ハンス。少年。繊細。秀才。小さな町で一番の神童。神学校に入り、自由奔放で怠け者の友人(ヘルマン)ができると、次第に勉学から遠ざかっていく。将来を期待され、ちやほやされてきたハンスだったが、徐々に周囲の態度は冷たくなる。ハンスはしだいに精神を病み、学校を退学。父親の紹介で機械工の仕事につく。ハンスは機械工の仲間と酒を飲んだ帰りに川に落ち、人知れず闇の中を流れていく。ヘルマン・ヘッセHesse『車輪の下』1906
〇ヘルマン・ハイルナー。ハンスの同級生。詩を作る。自由奔放。
〇エンマ。ハンスが想いを寄せる女の子。
〇フライク。靴屋の男。親方。信心深い。勉強ばかりするなとハンスをさとす。
2人の罪人のうち、1人は墓場の前で悔い改め、もう1人はそうしなかった。友人に選ぶなら、悔い改めなかった方だ。彼は自分の道を最後まで歩み、最後になって、それまで彼を助けて来た悪魔と手を切ったりしない▼ある人間を憎むとき、私たちは自分自身の中に巣くっている何かをその人間の像の中で憎んでいる。自分自身の中にないものは、私たちを興奮させはしない▼鳥は卵から無理に出ようとする。卵は世界だ。生まれようとする者は、ひとつの世界を破壊しなければならない。ヘルマン・ヘッセHesse『デミアン』1919
〇マックス・デミアン。救済者。善と悪の両極。アプラクサス(古代の神・神的なものと悪魔的なものの結合)。男性的であり女性的。
●フランツ・クローマー。悪。
〇ベアトリーチェ。清楚な乙女。
〇エヴァ。母性。
〇エミール・シンクレア。10歳。
マルテ。男。28歳。作家。病弱。神経過敏。孤独。パリの街での経験、幼少時代の回想を通じて、死と愛について考える▼パリでの経験。鉛筆を差し出す白髪の老女。神経疾患の老人。車を引き野菜を売る盲目の男。病んだ医学生。表情がない丸顔の娘。包帯ぐるぐるの人▼幼少時代。苦しんで死んだ祖父と父。机の下の赤鉛筆をおうとしゃがむと向かいの壁から痩せた大きな手がのびてくる。取れなくなった仮面▼愛されるとは亡びること、愛するとは亡びないこと。ライナー・リルケ『マルテの手記』1910 ※オーストリア
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トニオ。内気。詩が好き。夢見がち。芸術家になるべく、修行を積むが、卑俗なものへの憧れを捨てきれない。トマス・マンMann『トニオ・クレーゲル』1903
アシェンバハ。50代。男。作家。ドイツの田舎の別荘に閉じこもって仕事。人生に疲れ、仕事にも行き詰まったため、異国の地ヴェニスで過ごすことに。そこでタドゥツィオという美少年に出会う。ギリシア彫刻のように美しい少年に陶酔していく。やがてヴェニスにコレラが蔓延しはじめる。老いて醜いアシェンバハは若作りのために化粧。熱病に罹ったかのように美に囚われる。少年がヴェニスを去る日、アシェンバハは美しい少年を追い求めながら、ヴェニスの海辺で息絶える。トマス・マンMann『ヴェニスに死す』1912 ※ルキーノ・ヴィスコンティ映画(1971)
ハンス・カストルプ。23歳。大学を卒業したばかり。ハンブルク出身。病気の従弟(いとこ)を見舞いに、スイスの山にある療養所にやって来た。死と病気の空気が支配する「魔の山」。3週間後、ハンスは体調を崩し、肺浸潤と診断され、「魔の山」の客ではなく、住人になってしまう。時間のない生活、心配も希望もない生活、停滞していながら、うわべだけは活発に見える放縦な生活、死んだ生活。悪魔が権力を掌握して、支配権を宣言した。悪魔の名は鈍感だった。気づけば7年が過ぎていた。しかし、ある日、第1次大戦がはじまり、ハンスは目が覚め、熱狂に身を投じる。死は自由・冒険・無形式・快楽。理性は死の前に立つと滑稽に見える。死を克服するのは愛だけ。理性ではなく愛が善良な思想を生み出す。トマス・マンMann『魔の山』1924
※ベルクホーフ。スイスの山にある療養所(サナトリウム)の名前。保養地ダヴォス(毎年ダヴォス会議が開かれる場所)。
〇ヨアヒム。ハンスのいとこ。スイスの山の療養所で静養。生真面目。退所して軍人になるも、再び入所。病死。
〇クロコフスキー。医者。
〇セテムブリーニ。イタリアの文学者。人文主義。人間の尊厳。啓蒙。理性。真理。
〇ナフタ。教授。冷笑。共産主義。神秘主義。自然は人間のためにある。セテムブリーニと思想的に対立。セテムブリーニと決闘の末、自分の頭を銃で撃って自殺。
〇ショーシャ。女。妖艶。だらしない。ハンスが恋を打ち明ける。
〇ベーベルコーン。ショーシャの愛人。楽観。理想。富豪。豪快。本能。酒飲み。自殺。
◆死・病気への興味は、生への興味の一形態にほかならない。
◆馬鹿にも様々な種類があって、利口は馬鹿のうちのあまり感心しない一種である。
※シューベルト「菩提樹」
他人の感情生活に想像力を働かせる。察知する。トマス・マンMann『若いヨゼフ』
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グレーゴル・ザムザ。ある日、目が覚めると巨大な害虫に。父親は息子への態度を変え、リンゴを投げつけてくる。妹グレーテは初めのうちは兄の面倒をみるが、次第に態度を変え、兄を疎ましく思うように。家族の厄介者。グレゴール「自分は消えてなくならなくてはならない」。グレゴール、息を引き取る。グレゴールの死骸を見た家族は、ホッとした様子で、生気を取り戻し、将来に希望を抱く。フランツ・カフカKafka『変身』1915 ※チェコ
無実の罪で逮捕され、裁判にかけられ、死刑になる。フランツ・カフカKafka『審判』1925
フランツ・カフカKafka『城』1926
ピーチャム。男。ロンドンの裏町ソーホー区で、ホームレスたちを利用して商売をしている。ピーチャムの愛娘ポリーが、窃盗団の男メッキーと結婚してしまう。ピーチャムは怒り心頭、娘を奪った男メッキーを逮捕・処刑に追い込もうとするが、張りぼての馬に乗った女王の使者が現れ、メッキーに恩赦を与え、メッキーを貴族に列する。ベルトルト・ブレヒトBrecht『三文オペラ』1928 ※ジョン・ゲイ「乞食オペラ」(1728)が元。
※銀行の設立に比べれば、銀行強盗なんぞ大したことはない▼街角に立ってる腕のない人を見ると、えらく心を動かされて、10ペンスを恵んでやる気持ちになる。しかし、二度目に見ると、5ペンスに減り、三度目には警察に引き渡してしまう。
アンドレア「英雄のいない国は不幸だ」、ガリレオ「英雄を必要とする国が不幸なのだ」。ベルトルト・ブレヒトBrecht『ガリレイの生涯』1939
純粋な信念の人、宗教に夢中になる人、世界を変革・改善しようとする人。高い志にもかかわらず、自分でも嫌っている殺戮と惨禍を引き起こすのはこういう人たちである。シュテファン・ツヴァイクZweig『ジョゼフ・フーシェ―ある政治的人間の肖像』1930
ヨーゼフ・ロートRoth『聖なる酔っぱらいの伝説』1939
第二次世界大戦の前夜。ナチスからパリへと逃れてきた避難民たちの生活。エーリッヒ・レマルク『凱旋門』1946
オスカル。3歳のとき転落事故を起こして成長を止める。言葉を一切しゃべらず、ブリキの太鼓をたたくのが日課。特技はかん高い声で声でガラスを粉砕すること。第二次大戦では、小人の前線慰問団の一員として戦地をまわる。父がソ連兵に射殺され、再び成長することを決意。その後、殺人事件の容疑者として逮捕され、精神病院に収容されるが、2年後、真犯人が見つかり釈放。ギュンター・グラスGrass『ブリキの太鼓』1959
灰色の紳士。時間貯蓄銀行の外交員。人々に時間の無駄になることを止めさせ、時間を貯蓄するよう勧める。行きつけの飲み屋に行くのは時間の無駄。インコを世話するのも時間の無駄。本を読むのも無駄。友人に会ったり、母親とおしゃべりしたり、恋人に会いに行くのも時間の無駄。時間を1分でも節約。ただ節約・貯蓄した時間はその人の手元には残らず、奪われてしまう。時間を節約をしているつもりで、時間を失っている。時間どろぼう▼時間の節約に取り憑かれた人々はあくせく生きるようになり、人間らしさを失っていく。くたびれて、不機嫌、怒りっぽく、落ち着きがない。とげとげしい目つき。生活は画一的で冷たい▼モモは時間が貯蔵されている倉庫を見つけ出し、時間どろぼうを退治。人々に心豊かな生活が戻る。ミヒャエル・エンデEnde『モモ』1973
〇モモ。女の子。黒髪。巻き毛。特技は人の話を聞くこと。犬や猫、コオロギ、ヒキガエルにも耳を傾ける。木々のざわめく風にも耳をかたむける。自然体。廃墟になった小さな円形劇場に住んでいる。
〇カシオペイア。カメ。歩みが遅い。せかせかしない。灰色の男たちからモモを助ける。予知能力。
〇マイスター・ホラ。時をつかさどる。時間の国。
※現代社会と人間
ミヒャエル。15歳。少年。36歳の女ハンナと恋仲。文盲のハンナはミヒャエルに会うたびに「本を朗読してほしい」と言う。朗読し、シャワーを浴び、愛し合う。しかし、ある日、ハンナは突然、姿を消す▼数年後、大学(法学部)に進学したミヒャエル。大学の授業でアウシュヴィッツ強制収容所の裁判を聴講。なんと、そこには被告人として法廷に立つハンナの姿。ハンナは強制収容所の看守をしていた過去があり、罪に問われていた。ハンナに無期懲役の判決が下り、刑務所に収監される▼ミヒャエルは文盲のハンナのために文学作品を朗読した声をカセットテープに録音し、ハンナに送り続ける。18年が経過、ハンナは恩赦が認められ、出所することに。ミヒャエルは出所後に住む家などを準備。出所日の前日、刑務所を訪問して、ハンナに再会。ハンナは老人のような外見で、老人のような匂いがする。声は若いときのままだ。出所日の朝、ハンナは首を吊って死ぬ。ベルンハルト・シュリンク『朗読者』1995