プラトンのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
下巻もサラッと読み終わる。翻訳は読みやすい。しかしきっと原著がまだるっこしい。
知的探索の方法としてプラトンが対話を選んだことには理解を示しつつ、それが上手く機能しているのか、というと、どうだろう。
1人に1つの役割、というプラトンの想定では、1人が自分の中で複数の意見を対立させる、ということが考えにくかったのか。
もしくは、自分の中で対話をするにも、その仮想の対話をシミュレーションするにはいくつかの人格を置く必要があり、自己のなかのそれぞれの立場にソクラテスやそれ以外の名をつけたのだろうか。
プラトンは実際には1人で本著を書いているわけだから、後者なのだろう。しかし、その前提になるのは前者、 -
Posted by ブクログ
饗宴を買いに行ったのになかったので、こっちを買う。結果的にはその順序で良かったか。これが最後というのもあまりよくなかっただろう。
対話篇としては、国家を先に読んでると、最後の方はダレてくるが、それでも、抜群に面白い。270ページを1日半で読み終えた。
哲学なんて子供のやるもんだ、大人は嗜む程度でいい、というようなことを、プラトン が書いているんだと思うとやはり驚く。
現実でそう言われたことがあってそれへの反論でもあるのかもしれないが、そのときに、もしかしたら本当にそうなのでは、と逡巡したということもあり得るだろう。
ソクラテスの弁明やクリトンを細かく吟味しなおす様子は、当時のソフィスト、弁 -
Posted by ブクログ
ソクラテス先生の僕が考えた最強の国家の巻。
プラトン哲学の集大成の呼び声も高い本書。
正義とは何か?という導入部から始まっており、
理想の国についての議論に移っていくという流れだが、
扱うテーマは職務や結婚、戦争など多岐に渡っており、
男性も女性も分け隔てなく向いている職務に着き、
幸福を皆で共有し、それを実現するために支配者は
真理を追究する哲学者であるべきと結論を出している。
個人的に印象に残ったのは以下の二点。
一つ目は、神々の不道徳な逸話を問題視している点。
ギリシア神話の神々のやることがひどいというのは、
「図解雑学ギリシア神話」の感想に書いたが、
神々を人々の道徳の規範とすべ -
Posted by ブクログ
「パイドロス」はプラトンによる対話篇で、紀元前370年代に書かれたもの。プラトンの活動においては中期に位置する著作である(解説 p.191)。
時は真夏の晴れた日盛り、アテナイ郊外にあるイリソス川のほとりで、ソクラテスとパイドロスが対話する。
このパイドロスなる人物は、プラトンの他の著作(『饗宴』『プロタゴラス』)にも姿を見せ、「時代の風潮に敏感な、全般に快活で好奇心に富んだ一人のアテナイの知識人」(解説 p.189)だったようだ。
対話の主題は弁論術についてである。弁論術は当時のアテナイにおいて花形的技芸であったらしい。「言論の自由と法のもとにおける平等をたてまえとする民主制下のアテナ -
Posted by ブクログ
プラトンの著作で僕が一番好きな本。
この本の題名になっているパイドロスとスーパーおじいちゃん(ソクラテス)との対話編。
「自分に恋している人ではなく、自分に恋していない人に身を任せるのがよい。」そんな恋愛論からこの本は始まります。
恋についての3つの説話から派生して、魂について、弁論術について、文字の弊害、真実、愛知者(哲学者)について対話が続いていきます。
これがとても面白く刺激的。
まったく紀元前に書かれたとは思えない。
訳も読みやすく古くささを感じさせません。
とてもおすすめ!
注:イデア論をそのまま信じると形而上学的な悩みに陥る方はウィトゲンシュタイン(青色本)な -
Posted by ブクログ
プラトン最大の対話篇。
正義から始まり、国家、真実在、教育、芸術、魂を対話によって哲学する。
2000年以上たっても何も変わっていないのだなあとつくづく感じる。イデアはどこか天上界にあるのではない。洞窟の比喩が間違って解釈されてしまっている。イデアは、見るー見られるの関係と同じく、知るー知られるの関係によるものなのだから、ほかでもない、自分自身の思推の力によってしかたどり着けないもの。
優れた芸術は常に感覚による模倣だから、真実在へ思考する力を養う教育において大きな役割を果たすが、模倣であることからは逃れられない。ワイルドのいう「芸術は人生そのものではない」や「外観で判断できないような人間」「 -
Posted by ブクログ
ネタバレソクラテス先生 飲み会で友人達と愛について語り合うの巻。
ソクラテス四大福音書の一つらしい。
他の三つと違って友人の家で飲み会をし、
愛について語り合うという何とも楽しい内容だが、
大正時代に訳された原稿を50年前に書き直した物なので、
難しい言葉が多く、読むのはなかなかしんどい。
「愛とは不死のための欲求である」
というのがこの本で主張したいことなんだろうけど、
様々な人物に愛についての意見を語らせて、
最後にソクラテスが他者から聞いた話という形で、
結論を持ってくるという構成が見事。流石プラトン。
一つだけ毛色の違うこの本が、
四大福音書に一つに数えられているのも頷ける。 -
Posted by ブクログ
池田さんの影響。1971版。読めない漢字が多くて大変だった…
こんな風にギリシアのポリス市民は宴会をしていたのだと思うと、こんな素晴らしい宴会はないと思う。
倫理か何かの教科書だったか参考書に、この本について「同性愛か異性愛どちらがすばらしいかについて対話している」みたいなことが書いてあったが、全くのでたらめだ。そんな小さな一手段を書くためにプラトンは言葉にして書き起こしたのではない。
演説として数名の人物が愛(エロス)について述べたところはなんだか難解で小難しく思われたが、ソクラテスの発言(ターン)になると途端にすっとわかってしまった。池田さんが書いていたように、ソクラテスは哲学そのものだか