プラトンのレビュー一覧
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ネタバレ3人のソフィストたちによって告発されたソクラテス。
弁論に長けたソフィストたちを対話によってその矛盾を突き、自身や社会、あるいはこの世の全てを知らないと思うソクラテスの営みこそ彼自身が裁判にかけられることとなった理由である。
もちろん、「弁明」とはその裁判におけるソクラテスの主張のことであり、ソクラテスは当然これらの容疑について善きものであると捉え、憎まれていることこそが真実を語っている理由であるとしている。
古典的名著である作品は多くの分析がなされ、その重要点についてあらゆる箇所で論じらている。私は自身が印象に残った点を取り上げたい。
ソクラテスがいかに論じることでその矛盾をついたのか -
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わかったようなわからんような…「エロス」神についてソクラテスがいろんな人に語らせて、最後おいしいとこ持っていくみたいな感じ。
でもソクラテスのような「知」を愛する哲人には簡単にはなれないんだよ、っていう。
本書の裏表紙の紹介文では「なぜ男は女を求め、女は男を求めるのか?」とあるけど、実際には当時のギリシャの「少年愛」が主題。解説ではそれは男女の恋愛にも通じる、とはあったけど。この点を含めて訳者による解説は充実。訳も読みやすい。
「エロス神」と聞くと「ギリシャ神話劇場 神々と人々の日々」をつい思い出しちゃう…。自分は到底哲人の「て」にもなれませんわ。 -
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ネタバレ「アルキビアデス」は、うぬぼれ屋のアルキビアデスの「国家の支配者になりたい」という野望のためにという触れ込みでソクラテスの話が始まる。その野望が実際どういうことなのか、何を目指すのかについてのアルキビアデスの無知を対話によって明らかにし、「魂の配慮」へと意識を向けさせるという流れだ。「クレイトポン」はとても短く、ソクラテスは徳を育てることの重要性について目覚めさせる事はできるが、実際に徳をどのように養えばいいのか教えてくれない、というクレイトポンの非難のみで終わってしまう。
「アルキビアデス」「クレイトポン」は、プラトンの真作かどうかは議論があるらしい。学術的には大議論で結論はついてない(とい -
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アガトンのコンテスト優勝を祝う宴席の場で、出席者がそれぞれ愛の神エロス(解説によればキューピッド)を賛美するお話。
構成が凝っていて、出席者アリストデモスが宴会の様子をアポロドロスに話し、アポロドロスは、その話を聞かせろ、とせがむグラウコンに一度話をしたので、お安い御用と今からもう一度その話を読者に対してする、という設定(でプラトンが創作している)。プラトンが哲学者になる前のお話だから口頭伝承の形にしてしたのだろうか。
いろんな説が出る中、最も有名なのは、古代、人類は男・女・アンドロギュノスの三種類があって、神の怒りを買って真っ二つにされた、失われた片割れを求めて人類は愛し合う、というもの -
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前に読んだ倫理学の本(の中の登場人物)がプラトンの「国家」を絶賛してきたので、じゃあ読んでみようかと思ったら、とんでもない大作だったので、もう少しライトなものからにしようと、「饗宴」と本作を手にとった。
以前、岩波かなんかで読もうとして、たったの100ページちょっとなのに挫折したことがあるが、いつものように光文社古典新訳文庫だととても読みやすくて助かった。
東大総長が卒業式で「肥った豚よりも痩せたソクラテスになれ」と言ったとか言わなかったとか諸説あるが(JSミルの言葉を不正確に引用した式辞原稿のこの箇所は結局は本番では読まれなかったが原稿を紙で貰っていたマスコミが本番発言と照合もせずに誤報 -
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ネタバレ「ティマイオス」は前に現代書館のやつで読んで正直全然頭に入ってこず、読み直す気力もわかない…と言う感じだったのだけど、これはちゃんと話の内容が分かって嬉しかった。
デミウルゴスによるイデアを模した宇宙の生成と、神々による宇宙を模した人間の生成を見て、そして三角形の組み合わせで作られる土・水・空気・火による物体の成り立ちの話をし、物体としての人間の体の構造をつぶさに見ていく。
ちょっと分かりづらいと感じたところでは註でざっくり内容をまとめてくれていたり、文章で分かりづらい三角形や多面体の話なども註に図を出してくれていたりしてとても親切。解説の「必然」の話もとても参考になった。「ティマイオス」二冊 -
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所詮私は私でしかなく、子は私とは別のものでしかない、というのはしごく簡単な疑問である。しかし、この疑問を解決するのは実に 簡単で、我々がそもそも我々自身と思っている物ですら、子供から老年までに構成要素から外見まですっかり変わってしまっているのであり、 それをして同一であるとみなしているのである。また、これは心の状態(欲求、快楽、苦痛)にも同じことが言える。そして、 我々は(動物も含めて)上記と同様に、神のように永遠に同一性を保つというやり方ではなく、老いて消え去りながら、自分にに似た別の新しいものを 残していくというやり方で永遠の自身を確立させるているのである。これについては、ヒュームが極めて
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パイドロスは教養として読んでみたかったので、その目的は達したが、面白いとか思索に繋がるかというと、それ程でもなかった。寧ろ、プラトンの生きた紀元前の社会を想像する好奇心が満たされる楽しさ勝る。その時代の価値観である。
つまり、これは解説で触れられる事だが、言論の自由と法のもとにおける平等をたてまえとする民主制下のアテナイでは、人は国民全体の集会である国民議会や陪審法廷の世論を動かすことによって国政を支配し、あるいは身の保全と立身をはかることができたという。そのために言論技術が重要であった。弁論術とは、まさに時代の要請であった。
そこでその弁論術。ソクラテスと恋人のパイドロスの対話形式で、愛 -
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ネタバレ素直な青年テアイテトスを相手に「知識とは何か」を問答する対話篇。この問いにテアイテトスとソクラテスは「知識とは知覚である」「知識とは真の考えである」「知識とは真の考えに説明規定が加わったものである」と3つの仮定を立てて検討するが、結局どれも否定されて終わるという久々にソクラテスらしい結末である。独自の親切丁寧な見出しに100ページ超の解説がついているが、それでも難解だった。テアイテトスくんが素直で前向きに議論についていく分、展開はスムーズなんだけど。特に最後の方の字母がどうとか、全体と全部の違いとかの辺りが解説を読んでも理解が怪しい。「ソフィスト」とテーマ的に繋がっているようなので、そちらも読