プラトンのレビュー一覧
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ネタバレプラトンの饗宴、これは愛についての対話だ。
あまりに多忙で感想を書く時間すらなかったこの1週間。
ようやく簡単な感想を書きます。
愛とは異性への愛だけだと思っていただけど、
プラトンのいうエロス(愛)は異性への愛はもちろん、家族愛、自然愛、
博愛などものすごく広義の愛をエロスと言っている。
エロスはそもそも神(全能)でもなく、無知な者でもなく、
中間の位置にあるダイモーンだといい、そして美を求めると説いている。
人間も実は、立ち位置としてはエロスと同じなのだ。人間は新しいことを常に欲求するし、
かといってすべてを放棄して何もしないということもしないからだ。
そしてプラトン自身の考える -
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「その国において支配者となるべき人たちが、支配権力を積極的に求めることの最も少ない人間であるような国家、そういう国家こそが、最もよく、内部的な抗争の最も少ない状態で、治まるのであり、これと反対の人間を支配者としてもった国家は、その反対であるというのが、動かぬ必然なのだ」(p109-110)
・この認識を土台として、支配者となるべき者は、金銭や名誉に関心がなく、かつ優れた人間でなければならないとする。すなわち、哲学者が支配者となるか、支配者が哲学するかのいずれかでなければ、国家はうまく統治されない。
・この哲人王が支配する極度に理想的な国家との対比として論じられる、他の政体(寡頭制→民主制→ -
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・「熱でふくれあがった国家」(p141)を「理想国」に浄化するための方法を考察することが本書の中心テーマ。
・良い国家を作るためには良い教育が必要で、教育に悪影響を及ぼすものは徹底的に排除されなければならない。さらに、病弱な者は治療せずに死んでいくに任せ子孫も残してはならない一方で、有能な男女間には可能な限り多くの子種が作られるべきだ。そして、国家は有能な少数の者が支配するべきであり、国民全員が国家のために苦楽を共有すべきである。
・言論統制と優生思想と少数支配と滅私奉公とに基づいたこの「理想国」は、プラトンの死から幾千年後の20世紀になってようやく実現した。「もしそのような国制が実現した -
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ネタバレ「なんであるか?」(本質)と「いかなるものであるか?」(属性)の区別は重要。
例となるものをどんどん出していく。
例をだして、それとも君は違うと考えるのか?
話に飛躍がない。一つずつ進歩して行く。
人間には、知っていることも知らないことも、探究することはできない。知っていることであれば、人は探究しないだろう。その人はそのことを、もう知っているので、このような人には探究など必要ないから。また知らないことも人は探究できない。何をこれから探究するのかさえ、その人は知らないからである。
主張の方法
知識の何にもまさる重要性を、「よさ」を生むものという観点から主張しようとする。
例を交えて説明してい -
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・今回のソクラテス先生は、ゴルギアス、ポロス、カリクレスの3人を相手にして、弁論、徳、善悪、正不正といったプラトン哲学を語るうえで欠かせない重要な論点について対話を繰り広げる。
・まず「弁論術とは説得をつくり出すものだ」と主張するゴルギアスを、続いて「不正を行うよりも不正を受けることのほうが害悪である」と持論を展開するポロスを、ソクラテスはそれぞれ論破して、本書最大の見どころであるカリクレスとの論戦に入る。
・カリクレスは「正義とは、強者が弱者を支配し、そして弱者よりも多くを持つことである」(p136)という身も蓋もない思想の持主。それだけにこの論戦も非常に興味深いのだが、カリクレスが「正 -
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哲学の入門書として「ソクラテスの弁明」と同じ程優しく読めると言われるプラトンの著作。
「徳は教えられうるか」というテーマで対話がすすめられています。
そして、魂の不死や想起についても触れられています。
「人間は、自分が知っているものも知らないものもこれを探求することはできない。というのは、まず、知っているものを探求するということはありえないだろう。なぜなら、知っている以上、その人には探求の必要はないわけだから。また、知らないものを探求するということもありえないだろう。なぜならその場合は、何を探求すべきかということも知らないはずだから」
というソクラテスの言葉が非常に不思議に思われます。 -
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「徳は教えられるか」を主に話しているが、一番面白かったのは、想起説。
ソクラテス:ぼくは徳とはそもそもなんであるかということを、君と一緒に考察し、探究するつもりだ。
メノン:なにであるかわかっていないとしたら、どうやってそれを探究するおつもりですか?もし、探り当てたとしても、それだということがどうしてあなたにわかるのでしょうか?もともとあなたはそれを知らないはずなのに。
ソクラテス:つまり、「人間は、自分の知っているものも知らないものもこれを探究することはできない。というのは、まず、知っているものを探究するのはありえないだろう。なぜなら、知っているのだ。ゆえに、その人には探究の必要がま -
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ネタバレ徳とは何か、どういう性質で人に教えられるものかどうかを探ります。
今回ソクラテスと対話するメノンは傲慢なところがなく好感が持てる青年です。
この話の中では、魂が既に学んだことを「想起する」という考え方が出てきます。
ソクラテスは言います。
「知らないものは発見することもできなければ探求すべきでもないと思うよりも、我々はよりすぐれた者になり、より勇気づけられて、怠け心が少なくなるだろうということ、この点についてはもし僕に出来るなら、言葉の上でも実際の上でも大いに強硬に主張したいのだ」
正しいか正しくないかはともかく、想起説を信じる方が実践において有益であるというこの考え方は好きです。
また、 -
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上巻の終盤で放たれた超弩級の思想(哲人統治、イデア論など)に引き続き、下巻も読みどころ満載である。有名な《善のイデア》や《洞窟の比喩》は、下巻の割と早い段階で語られる。下巻の中盤では、国家の諸形態の分析がなされる。名誉支配制国家、寡頭制国家、民主制国家、独裁制国家のそれぞれの特徴を論じたこの部分は、ある意味、最大の読みどころかもしれない。特に、「民主制国家が堕落したらどんな現象がみられるようになるか」「民主制から独裁制への移行はどのようにして達成されるか」を論じた部分は圧巻。下巻の最後は、正義の報酬として有名な《エルの物語》で締めくくられる。ここは哲学というより物語(神話)として興味深い。
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ネタバレ政治家は何をしたらいいの?といういまとあまり変わらない話を延々としている。
国家は民衆に「快」と「善」とのどちらを示すべきか?それともどちらかがどちらと合一なのか?それともどちらかがどちらの下にあるのか?それとも上にあるのか?ということだ。
プラトンは最終的に、「政治家は民衆の料理人や給仕ではなく、医者でなければならない。」とする。ということは善を与えるべきであるとする。これが哲人王であるということなのだろう。
このような発想は、てっきりアリストテレスのものだと思っていたが(彼はどうすれば善く生きられるか、何が目的なのか、という思考であるから。)、ソクラテスの時代からあったのかと思った。
プラ -
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最強の敵、カルリクレス登場!(笑)というコピーがぴったりの対話篇。というか『ゴルギアス』という書名で本当にいいのか!(笑)
著名な弁論術家ゴルギアスのもとに「弁論術」とは何かという議論をふっかけにいったソクラテス。法廷や政治の場において人々を説得する技術だというゴルギアスに対し、説得する以上、全ての事柄が「正」だと知っているのか、それを教えることが可能で実践している者がいるのかと矛盾を追及し、早々に戦意喪失に追い込む。
第2ラウンドは代わりに登場したゴルギアスの弟子ポロス。ソクラテスは「弁論術」は技術ではなく、料理と同様に経験であり、その本質は「善」ではなく「快」で民衆への迎合だと喝破する。対 -
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「研究発表会」「討論会」を意味する「シンポジウム」という言葉は、古代ギリシャの「饗宴」に由来し、「一緒に酒を飲む」ことを意味しました。古代ギリシャ人にとって、飲み会が研究集会であり、研究集会が飲み会だったのです。
ジョージ・スタイナー曰く「劇作家としてのプラトンは、多くの点でシェイクスピアと互角と言ってもよく、さらに倫理的知性の強度ということになれば、ひとりプラトンの(あるいは双璧としてのダンテを加えてもよいが)独壇場である」「その人物としての厚みと存在感は、フォルスタッフやハムレットやアンナ・カレーニナについてわれわれが経験するところに、それを凌駕するとは言えないまでも、およそ匹敵するの -
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恋している男よりも恋していない男に抱かれろ!と少年(!)に説くリュシアスの衝撃的な言説に見事に喰いついたソクラテスが、パイドロスと真夏のお花畑の木陰で物語るという図式です。(笑)神に憑依された(!)ソクラテスは詩的な調べで「恋」(エロース)についてのいくつかの見解を披露してパイドロスを翻弄する。(笑)結論、「恋は狂気」。
だが実はプラトンはこの話を発端に、詭弁に走りがちな弁論術を批判し、ディアレクティケーを駆使して真実そのものを把握し議論せよという結論を導きたかったのだ。
そういえばいつもよりもソクラテスの詭弁的言説も少ないような・・・。(笑)
ムゥサの後裔たる蝉の鳴くもとで語られる、不死なる -
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プラトンの「国家」。
政治に関心のある僕としてはずっと読みたいと思っていた本で、周囲からは「難しい」と言われていたのでなかなか踏み出せなかったが、勇気を出してその扉を開いた。
構成は上下巻2冊で、さらにその中で大きな話を1巻(章)ごとに区切っている。
プラトンの理想国家について考察をソクラテスと周囲の人物の対話を中心に描写しており、ソクラテスの問答法がいかなるものかが分かる。
国家を統治するものはいかなるべき者がふさわしいか。
そういった人物をどう教育していくか。
そのようなことを議論しながら理想国家への道を模索している。
プラトンの考えは国家の守護者(統治者)は優れた哲学者がなるか