神林長平のレビュー一覧

  • 膚の下(下)

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    ネタバレ

    シビレました。

    バリバリにハードな設定の中、生きるとは、生命とは、信頼とは、友情とは、理想とは、、、といった古典的・普遍的なテーマを、真剣に語り合い思い悩む主人公達。
    アートルーパーが誕生から5年と若いこと、そして命がけの状況がなければ、おそらく気恥ずかしさが勝るほどに真剣で、対する人間同士の駆け引きややりとりの姑息さが際立つ。

    改めて「あなたの魂に安らぎあれ」と「帝王の殻」を読み返すと、感動というのか、形容し難い圧倒的な感情の波に襲われて、ちょっとどうしていいか判らない感じ。

    こうして理想は実を結んだ。
    彼らのことを覚えている人達が、彼らの心血を注いだ新しい世界の時間を進めていく。

    いやほんと、素晴らしかった。

    でもほんと、いつもながら名前読みにくいねー(笑)。

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    2020年03月14日
  • 魂の駆動体

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    ネタバレ

     物を創る分野に関わるうちに、自分と、ひいては人間の能力の限界を実感し、ある種悟りの境地に達したのだ––––と言えばおおげさかもしれないが、それは現実世界のなかで自分がどこに位置するのか、自分の立場というものを明確に得るということだ。創造してきた者の自信と言えるかもしれない。世界そのものは変えられないにしても、世界観は自分の意識でどのようにも変化する、そもそも世界とはそういうものなのだと、子安は信じているようだ。世界観は自分で創るものであり、創ることができる、という自信があればこそに違いない。
     私は役所でずっと事務職に関わってきて、なんの創造もしてもなかった。だがそれがどうしたと子安なら言うに違いない。どんな境遇でも創造行為は可能だ、と。私はただやらなかっただけなのだ。
     同じ仕事をしていてもそこに創造の喜びを得る者もいれば、そうでない人間もいるだろうから感受性の問題なのだろう。仕事上で難しいのなら趣味でやればいいのだ。私の父がそうだった。子安の父親のリンゴ作りもそうなのだ。ヒトはなにかを創らずにはいられなくて、それができないとき、人は病気になる。
    「人間モ飛行機トイウモノヲ創ッタ。物ヲ運ビタイカラデハナイ、タダ飛ビタカッタノダ」
     意識とは、かつて経験したことのない、まったく新しい事態に直面したときに、それに対処するための手順を自分で生成する能力だろう、とキリアはアンドロイドギアとの生活で、そう思うようになっていた。つまり意識というのは、用意されていないルーチン・プログラムを新たに自分で創り出す能力なのだ。ルールを創造する能力であり、想像力は意識から生まれる。人間が、物や道徳や社会を創り出してきたのは、意識というものが備わっていたからだ。いまのアンドロイドギアには、その能力がない。

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    2020年03月08日
  • 敵は海賊・正義の眼

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     聖なる悪と
     純なる悪の
     俗なる闘い

    ひさしぶりに敵は海賊を読んで、もう一度最初のシリーズから読み返したくなった

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    2020年03月04日
  • 今宵、銀河を杯にして

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     飲んではハイに
     醒めては灰に
     飲もうで
     今宵
     銀河を杯にして


    最後の文章
    「三人に感謝して、今夜はわたしが奢ろう」
    の読後感のすがすがしさが素晴らしい

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    2020年01月15日
  • 先をゆくもの達

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    ジェンダーSF?と思ったりもしたけど、いつもの神林であり、タイトル通りその先にいく意気込みを感じました。

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    2020年01月05日
  • 膚の下(下)

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    マギラ少佐を漢字で書くと、間明少佐になるのだが「ま」は読めても明るいで「ギラ」になるのは明るくてギラギラしているからなのか、凄い読み方だ。
     それはそうとして、「慧慈、また来るからね。」は素晴らしい終わり方だ。

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    2019年12月21日
  • あなたの魂に安らぎあれ

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    雪風と敵は海賊しか読んでいなくて積読していた神林長平を読みはじめ、プリズムはなかなか難しいと思っていたらこれは面白い!良かったこれで次に進める

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    2019年12月10日
  • 敵は海賊・短篇版

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    神林作品繋がりで。何年ぶりかの敵は海賊シリーズ。
    すっかりコメディー路線になってますが・・・自分の仕事もシリアスな設定のはずなんだけどこんなユーモアをもって臨めないか真剣に悩む今日この頃。もう一回最初から通しで読んでみようかな。

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    2019年12月01日
  • あなたの魂に安らぎあれ

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    全編すげえ面白かった。ディストピアの外に何があるのか、エンズビルとは何者なのか、そしてそれが訪れた時の「終わり」の悲壮感、表題のセリフが物語が進むごとに意味が強くなって行く構成も熱い。

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    2019年10月24日
  • 先をゆくもの達

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    先を行って『言壺』とかとかで感じた純文な香りが高まっちゃったなぁ

    ただただ楽しめる『敵は海賊』路線にも戻ってきて欲しい…

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    2019年09月09日
  • 敵は海賊・短篇版

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    神林作品は凄く近いけれど外れたところを沿っていく
    だから内容に思いが残せない
    感心を心に残せない

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    2019年01月12日
  • アンブロークンアロー 戦闘妖精・雪風

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    「科学」「宗教」「哲学」「論理」「思想」とかそういうあたりのことを
    正体不明の異星体との戦いを通してえんえんこねまわすSF
    つまり結局SFとは何なのかに戻ってくる気がする
    とりあえず「哲学」は正体不明で「思想」はなじみうすいので「宗教」で代表

    小説としてみるといわゆる作者のライフワークという名の下に
    長々刊行間隔あいて完結まで読めるかいろいろな意味であやしいが
    完結していなければ評価できない病と思えばまあそういうものか
    作者と好み的に合わない部分はやはりあるけれども
    まだエンタメとして読み得る感

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    2018年12月09日
  • 帝王の殻

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    "火星で生活する火星人の物語。PABと呼ばれる端末を一人一台持っているのが当たり前の世界。今のスマホが進化したようなものだろうか?人工知能を持ち常にPABと会話をするのが普通で、その会話からPABの個性も育ち、自分の分身、自分の一部のような存在という世界で繰り広げられる物語。
    地球人、月人、火星人と登場するが、過去に大きな争いがあり、それぞれが友好な関係とはいいがたい世界。三部作の第二譚。
    「あなたの魂に安らぎあれ」は地球を舞台とした物語だった。本作は火星。次回はどんな世界が広がるのか今から楽しみである。"

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    2018年11月25日
  • あなたの魂に安らぎあれ

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    "きっかけは、成毛さんが運営しているHONZで紹介されていた一冊が神林さんの作品だったこと。三部作というので、一冊目から読んでみている。
    いや~面白かった。早速、第二巻目を読み始める。"

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    2018年11月25日
  • アンブロークンアロー 戦闘妖精・雪風

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    航空戦から引き込まれた戦闘妖精・雪風シリーズが、気がついたら言語SFとなっていた。何を言っているのかわからないが、刺激的で且つ大満足。問題はいつになったら「I have control」と自信を持って言えるような生き方ができるのかだ。ところで、「戦闘妖精雪風<改>」だけ未読だが、やはり読もう。

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    2018年11月05日
  • あなたの魂に安らぎあれ

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    SF。火星。アンドロイド。
    序盤は静かな始まり。退屈なわけではなく、幻感覚器などSF的なアイディアを楽しめた。
    中盤からアクションシーンが増え、一気に盛り上がる。
    終盤、世界の真実が明らかになる頃には満足感でいっぱい。
    読んでいて、伊坂幸太郎『ラッシュライフ』を連想した。何故だろう?群像劇っぽい構成でしょうか?

    そして何より、タイトルが良い。
    作中で何度も使われるフレーズであり、"魂の安らぎ"は作品のテーマでもある、美しいタイトル。素晴らしい。

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    2018年10月01日
  • 死して咲く花、実のある夢

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    すごく不思議ででも泣きたくなるくらい綺麗な世界にひたーっとひたれる作品。この不条理差は絵本的世界観に近いのかも。たむらしげるさんにクジラ書いてもらいたい(笑)

    最後の終わり方が好き。

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    2017年06月22日
  • 敵は海賊・海賊版 DEHUMANIZE

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    大好きなシリーズ。
    久々に読み返し。
    一番好きなキャラはアプロだけど、母艦も含めて皆好き。他の神林作品はあまり入りやすい感じでは無いけれど、この作品集はいつ読んでも世界観とキャラが好きだ。最初に読んでから20年以上経っているのに。
    色褪せない。
    命令系統のシステムの若干機械的な感じと、高速言語とかカーリーの人間的な未来感がミックスしてる所が好きだ。
    技術ら進歩しているが、未だに未来と感じられる所が楽しい。
    きっと時が経ってもまた読み返したくなる。

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    2016年02月05日
  • アンブロークンアロー 戦闘妖精・雪風

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    言葉という武器。認識というトラップ。インターフェイスという戦場。

    不肖鴨、もぅ20年以上SFを読み続けていますが、これほど過激な(物理的な意味において、ではなく、構造的な意味においてです)戦闘シーンを目の当たりにしたのは初めてです。
    シリーズ第一作では、「人間と機械の相克」が主なテーマでした。が、この第三作に至っては、第一作のテーマすら小さいと思えてしまうぐらい、斜め上の世界に到達しています。もぅ本当に、タイトルで損をしている作品。爽快なスカイ・アクションを期待していると肩すかしをくらいますが、それ以上に激しい「思考の格闘」が、壮絶なヴィジョンと共に眼前に立ち現れます。

    作品の前半部分は、主要な登場人物が主観的な目線で、ひたすら自己の思考を執拗なまでに克明に詳細に記載していきます。読者としてはかなり冗長なフレーズなんですが、物語が大きな展開を見せる後半部分において、ここまでもどかしいストーリー展開の理由が明らかにされます。

    この作品を読むという、その行為さえが世界観に取り込まれているというこの驚愕。

    それらの重層的構造を扨措いても、ラストシーンの雪風の美しさよ!続編を切に期待します。

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    2014年11月16日
  • ライトジーンの遺産

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    とても良かった。表紙絵の遠藤浩輝のマンガにしばらくハマってた。

    主人公はウィスキー好きの自由を満喫している人造人間。
    皆さんがおっしゃるように、とても読みやすかった。厚さの割に、あっという間に読み終わってしまった。

    「自分の気の持ちようで世界はいかようにも変化する、というのは正しいかもしれないが、自分の気持ちというのは自分だけで独立しているものではないことに気づかない限り、気分は変えられないものだ。」
    神林作品を読んでいると、その時その時に、自分が抱えている心の中のもやもやを、代弁してくれる表現を見つけることが多い。それで悩みが霧消するわけではないけれど、モヤモヤが言葉に変換されて目に見えるオブジェクトになるだけで、心が軽くなった気がするのは確か。歯医者で歯石を取ってもらった直後のように。(また時間が経つとモヤモヤに包まれるのだけれど。)
    戦闘妖精雪風や敵は海賊でも同じような体験をした。

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    2014年11月15日