【感想・ネタバレ】メノンのレビュー

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Posted by ブクログ 2020年02月20日

今までの読んだプラトンの作品に比べて、反論なく円滑に議論が進んでいくので分量も少なく読みやすい。

「徳とは教えられるのか」についての議論だが、そもそも「徳とは何か」に議論がすり替わる。

というのも、それがどうであるかはそれがどのような性質のものかを定義づけなければ語ることができない。これは日常的...続きを読むな会話にも言える。

例えば旅について語っても、「一人なのか複数なのか」、「どこにいくのか」、「目的は何か」と性質を限定して定義づけなければ、議論は想定違いの結論を生みかねない。

話がずれたが、本書では『パイドン』で語られていた想起説やイデア論について述べられており、合わせて読むとプラトン哲学をより深く理解できる。

個人的に最近「直感」が実在することに気づき、自分の奥底に眠るイデアがある特定の物事に触れると思い出されるかのような、まさしくプラトンの言う想起説で説明がついてしまう興味深い発見をした。最初は想起説なんて机上の空論だとたかをくくっていたが、そうでもないのかも知れない...。

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Posted by ブクログ 2016年09月21日

プラトン大好き

なんて、
なんて、
わかりやすいの!

中身はむつかしいのだけど
言葉の選び方や
人への伝え方、
説明の仕方、
素晴らしくて
本当に良書。
たまに取り出して読み返している

徳とは何か
備わっているものは何か

人について
考えるよ

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Posted by ブクログ 2015年11月03日

徳を教えることは出来るのか。そもそも徳とは何なのだろうか。比較的簡単に読めた一冊。最後はよく分からないままソクラテスが去っていき?状態。さらにプラトンの本を読む必要がありそうだ。想起説についてとても分かりやすく書いてあったので、また近いうちに開くことになりそうだ。

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Posted by ブクログ 2015年06月24日

『ゴルギアス』とか『プロタゴラス』では、ソクラテスが相手のソフィストをイライラさせてやや緊迫感があるが、『メノン』でのソクラテスは、美青年を相手にご機嫌に自説を述べており、これはこれでおもしろい。論旨もすっきりしており、ソクラテスの(実際はプラトンの)想起説などがわかりやすく説かれている。

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Posted by ブクログ 2013年07月20日

「なんであるか?」(本質)と「いかなるものであるか?」(属性)の区別は重要。
例となるものをどんどん出していく。
例をだして、それとも君は違うと考えるのか?
話に飛躍がない。一つずつ進歩して行く。
人間には、知っていることも知らないことも、探究することはできない。知っていることであれば、人は探究しな...続きを読むいだろう。その人はそのことを、もう知っているので、このような人には探究など必要ないから。また知らないことも人は探究できない。何をこれから探究するのかさえ、その人は知らないからである。

主張の方法
知識の何にもまさる重要性を、「よさ」を生むものという観点から主張しようとする。

例を交えて説明している。
徳は、教えられるものではなくて、優れた者から優れたことを教わり自分の中で噛み砕いて行く時に、培って行くものなのではないか?

知識は正しい考えよりもはるかに価値の高いものであり、何によって知識は知識で、正しい考えは正しい考えでありお互い別のものとなるのか、私には不思議に思います。メノン
正しい考えもまた、或る程度の時間留まっていてくれる場合には、立派であり、あらゆる優れたよいことを成し遂げてもくれる。しかしそうした考えは、長時間留まってはくれないで人間の魂から逃げ出してしまうので、したがって人がこれらの考えを[事柄のそもそもの原因にさかのぼって、その原因から考えて]原因の推論によって縛りつけてしまうまでは、たいした価値はないのだ。
知識は、正しい考えよりも価値が高くわ、また、知識が正しい考えと異なるのら、「縛られている」という点によるのである。

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Posted by ブクログ 2013年06月11日

哲学の入門書として「ソクラテスの弁明」と同じ程優しく読めると言われるプラトンの著作。

「徳は教えられうるか」というテーマで対話がすすめられています。
そして、魂の不死や想起についても触れられています。

「人間は、自分が知っているものも知らないものもこれを探求することはできない。というのは、まず、...続きを読む知っているものを探求するということはありえないだろう。なぜなら、知っている以上、その人には探求の必要はないわけだから。また、知らないものを探求するということもありえないだろう。なぜならその場合は、何を探求すべきかということも知らないはずだから」
というソクラテスの言葉が非常に不思議に思われます。

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Posted by ブクログ 2013年05月19日

「徳は教えられるか」を主に話しているが、一番面白かったのは、想起説。

ソクラテス:ぼくは徳とはそもそもなんであるかということを、君と一緒に考察し、探究するつもりだ。
メノン:なにであるかわかっていないとしたら、どうやってそれを探究するおつもりですか?もし、探り当てたとしても、それだということが...続きを読むどうしてあなたにわかるのでしょうか?もともとあなたはそれを知らないはずなのに。
ソクラテス:つまり、「人間は、自分の知っているものも知らないものもこれを探究することはできない。というのは、まず、知っているものを探究するのはありえないだろう。なぜなら、知っているのだ。ゆえに、その人には探究の必要がまったくない。また、知らないものを探究するということもありえないだろう。なぜなら、その場合は何を探究すべきか、ということも知らないはずだから」ということかね?
メノン:よくできていると思いませんか?よくないか指摘できますか?
ソクラテス:できる。というのは、僕は神々の事柄について知恵を持った男や女の人たち(たとえば、ピンタゴラス)から次のことを聞いた。すなわち、「人間の魂は不死なるものであって、ときには生涯を終えたりする――これがふつう『死』と呼ばれている――ときにはふたたび生まれてきたりするけれど、滅びてしまうことはけっしてない」。
 このように、魂はいっさいのありとあらゆるものを見てきている魂がすでに学んでしまっていないようなものは、何ひとつとしてない。よって、徳というものが何であるのか、それがそうであるということは、わかるはずだ。ある一つのことを想い起したこと――このことを人間は「学ぶ」と呼んでいる――その想起がきっかけになり、他のすべてのものを発見することもありえる。つまり、探究するとか学ぶということは想起することにほかならない。

イデア論の根はこれかなーと思います。

たとえば、「生きる意味とはなにか」と探す。
でも、なぜ生きる意味があると思うのか?
それは、全くわからないものなのに。仮にわかったとしても、なぜそれが真であると思うのか?
ソクラテスは、ここで「魂」を出してくる(ここで面白いのが、ソクラテスはすべてのことを疑ったのに、「魂」の存在を疑わなかったこと)。

「人間の魂は不死であり、生々流転する。魂はありとあらゆるものを見てきている。したがって、魂がすでに学んでしまっていないようなものは無い。」

人間の魂。では、一番初めの人間には、誰の魂が入ったのか?
その魂は、どこで、ありとあらゆるものを見たのか?どこからきたのか?
疑問。魂なんていうものを信じていいのか!

さて、多くの哲学者は普遍的なものを探してきた。いまだに見つかっていない。
でも、なぜ、「普遍的なものが存在する」と思うのか?
わからないものなのに。もしその「普遍的なもの」が見つかったとして、どのようにそれが真だとわかるのか?理論?科学?
なぜ、それが理論的・科学的にわかるのか?

魂が知っているから、それを見つけたら思い出すんだ。
って考えると、なるほどなー。

(まっちー)

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Posted by ブクログ 2013年01月17日

徳とは何か、どういう性質で人に教えられるものかどうかを探ります。
今回ソクラテスと対話するメノンは傲慢なところがなく好感が持てる青年です。

この話の中では、魂が既に学んだことを「想起する」という考え方が出てきます。
ソクラテスは言います。
「知らないものは発見することもできなければ探求すべきでもな...続きを読むいと思うよりも、我々はよりすぐれた者になり、より勇気づけられて、怠け心が少なくなるだろうということ、この点についてはもし僕に出来るなら、言葉の上でも実際の上でも大いに強硬に主張したいのだ」
正しいか正しくないかはともかく、想起説を信じる方が実践において有益であるというこの考え方は好きです。

また、知だけでなく「正しい思惑」も人を正しい行為に導くものであると言う。
ソクラテスらは徳は知では無さそうだという結論を出しているから(これはプラトンの意見のようですが)、この「正しい思惑」が徳と密接な関係がありそうです。
そしてこれは神の恵みによってもたらされるのだろうと推測しています。
個人的には徳が何であるかより何であると信じるかが大事だと思うので、判断を神にゆだねるというか、神の意志を反映するような自分の直感や良心にまかせるのが良いのかなと思う。

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Posted by ブクログ 2018年10月14日

プラトン対話編の内のイントロダクションとして好適であり、珠玉の掌編でもあるそうだ。

「徳」とは何か、それは教えられることで獲得されうるのか。
この問いを軸に、老境円熟のソクラテスが、(明晰で素直だが世俗的な感性の)メノンを諭し、啓発し、さらに真摯な知の態度ーーー自分があることを知っていると思ってい...続きを読むるからといって、それは本当に知っているといえるのか?、知っている気になっているだけではないのか?に気づくことーーを慫慂する。

一読、プラトン(ソクラテス)は、「徳は知である」を否定しているようだが、それは本当の結論だろうか? 解説も必読。

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Posted by ブクログ 2012年08月10日

ここ半年に読んだ本の中で、
最も知的に好奇した。
結局のところ、徳がなんなのか、
またどのように身につくのかという結論には至らないものの。
たとえば、勇気や経験、度量が優れた性質となるのは、
そこに「良い行いにおける」という形容詞がつくことを前提としており。
では、その【良い】モ何によって担保される...続きを読むかも定かでなく。
他方。動機が徳であれば、その行為も善となるとの説も不適切で。
結局は、本人もよくわからないながらに「思わく」を持ち、神からの霊感を吹き込まれた偉大な事柄としか言いようがないか。

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Posted by ブクログ 2012年08月06日

徳については善きものを望んで獲得する能力があるのがすごいと思い、メノンが金や銀を手に入れることも国家において名誉や官職を得ることがありメノンが獲得するのが世界一のトップだと思いました。善きものの獲得はできないことと比べると徳であると言えない。自分が一所懸命に獲得すれば徳であると言えると思いました。

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Posted by ブクログ 2011年07月20日

大学時代、課題図書だった為に読んだが、かなり面白く、好きになった本。

徳を積むとは何か。
徳とは何か。
人生とは。

答が出ないところを延々と回るやりとり。
哲学の本。

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Posted by ブクログ 2020年03月08日

ソクラテス とすると、有益であるという点にかけては、正しい思わくは、知識に何ら劣らないわけなのだ。
メノン しかし、ソクラテス、これだけの差はあるでしょう。つまり、知識をもっている者はつねに成功するけれども、正しい思わくをもつ者のほうは、うまくいくときと、そうでないときがあるという点です。
ソクラテ...続きを読むス どうして?つねに正しい思わくをもっている者は、いやしくもその思うところが正しいあいだは、つねにうまくいくのではないかね。
メノン そうでなければならないようですね。すると、どうも私には不思議になるのですが、ソクラテス、もしそうなら、いったいぜんたいなぜ知識は、正しい思わくよりもずっと高く評価されるのでしょう?またこの二つが、それぞれ別のものとして区別される理由はどこにあるのでしょう?
ソクラテス どうしてそれが君に不思議に思えるかわかるかね。それとも、ぼくが言ってあげようか?
メノン ぜひ教えて下さい。
ソクラテス それはね、君がダイダロスのつくった彫像に注意したことがないからだよ。もっとも、君たちに国にはもともとないもかもしれないが。
メノン いったい何を考えて、そんなことを言われるのですか?
ソクラテス あの彫像もやはり、しっかりと縛りつけておかないと、逃げて走り去ってしまうが、縛っておけば、じっとしているということさ。
メノン それで?
ソクラテス ダイダロスの作品を所有していても、それが縛りつけられていないならば、ちょうどすぐ逃亡する召使と同じことで、あまりたいした値打ちはない。じっとしていないのだからね。しかし、縛り付けられている場合は、たいした値打ちものだ。なにしろ、たいへん立派な作品だから。―ところで、何のつもりでこういうことを言うかというと、ぼくは正しい思わくのことを考えているのだ。つまり、正しい思わくというものも、やはり、われわれの中にとどまっているあいだは価値があり、あらゆるよいことを成就させてくれる。だがそれは、長い間じっとしていようとはせず、人間の魂の中から逃げ出してしまうものであるから、それほどたいした価値があるとは言えない―ひとがそうした思わくを原因(根拠)の思考によって縛りつけてしまわないうちはね。しかるにこのことこそ、親愛なるメノン、先にわれわれが同意したように、早期にほかならないのだ。そして、こうして縛りつけられると、それまで思わくだったものは、まず第一に知識となり、さらには、永続的なものとなる。こうした点こそ、知識が正しい思わくよりも高く評価されているゆえんであり、知識は、縛りつけられているという点において、正しい思わくとは異なるわけなのだ。
メノン ほんとうに、ソクラテス、何かそういった事情にあるもののようですね。

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Posted by ブクログ 2019年07月23日

哲学というものはやはり難しい…
だけれどもこれぐらいだと、
とっつきやすくはなるのかな…
ただやはりそれでも独自の表現はあるけど

確かに、徳は残念なことに
教えることはできない代物でしょう。
結局のところ教えられても
それを自分で会得しなければ意味ないわけで
それをしない人には意味がないのです。
...続きを読む
それは悪人を善人に変えることが難しいのと
一緒なのかもしれませんね。

この中にはあ、と思えることが多いと思います。
先入観がいかに危険か、
それはこの貴重な知の源を
処刑により消し去った
ある人物の発言がまさにそれでしょう。

ただ哲学ですので…

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Posted by ブクログ 2018年03月22日

問うことが如何に重要であるか、想起して探求と議論から解に近ずくことの大切さを徳という問いに対するソクラテスらの対話を通じて考えさせられた。

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Posted by ブクログ 2014年10月25日

ソクラテスは偉大だ。人間の域を凌駕している。彼ですら辿り着けなかった徳に誰がたどり着けるのであろうか。

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Posted by ブクログ 2013年07月14日

メノン:徳は人に教えることのできるものなのでしょうか?

ソクラテス:その前に、そもそも徳とは何かを考えてみよう。

メノン:はい、わかりました!で、結局のところ、徳は教えられうるのでしょうか?

ソクラテス:(唖然)

・プラトンの遊び心が感じられる小品。それはともかくとして、ソクラテスは、結局メ...続きを読むノンの天然ぶりに押されてしまい、徳とは何かを定義することなく、徳は教えられうるかについて検討する羽目になる。

・仮に徳が知識だとしたら、徳は教えられうるものであるし、徳の教師だっているはずだ。しかし、実際には徳の教師など存在しない。したがって、徳は教えられうるものでもなければ知識でもない。徳は、教えられることのできるものではないが、他方、生まれつき備わっているものでもない。

・それでは、いったい徳はどのようにして身につけることができるのか。ここでソクラテスは、唐突に「徳は神の恵みによって備えることができる」と結論づけて、一方的に対話を打ち切って立ち去っていく。

・まるでキツネにつままれたような読後感を味わったのだが、訳者解説がその後味の悪さを和らげるのに一役買っている。本書は、主題が多岐にわたる他のソクラテスの対話篇と比べて、主題(=徳について)が終始一貫しているため、論旨を追いかけやすいのではないかと思う。

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Posted by ブクログ 2012年11月11日

徳は教えられるものなのか、徳はそもそもなんなのかを論理的に追及した作品。対話式のため読みやすい。
最近法律の勉強をしていると「そもそも善とは何か。悪って何?」と根本な問題をしっかりと定義できておらず思考が空転していた。
本作で扱うのは「徳」の定義であり善悪の定義ではないのだが、通ずる箇所もあり参考に...続きを読むなった。
「徳」について本作でしっかりとした答えが出たわけではないので、ほかの著作も読み答えを見つけたい。

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Posted by ブクログ 2012年09月17日

解説を読めば概ね理解できるものの、ソクラテスとメノンその他との会話では真意が推し量りづらい。恐らく彼らとの会話に伍しない限りは分かりえないのだろう。

ここでは「徳」とは教えられるものであるのか?ということを延々と話し続ける。まずソクラテスは徳とはなんなのか?どういったものか?を云う。

①知識...続きを読むは授かるだけではなく、云われて思い起こすこと。(想起)

しかしこの後、徳がなんであるかがあいまいのまま、「教えられるのか?」という質問に逆戻りする。
②性質を語るには、仮設する必要があったこと。
③ ②を踏まえて、徳は教えられるものである、という結論に達した。

④しかし②においては、仮説による結果であるだけであり、実際に徳を教えられる人間はいるのか?実際にいないではないか、ということだ。

以上のことから、「ソクラテスは徳は知であるけど、プラトンは結論としていないのではないか、知だとしても、教えられる人はいないではないか。」ということになる。でもプラトンは「ソクラテスがそうなのではないか?」とし、「そのような人間が政治家に教えることができれば、哲人王の出現となる。」ということになる。これがプラトン哲学の中心テーゼであるらしい。もっとも、後世になって否定されるのではあるが。

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Posted by ブクログ 2012年06月03日

「徳とは何か」についての議論はソクラテスとメノンの対話形式にして書かれたもの。

「知識は教えられるが、徳は教えられるのか?」とか、「徳はどうやって学ぶのか」とか。


ソクラテスの誘導尋問的な質問の数々をたどると、不思議といつの間にか書かれていることが正しいように思える。これが対話編の魅力であると...続きを読む思う。

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Posted by ブクログ 2014年07月20日

対話において、相手役は容易に迎合し過ぎているが、むしろその点にこそ当時の哲学的営みが垣間見えるのではないだろうか。魂の想起説などを展開。

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Posted by ブクログ 2011年12月29日

人を治める人には「徳」があってほしい。
というか、「徳」って、自分にもあったらいいな。
でも、
「徳」って教えられるもの?
「徳」ってそもそもなんだ?
プラトンに導かれしばし考えてみてはどうでしょう。
「教えられる」vs「想起する」
についての考察ツキ

プラトン初心者向きだそうです。

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Posted by ブクログ 2011年05月27日

質問「徳は教えることができるか?」
結論「徳」は「知」ではなく「神の恵み」でもたらされる「正しいおもわく」というものなので教えることはできない。
「徳」とは何か?という探求をしたかったソクラテスに無理を言って、後に俗物の権化のように評価されるメノンとともに辿り着いた結論である。但し、解説によれば「真...続きを読むの徳」が「知」であることを知るソクラテス自身を除けばということである。
ソクラテス・プラトン哲学の導入部であり、初期プラトン対話集という位置づけの短編としてなかなか面白かった。
特に初等幾何学の問題を解決へ導く手法から、魂は不滅でわれわれはかつて学んだ事柄を想起するだけだという有名な話はとても面白い。先日、ホーキング博士の天国も来世もない、架空のものだ、という記事を読んだばかりだったのだが・・・(笑)
教えているのではない、質問することで「想起」させているだけだ、というソクラテス。誘導尋問だろうが!(笑)
いろいろな有名人の名を挙げ、あいつは「徳」を息子に教えているか?「否」、故に「徳」は教えられない、というある意味、個人中傷論議は笑ってしまった。(笑)
さらに言えば冒頭での議論。「形」とは何か?「形」とは、つねに色に随伴しているものである。何だ、そりゃあ!?(笑)まあ、その後を読めば何となく言いたいことはわかりますけどね・・・。というか、昔の自分によく似た発想かも。(苦笑)
後世にソクラテス(プラトン?)の幾何学例題がこれほど論議を呼んでいるとは初めて知りました。各種解釈を読みましたが、ひさびさに数学脳でうにうにになりました。(笑)
ソクラテスの最後の捨て台詞?「やっぱ、徳とは何かを知らないとね!」ふむぅ。

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Posted by ブクログ 2010年11月06日

徳を題材とした、ソクラテスとメノンの対話短編。「徳の性質」にこだわるメノンに対して、ソクラテスは「徳とは何か」に論題を見事に誘導し、対話者を操るかのようにして結論へと導く。解説文の言う通り、圧巻の「珠玉の短編」。

「徳とは何か」を対話を通して得ようとしたソクラテスだったが、解説にもある様に、仮定の...続きを読む上での徳の本質までしか、本書では言及されていない。解説ではこれを後のソクラテスの論と対比して、イデアの論拠が『メノン』の段階ではなかったと指摘する。

それ以外にも、初期対話篇と対比して、ソクラテスの「何であるか」への執着の度合いや、メノンの人間性をクレアルコスと『アナバシス』のクセノポンとの関係から考察するなど、解説だけでもかなり読みごたえのある見事な出来栄えになっている。

そんな具合で、とても頼もしい解説に任せて特に言うことはないのだけれど、解説のように歴史的背景を思考の範疇に入れずとも、ギリシャ哲学史に特別詳しくない僕のような人でも、この珠玉短篇は爽快・圧巻の物語として楽しめると思う。その物語から現代に連れ戻されるかのようにして読む解説も、また。

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Posted by ブクログ 2009年10月07日

「徳とは教えうるものか、そもそも徳とは何か」対話によりソクラテスはメノンをアポリアに追い込んでいく。考えれば考えるほど判らなくなるのが知の本質。プラトンの想起説より、儂は禅の頓悟の方が好き。

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Posted by ブクログ 2016年02月06日

ソクラテス先生若者と徳について探求の巻。

「徳は教えられるか?」というテーマであり、
これはプロタゴラスと被っているが、
当時流行の議題だったらしい。なるほど。
あっちこっちに話が飛んで分からなくなる
プロタゴラスに比べると比較的分かり易い。

結局見事なロジックにより結論が出るのだが、
これはソ...続きを読むクラテスやプラトンの思想では無いらしい。
師のソクラテスにはそれが可能だったとし、
プラトンもそこを目指していたのかなあ。

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Posted by ブクログ 2015年04月25日

「徳とは何か」という問い。
どうも、「政治家が目指すべき徳とはいかなるものか」という裏設定があるように見える。
プラトンの回答は、
徳は規定可能な知識ではないが、《正しい思いなし》という水準であれば、活用していける、というもの。
具体的な徳の内容については、中期の『国家』、後期の『法律』などに当たる...続きを読む必要があるか。

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Posted by ブクログ 2013年08月12日

わかりやすい論理で地道に対話が進む。
ソクラテスのそらとぼけをかなり感じる。

知識、知恵、知性など、知の言葉がいくつか出ており、その訳し分けが難しい。

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Posted by ブクログ 2012年04月30日

ギリシャ神話と哲学を少しだけちゃんと読みたい今日この頃。
哲学やってた友達に、「ソフィーの世界よりはももう少し深く
知りたくて、初心者でも読みやすい本ってある??」
と聞いたところ、プラトンの対話篇をお薦められました。
ソクラテスとの対話の流れで書いてあるから読みやすいよー、と。

本屋さんで物色し...続きを読むてみて、これともう一冊を購入。
確かに読みやすい!!
大学時代、ニーチェのツァラトストラを読んで10ページで挫折した私、
先にこれを手にとってたらもう少し哲学に触れることができてたかもなぁ。。

えにうぇい。
この本のテーマは、「徳」について。
徳とは何か、そして徳とは教えられうるものであるのか。
メノンという人とソクラテスの対話の中で
徳というテーマが掘り下げられます。
対話だからこそ、話題が前後したりというのはあるのだけど
堅苦しい言葉じゃないので読み進めやすいです。
ただ、言葉の使い方や、言葉の定義の幅が捉えづらい部分もあるので
そのへんは時々立ち止まったりはしますが。
こういうのって原文で読めたらもっと読み易いのかなぁ。

時折、「ゼウスに誓って」というフレーズが出てきたのが
ちょっと面白かった。「神に誓って」じゃないのね。
魂の話とかも、なんか時代を反映してる気がする。
この時代だからこそなのか、最後は
「えぇっ、そういう落とし所!?」と思ったりもしたけれど。

人間の中の、時代を超える普遍的なものってあると思うのだけど、
その一方で、その時代の科学と乖離した発言は、
多くの人を相手にした場合、説得力が薄くなるのかなぁ、
思想の話であっても科学とつながってるんだな、とも思いました。

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

徳は教えられるかどうか?
誰が教えるのか?

道徳教育を云々しているひとはやっぱり目を通しているのかな

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