あらすじ
自己の所信を力強く表明する法廷のソクラテスを描いた『ソクラテスの弁明』。死刑の宣告を受けた後、国法を守って平静に死を迎えようとするソクラテスと、脱獄を勧める老友クリトンとの獄中の対話『クリトン』。ともにプラトン初期の作であるが、芸術的にも完璧に近い筆致をもって師ソクラテスの偉大な姿を我々に伝えている。
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ソクラテスが若者を堕落させた罪に問われ、第一から第三弁論まで無罪を主張した記録。告発者へ問いかけながら無実、それどころか善い行いをしていること説明するまさに芸術。
続編にあたるクリトンでは、判決後の老友クリトンとの会話が記録。
本編を読んだだけでは善、国家、正義、法がどういう価値順序なのか読み解けなかったが、解説を読むことで何となく分かった気がした。
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非常に読みやすかったことにまず感動した。
そしてソクラテスがどういった人物であったのか、この形式であったからこそわかるものがあったように思う。
ソクラテス本人の「弁論の調子」がありありと浮かび、紀元前のことであるのに、今なおこうして名著として読まれるのは、プロットのドラマ性のみならず、ソクラテスが目前にいて弁明してくれているようなリアリティが文面から現れているからこそだと思う。
また、ソクラテスが論理的弁論家であったことと同時に、多大な神秘的宗教家であったことも印象的だった。
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ソクラテスの裁判での主張も面白かったが、クリトンとの対話が特に良かった
脱獄を促すクリトンに対し、ソクラテスが国法を重んじるということや、正しさとは何かを比喩を用いて表現していることが良かった
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「神が己の役割を示したのなら、死を恐れず安息にも逃げず、持ち場を人生の最後まで死守せよ。」
無知の知が本書のテーマではあるが、私は上の弁明が男らしくてとても気に入っている。
しかし、有罪か無罪か投票結果は僅差だったのに、刑量判決の投票では大差で死刑になったのはなぜだろう?後者の判決の投票者は全員ではなく、告発者のみだったのだろうか?
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「弁明」では、アテナイの青年を腐敗させたとして裁判にかけられたソクラテスが、自分の信念に基づいて告発者たちの訴訟の誤りをロジカルに指摘する姿が対話の形で描かれている。続く「クリトン」では、その裁判のその後が描かれる。
元々はあるタレントが子供の頃にこの本を読んで感銘を受けたと言っていたので、どんな内容なのか気になって読み始めた。もし周りの人と違う考え方を持っていたとしても、このソクラテスの姿を思い出せば、強く勇気づけられることだろう。
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裁判にかけられた師の口から述べられた弁明を弟子が記した「ソクラテスの弁明」、収監された友に対し説得を試みる「クリトン」。著作を残していないソクラテスの哲学を鮮やかに感じられる二作。
何も知らないが、知っているとも思わない。真に賢明なのは神のみ。だから政治はやらず、市井の知恵者として生きる。自らの例で置き換えるなら、仕事でプレゼンやセミナーを担当するとき、あるいは人にものを教えるとき、知識を持ち合わせていないシーンでどう対応するか。ごまかしたり取り繕ったりしていないか。自分自身を省みる。
発言することの責任。そして、修養することの大切さ。
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悪法もまた法なりという言葉で知っていたソクラテスであり、ギリシャ哲学といえばの人
ソクラテスがその時代の著名とされる人と対話しその人の矛盾をつきまくった結果悪い噂が流され、不正な死刑を宣告されている状態で友人のクリトンが国法を守って死を迎えるのではなく脱獄しようと提案してくれる
が、しかし、ここで脱獄してしまえば今までソクラテスやクリトンが大事にして来た国法の威厳が地についてしまうことになるため、自分の命を守ってポリシーを捨てるか、ポリシーを守って命を捨てるかという選択をすることになる。
というストーリーがソクラテスとクリトンの対話の中で進んでいった。
無知の知のように、知らないという事を自覚する事からスタートすることが大事
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西洋哲学は彼から始まったと言っても過言ではない、倫理の授業でも最初に学んだソクラテス。
ソクラテスがどういう人で、何を言って、どう亡くなったのかは知っていたが、原書を当たったことがなかったので今回読んでみた。
本書はソクラテスが裁判で、自分に求刑するアテナイの人々や告発者に対して弁明(釈明、弁論、反論のようなもの)をする『ソクラテスの弁明』と、
死刑が決まってから執行までの間に彼を訪ねてきた弟子クリトンとの対話『クリトン』の2編を収録している。
新仮名遣いに直したり日本語の表現を改めたりはしているものの、1964年改版の本書なのでボキャブラリーや字体がやや難しい。
とはいえ慣れてしまえば問題ないし、「けだし(=思うに)」、「なんとなれば(=なぜかと言えば)」のように頻出する古い言い回しを最初に覚えてしまえば難なく読めるだろう。
句読点や改行のようなものが生まれたのは中世の頃だったはずなので、古来の情報源、原初の原書からすれば格段に読みやすかろう。
写本や改定、翻訳、改版を経て現代にまで本書を繋いでくれた数多の先人達に感謝である。
ソクラテスと言えば「無知の知」であるが、その言い回しは直接は登場しない。
ただ、「私は自分が知らないということを知っているが、彼はそれを知らないことを知っていないため、いくらか自分の方が賢い」という旨を、直接相対する人に告げていたことを自白している。
なるほど、それを率直に他人から言われたら印象悪い。
本書を読んでも、ソクラテスの言い分は尤もで、理に適っている。
この弁明を経れば、実刑はまず免れるだろうと率直に思ったが、なぜか結果は初審で拮抗、再審で有罪多数になってしまった。
それが余りに不思議だったが、そのあたりの答えは巻末の解説にあった。
以前から古代のリベラルアーツの中に「修辞学(弁論術)」が含まれていたのをとても疑問に感じていたが、本書を読んで合点がいった。
なるほど、政治、裁判など、社会を大きく変化させるには大衆の同意を得たり、大衆を扇動したりする必要があった。
そのため、いかに大勢の人を納得させるか、という技法として修辞学・弁論術があったのだろう。
論理が整っているか、自分の意志が人の心を動かせるかどうか、積極的に発言できるかどうかといったことが自分の生死、果ては国会や社会の生死にまで関わっていたのが背景から読み取れる。
ソクラテスはその論理や弁論といったことにまさに秀でていたがために、プラトンのような優秀な後人がつき、そして現代にいたるまでその存在を知らしめたのだろう。
なんとも心苦しいことだが、結果、論理だけではソクラテスは自分の命は救えなかった。
しかし、自らの信念を通すがために、あえて自ら死を選んだその思考の経緯と胆力、さらにそれを明快に説明する論理の技術的な部分に含む点それぞれから、「偉人」の称号を得るにこれほど相応しい人はいないと感じた。
ソクラテスの、神への信仰や自分の信念をもとにして大衆を論理で納得させる姿。これは徳を含むし尊敬すべきことだ。
しかし現代主流の民主主義のような、多数の意見を聞きいれて多数決を取る、という考え方とは相いれない。
これは一長一短。
きっと後世の賢人、哲学者たちがこの問題に向き合っていったことだろう。
中には、自らの信念を押し通し、大勢を虐殺に追いやったヒトラーのようなものにもこういった考え方を植え付けた。
ヒトラーが実際にソクラテスの教えを受けたかどうかまでは知らないが、本書、ないしソクラテスの意志を継いだその後の哲学者や思想家の書物を読んだのは想像に難くない。
民主主義が機能不全になっている現代、改めて振り返ってみても、今の自分の生き方や社会の在り方は本当にベストなのか、もっと磨けるところはないかを見据える上で、本書を読む意義はあると思う。
続いてプラトンの他の書籍へと読書を進める。
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本が薄く対話形式で書かれていて、哲学初心者の私にとっても読みやすかった。同じく哲学の入門書として同列に勝たられる「方法序説」より何倍も。
1人の知者と他集の素人のどちらに従うのが良いか
についての話のオチが何度読んでも良く分からなかった。1人の知者に従うのが従前という文書は具体的に何を指し示しめしてるの?国家と法?それともクリトンへの皮肉?
とにかくソクラテスの生き方や考え方はかっこよく、こんな大人になりたいと思った。哲学マスターになれたらもう一度挑戦したい作品です。
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ソクラテスの高潔さに畏敬の念を抱く。神からの啓示を得た彼は、ギリシャ世界に正しい秩序をもたらすべく奔走した。エセ知恵者を論理で斬り、多くの人に恨まれる形で。
時代が悪かった。ペロポネソス戦争での敗北でアテネに不安が満ちていた。青年腐敗の根源とされたソフィストと一緒くたにされ、ソクラテスは国家安定のため生贄にされる。
散り際は美しい。法治の重要性を説いた張本人が、法の決定に背くことはあり得ない。クリトンの脱獄の提案に優しく丁寧に反論し、極刑を受け容れる。
良心の呵責に訴えるのではなく、信念に生きた古代ギリシャの哲学者を描き出したプラトンは流石である。生き方が武士のそれに近いのは錯覚だろうか。とても自然に憧れることができる。
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言葉遣いが古い(昭和感)が、それは訳の問題。
プラトンの筆致には古さを感じない(これは訳のおかげといえるか)。
日本語の言葉遣いのせいで多少読みにくいところもあるが、そんなに問題はない。
内容そのものは思っていたより平易で、2000年以上も前の人たちとの考え方と現代人の考え方は意外にも似通っているんだなと感じた。
ソクラテス、死刑になるほど悪いやつではないけど、そりゃ嫌われるよなと思った。
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●議論
ソクラテスが何をどのように考えていたか知りたく。
考え方というよりも、生き生きとしたソクラテスの弁明が印象的であった。
孔子もそうだか、有名な人物は決してその時は幸せに生きていたわけではないと思った。
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哲学入門書と言われているが、通常の文章体の本ではなく、会話形式で進む本なので読みづらく感じる人も多いだろう。
ただ、内容としては学びの多い本です。巷のSNSで意識高い系の思想などが流れてきますが、こちらはそれらに惑わされないための本質となるのでデジタルデトックスのしたい人には最適な本だと思う。
相手の主張を比喩を交えながら論理的に説き、現代を生きる上でも多くの気づきをもらえます。
無知の知と無知の無知。徳を志すソクラテスとプラトンの会話も印象に残っています。
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ソクラテスの審問裁判における弁舌を当時の息づかいと共に伝える。ソクラテスの人格を凝縮した本書は、彼の人格性を感じ取るのに最適の書だと言えるだろう。
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非常に難解な内容であるので、ぜひ、解説まで読んでほしい。少し理解が進むだろう。
そして、「ソクラテスの弁明」、「クリトン」に加え、「ファイドン」(パイドンと思われる)の3作は、「この世界史上類なき人格の、人類の永遠の教師の生涯における最も意義深き、最も光輝ある最後の幕を描いた三部曲とも称すべき不朽の名篇である」とのことで、早速、「パイドン」も読もうと思う。
ちなみに、「クリトン」は、「ファイドン」よりは事実に近く、「弁明」よりは事実に遠いらしい。
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国家を読んで鬱陶しいなあと思ったソクラテスの印象はそこまで変わらないが、正義や徳を追い求めようとする姿には哲学者としてのイデアが垣間見えたような気がした。
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ソクラテスの高潔さに感動する一方で「こんな生き方はできなかった」という思いが湧いてきて、複雑な読後感であった。
ソクラテスにようにはなれなくとも、せめて「彼を告発した者」や「雰囲気に流されて彼を断罪した者」のようにはなりたくないものだ。
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ソクラテスは非常に信仰心の強い人物であり、そんな彼の精神に従うことを諦めなかった結果として彼は死刑に処せられた。これは単純に彼の精神が死刑を定めている法律つまりは国家の意向にそわなかったというわけではない。当時の国家を先導していたのがいわゆるソフィストと呼ばれる人々であり、彼らの精神とソクラテスの精神とが合致しなかったという意味である。だからこそソクラテス自身は国家に対しての忠誠心をも持っており、その国家が定めるルールである死刑でさえも受け入れる選択をした。
正直なところ、物語として読んでみるととてもこんな人いないだろうという感想が1番に出てきました。私自身の日本人として信仰心の浅さからでしょうか。でもソクラテスは実在している。これはきっと対話篇という形で仕上げた詩人のプラトンの力ゆえなのでしょう。これほど熱量のある人物を目の前に不正のもとに彼が裁かれその極刑すらも受け入れてしまう場面は、かなりの臨場感を持って読む人の前に現れてきます。
気楽に読むには難しいため、信仰心のすごく強い人が自分の正義を持って不正と戦う物語くらいに読めればいいんじゃないでしょうか。多くの方がソクラテスの熱い気持ちを感じられるといいですね。
Posted by ブクログ
文章としては難しく理解しずらいが、内容は非常に面白い。2500年も前に、自分や人にとって正しいと思うことを死刑という判決が下っても貫こうとする姿勢に心を打たれた。「最も立派で最も容易なのは、他を圧迫する事ではなく、出来る限り善くなるように自ら心掛けること」この言葉は今の時代にも全く色褪せていないと感じる。
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善く生きる、正しく生きることとは…と考えさせられる古典の名作
読んでて面白かったのだが、個人的にはやはり国家と個人の関係が今ひとつ共感できない…
アンダーソンの『想像の共同体』を読んでみたい
Posted by ブクログ
善く生きるとはどういうことか。ソクラテスの死生観がよくわかる名著です。
◆ソクラテスについて
古代ギリシアの哲学者。哲学の父や哲学の祖と呼ばれ、「無知の知」の概念や「問答法」という思考法を残した事で有名。
◆ソクラテスの弁明のストーリー
ソクラテスは「国家の信仰と異なるものを信じ、若者に悪い影響を与えている」という罪で裁判にかけられ、陪審員たちの多数決により、死刑を求刑された。
友人クリトンから逃亡を持ちかけられるが、ソクラテスは自分の信念を貫き通し、死を受け入れた。
◆ソクラテスの死生観について
◇読書前の疑問
なぜソクラテスは死を選んだのだろうか?
若い人へ大切なことを伝え、良い方向に導いていきたいと考えるのであれば、「生きる」という選択肢もあったのではないか。急場をしのぎ、生きながらえていたならば、時間をかけてより多くの人へ伝えることができたかもしれない。他人から根拠のない批判を受けたとしても、じっと耐え、また次の機会を待つ。そのような生き方を「潔くない」と言う人もいるかも知れないが、時には不遇にじっと耐え、細々とでも生涯をかけて本職をまっとうする姿が、残った人への良い手本になったのではないか。命はひとつしかないのだから。
◇ソクラテスが死を受け入れた理由
「人は自ら最良と信じたものを危険を冒してでも固守すべきである。信念を曲げる恥に比べたら、死は念頭にすら置くべきものではない。」
「死が人間にとって悪いものなのか、または至福のものであるのか。それは誰も知らない。」
「つまり死を恐れることは、“知らないものを知っている”と信じることであり、“賢人ならずして賢人を気取る”ことに他ならない。」
「一方で、不正(信念に背くこと)が悪であることを私は知っている。だから不正を行うことを恐れるが、死を恐れることはない。」
クリトンとの対話から
当時の国の状況として、逃亡した場合、残された家族や知人までが罪に問われたり財産を没収されるなど酷い目にあう可能性が高かった。逆にここで潔く死を選べば、信念を貫き正しく生をまっとうすることができる上に、家族友人の生活も守られ、残る子供たちについてもクリトンら友人たちに良く養育されるであろうと信じていた。また死後の世界ハデスは、至福の場所であるかもしれないし、もし不正を行ったならば結局はハデスの法で裁かれることになるだろうと考えた。
◇読後の感想
後半のクリトンと対話から、死を選んだ理由が、自分の信念を貫きたいだけでなく、家族や友人を思いやっての判断であったことがわかった。当時の状況を考えれば、自分であっても死を選ぶのかもしれない。人が人を裁くというのはとても難しいことで、様々な失敗と改善を繰り返した結果今の法律や裁判制度が出来上がっているのだと思うと、現代の日本も悪くない、幸せなことだと思った。
Posted by ブクログ
自分の正義感というか信念を曲げずに生きるというのは難しい事ですが、処刑を受け入れてまで曲げない、というのはちょっと常人には不可能に思います。
一番大切なことは単に生きるそのことではなく善く生きること。善く生きるとは美しく正しく生きるということ。
わかりますよ。わかりますけど、、、
学べた事は、なんでしょうね。まあなるべく自分に正直に生きる。って事ですかね。
あとは前半にある、分からない事はわからないと自覚する、方が知ったかぶりより大分良いという事くらいでしょうか。
いずれにせよ2500年前の人の考え方を知れる。これも読書の素晴らしさの一つですね。
Posted by ブクログ
言葉が難しかったためほとんど理解できず…。
解説本などを読んで理解を深めてからこの本を読むのがいいのかもしれない。
あまり覚えていたないがクリトンとの対話で「寿命もあと少しなのに罪を犯してその後の短い人生ずっと後悔しながら天に昇った後もその後悔を引きずっていくのか。」みたいなセリフは新たな気づきになった。
読むのに時間がかかりすぎて初めの方はすっかり覚えていないため、また読み返そうと思う。
Posted by ブクログ
不正な死刑判決なんてうっちゃって逃げようとアドバイスする友人すらも淡々と論破する真の論破王ソクラテス。
終始ソクラテスが突き抜けてサイコパス(ロジカルすぎて感情とかプライドとか置き去りまくる)だし発言の一つ一つが裁判官煽ってて(正しくても)そりゃ反感買うよなーとか、若者がソクラテステンプレ使って社会問題になるのとか現代と同じやん…とか、ここからのプラトンの『国家』か…とか、いろいろかなり楽しめる本でした。結構声出して笑った。
ソクラテスの一貫性、言行一致の態度は本当に見事。でも、普通の人はあなたほど理詰めでは生きられないことにも気づいてほしかったよ…
Posted by ブクログ
クリトンを読みたくて購入。
窮地に立たされても「考える」こと、考えを整理すること、自身の行動や判断基準を持つこと、対話すること、伝え方、等々。いろいろ考えながら読みました。が、ピンとこない箇所も多く、難しく感じました。理解を深めたい。
「ソクラテスの弁明」は先日、光文社の文庫を読んだため流し読み。個人的には光文社の方が好みでした。
Posted by ブクログ
某漫画に影響されての哲学する(あちらは倫理♪)
単純♫
で、本作の主演はソクラテス、著述プラトン。
世界史的な知の巨人の師弟がガッツリ絡み、分量もボチボチ。
哲学始めに最適ね♪と軽く選んだ本書。
でも、何これ、傑作。
ソクラテスの弁明 は「はい、論破」な法廷物で気持ちいい。そして クリトン。
死刑確定のソクラテスに逃亡を奨める親友クリトン。
変わらぬ友情に謝しつつ、死を選ぶソクラテス。
2人は国家と個人、法と正義について語りあう。
『生きろ』と説得する友を優しく論破する男の横顔に、真善美を血肉化した偉大な哲人の誇り高い魂を見る。
穢れた私には眩しすぎ、実は泣きかけた。
二千年、読みつがれるに値する、まさに古典。
ソクラテスはプラトンの師匠で、西欧哲学全体を影響下に従える凄い哲学者だけど、
あの怪人アルキビアデスや傭兵将軍クセノフォンも彼の弟子らしい。
ペロポネソス戦争末期を彩る、単騎で歴史雑誌の特集をおさえちゃう、癖強すぎな弟子たち。
大き過ぎる器+美しい魂 が悲劇を呼ぶ。
これもまた古典的であるな、と。