ヘルマン・ヘッセのレビュー一覧

  • 車輪の下

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    ネタバレ

    今でこそ一般化している「教育虐待」だけど、この時代に過剰教育の悲惨さをかけたのはすごいと思う。
    親友と主人公、天才と秀才の対比が悲しかったな。
    それでいて情景の表現がきれいで面白かった。特に神学校に受かったあとのつかの間の休息、釣り、川、優越感、イキイキと輝いて見えた。最後はその川で死ぬっていう対比……
    つい最近まで受験生だったので特別に響いた

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    2024年11月27日
  • 車輪の下

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    現代の話と言ってもいいほどの本だと思った。
    教育の問題、教育現場での問題は、変わらないんだと感じた。
    教育に限らず、少年から青年への移行期に自分が考えていたことがそのまま書かれていたりして、普遍的な問題なんだなと再評価できたりした。

    自分が高校生の頃読んだことがあるけど、まったく覚えてなかった。子供を踏み躙る側の大人になった後の方が受け取るものが多いのだろうか。
    悲しいかな、教育者の側の考えもすごくよく分かると思ってしまう。自分が少年から青年への移行期から遠く離れてしまったからだろう。成長期の人間を信じてあげることができないんだろうな、と自分自身を振り返った。
    教える側である教師たちの欺瞞が

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    2024年10月12日
  • 郷愁

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    もっともヘッセらしい作品と高い評価がある作品。27歳の時の処女作とは思えない、高い完成形を見せる。

    大昔読んだ記憶では【遠きにありて故郷を思う青年の哲学的な心の揺れ】的なものと思っていた。
    今回、じっくり読むと些か様を異にしていた。
    山と水、そして取り分け雲を愛する筆者がカーメンチントに乗り移って故郷~スイス、アルプスに囲まれたエリアを思わせる地を基に、イタリアフィレンツェなど各地を旅する。
    愛しい人を想い、想われた人をも思い、若くして水死した知人を想い、縁あって身障の男性の最期を看取って人生の旅の先はふるさとへ戻ってきた。

    ペーターが口ずさむのは伊を始めとした歴史や広い精神の回想、詩歌。

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    2024年09月20日
  • 幸福論

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    回顧。生身のヘッセに触れられる。
    祖父、母、友、兄弟、姉、妹、場所、音楽や詩との関わりの始まり、宗教。それらヘッセを取り巻くもの、事はこれまで読んできた作品の背景にあったもの。興味深い。

    「予言者としての小鳥」のピアノ演奏も聴いた。作品の中にも出てくる音楽。ヘッセと音楽についてもっと深く知りたい。

    説明的な長文で『幸福論』が読みにくくわかりにくかった。

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    2024年06月06日
  • 車輪の下で

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    繊細すぎる主人公に寄せる共感は、残念ながら持ち合わせないが、俗物の大人たちには自分を含め思い当たる節だらけだ。自然世界を描く描写力の見事さと、俗物を淡々と理解して言葉にする能力の高さに圧倒された。

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    2024年05月17日
  • シッダールタ

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    仏教知識はほぼない自分でもとても楽しめた
    シッダールタが仏陀なのだと思ってたから仏陀が出てきて若干混乱
    仏陀っていっぱいいるのか…釈迦と仏陀はまた違うのか、仏教のこともっと知らないとなあ
    肉欲に溺れてギャンブル依存症ぽくなってたのも驚きで、でもそういう人だからこそ、この教えに悟りに辿り着いたというほうが希望だなとも思う
    言葉が最大のコミュニケーションツールで、仕事においても必要不可欠な昨今ついつい自然に言葉の偉大さに額づいてしまうけど、作家であるヘッセがこの考え方を書いているのが面白い
    彼の人となりがより気になった

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    2024年05月03日
  • ヘッセ詩集

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    生老病死をテーマに書いたエッセイ、詩を選んで編んだ作品集「人は成熟するにつれて若くなる」の中の数編の詩に共感し、他の詩も読みたくなりこの詩集を手に取る。生きること、揺れる心を書きながらも、花、蝶、風、草、木。自然が溢れていてほっとする。18歳から70余歳までの詩が収録されている。通ってきた道だから青春の揺れもわかるが、老年の私は老年期の詩を欲する。落ち着けて前向きになれる。

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    2024年04月30日
  • シッダールタ

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    主人公とお釈迦さまを同一人物と思い込み、最後につながりがあると予想して読んでしまいました。思い込みは駄目ですね。
    お釈迦さまが到達したところに、主人公が経験を重ねて辿り着く。
    思い込みが邪魔した部分があると思うので、もう一度読みたいと思います。

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    2024年04月22日
  • 青春は美わし

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    ネタバレ

    ヘッセの描く青春は、いつ読んでもやさしい。
    すべてが愛しい思い出になってくれるような、自分の中に溶け込んでいく、強いるところのない、なめらかな時の流れ。
    「時と日は夏の雲のように軽く跡もなく過ぎ去って行った。一日一日が色どられた絵であり、さまよう感情であった。ざわめいてわき起こって来て輝くかと思うと、たちまち夢のように余韻だけを残していくのだった。」
    この余韻をいつまでも大事にしていきたい。

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    2024年04月21日
  • 荒野のおおかみ

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    中盤ヘルミーネとの出会いからどんどん入り込んでいく感覚。
    そして仮面舞踏会からは怒涛の展開。ページをめくる指が個人比3倍速ぐらいになった。文章から湧き上がってくるような舞踏会の熱気、狂乱。
    からの最終盤、魔術劇場。
    終わり方は、もう何回か読んで意味を咀嚼し理解したいと思うが、間違いなく自分の中に残る作品だった。

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    2024年04月16日
  • 幸福論

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    ヘッセの晩年に書かれた手記をまとめた短編集。
    「盗まれたトランク」「中断された授業時間」「幸福論」「湯治手記」「クリスマスと二つの子どもの話」「小がらす」「マウルブロン神学校生」「祖父のこと」「秋の体験」「エンガディーンの体験」「過去とのめぐり会い」「過去を呼び返す」「マルラのために」「日本の私の読者に」を収録。
    過去の自分や家族の詩·物語、読者からの声を通じて過去を顧りみるものが多かった。
    大作家、それも若き日の苦悩をもって『車輪の下』を書いた著者の考える「幸福」とはどのようなものか、何故それを幸福と考えるに至ったのかが気になり読んだが、後者の問いに関しては答えが見出せず、前者の問いに対し得

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    2024年04月13日
  • 車輪の下

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    普通、ヘッセのこの本は、多感な思春期とかに読むべきもののはずですが、ちゃんと読んでなかったと記憶しているので、最近、買ってみました。
    こういう内容だったのか。。最後のほうが、今から考えると、私なりには、なんとも残念な気がしますが、自伝的作品ということなので、これは、悩み多き青春期を振り返って、著者なりに決別しようとしたのか。現実にはヘッセは生きてこの作品を執筆したので、ひとり流れ去らなかったことを後悔しているのか?

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    2024年03月31日
  • 知と愛

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    ネタバレ

    就学生の頃教科書で読んだ「少年の日の思い出」を書いたヘルマン・ヘッセが気になり、あの物語を書いたヘッセが「知と愛」という題名でどのような物語を書くのか気になり読み始めた。
    一回しか読むことができていないため浅い感想になってしまうが
    知を表すナルチスと愛を表すゴルトムントが初めて出会ったときはナルチスが修道院という俗世間から隔離された環境において神意をより理解していたと思われる。しかし、3度目に合うときはゴルトムントが愛や死、飢え、芸術、病、衰えを経験しており死さえも受け入れる心境になり、ナルチスですら理解できない考えを持っていた。そんな正反対な中でも互いに尊敬しあっている姿に感動した。

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    2024年03月31日
  • 青春は美わし

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    青春は美わしの方でアンナに対して「特に美しくない」などとあくまで自分が選別する側かのように言っていたのが少し嫌だったけど、恋をするときって確かにそういう傲慢さがあるかもなって思った。
    片思いをしている、いわば相手に弱みを握られているような状態なのに好意を抱く女の子2人を同時に遊びに誘ったり割とやりたい放題で笑っちゃう。
    久しぶりに帰ってきた故郷で見て感じたことや失恋を経て主人公の青春時代が終わることの切なさを感じられた。
    故郷という変わらないものと変わりゆく主人公の対比みたいなのがよかった。
    ラストを読んで主人公にとって青春は花火みたいなものだったんだろうなと、美しい。

    個人的にはラテン語学

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    2024年03月01日
  • ヘッセ詩集

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    ヘッセの詩集ですね。
    ドイツ最大の抒情詩人の18才のころの処女詩集から70の晩年に全詩集からの代表作の抜粋集です。
    高橋健二さんの訳も素晴らしく、どの詩編も心を打つものばかりです。
    生きる希望と、大自然との語らいは、生命の偉大さを吟え揚げています。
    病気の私にとっても、励みと癒しでじっくりと味わいました。

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    2024年01月29日
  • クヌルプ

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    学生時代に読んだ『車輪の下』以来のヘッセ。初恋で傷つきエリート街道から逸れて漂泊の人生を歩むようになったクヌルプについて描かれた3編からなる作品。自由に漂うことを楽しみ羨ましがられることもありつつ、無責任な孤独さをたしなめられたり自分自身でもどこか自分の人生を歩んでいないのではないかという他人事的な感覚もある歩み。そしてそんなクヌルプがその人生の歩みの最後の自身の人生をどのように総括するのか。時代背景や社会状況は異なってもクヌルプの傷つきやすさや感覚に共感する人は現代でも多いのでは。名作。

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    2023年12月10日
  • 知と愛

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    かなり好き。

    原題は、ナルチスとゴルドムント。

    ふたりの対比が美しく、知性だけだど人生の主役にはなれないかもなぁと感じた。

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    2023年11月16日
  • 知と愛

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    ネタバレ

     精神を求め知に奉仕する神学者のナルチスと愛欲を求め美に奉仕する芸術家のゴルトムントの友情の物語。そうは言っても、ナルチスは元々始めからほとんど完成されており、ナルチスがゴルトムントの気質を見抜き芸術家としての道を示した後は、ゴルトムントが思いのままに放蕩し芸術とは何たるかを理解し芸術家に至る成長の物語がメインとなる。
     ナルチスとゴルトムントの会話がお互いに下地となる思想と感情に根差したものになっており、それぞれの微妙に噛み合ってなさなどが表現されていて、議論のシーンは読んでいて楽しかった。また、心情描写がとても素晴らしく、ゴルトムントが自分の気質に気付くシーンやリディアとの交友のシーンなど

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    2023年09月25日
  • シッダールタ

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    内容はそれなりに難しいですが、おもしろい作品でした。何よりも文体が詩のように美しく、読んでいて心地良かったです。
    「言葉」は物事の一面を表したものでしかない、という部分にとても共感しました。

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    2023年06月03日
  • シッダールタ

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    ネタバレ

    自分がいかに無知であり、ある意味で凡人であるかを思い知らされる。

    「釈迦」の出家以前の名「シッダールタ」、悟りの境地に達するまでの苦悩、師、友、俗世、欲、自然、苦悩...数多の出会いと体験から学んだシッダールタが辿り着いた境地。

    興味深く読み終えることが出来ました。



    『車輪の下』『デミアン』等で知られるドイツの文豪・ヘッセが描いた、釈迦「悟りへの道」。
    20年にわたりインド思想を研究していたヘッセが、第一次世界大戦後に発表した。

    シッダールタとは、釈尊の出家以前の名である。生に苦しみ出離を求めたシッダールタは、苦行に苦行を重ねたあげく、川の流れから時間を超越することによってのみ幸福

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    2023年05月22日