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なぜ男は女を求め、女は男を求めるのか? 愛の神エロスとは何なのか? 悲劇詩人アガトンの優勝を祝う飲み会に集まったソクラテスほか6人の才人たちが、即席でエロスを賛美する演説を披瀝しあう。プラトン哲学の神髄ともいうべきイデア論の思想が論じられる対話篇の最高傑作。(『ΣΥΜΠΟΣΙΟΝ』改題)
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Posted by ブクログ
文学・哲学の両面において、門外漢でもこの本一冊で充分に楽しめた。ここまでリーダブルな古典作品も珍しい。 有名なアリストファネスのアンドロギュノスの話、ソクラテスとアガトンの対話あたりは特に面白く、解説書ではなく原典で読めてよかったと思える満足度。 プラトン対話篇の中でも特に複雑な枠構造が取られてい...続きを読むるのも興味深かった。 「ソクラテスが以前にディオティマから聞いた話を饗宴で語り、参加者のアリストデモスから十数年後にその様子を聞いたアポロドロスが、改めて友人(=読者)に向けてその内容を語る」といった具合だが、わざわざこんな回りくどい形式で物語を「創作」する理由がきちんとあるのが凄い。 前半の4人の配役とキャラ付けも見事で、読んでいて飽きないばかりか同時代のありがちな議論をいっぺんに追体験できる。 それと解説を読んでなるほどと思ったのは、最後のアルキビアデスの描き方。 単純にアルキビアデスを悪役として描くのではなく、彼自身がソクラテスの強すぎるカリスマ性にやられて自分自身でもどうしたらいいか分からなくなっている、今で言うクソデカ感情みたいなものを描写することで、それとなくソクラテスが彼を堕落させたという醜聞を否定している。 太宰治の『駆け込み訴え』におけるユダみたいで、人間像として説得力があり、しかも美しい。 総じて創作物として現代の作品に匹敵する面白さがあり、また哲学書としても、解説書に頼らずとも議論を追える明快さがある。 前に岩波文庫版の『ソクラテスの弁明・クリトン』を読んだ時にここまでの分かりやすさは感じなかったので、光文社版の新訳が良いのかもしれない。他のプラトン対話篇も、光文社でもう何冊か読んでみる気になった。
古代ギリシャの哲学者・プラトンによる、師匠であるソクラテスの物語のひとつで、エロス論です。 舞台となるのは詩人・アガトン邸での饗宴(飲み会の一種)の席。アガトンが大勢の大衆を前に見事な詩を披露して優勝したお祝いの饗宴です。そこに出席した者たちが順々にエロスについて語っていきます。途中、演説の順番が...続きを読む来たアリストファネスのしゃっくりがとまらず、次の順番をひとつ飛ばしてもらうアクシデントがありますが、これはこの哲学議論物語にユーモアで彩ったアクセントなのかもしれません。 まずはじめのパイドロスの話からもうおもしろかった。 「自分がなにか恥ずべき状態に置かれている状態を愛する者に見られるとき、最も恥ずかしいと感じるのです」 つまり、臆病な振る舞い、醜いふるまい、そういったことをしなくなるために、エロスが働いていると説いているのです。これは僕個人にも思い当たるものです。思春期になったときに、それまではふつうに感じられていた周囲の友人たちの汚い言葉や言動そして行動と、それらに溶け込んでいた自分というものに疑問と嫌悪を感じるようになりました。そのことについて、僕は自分がただ好い格好をしたいだけであって、そういった醜いふるまいを避けるようになったのだろうと、やや自嘲気味に考えていたのですが、パイドロスの説に照らしてみると、きちんと言えることが出てきます。すなわち、次のようなことになる。愛する人と釣り合うため、相手からの尊敬を勝ち取るためには、醜いふるまいを捨てねばならない。そうしない振る舞いは、愛に背くことになる、と。古代ギリシャの時点で答えが出ていたんですね。そのあたりがはっきりしないまま僕は成人しましたし、ある程度見切りをつけるまでにもそれからかなりの時間を要しました。 解説によると、口火を切ったパイドロスの議論はレベルの高いものだとは言えないとされていました。確かに、他の者たちの議論に比べると、話が短く、奥行きだってそれほどではないかもしれない。でも、本書をこのあと堪能するための基点として、見事な視点をまず与えてくれていると言えるでしょう。きれいなスタートのきり方に感じられました。 そうしてパウサニアス、エリュクシマコス、アリストファネスの議論を経て、詩人・アガトンは彼の議論のなかで言います、エロスは「最も美しく、最もよき指導者」。醜さから逃れさせるのがエロスであり、美しいふるまいをさせるのがエロスだからだというパイドロスの議論から繋がる言葉でした。 そしてクライマックスとなるソクラテスの議論がはじまります。ソクラテスがディオティマという名前の女性から「エロスとはなにか」について教えを受けている場面を、ソクラテスが回想するかたちで議論を進めていきます。これまでの5人のよる議論よりも高次で力強い議論が展開されていくのでした。 そのなかでソクラテスが、あたかも0と1の間のものの話ととれる内容を話していて恐れ入りました。エロスは自分に欠けているものを求めているのだし、美しさを求めているのだから、ではエロスは醜いのか、という論理展開に対して、いや、美しさと醜さの中間に位置する精霊(ダイモン)なのだ、という答えがそれです。それでもって、精霊が、両極を繋ぐ役割を持つという議論にも結び付いていく。このあたりを類推して考えると、昨今の二分法的な考え方に大きく一石を投じる内容だと思えるのです。0と1だけじゃなく、白と黒だけでもない、量子論的なそれらの間の部分に着目する考えです。 さて、ソクラテスの議論は、エロスの究極の形にまで行きつきます。個別の肉体的な美への愛から、すべての肉体的美の共通性への愛へと目覚め、それから精神性の美に目覚めて心を愛するようになり、そこから発展して人間と社会のならわしのあいだにある美に気づくようになる。次には知識の美しさへの愛に進み、知恵を求めるはてしない愛の旅の中で、思想や言葉を生んでいく、その境地が愛の最終地点なのでした。これらは「美の梯子」と呼ばれ、有名な理論なのだそうです。 また、「美の梯子」の前には、子を産むことが愛の目的であることも明かされていました。永遠を求めるのがエロスであり、子孫を残すことは人間という種の永続のための行為です。また、生命というかたちではなく、ソクラテスが言うには「知恵をはじめとするさまざまな徳」を生むこともエロスによることだとされている。つまりは創作すること、クリエイトすることも、エロスが関係することなのだ、というのです。予期していないところで創作論にも結び付いて、わくわくしました。愛、知的好奇心、創作はみなエロスでつながっているものなのかもしれません。 というところですが、読みやすい翻訳でしたし内容もつよく興味を惹くものでした。 今読んでも新しい古代ギリシャ。紀元前の知が、2000年以上を超えて、現在を新たに照らしくれます。
ギリシャ時代、おとこたちは、寝そべって、酒を飲みながら、語り合う。そのスタイルは、優雅だ。 ソクラテスの以外にエロスについて語るのは、パイドロス、パウサニアス、エリュクシマコス、アリストパネス、アガトン、アルキビアデスの6人である。 フロイトのエロスは、生命を維持し、統合しようとする本能。こ...続きを読むれは、性的な欲望や自己保存本能、そして個々の要素を結合させてより大きな全体を形成しようとする「生の本能」全体を指している。そして、エロスの対をなすタナトスを概念化した。タナトスは、フロイトが晩年に提唱した「死の本能」。これは、生命が元あった無機物の状態へと回帰しようとする破壊的な本能である。フロイトは、このタナトスが戦争や破壊行為の根源にあると考えた。 プラトンの『饗宴』には、タナトスは、出てこない。フロイトの方が人間の本能として、進化している。エロスだけでは、人間を語れない。 最初の5人が話すエロスの中で、少年愛が強いことに印象つけられた。ちょうど髭の生え始めの頃までの少年を、性的に愛し、そして、教育するという機能があった。マイフェアレディの男子版というところか。また、エロスはキューピッドでもある。 ソクラテスを好きなアルキビアデスは、ソクラテスが通常の人間とは異なり、内面的な美と知性、そして並外れた自制心を持っていることを称賛する。彼は、ソクラテスの魅力と徳に惹かれている。ソクラテスが刑罰と刑死を受けたことの一つに若者を堕落させたことであり、アルキビアデスとの性的関係も要因だった。 愛についての概念は、エロス、フィリア、アガペーがある。エロスは、異性間もしくは同性間の性愛を論じ、フィリアは、親子や友人間の情愛であり、アガペーは人類愛である。ここでは、エロスが中心に論じられているが、結局はアガペーについて語ることになる。 ソクラテスが紹介した女性ディオティマは、ソクラテスの上を行く人のようだ。ソクラテスに、エロスは、「精霊は、人間の思いを翻訳して神々に伝え、神々の思いを翻訳して人間に伝える」という役割を果たすという。そして「男と女の交わりとは、子をなす営みである。それは神聖な営みであり、死を逃れることのできない生き物は、この営みによって不死にあずかることができる。子を宿し、そして生むという営みによってな。」と、子を産むことによって、継続的に生を維持する。それがエロスの存在という。 さらにディオティマは、愛は美しいものではなく、美しいものへと向かう「中間的な存在」であり、人間を肉体の愛から知恵や真理の愛へと導く「愛の階段(ディオティマの梯子)」の概念を提示する。この言葉が、ソクラテスではなく、ディオティマに語らせるのが面白い。 なぜ、愛し合い一体化するのか?両性具有の話も出てくる。笠井潔の『バイバイエンジェル』につながる。 エロスというテーマで、延々と論議、紀元前380年頃のギリシャの思想的格闘の凄さを感じる。
難解な哲学書なのだろうと勝手に決めつけていたが、ユーモア溢れるエンターテイメント性のある作品で驚いた。 本書を読んで一番の衝撃は、そこかもしれない。 偉大なる?ソクラテスたちが飲み会でどんな話をしていたのか…その様子を垣間見ることができるとう何とも興味深い作品。 エロスを賛美する、そもそもエロス...続きを読むとは何なのか、なぜ賛美に値するのかなどが知識人たちによって議論される。 こんな高度な知的な飲み会…あるかいな笑 いや、こんな宴に参加してみいものだ。 古代ギリシャの文化や風習を知ることもできて、非常に興味深かった。 少年愛が当たり前の世界…。時代によって、当たり前は全然違う。だから世の中の見え方も全然違う。何が正しいのか、何が人を幸せにするのか、色々と考えさせられた。
『ソクラテスの弁明』に引き続いてプラトンを読んだ。「哲学」と聞いて思い浮かぶようなお堅い文章とは対極にあるような平易で読みやすい文章だった。 「饗宴」とは酒を共に飲むいわば「飲み会」で、その名の通り非劇作家アガトンの開催する飲み会が舞台となる。饗宴の場に集まったパイドロス、パウサニアス、エリュクシマ...続きを読むコス、アリストファネス、アガトンが順番に恋愛の神エロスの賛美を述べ、その後ソクラテスがアガトンとの対話やディオティマとの会話を語る形式でエロスについて述べる。このソクラテスの言葉で展開されるのがかの有名なイデア論である。 個人的には、少年愛についての諸々が気になった。古代ギリシア・ローマ世界で一般的だった少年愛には、徳の大人から子供への伝授という教育的な意味合いがあったようだ(これはパウサニアスの論による)。解説によれば、フーコーの『性の歴史Ⅱ』もこの少年愛研究の影響下にあるらしく気になった。 また、アリストファネスの展開する「アンドロギュノス」の話も有名であり興味深い論点である。アリストファネスの喜劇を読んでみたくなった。
エロスはイデアに昇るための強烈な欲求ってことかな?美の段階説(外見、内面、普遍、イデア)はいい視点になった。
ソクラテスやプラトンについて語られる時によく出てくる逸話が、もともとどんな文脈で語られたものかがわかって面白かった。訳者による時代背景等の解説も有用。
古代ギリシャ当時のエロス観と、ソクラテスの哲学的エロス観との対比が、物語調で書かれた本です。 当時の少年愛という風習があることは知っていたし、ギリシャ神話を少しかじっていたことが理解の助けにもなり、読みやすかったです。 訳者による、時代背景や登場人物一人一人のエロス論への丁寧な解説があるのはとてもあ...続きを読むりがたいですね。 エロスとは、「何物とも比較できない、独立した普遍的な美」を追い求める欲望である(と解釈しましたが正しいのかはわかりません笑)、というソクラテス(プラトン)の考えが、後のプラトンのイデア論へと繋がっているそうです。
構えてたよりも読みやすくてびっくりした。 文化の背景は違うけれど、現代にも通じそうなことを書いていて驚いた。
面白い!エロスの賛美をしていく中で、前半は神としてのエロスの賛美を。後半は神ではなくダイモンとして、美しいものよいものを目指す存在であることがかたられる。この欠如しているからこそ、欲し、追い求める姿こそがエロスだという解釈に帰着させるために、様々な視点からエロスについて語られる。途中のアガトンとソク...続きを読むラテスの対話でアガトンのエロス解釈が誤りであることを気づかせたソクラテスの手法は、部下との面談の場でも活かせないものかと思う。
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