【感想・ネタバレ】戦闘妖精・雪風(改)のレビュー

あらすじ

地球への侵攻を開始した未知の異星体〈ジャム〉に反撃すべく、人類は惑星フェアリイに実戦組織FAFを派遣した。戦術戦闘電子偵察機・雪風とともに、孤独な戦いを続ける深井零の任務は、味方を犠牲にしてでも敵の情報を持ち帰るという非情なものだった――。日本SFの新時代を画したシリーズ第一作、改訂新版

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Posted by ブクログ

AIが身近になった今、改めて読むとやっぱり格段に面白い。エンタメとしてはもちろんなんだけど、自分はテーマの輪郭がクリアな物語が本当に好きなんだと思った。そして人間のまま死にたい。

この本を紹介するのに、「これは人類vs異星体の物語なんだけど」で始めるのは正しいのか?なんというか、そう説明したくはないんだけど、一旦そう思ってくれた方が都合がいいんだけど、でもそう言うのはとても憚られる。

まあなんというか、つまり、読め。

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2025年05月03日

Posted by ブクログ

改訂前の作品は40年前に出版されているというのが信じられない。
人間と機械、AIとの関係性について考えさせられた。人間がコントロールしてるつもりでも、実はもうコントロールされている側なのかもしれない…

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2025年07月30日

Posted by ブクログ

愛蔵版購入したので処分。
なお、文庫版の以下の作者のコメントや解説は愛蔵版には収録されていない。
雪風(改)によせて 神林長平
人間的/非人間的 石堂藍
ジャムはそこにいる 冬樹蛉

神林長平が上述のコメントでいう「付け加えられる新たな物語に対応できるようにするための、ごく小さな修正」ってどこなんでしょう?

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2022年07月25日

Posted by ブクログ

元々SFは好きなジャンルの一つでしたが、小説でSFは読んだことがなかったので、これが初めて手に取ったSF小説でした。

普段小説は殆ど読まず、漫画ばかりでしたが(理由あって小説を読むのがずっと苦痛でした)最近手に取ったこの作品が小説を読むことの楽しさを教えてくれました。

ただでさえSF小説は難解な描写が多く人を選ぶのだと思いますが、この作品は特に人を選ぶものだと思います。
ただ、合う人にはとことん合うと思いました。
私は読んでいて終始鳥肌が立ちました。
今までも好きな漫画は繰り返し何度も読み返したりしたことはありましたが、小説で繰り返し読み返したい、続編も買って読みたいと思ったのは今のところこれが初めてです。

「面白かった」とか「よかった」などという言葉では言い表せられないような、鳥肌の立つ凄い作品でした。
とても素晴らしい作品に出会えてよかったです。

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2021年08月07日

Posted by ブクログ

SFは時折手にすると本当にいい読書体験をさせてくれます。これに馴れてしまいたくないので意識的に時折に評判のいいやつを読むんですがこれも凄かったな。連作短篇集みたいな感じだけど読みやすかった。続編のグッドラックも素晴しいので是非!

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2020年12月22日

Posted by ブクログ

3巻を読むため1巻から再読
解説が良く出来ていて「空戦」という場の「実験小説」という捉え方に同意
戦闘機の挙動あれこれはまったく興味ないので
厚さのわりにすいすい読めるのは良いところなのかもしれない
主題はこの1巻でも充分大枠掴めるがやはり2巻からが本番か

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2018年12月09日

Posted by ブクログ

SFって面白いなと改めて思える書。海外SFを中心に読み込んでいるが、最近の日本のSFも捨てがたく思うと。本書はその代表。古いようで、新しい設定で、想像力をしげきしてくれる。

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2018年11月12日

Posted by ブクログ

SF。アクション。連作短編集。
超空間通路。惑星フェアリイ。異性体〈ジャム〉との戦い。
雪風のパイロット・深井零を主人公に、各話ごとに様々な任務を遂行するストーリー。
アクションがメインかと思っていたが、メインテーマは、”人間と機械(コンピュータ)の関係”か。

ラストがなかなか切ない「インディアン・サマー」。
コンピュータが物語の前面に出てくる「フェアリイ・冬」。
結末は予想通りながらやるせない「全系統異常なし」。
以上3作が特に素晴らしい。
今まで読んだ国内SF小説で、間違いなくベストに近い作品。

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2018年06月25日

Posted by ブクログ

元版よりもクーリィ准将のキャラや行動原理が一貫していて、完成度が上がっていると感じた。「むは」がなくなったことだけが残念。

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2016年09月07日

Posted by ブクログ

苦しんだ末に心を閉ざしたのは、人を愛する資質を備えていたから。

「私はここにいる」
それは、認識ではなく衝動だ。

言葉のような得体の知れないものを介してしか世界と関われないなら、人間とは何なのだ?
存在する全ては関わり合っている。人が花を見る時、花も人を見ている。

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2017年08月10日

Posted by ブクログ

これまでずっと、神林長平といえば雪風だったので、敵は海賊を読んでから読むのも、また新鮮。
同時期に書いてたのか、と驚愕。
どちらかというと前半の、人間味あふれる方が好きです。いや、アニメの触れれば折れる並の彼と、心配しすぎな少佐も好きなのですが。

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2015年03月10日

Posted by ブクログ

タイトルだけで好きすぎるし、内容も好きだし、キャラクターも好きだし、「好き」が詰まっている。自分は「人間はなにか」をつきつめるのが好きで、だからSFやミステリが好きなんだなあと実感した一冊。

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2014年09月27日

Posted by ブクログ

ある日突然南極大陸に出現した超空間ゲートから、謎の異星体〈ジャム〉が地球への攻撃を開始した。その由来も目的も、姿すらも判明していない〈ジャム〉の攻撃に対抗するため、人類は超空間ゲートの向こう側へと突き進み、ゲートの出入り口に存在する謎の惑星〈フェアリィ〉に前線基地を建設し、フェアリィ空軍FAFが最前線の防衛の要となっている。
FAFが誇る最強の戦闘機〈スーパーシルフ〉を擁する特殊戦第五飛行戦隊、通称「ブーメラン戦隊」。彼らの任務は、一切が謎に包まれた〈ジャム〉との戦闘を有利に導くために実戦に関するあらゆる情報を収集し、基地に持ち帰ること。そのため、たとえ目の前で友軍機が〈ジャム〉に撃墜されようとも、援護も救助もせず見殺しにして基地へと帰還する非情さが要求される。そんなブーメラン戦隊の三番機、パーソナルネーム「雪風」に搭乗する深井零少尉は、親友のブッカー少佐以外には誰にも心を開かず、ただ愛機・雪風にのみ心を寄せる機械のような心の持ち主だったが、雪風とともにフェアリィの空を舞い続けるうちに、様々な人々と出会い、少しずつ変貌していくことになる。そして、〈ジャム〉と人間との闘いもまた、思いがけない変貌を見せていくことに・・・。

この厨二病全開なタイトルにドン引きしてこれまで手を出さずにいましたが、評価の高い作品なので思い切って読んでみたらあらびっくり。タイトルからは想像もつかない、実にハードでワン・アンド・オンリーな認識論SFの傑作です。

この作品最大の特徴は、主な舞台となる惑星フェアリィの設定。〈ジャム〉が侵攻してきた超空間ゲートの先に地続きで存在する惑星で、地球との距離や位置関係等、基本的な情報は何一つ判明していない一方で、地球人類が生存するに何ら問題ない大気組成、地球によく似た植生とランドスケープを有しており、それを前提にFAFの大規模な前線基地が建設・維持管理されています。これ、実はある程度SFを読み慣れている人ならたぶん誰もが違和感を覚えてしまいそうな設定で、「超空間ゲートの先が宇宙空間じゃなくて惑星の地表に当たる確率って、すごく低いんじゃないの?」とか「いくら地球人類の生存に問題ない環境だからといって、いきなり基地を建設したりする?」とか、突っ込みどころ満載なわけです。
しかし、この突っ込みどころ満載な舞台設定が、この作品を純度の高いSFたらしめています。軍を維持管理するために必要最小限の人数が適材適所で配置され、自己完結した小さな社会の中で日々同じような任務を繰り返し続ける、言い換えれば、もっと生々しくて変化に満ちたごく普通の人間の世界から「社会的に隔離」されたフェアリィという舞台において、この作品のテーマである「人間とは何か?/人間であらざるものとは何か?」という根源的な命題が一切の社会的ノイズを排してくっきりと輪郭を現してくるからです。

そもそも生物であるかすらも判っていない異星体〈ジャム〉。何のために地球侵攻を狙うのかわからないまま、人類は〈ジャム〉を敵と見なして戦い続けています。しかし、〈ジャム〉は人類に対して戦いを挑んでいる、と言えるのか?〈ジャム〉は人類など認識していないのではないか?なぜならば、〈ジャム〉が戦う相手は常に戦闘機であり、機械であって、そこに人間の息づかいは存在していないから。
その戦いの最前線に立つのは、自律戦闘が可能なスーパー戦闘機と、同じ仲間であるはずの人間よりも機械を偏愛し、同僚の死にも「俺には関係ない」と言い放つ非人間的なブーメラン戦士達。他の人間達からは「機械のようだ」と忌み嫌われる彼らも、〈ジャム〉との戦いの中で「この戦いに人間は必要なのか?」と思い悩み始めます。そんな中、〈ジャム〉が取り始めた新たな戦略に、戦いは新たな局面を迎えます。そして、深井少尉と雪風の関係性も。

機械のような人間とは?人間のような機械とは?そもそも人間とは?何のために人間は存在するのか?

この”新たな局面”を示唆して、「戦闘妖精・雪風〈改〉」は幕を閉じます。この終わり方の、背筋がぞっとする怖さ!ここでこの物語が終わっていたら、歴史に残るホラーSFになっていたかもしれませんヽ( ´ー`)ノが、現時点であと2巻、続編が出ています。壮絶な思考実験とも言えるこの作品、先が気になって仕方ないので、あと2巻ももちろん読みます!どんどん難しくなるらしいけど!(汗)

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2014年08月13日

Posted by ブクログ

なんといってもネーミングセンスが素敵。戦闘妖精・雪風・シルフィード・フェアリィ空軍。この文字の並びを見てときめかずにはいられないです。

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2019年01月16日

Posted by ブクログ

★零、あなたはいつまでもブーメラン戦士ではいられないだろう。(p.192)
これは、おもろいです。気になりつつこれまで読んでこなかったのは食わず嫌いでした。ついいろいろ考えることになるでしょう。

あえて類似品を探したら昔の特撮ドラマ「UFO」とか森博嗣さんの「スカイ・クロラ」シリーズとか。でもいずれも人間と同種の存在(ないしは人間)との戦いなので味はだいぶ異なります。

個人的にSFやファンタジーには、まず魅力的な設定、それを表現するための魅力的なキャラクタと、魅力的な謎、そして多少テンプレでもいいのでそれらを動かすためのシンプルかつ豊かな物語性が必要と思ってます。
この話では情報収集のため味方機を見殺しにしても必ず帰投するという過酷な任務に対応できる「なにかの手違いで人間になってしまった機械」ようなパイロットたちというのが設定で、その中でも戦いの意味や人間の存在について思考を続ける深井零という主人公やブッカー少佐、使命に特化された人工知能と性能を持った機体「雪風」がキャラクタで、そして敵であるジャムが謎にあたるでしょう。ストーリーはゲストキャラたちによってという感じで。

【妖精の舞う空】帰投中シルフィードに似た機体と交戦し撃墜した零は軍法会議にかけられその間ブッカーの仕事を手伝うがあれこれ考えてしまう。

【騎士の価値を問うな】シルフと格闘戦闘機ナイトの実戦訓練が企画されるが短距離走者と長距離走者が「あんパン食い競争」をするようなイベントに乗り気になれない零。戦争にはなぜ人間が必要か。ジャムがもし機械なのだとしたら人間などお呼びでないのかもしれないと零は思う。

【不可知戦域】偏向的な記事を書くジャーナリストを後部座席に載せ雪風はフェアリイではない未知の場所に飛ばされたが、どうやらそこで雪風は単独でジャムと戦っていたらしい。《ジャムはまだ地球を直接侵略していない気がする》p.159

【インディアン・サマー】空中飛行基地バンシーが味方機を襲い全滅させた。なぜか零が航空電子工学の天才、トマホーク・ジョンとともにその調査を行うことになった。

【フェアリイ・冬】除雪隊の一介の隊員が最高位のマース勲章を叙勲したがその理由を誰も知らない。

【全系統異常なし】ジャムの新型ミサイルは有人機では対応できない。軍は新型無人格闘戦闘機の開発とブーメラン戦隊でも最も過酷な戦闘を生き抜いてきた雪風の無人化を試みる。

【戦闘妖精】雪風は地球を飛ぶ。ブッカーはリン・ジャクスンと出会う。

【スーパーフェニックス】雪風は搭乗者を考慮しない戦闘を行い零たちは大きなダメージを受け、壊滅したはずの基地に救われるがどうもおかしい。ジャムは初めて人間を認知したかもしれない。そして雪風は人間と古い身体を捨てる。

■簡単なメモ(★は重要語)

【一行目】いつの時代のものでもよい、世界地図を広げたとき、そのどこにも戦争、紛争、対立の示されていない地図など例外中の例外である。

【アドミラル56】日本の航空母艦。
【天田守少尉】FAFの除雪隊員。マース勲章を叙勲し困惑する。
【アレヴィ博士】空軍戦闘心理研究所。
【SAF】→ブーメラン戦隊
【FRX】スーパーシルフを元にした小型軽量機だがコンピュータの容量はスーパーシルフに匹敵する。最終的には無人化を予定しているが当面はブーメラン戦隊のパイロットが教育役として搭乗する。
【FAF】フェアリイ空軍。地球防衛機構の主戦力。フェアリイ側「通路」を中心にほぼ同円周上に基地を配置している。
【エメリー中尉】エイヴァ・エメリー。オドンネル大尉の実質的な個人秘書で恋人でもあるようだ。
【オドンネル大尉】ヒュー・オドンネル。ファーンⅡのテストパイロット。陽気で気さくなタイプ。個人秘書のエイヴァ・エメリーは恋人でフライト前の会話で死亡フラグを立ててしまう。
【カール・グノー大佐】システム軍団・技術開発センター所属。遠隔操縦機を開発した。《ジャムとの戦いに人間など必要ない。機械のほうが優秀だ》p.76。
【機械】結局のところ人間もどんな生物もメカではあるわけで、その境界は判別しにくいしできないのかもしれません。
【基地】六つある。シルヴァン。ブラウニイ。トロル。サイレーン。ヴァルキア。フェアリイ。全軍の総合参謀本部はフェアリイ基地にあり規模も最も大きい。
【儀礼兵】戦死者の顔をしたアンドロイドで編成された儀式用の人形たち。
【凍った眼】空間受動レーダー。ジャムの戦闘機がさまざまな手段で透明化するのに対応した。
【権藤大尉】天田守少尉の上官。
【クーリィ准将】特殊戦の副司令。鬼のような婆さんだとか。
【ジェイムズ・ブッカー少佐】→ブッカー少佐
【シェーナー大将】戦術空軍のトップで総司令官。
【ジャム★】異星体。三十年前「通路」を通り先制攻撃を仕掛けてきた。どういう存在なのかとか侵攻の目的とか何もわかっていない。本気を出してはいないようにも思われる。なんとなく、地球側をフェアリイに誘い込み地球の兵器=戦闘用コンピュータを進化させようとしているようにも見える。あるいは人類の非人間化が目的のようにも見える。あるいは人間など見ていないように見える。《ジャムは人間の本質を消し飛ばしてしまうと。》p.303
【シルフィード】FAFの戦闘機。双発。高価で数が少ないが現在量産型を開発中。イメージ的には実在の戦闘機F-15 イーグルに近いのかと。エンジンはフェニックス。
【スーパーシルフ★】シルフィードのうち十三機は戦術偵察用に改造・運用されており「スーパーシルフ」と呼ばれることもある。電子頭脳を強化された空飛ぶコンピュータというべきものであってフェアリイ基地地下深くに設置されている戦略コンピュータや戦術コンピュータとダイレクトに繋がっておりスーパーコンピュータの端末とも言えそうだ。すべて特殊戦第五飛行戦隊に配属されている。他の部隊に一~二機ついてゆき戦闘情報を収集する。その任務はたとえ味方機が全滅したとしても戦闘には直接参加せず情報を収集し必ず帰投すること。そのための強力な火器を持つ。パイロットには鉄の意志が必要。後部座席に電子戦オペレータが搭乗する。エンジンは最終的にはフェニックス・マークⅪ。
【戦い】《戦いに理屈はいらない、零は思った。他人にはなぜそれがわからないのだろう。》p.119
【TAB-14】壊滅したはずの基地。
【チュー少尉】ムンク大尉の相棒。
【通路】異星体ジャムの地球侵略用通路。半径五百メートル。紡錘形をしており最大直径三キロ、高さ十キロ。南極点から千キロ、西経およそ百七十度、ロス氷棚の一点にある。三十年前のジャムの先制攻撃によって人類は初めてその存在を知った。
【トマホーク・ジョン】航空電子工学(アビオニクス)の天才。バンシーの異変を零とともに調査することになった。零は会った瞬間彼を戦士として認め握手をした。インディアン。心臓はプルトニウム238の熱で動いているので日本には入国できなかった。《そう、祖父は口ぐせのように言ってた、みんなで一緒に食べよう、一人だけ腹をいっぱいにするやつは仲間じゃないってね。》p.182。《零、あなたはいつまでもブーメラン戦士ではいられないだろう。氷のハートはいつか融ける》p.192。《ぼくは・・・・・・人間だよな》p.196
【ナイト】カール・グノー大佐のチームが開発した小型無人の格闘戦闘機。遠隔操縦する。格闘戦=旋回性能はシルフィードを上回る。「マクロス」の「ゴースト」に近いイメージかと。
【南雲】アドミラル56の館長。
【人間】《人間に仕掛けられた戦争だからな。すべてを機械に代理させるわけにはいかんだろう》p.97
【バーガディシュ少尉】零のフライトオフィサ。後部座席に乗る相棒。頼りになるが地上では素っ気なく生きている死体のようだと零は思うが自分も同じだということも意識はしている。
【パイロット】スーパーシルフのパイロットは「なにかの手違いで人間になってしまった機械」という人格の者が選ばれている。当然他の部隊のパイロットからは嫌われており「死神」と呼ばれたりもする。
【バンシー】空中飛行基地。シルフィードの部隊を搭載し原子力でとぶ。
【ヒカラチア】プーメラン戦隊の女性オペレータ。
【ファーン】単座の格闘戦闘機。
【ファーンⅡ】ファーンを高性能にし無人化を念頭に開発中。
【プーメラン戦隊★】「SAF」。スーパーシルフ全機が配備される特殊戦第五飛行戦隊のこと。通称「ブーメラン戦隊」。形の上では一部隊だが独立した司令部を持ち軍団レベルの運用がなされる。三番機が雪風、六番機はミンクス。
【フェアリイ★】「通路」が繋がっていた先の惑星。ジャムの母星かどうかは不明。全天のどこにあるのかなどいっさい不明だが現在の主戦場。ジャムによって戦場として選ばれ地球側がここに呼び込まれたような雰囲気もある。太陽は連星。原生恐竜とかいるらしい。もしかしたらジャムはこういった「戦場」をいくつも持っているのかもしれない。
【フェアリイ基地】惑星フェアリイにある地球の基地のうち最大で中心。地下大洞窟の底にビルが林立する都市。
【深井零】→零
【ブッカー少佐★】ジェイムズ・ブッカー。零の唯一の友人。顔に切り傷があり凄味がある。零よりも日本通で雪風の機体に書かれた「雪風」という文字は少佐の手になる。元はパイロット。プーメラン作りの趣味がある。《ジェイムズ・ブッカー少佐は、一言でいうならば、恐れを知っている男だった。》p.57
【ブラッディ・ロード】フェアリイの太陽は連星で一方からもう一方に向けて吹き出すガスが赤く、ブラッディ・ロードど呼ばれている。
【フリップナイト・システム】→ナイト
【マース勲章】最高位の勲章。
【マーニー】TAB-14の看護師。
【ムンク大尉】シルフィードのパイロット。
【ヤザワ少佐】TAB-14所属。
【雪風★】零の愛機のパーソナルネーム。スーパーシルフ。部隊の三番機。最後の方では地球の空も飛べるエンジン、フェニックスマークⅪを搭載。次第に人間を必要としない兵器に近づいていく。《片想いだ。雪風はもはや独立した意識体になりつつある。いつかふられるぞ》p.272。《おれが言いたいのは、零、いつの日か、雪風がおまえの、人間の、敵になるかもしれないということだ》p.273
【ランダー】アンディ・ランダー。アメリカのフリーコラムニスト、軍事評論家、ロビイスト、兼作家。偏向的な文章を書く。「宇宙大作戦」のカーク船長っぽいかも。
【理性】野生動物はきわめて理性的な存在だと思います。生と死の狭間では理性的でないと生存を続けられない。ブーメラン戦隊のパイロットたちもまた理性的。で、理性的なことは一般人類にとっては非人間的なのでしょう。だから疎ましがられる。これもまた動物=人間そのものではあるのですが。まあ、ブーメラン戦隊の連中はそれすら理性的にスルーするようですが。
【リン・ジャクスン】対ジャム戦史を著した。『ジ・インベーダー』というのがそれかもしれない。かなり皮肉な見方をしているようだ。《異星体ジャムも結局のところ、一隣国の仲間にすぎなかったのだといえる。》p.138
【零★】深井零。ブーメラン戦隊所属で三番機雪風のパイロット。少尉→中尉。《地球は苦い思い出を溜めた大きな水球でしかない》p.36。《おれは性能の悪いやつは嫌いだ。人間も機械もだ。》p.38。《雪風を狙うものはすべて敵だ。おれは雪風以外は信じない。》p.171。ジェイムズ・ブッカー少佐が戦争と人間性についてや、戦争が人間のものであるかどうかを考えるが、零は自分が人間的であるのか非人間的であるのかよりも雪風にとって自分が必要なパーツ(できれば対等なパートナー)であるかどうかを重視しているように見える。
【ローラン大佐】フェアリイ基地広報部。

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2023年08月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

『戦いには人間が必要だよ』零は唐突に言った。『でもどうしてだろう』少佐は退室しかけた足を止めて振り返った。『人間に仕掛けられた戦争だからな。すべてを機械に代理させるわけにはいかんだろうさ』

なんとなく敬遠していたタイトルだったが、読み進めるうちにストーリーと世界観、そして上の会話にも含まれている作品のテーマに夢中になった。

突然異空間につながった南極を通して地球に侵攻してきた異星体・ジャムと戦う超国家組織・フェアリイ空軍(FAF)所属の深井零少尉は、その中でも情報収集を至上任務とする特殊部隊の一員で、彼らの任務は何事があっても情報を持ち帰ることである。そのために彼らは高性能な戦術戦闘電子偵察機「スーパーシルフ」を駆り、彼らの部隊には味方が撃墜されようとも情報収集に徹するという非情な判断ができる類の人間が集められている。主人公の深井零も、そのご多分に漏れず愛機のスーパーシルフ・「雪風」以外には、ほとんど関心を示さない。しかし、物語が進むにつれて零は自分と雪風の関係に違和感を覚え始める。それは零の上司であり、唯一の親友でもあるブッカー少佐も同じだった。彼はこのジャムとの戦いに人間は必要なのかに苦悩するー

人間とは、機械とは、そしてその関係はという抽象的な主題でありながら、ジャムとの戦いという形を通じて描写することで鼻につくことなく入ってくるところに驚いた。続刊以降で零はどのように変化するのか、作者は先の主題をどのように描いていくのか、ジャムとの戦闘はどう展開していくのかなど気になる要素がたくさんあるので、楽しみに読んでいきたい。

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2020年11月22日

Posted by ブクログ

「戦っているのは誰と誰だ…」

人類は南極大陸に突如現れた超空間通路を通じて襲ってきた正体不明の異性知識体「ジャム」を押し返し、通路の向こうの「惑星フェアリィ」にFAFを設置し、地球防衛の最前線とした。そこが物語の舞台。

「ジャム」は、相手が地球型知識攻撃機械であると認識し、有機体(人間)がなぜその周りをウロチョロしているのか、理解されていない可能性が、物語に示唆されている。
地球側の防衛機械(AIなど)も次第に学習し、ヒトではなく「機械」を防御しようとするようになる…。

人類の発想は、地球外生命体=有機体と考え、現実社会の研究でも「水」「温度」などの地球に近い環境下での「有機体」の存在確認がテーマで、地球内からの常識から抜け出していない。

「ジャム」の存在する世界が、人類の想像を超えていた場合

「無機質」に知性が存在する世界
あるいは
物質的存在すら「知性」には不要な世界

実はもう、地球にたくさん来ていて、彼らの住み易いように、世界を変え始めているかも……。

あなたのスマホは
本当にあなたの意思で
動いていますか?

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2020年10月29日

Posted by ブクログ

タイトルの雪風は文字列と裏腹に、雪風ちゃん的なAIが出てくるわけではなく、ゴリゴリの戦闘機(と搭載されているAI)
他の12機どうしてんの、とか細かい部分は気になる。
異空間から地球に里帰りしたら特殊環境下で最適化された言語が地球人に伝わらなかったところが好き。

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2020年03月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

フォロワーさん一押し小説。
文章が独特で、最初はとっつきにく思ったが、御終いの方まで読むと、逆にこの堅い文章がくせになってしまう。

ブッカー少佐の悪運が半端ない。

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2017年04月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

南極大陸に突如出現した超空間通路から地球に侵略してきた異星体「ジャム」(正体不明、生物かすらも不明)。通路の向こう側の惑星「フェアリイ」で進攻を阻止する空軍「FAF」に属する「特殊戦」パイロットたちの物語。
本格的SFながら人間の存在意義にスポットを当てた骨太で哲学的な作品。
解説にあるようにどこかフィリップ・K・ディックに通じる趣きがある。
味方を犠牲にしてでも敵の情報を持ち帰るという非情な任務のために戦闘機を駆る深井零。
他者への関心を持たず人間性を無くしながらも彼が愛機「雪風」へ自らの存在を投影するし、心を傾ける姿はなんとも「人間らしさ」に溢れている。
まるで歩調を合わせるように闘いのレベルを上げていく機械とジャム。その過程で性能を解放させる「雪風」。人間の立ち入ることの出来ない領域の闘いに突入していく中で今後どのような展開になるのだろう。

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2017年08月28日

Posted by ブクログ

圧巻。
ジャンル的にはSF戦争モノということになるのだろうけど、本質はむしろ、限定された空間での思考実験的なアプローチにあり、それが全編にわたって静謐な印象を与えているように感じた。大衆文学でありながら、人間の本質を問いかける真摯な作品。ただラストが弱く感じたので少し評価下げ。
戦争とか戦闘機といった部分で躊躇してる人は、そういった要素はむしろ付随的な要素でしかないので心配ないかと。
静かな作品を読みたいという人には是非。

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2016年01月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

戦闘機での戦闘描写等、専門用語の嵐に最初は面食らったものの、読み進めるうちに綿密な世界観に胸躍るようになりました。人間対異星体と思っていた構図が、次第に地球機械対異星体なのでは?となっていく内容や、登場人物たちの苦悩にすごく引き付けられました。結局、敵の正体が何であるのかは判明しませんが、それは続編で、というところでしょうか。

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2015年12月11日

Posted by ブクログ

久々のSFということで最初は、独特な言い回しや間のとり方に戸惑ったが、慣れてしまえば内容は面白いし楽しめた。

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2014年08月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

人間は機械に支配されてしまうのでは無いか。そんな感覚を抱いてしまう一冊。しかし、ジャムとはなんだろう。

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2014年07月20日

Posted by ブクログ

JAMだのCOOKIEだの、お菓子がいっぱい出てくる。高度な情報処理システムは自己判断する用になるのだろうか?自閉症気味な主人公と無機知性のやりとりはなかなかおもしろい。思った以上の出来。続刊も読んでいるところ。

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2014年05月21日

Posted by ブクログ

みんなが名作と言うので読んでみたが。
人間にとって機械とは何か。機械がさらに高機能となっていったときに何が起こるのかについて考える手掛かりとはなりそうだが。

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2018年10月14日

Posted by ブクログ

味方を見殺しにしてでも戦闘情報を持ち帰れ。

突如南極に出現した“通路”から侵攻を開始した異星体“ジャム”。
前線で戦う高性能偵察機・雪風に乗る零の任務は戦闘情報を必ず持ち帰る事だった…
高機能化した人工知能、戦闘機と異星体の戦いに果たして人間は存在する必要があるのか?
機械とは人間とは、哲学的な問題を内包した30年以上前から続くSF大作。

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2025年06月08日

Posted by ブクログ

うーむ、なかなかに面白い。

異星人と戦うAIを搭載した戦闘機雪風。
操るのは空軍エリートパイロットの深井少尉。

戦いに生き残り続け、学習を進めていったAIは、やがて人間の操縦者を必要としなくなる。
戦闘妖精・雪風 爆誕。

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2022年09月21日

Posted by ブクログ

第七世代になればこういう空軍機の世界になるのか?と思いながら航空隊に勤める主人公視点で語られる。愛機、雪風のイメージは掴みにくいが、主人公のパイロットとのしての気質がストイック。空想界だけに頭フル回転させる必要あり。

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2020年09月06日

Posted by ブクログ

ネウロイと戦うウィッチ……じゃなかった、謎の侵略者と戦う飛行機乗りの物語、世間の評価ほど好きではない

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2018年10月08日

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