プラトンのレビュー一覧

  • パイドン 魂の不死について

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     本書は初めて読んだが、今回の岩波の改版は読みやすい。手元に旧改版の『弁明』があるが、古い版においては、ページが少なく扱いやすいが、活字も小さく、さらに活版印刷なので、今の印刷(オフセット印刷?)と比べると、刷数が上がってくるを活字がやや不鮮明になる。電子書籍を購入すれば良いと思われるが、新しい解説以外はあまり変わってなさそうなので、経済的に躊躇してしまう。
     中身は思想的なものなので、理解し受け止める以外は控えたい。

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    2025年12月12日
  • メノン~徳(アレテー)について~

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     プラトン対話篇の中でまず最初に読んだら良いのは迷わず『ソクラテスの弁明』である。しかし、「プラトンとの対話」を、あるいは「プラトンの対話」を味わいたい読者に勧めたいのはメノン、それも渡辺邦夫訳のメノンである。本書は他書には見られない、プラトンに初めて出会う読者にとってあらゆる障壁を取り除く工夫がなされ、生き生きとした対話の様子を再現していることから、まず勧めたいと思う本なのである。
     メノンは奴隷の少年が幾何学を習っていないにもかかわらず平方根を用いて問題を解くに至る様子を克明に記録した対話篇である。これは対話を通して少年が自らの内に宿している真理を見出していく様子を描き、真理が一人ひとりの

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    2025年12月08日
  • ソクラテスの弁明

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     プラトンの『ソクラテスの弁明』にはいくつもの翻訳がある。評者が最初に読んだのは中公クラシックス版の田中美知太郎訳であったが、クリトンとゴルギアスとともに強烈な印象を残したのを覚えている。ただ、いま読み返してみると手放しに誰にでも勧めることができるわけではないなと思う部分が多少ある。すでに他の著作で哲学に対する関心が呼び起こされた読者にとってはどうしても読みたくなる本であろうから、その心配は杞憂であるかもしれない。しかし、光文社古典新訳文庫の納富信留訳の『ソクラテスの弁明』は哲学入門として誰にでも勧めたくなる一冊である。
     哲学の始まりは『ソクラテスの弁明』にあるといわれる。哲学という営みを決

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    2025年12月08日
  • ティマイオス

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     中世哲学研究でよく語られるデミウルゴスによる創造神話を、あるいは納富信留氏の『プラトン 理想国の現在』を読んでポリテイアに匹敵する壮大な哲学論を期待してティマイオスを読もうとする読者は、ひょっとしたら肩透かしを食らってしまうかもしれない。むしろそこで語られるのはポリテイアで語られたような壮大な哲学理論ではなく、プラトンやアリストテレスが共通して持っていたであろう目的論的世界観に基づく人間論であるからである。それもいま私たちが人間論という言葉で受け留めるものではなく、人間という存在が如何なる特色を持っているのかという探求を通した、いわば生理学に近いそれであるからである。
     とはいえ本書の解説で

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    2025年12月08日
  • ゴルギアス

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     古典は様々に訳される。たとえ同じ作品の翻訳だとしても、全く違った印象を抱くということさえあるのではないだろうか。プラトンのゴルギアスはまさにそのような著作の一つである。最初に読んだ藤沢令夫訳では、完膚(かんぷ)なきまでに論破されしどろもどろになるポロスとカリクレスの姿が、次に読んだ加来彰俊訳では、実にアイロニカルに問い詰めるちょっと嫌味な感じのするソクラテスの姿が印象に残る。そして今回の三嶋輝夫訳では、それぞれの登場人物が対等な立場から一つひとつの言葉の内実を確かめていく様子が印象に残った。
     自堕落という言葉がある。従来、「放埒」と訳されてきたアコラシアを新版アリストテレス全集のニコマコス

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    2025年12月08日
  • パイドン 魂の不死について

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    ソクラテスの処刑の当日にされたという対話。

    初めてイデアの概念が出てきた著作らしく、魂の不死の証明の流れでイデア論が展開されていきます。
    また、ソクラテスの刑死に至る流れや、その悲劇的とも取れるストーリーが、小説としても楽しめました。

    プラトンは今まで何冊か読みましたが、哲学的思想と物語としての流れが簡潔で、1番完成度が高いように感じました。

    翻訳や章分けも丁寧にわかりやすく配慮されていて、初めてプラトンを読むならパイドンがおすすめ。


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    2025年12月02日
  • 饗宴

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    難解かと思っていたが、賢人たちのドタバタ劇が繰り広げられ、プラトンの言わんとすることを楽しみながら汲み取ることができた。

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    2025年11月17日
  • メノン

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    ソクラテスとメノンの対話。「徳は教えられうるか」という問いから始まり、徳とは何か、をソクラテスの問答法を用いて探求する。
    会話形式なので読みやすかったし、時代背景や執筆年代、思想の解説も有難い。パイドン、パイドロス、国家を読む前に読めてよかった。

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    2025年11月07日
  • ソクラテスの弁明 クリトン

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    ソクラテスが若者を堕落させた罪に問われ、第一から第三弁論まで無罪を主張した記録。告発者へ問いかけながら無実、それどころか善い行いをしていること説明するまさに芸術。
    続編にあたるクリトンでは、判決後の老友クリトンとの会話が記録。
    本編を読んだだけでは善、国家、正義、法がどういう価値順序なのか読み解けなかったが、解説を読むことで何となく分かった気がした。

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    2025年11月03日
  • 国家 下

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    ネタバレ

    上巻とまとめての感想。流石、古典中の古典と言うに相応しい。解説にある様に、国家(ポリティアー)と言うよりは正義論と言うべきか。
    ダイアローグで記載されるのでまだるっこしい所もあるが、これはプラトンの思考の過程を追っている様なものだと解釈している。トラシュマコスの正義批判も、必ずしも現実にあったこととは限らず、自分の思考を批判的に分析した上での自作自演的な言説なのかも。それとも、前半はプラトン自身の遍歴やアカデミア設立前で、沢山話し相手がいた時のものとか。いずれにせよ、後半はグラウコンたちも、おっしゃる通りです、しか言わないので、もうダイアローグでなくて良いのでは、と思ってしまうが。

    プラトン

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    2025年10月16日
  • ソクラテスの弁明

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    「息のつづく限り、可能な限り、私は知を愛し求めることをやめません」
    「毎日議論をすること、これはまさに人間にとって最大の善きことなのです。」
    最後のところはソクラテスの呪詛のように感じた。今も我々がソクラテスの呪い、哲学の中にいるように。
    でもある意味、ソクラテスがあそこで死刑となったからこそ我々が今も哲学しているとも言える。終わらなかったからこそ。
    ソクラテスの子らよ。

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    2025年09月15日
  • ソクラテスの弁明

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    初めはこのような裁判形式の話だと思わず、斬新で何より語り口調だったのは読みやすいと感じる大きな点だった。語り口調だとはいえ内容や語彙は難しく、新しく学ぶことができた。無知を知っているのではなく無知であることを分かっているというのが正しいニュアンスだったことは驚いた。哲学書は初めてだったので他の本も読みたいと感じた。

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    2025年09月14日
  • ソクラテスの弁明 クリトン

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    非常に読みやすかったことにまず感動した。
    そしてソクラテスがどういった人物であったのか、この形式であったからこそわかるものがあったように思う。
    ソクラテス本人の「弁論の調子」がありありと浮かび、紀元前のことであるのに、今なおこうして名著として読まれるのは、プロットのドラマ性のみならず、ソクラテスが目前にいて弁明してくれているようなリアリティが文面から現れているからこそだと思う。
    また、ソクラテスが論理的弁論家であったことと同時に、多大な神秘的宗教家であったことも印象的だった。

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    2025年08月28日
  • ソクラテスの弁明

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    ソクラテスが語る「無知」とは、単に知らないことではなく、私益や欲にとらわれ、自ら進んで見ようとしない態度。

    人は欲望や立場に飲み込まれると、あえて真実から目をそらし、無知を選んでしまう。だからこそソクラテスは「自分が無知であることを自覚する」ことの重要性を説いたのだと思う。

    現代でも、自分の利益や欲ばかりを優先する場面は多い。その中で「知らないことを知らない」と認める姿勢を持つことが、人として誠実に生きるために大切だと感じつつ、バカを演じる方が得をするのは現代でも同じだなと感じた。

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    2025年08月18日
  • 饗宴

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    ネタバレ

    本当に2500年も前に書かれたの?と、古代ギリシャ時代からの本はいつも時間の感覚が分からなくなる。

    饗宴、って普段使わない言葉だけれど、酒食の場を設けて客をもてなすこと、とネットで調べたら出てきた。

    古代ギリシャでは「共に飲む」、シュンポシオンという言葉らしい。

    その通り、本書は、日中に、皆で集まってお酒を飲み、何かを食べながら、愛の神について、それがどんなに尊敬すべきものなのかについて、順番に意見を述べ合うお話。ただ一方的に自論を言うのではなく、前の人が言ったことを踏まえて、補足したり自分なりの表現を持ち出したりして、まさに議論し合っている。最後のトリはソクラテス、と思いきや、すっかり

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    2025年08月15日
  • 饗宴

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    文学・哲学の両面において、門外漢でもこの本一冊で充分に楽しめた。ここまでリーダブルな古典作品も珍しい。
    有名なアリストファネスのアンドロギュノスの話、ソクラテスとアガトンの対話あたりは特に面白く、解説書ではなく原典で読めてよかったと思える満足度。

    プラトン対話篇の中でも特に複雑な枠構造が取られているのも興味深かった。
    「ソクラテスが以前にディオティマから聞いた話を饗宴で語り、参加者のアリストデモスから十数年後にその様子を聞いたアポロドロスが、改めて友人(=読者)に向けてその内容を語る」といった具合だが、わざわざこんな回りくどい形式で物語を「創作」する理由がきちんとあるのが凄い。

    前半の4人

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    2025年05月20日
  • ソクラテスの弁明

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    ソクラテスが「不敬神」の罪で裁判にかけられ、弁明をしていく。非常に読みやすく解説も丁寧なので古典という感覚を感じることなくスラスラ読めた。

    「アテナイの皆さん、今まで述べてきたことが真実であり、皆さんにすこしも隠し立てせず、ためらうことなくお話ししています。しかしながら私は、まさにこのこと、つまり、真実を話すということで憎まれているのだということを、よく知っています。そして私が憎まれているのというまさにそのことが、私が真実を語っていることの証拠でもあり、そして、私への中傷とはまはにこういうもので、これが告発の原因であるという証拠でもあるのです。」p24

    この一文が私は特に印象深い。
    真実を

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    2025年05月18日
  • ソクラテスの弁明 クリトン

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    ソクラテスの裁判での主張も面白かったが、クリトンとの対話が特に良かった

    脱獄を促すクリトンに対し、ソクラテスが国法を重んじるということや、正しさとは何かを比喩を用いて表現していることが良かった

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    2025年05月17日
  • ソクラテスの弁明 クリトン

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    会話形式だし、ちょっと読むのに難しい本だけどためになる本。
    また読み返して理解を深めていきたいと思うような内容だった。

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    2025年04月05日
  • ソクラテスの弁明 ほか

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    ソクラテス=無知の知 ぐらいの知識で読み始めたけど無知の知が生まれた壮絶な背景に胸を打たれた。
    政治家になっていい暮らしがしたい、際限なく欲を満たしたい、と言う動機で弁論術を学ぶ事が流行するが、弁論術ってただのおべっか人気取り術じゃん、偉い人の機嫌を取ることと市民の票を獲得する事だけが目的になってるじゃん。
    私たちが一番知識があって国をいい方向に運べますって顔してるだけで、実力や矜持は一切伴ってないじゃん。
    というソクラテスの指摘がアテナイ全体に刺さりすぎたせいでソクラテスの存在は権力者達から疎まれるようになっていく。
    作中でゴルギアスのアテナイでは知っているという事よりも知っていると周りに思

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    2025年02月09日