たちは皆、何かしらの独特なユーモア感覚を持っているのだが、この作品に登場するキャラクターは全員共通して「能天気」だ。この脳天気という性格、つまりは個人の希望的観測をポジティブな方向に考えられる人間と言うのは、神林作品では次第に強調されていくことになる。
例えば、初期作品では「踊っているのでなければ踊らされているのだろうさ。」と言う文に代表されるように、自身が何か別の存在に操られていたり、自意識は