プラトンのレビュー一覧
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ソクラテスの高潔さに畏敬の念を抱く。神からの啓示を得た彼は、ギリシャ世界に正しい秩序をもたらすべく奔走した。エセ知恵者を論理で斬り、多くの人に恨まれる形で。
時代が悪かった。ペロポネソス戦争での敗北でアテネに不安が満ちていた。青年腐敗の根源とされたソフィストと一緒くたにされ、ソクラテスは国家安定のため生贄にされる。
散り際は美しい。法治の重要性を説いた張本人が、法の決定に背くことはあり得ない。クリトンの脱獄の提案に優しく丁寧に反論し、極刑を受け容れる。
良心の呵責に訴えるのではなく、信念に生きた古代ギリシャの哲学者を描き出したプラトンは流石である。生き方が武士のそれに近いのは錯覚だろうか。とても自然に憧れることができる。 -
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ソクラテスだよと思ってたらソクラテスについてプラトンが書いたなんと創作物みたいなやつだった!だからこれは実質プラトンかも!!!
濡れ衣着せられたソクラテスですが結局死刑になっちまったよ〜な話 書いてるのは弟子のプラトンね。ソクラテスを陥れた奴は結局何かを得れたのかな。
自分はそんなことしてないけど、あれこれ言い訳すんのもアレだし、己を貫き通して死にすら殉じるぜ!みたいなのよくこの界隈で見る気がする。己の矜持や誇りがすごくて、かっこいい生き様ってこういうのを言うんだろうな〜と思ったりした。私もこうなりたい!
あとびっくりしたんだけどプラトンとソクラテスってめちゃ歳が離れてるんだね。
プラトンが20代の時にソクラテスは70歳で死刑になっちゃうし。でもプラトンが12歳の時にソクラテスと知り合ったらしいから、そこから素晴らし教えや影響を受けていたのかな〜と思う。
私も色々読んで哲学を味方につけたいなと思う。 -
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この本を読んでいるあいだ、私はまるで紀元前のアテナイにいて、法廷の片隅からソクラテスの言葉を傍聴しているような気持ちになった。論理や言葉の力で彼が人々に語りかける姿に引き込まれ、ページをめくる手が止まらなかった。
解説を読みながらでなければ理解できない部分もあったが、それでも彼の思想の核は強く響いてきた。とくに印象に残ったのは、「知らないことを恐れる必要があるのか?」という問い。人は死を恐れるが、それは“死”を知らないからであって、本当に恐れるべきことなのか? もしかしたら、死は良きものかもしれない――そんな風に、未知を恐れずに、自らの信念に従って生き抜く姿勢に心を揺さぶられた。
ただの哲学者の言葉というよりも、「命を賭けて真理を語る人間」の言葉を目の前で聞いたような、そんな読書体験だった。 -
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難解な哲学書なのだろうと勝手に決めつけていたが、ユーモア溢れるエンターテイメント性のある作品で驚いた。
本書を読んで一番の衝撃は、そこかもしれない。
偉大なる?ソクラテスたちが飲み会でどんな話をしていたのか…その様子を垣間見ることができるとう何とも興味深い作品。
エロスを賛美する、そもそもエロスとは何なのか、なぜ賛美に値するのかなどが知識人たちによって議論される。
こんな高度な知的な飲み会…あるかいな笑
いや、こんな宴に参加してみいものだ。
古代ギリシャの文化や風習を知ることもできて、非常に興味深かった。
少年愛が当たり前の世界…。時代によって、当たり前は全然違う。だから世の中の見え方も全然違う。何が正しいのか、何が人を幸せにするのか、色々と考えさせられた。
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『ソクラテスの弁明』に引き続いてプラトンを読んだ。「哲学」と聞いて思い浮かぶようなお堅い文章とは対極にあるような平易で読みやすい文章だった。
「饗宴」とは酒を共に飲むいわば「飲み会」で、その名の通り非劇作家アガトンの開催する飲み会が舞台となる。饗宴の場に集まったパイドロス、パウサニアス、エリュクシマコス、アリストファネス、アガトンが順番に恋愛の神エロスの賛美を述べ、その後ソクラテスがアガトンとの対話やディオティマとの会話を語る形式でエロスについて述べる。このソクラテスの言葉で展開されるのがかの有名なイデア論である。
個人的には、少年愛についての諸々が気になった。古代ギリシア・ローマ世界で一般的だった少年愛には、徳の大人から子供への伝授という教育的な意味合いがあったようだ(これはパウサニアスの論による)。解説によれば、フーコーの『性の歴史Ⅱ』もこの少年愛研究の影響下にあるらしく気になった。
また、アリストファネスの展開する「アンドロギュノス」の話も有名であり興味深い論点である。アリストファネスの喜劇を読んでみたくなった。 -
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「正義とは何か、悪とは何か」を導き出すために、ソクラテスがその友人や弟子たちと対話していく話の、上巻。
これまで読んだ『ソクラテスの弁明・クリトン』と『パイドン』ではソクラテスの死の間際というタイミングであったのに対し、この国家は弁明・裁判から遡った時間軸になる。
そのためソクラテスの質問への回答や話しぶりではまだ悟りきったような部分がなく、それが故により親近感を湧きやすい。「死の直前」ならではの緊張感がないので落ち着いて読める印象がある。
「正義とは何か」、つまり「正しさとは何か」というのはテーマとして非常に難しい。人によって回答が違って当然と私には思われる。だからとてもこれと断言回答できない。
ソクラテスは、「正しい人間があるとすれば、正しい国家というものが分かれば、それを敷衍できる」といった論理で答えを探っていく。
では正しい国家とは何か。何がもっとも「良い」国家なのか。
理想の国家を定義するために、国家のサイズ、国家を構成する人々の仕事や役割、他国との関係性、婚姻や性交渉や出産育児、触れるべきOR触れてはならない音楽や娯楽の類などなど、微に入り細に入り最も理想的な国というものを定義していく。
この過程できっと紀元前当時の様々な生活様式、習慣、思想などの情報が現代まで残されてきたのだろう。貴重な情報源だ。
この理想の国家というのが、ソクラテスも上巻の終わり間際でいうように、実現可能とは言っていない。実現可能であるかどうかへの回答は難しすぎて、最大限実現に向かうにはどうしたらよいかという回答とさせてほしいし、それで十分なのではないか、という話をする。
事実、この理想の国家は、ヒトラーが真面目に捉えてしまって影響を受けたと思われるような、かなり非現実的な像が描かれる。
例えば「子供は生まれたらすぐに親から取り上げて、誰の子供であるかは絶対に知られてはならない。全子供が全大人の子供であり、特定の親子関係を持つべきではない」という実現が厳しい内容や、
「ギリシア人は内戦などによって敵を捕らえても奴隷にしてはならないが、ギリシア人以外では構わない」という差別に関わるもの、
「気持ちを明るくしたり奮い立たせる音階は使ってよいが、不協和音を用いた、悲哀や不安を表現するような音階は使ってはならず、そのような音楽を聴いてもいけない」という表現の自由や娯楽を制限するもの、
「優生な遺伝子を持つ子供は積極的に生み育て、優遇するべきで、そうでない遺伝子の子供は可能な限り少なくなるように仕向け、また当人たちにはそれを悟られてはいけない」という優生学の思想などである。
彼らは論理的に真面目に思考検討しているものの、今では物議を醸す露骨な男女差別的な発言も多い。
正義は立場によって変わる。国家の良し悪しも、その地理的特性や時代特性によって大きく変わるだろう。
本書から学べるのは、決して具体的なノウハウではない。
その論理的な思考法を一アイデアとして受け取ること。
当時の慣習や思想などの情報を得ること。
そして真摯に、目的となる困難な答えに向かって思考し、対話し続ける姿勢などである。
この姿勢こそ、一番心に刻んでいきたいものである。
本書の終わりでは哲人政治が遂に登場する。
最終的にどのような結末を迎えるのか、下巻を楽しみに次へ進もう。 -
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ネタバレ古代ギリシャの饗宴(飲み会)でのオッサン達による戀バナ。
テーマはエロス(愛)古代ギリシャなので当然少年愛(パイデラスティア)エロさえも哲学なのだ。
成人した男性が少年と恋愛する事こそが最高の教育とか流石古代ギリシャレベル高すぎ。
今作ではソクラテス自身ではなくマンティネイアのディオディマ(多分腐女子)の言葉として語られている。
曰く戀とは、善きものと幸福への慾望である
エロスとは美しさと醜さ、良さと悪さの中間にあり、神と人間の間にある精霊である
エロスは既知の神ポロスと貧乏神ペニアの間に生まれた存在(マジで?)
肉體の美から精神の美、知識の美、美のイデアへと至るなどプラトン先生らしくここでもイデアは健在。
アンドロギュノス(両性具有)の元ネタはアリストファネスの演説だったのか。本書では解説が充実していて分かりやすくて助かる。
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ネタバレ今までの対話編と違って、宴会で一人ずつが愛の神エロスについて話を披露するという形式。ソクラテスの話の内容も、今までのように論理的な対話形式でなく伝聞の話を延々語るというもので面食らった。しかし構成やストーリーとしてはいままでになく凝っていて面白いので、二重に面食らうことになってしまうのだ。ソクラテスの語るのは「エロスの奥義」という一見何ともうさんくさい話なのだが、中身はプラトンのイデア論につながる哲学的談義になっている(ただ、神話的・直感的な話が多い)。
美を求めるエロスとは人と神との中間である聖霊であり、美や良いものに欠けるがゆえにそれを激しく求めるという性質を持つ、というところから始まり、美の中でも肉体的なものではなく知恵が最も美しく、求められるということが示される。人間は永遠に生きて美を自分のものにすることはできないけれど、肉体的には子供を作ること、精神的には哲学的対話により徳を生むことで永遠が実現する。そのように肉体、精神、そして知恵へと上昇しながら美を追い求め、究極存在のイデアへ至る(ことができるかも)という話らしいのだが、なんだかいままでの著作の現実的な徳の話はいったい何だったのかと思うような壮大な、幻想的な話でとまどいがまず先に来てしまう。解説を読んでよくよく考えると、よくできているな、と思うのだけど。
最後に乱入者によって突如ソクラテス擁護の賛美演説が始まるのもご愛敬だが、当時の少年愛の習慣やソクラテス批判の状況などこれも解説を読んで勉強になったし面白かった。光文社訳、すごく読みやすくて親切丁寧で大好き。