【感想・ネタバレ】シッダールタのレビュー

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Posted by ブクログ 2023年06月07日

聡明な、でも生きることに疑問を抱いている主人公が、さまざまなな体験を通して、ついには悟りを得る話。

主人公の名はシッダールタで舞台はインドだけど、あの仏教の開祖仏陀の話ではありません。仏陀は別人としてシッダールタの前に現れます。自分にはなかなか難しくて、読むペースもゆっくりになったけど、読んで本当...続きを読むに良かった。めっちゃいろいろ考えた。メモまで書きながら読んだ。

シッダールタは仏陀に教えを乞いながら、彼の元を離れる。それは「仏陀の教えは素晴らしいけれども、言葉ではそのすべてを伝えることは不可能=じゃあ自分で悟らなきゃダメじゃん」という理由だと読んだ。んで悟りを得るために?俗世に戻るも、元が聡明なシッダールタはそれでもダメだと絶望しかける。でも川のほとりで渡し守と暮らすうち、何事にも完全なピュアなものなどなく、さまざまな面を持ってるんだ、悪あってこその善なのだと気づき、悟りを得るために自分の人生はこれでよかったと最後救われて終わる。

話自体は短いのに、めっちゃいろいろ考えて、あー読んでよかったと心に残る一冊になった。
そしてこの感想も、言葉にした途端なんか陳腐になってしまい、でも書かずにはいられない、そんな切なさも感じた。
いいですね、ここまで考える読書。純粋に楽しむ話は大好きだけど、こういうのもこれからも読んでいきたいです。

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Posted by ブクログ 2023年03月26日

時間は存在しない。
世界をありのままに受け入れる。
万物を愛し、繋がる。そこに善と悪、生と死という概念はない。

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Posted by ブクログ 2023年03月20日

 人が苦しみの中にあるとき、救いというものは、それほど多くあるわけではない。家族や友人の励まし。信じる教え。あるいは、大好きな景色や音楽。そして、大切にしてきた言葉。私たちは、苦しみをどう抱え、向き合い、乗り越えていくのか。
 もし一冊の本が、苦しむ誰かを支え、乗り越える助けとなるなら、本は、信頼す...続きを読むる友人一人に匹敵する。その言葉は、自分の中で声となって響く。それは、ただの知識や語彙ではなく、人間の言葉として残り、私たちが生きることを肯定する。小説が、随筆が、詩集が、格言集が、私たちの中に感触となって残り、私たちは自分の人生をその感触に重ね合わせて生きる。
 この小説は、ブッダの出家以前の名前。この小説は、ブッダが悟りに至るまでの、求道者としての体験を書いたもの。悟りへの手段である禁欲を目的化せず、自身の快楽への深い欲を見つめながら、一歩ずつ清澄な境地へ至るさまは、それが高い次元のことにもかかわらず、世俗に生きる私たちに共感を与える。それは私たちが、現実を生きながらも、内面では、澄み切った境地へ至りたいと願っているからかもしれない。とすれば、この小説は、私たちに寄り添う「友人」になり得るだろう。私たち自身の中にはシッダールタがいるのだ。(K)
「紫雲国語塾通信〈紫のゆかり〉」2011年4月号より。

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Posted by ブクログ 2023年01月13日

聖人として生まれ(たと思いこみ)、聖人として真摯に学んだ青春。共に学んできた友と別れ、自分の道を歩み出した時、周りとの乖離を感じて、世間を知るためという口実で周りと一緒になって遊び、金を稼ぎ、気づいたら中年に。子を得たが、自分の思い通りにならない存在を前に自己受容を学ぶ。子育てを終えた頃、初めて聖人...続きを読むでありそうでないこともあるのが人であると理解する。
という人間そのものの話。人生そのものの話だった。
ただ今の私には理解しきれない点があった。
「時間は存在しない」ということ。
まだわからない。いつか分かる日まで。

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Posted by ブクログ 2022年03月06日

ヘルマン・ヘッセの著書を読むのは初めてでしたが、非常に美しく著者の思想が表現されていました。
本書の最後でシッダールタが親友ゴーウィンダに説教するときに、一つの真理は常に、一面的である場合にだけ、表現され、ことばに包まれるのだと説いています。つまり、善悪、優劣、喜怒哀楽などのことばは全てある側面から...続きを読む見ているだけに過ぎないということです。
じゃあどうすれば真理を理解できるのか、それは自分で様々なことを経験することだと著者の分身であるシッダールタは説いています。
何者から与えられたものよりも自分の経験に勝るものはない、百聞は一見にしかずというやつです。
このことばを忘れず私も動くということを忘れずに生きていきたいです。

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Posted by ブクログ 2021年10月24日

「ゆく河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず」とは、あまりに有名で、あまりにも示唆的な方丈記の冒頭である。そこんとこ詳しく教えて下さいよ長明さん、とばかり方丈記を手にとっても大したことは書かれておらず、がっかり。そんなあなたは、本書を読むべき。よもや続きはこんなところにあったかと驚く。

...続きを読むッダールタという題名から、釈迦の話かと思い込んでいたが、架空の人物を主人公としたフィクションである。仏教の話ですらない。解説によると「ヘッセ自身の宗教的体験の告白」だそうである。

ピカソは絵が上手すぎて、「子供のように絵を描く」ために大変な努力をしたという。同様に、頭が良すぎる人が人生について考えれば、普通に生きることができず、悩むことになる。そんな主人公が苦労して辿った道、そして行き着いた先は・・・。

我々普通の人(本書でいう小児人)は悩まなくてよさそうなものだが、現代人は賢くなりすぎているせいか、生き方に悩んでいる人も多いようだ。そんな方も一度手にとって見るとよいのではないだろうか。

ただし、この本の翻訳は難解だった。私は読みすすめるうちに気にならなくなったが、挫折する人もいるかもしれない。他の翻訳がどんな風か知らないのだが、書店にあれば見比べて選ぶことをおすすめする。

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Posted by ブクログ 2021年08月24日

シッダールタという求道者が悟りの境地に達するまでの体験を描いた作品。あらゆる師の教えは決して彼を満足させられなかったが、自らの体験と苦悩を経て、すべてをありのままに受け入れることでシッダールタは悟りの境地に達する。高尚な言葉で綴られた書物よりはるかに、この本の中に真実が隠されているような気がする。ま...続きを読むた、教えというものを言葉にしてそれを目指した時、あらゆるものの一側面しか見ることができなくなる、というヘッセの言葉は、私の心にしみじみと染み渡ってきた。

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Posted by ブクログ 2020年09月05日

ヘルマンヘッセが書いた、古代インドを舞台とした真理を求める人の話。

名前はブッダと同じだが、本書では別人。
しかし本書内ではブッダとも邂逅するので、同世代の設定。

シッダールタは高名なバラモンの家庭に生まれ、幼い頃から教育された宗教的・哲学的教育を瞬く間に吸収する神童であった。
周りからは偉大な...続きを読むバラモンになることを期待されたが、自身の心中では最も重要な問い「自我とは。真理とは。」について既存の教えは答えてくれないことに悩み続けていた。

そんなある日、彼は苦行を律とする沙門たちに出会う。
シッダルータは父に反対されながらも、遂には説き伏せ友人ゴーウィンダと共に沙門の一団に加わる。

苦行の修行の中で、自分を捨て去ることはできず、修行によってもごまかすことしかできないと気付く。

そんな折、覚者ブッダの話を聞き、彼に会いにまた旅に出る。

ここでブッダに着いていく話ではなく、自分の悟りは自分でしか経験できないと気付き、心の赴くまま、旅に出る。

旅先で出会ったのは遊女、カマーラであった。
彼女に会ったことをきっかけに欲望にまみれた俗世間へ入り込んでいく。

清貧潔白な人生を歩む僧侶の話かと思いきや、両極端な人生を経験するという奇天烈な話。

自分では経験できないから羨んだりするものも、実は苦しかったり、自分が苦しいと思うことも見方を変えたら飄々としていることだったり、また自分がダメだと思うことがある人からは羨ましく見えたり。と様々な経験を追体験できる不思議な話。

ドイツ人であるヘッセがここまで仏教の本質的な話を書けたのはただただスゴイと思う。。

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Posted by ブクログ 2020年07月25日

無人島に行くなら持っていきたい一冊。シッダールタが堕落していく場面が、読者皆の人生の一場面と重なるような気がして救われた気持ちになった。(それにしてもシッダールタの堕落ぶりや行動にはツッコミを入れたくなる箇所は多々あるが笑)シッダールタはまさに自燈明を体現しており、自己ととことん向き合って悟りを開い...続きを読むた人。高橋健二さんの訳が美しく、何度でも読みかえしたくなる。

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Posted by ブクログ 2019年11月25日

 読み終えることが目的の読書でなく、読んでいる時間の豊かさを感じさせる読書体験だった。
 本作はブッダの生涯を描いた作品だと思っていたが、途中でそうではないことに気づいた。この話の主人公シッダールタはブッダとは別の、悟りを目指す男なのだ。ブッダは脇役として登場する。ベン・ハーのイエスのように見切れる...続きを読む程度に。シッダールタが若いうちから思索的な聡明な青年で、そのまま順調に悟りへと進んでいくのかと思いきや、人生の楽しさや苦しさにだいぶ翻弄される。人生を主体的に生きることは、座って客観的に考えるよりもよほど感情を揺さぶってくるものだというところに大いに共感する。人生を主体的に生きることが悟りにつながる様は、悟りを求めて修行のみに明け暮れるよりもプロセスとして非常にまっとうな描き方だと思う。

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Posted by ブクログ 2019年02月07日

ヘッセの中でも抜群に好きで、何かにつけて読み返してしまう。シッダールダが読むたびにキレキレで堪らない。
声に出して読みたい。師匠を老人呼ばわりし始めるクダリは、いつも声を出して笑ってしまう。

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Posted by ブクログ 2023年06月03日

内容はそれなりに難しいですが、おもしろい作品でした。何よりも文体が詩のように美しく、読んでいて心地良かったです。
「言葉」は物事の一面を表したものでしかない、という部分にとても共感しました。

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Posted by ブクログ 2023年05月22日

自分がいかに無知であり、ある意味で凡人であるかを思い知らされる。

「釈迦」の出家以前の名「シッダールタ」、悟りの境地に達するまでの苦悩、師、友、俗世、欲、自然、苦悩...数多の出会いと体験から学んだシッダールタが辿り着いた境地。

興味深く読み終えることが出来ました。



『車輪の下』『デミアン...続きを読む』等で知られるドイツの文豪・ヘッセが描いた、釈迦「悟りへの道」。
20年にわたりインド思想を研究していたヘッセが、第一次世界大戦後に発表した。

シッダールタとは、釈尊の出家以前の名である。生に苦しみ出離を求めたシッダールタは、苦行に苦行を重ねたあげく、川の流れから時間を超越することによってのみ幸福が得られることを学び、ついに一切をあるがままに愛する悟りの境地に達する。
――成道後の仏陀を讃美するのではなく、悟りに至るまでの求道者の体験の奥義を探ろうとしたこの作品は、ヘッセ芸術のひとつの頂点である。

【目次】
第一部
バラモンの子
沙門たちのもとで
ゴータマ
目ざめ

第二部
カマーラ
小児人たちのもとで
輪廻
川のほとり
で 渡し守
むすこ
オーム
ゴーヴィンダ

注解
解説 高橋健二

本文より
彼は初めて世界を見るかのように、あたりを見まわした。世界は美しかった! 世界は多彩だった! 世界は珍しくなそに満ちていた! ここには青が、黄が、緑があった。空と川が流れ、森と山々がじっとしていた。すべては美しくなぞに満ち、魔術的だった。そのただ中で、彼シッダールタ、目ざめたものは、自分自身への道を進んでいた。このすべてが、この黄と青が、川と森が初めて目を通ってシッダールタの中に入った。それは、もはやマーラ(魔羅)の魔法ではなかった。……(第一部「めざめ」)
※マーラ…修行の妨げとなるもの。悪魔。

ヘッセ Hesse, Hermann(1877-1962)
ドイツの抒情詩人・小説家。南独カルプの牧師の家庭に生れ、神学校に進むが、「詩人になるか、でなければ、何にもなりたくない」と脱走、職を転々の後、書店員となり、1904年の『郷愁』の成功で作家生活に入る。両大戦時には、非戦論者として苦境に立ったが、スイス国籍を得、在住、人間の精神の幸福を問う作品を著し続けた。1946年ノーベル文学賞受賞。

高橋健二(1902-1998)
東京生れ。東大独文科卒業。ドイツ文学者。第8代日本ペンクラブ会長、芸術院会員、文化功労者。1931(昭和6)年ドイツ留学中に、ヘルマン・ヘッセを識り、交流が始まる。『ヘッセ全集』の全翻訳と別巻『ヘッセ研究』で1957年、読売文学賞を、1968年、『グリム兄弟』で芸術選奨文部大臣賞を受賞する。『ヴァイマルのゲーテ』『ケストナーの生涯』などの著書の他に、訳書多数。

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Posted by ブクログ 2022年09月04日

『無』なんだなぁ。
なんて、わかったようなことを書いてみた。

ヘッセの精神性の深さに、これまで「車輪の下」しか読んでなかったことが悔やまれる。

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Posted by ブクログ 2021年10月11日

お父さんのオススメの本らしい。
悟り開けると思って読んでみたものの、
結構難しくてもう一度時間が経ったら読みたいなと思った。
時間はないっていうことが少し響いた。
人の後ろ(過去)にその人を表すものが並んでいるのでなはなく、その人の中にあると。
また、知識は誰にでも得られるけど、
知恵は経験しないと...続きを読む得られないということにも。
私はどうしても知識を得るだけで満足してしまうことが多い。お母さんの行動はいつも疑問に思ったりすることが多いけど、それが案外本質をついてたりする。それは、どんどん自ら経験して知恵を積み上げて自然にあるべき道を選んでいるからなんだなと。
わたしもそんな人間になりたい。

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Posted by ブクログ 2021年05月29日

学生時代に「車輪の下」を読んで以来のヘッセです。

いやぁ、深い・・人生において大切なものを気づかせてくれる一冊です。

涅槃の域を求めて流浪する求道者、シッダールタ。“バラモンの教え”“ストイックな苦行”を経て、カリスマ聖者・仏陀と出会います。(そう、タイトルから仏陀の話と思いがちですが、仏陀とは...続きを読む別の“シッダールタ”です)
一緒に修行してきたシッダールタの友は仏陀の弟子となりますが、シッダールタは“教えられる”という事では自我を克服できないと、一人流浪を続けます。
崇高な求道を続けると思いきや、敢えて“堕落”の生活も経験してみるシッダールタ。それでも彼の虚しさは増すばかりです。そんなシッダールタを受け入れたのは、川の渡し守・ヴァズデーヴァでした・・。
物語の中盤までは、シッダールタはどこか上から目線で、達観している感があったのですが、そんな“出来過ぎ”な彼が初めて、マジに悩んだのが「息子がいう事をきかない」という、“普通の父親”的なお悩みでした。息子への執着を通して、“普通の人”の感覚になり、そこから真理に近づいていく、終盤の2章は秀逸です。
すべての“経験”が(教えや修行だけでなく欲や執着も)真理への糧となるのかなと。
因みに私の中でのベストオブ“賢者”は、川の渡し守・ヴァズデーヴァだったと思います。彼の存在こそ真理であり、愛であり、究極の“在り方”ですよね。
この本は読みこむほど、気づきがあると思うので、今後ちょいちょい読み返してみたいと思います。

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Posted by ブクログ 2021年01月11日

読めるが初回は理解しにくい。
まだ早いかな、しっかりと感想を言葉で表せるようになるまではきっと2回目以降になる、、
率直に、人の出会いや別れ、再会とは、奇遇であるということ。

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Posted by ブクログ 2021年01月03日

真理に近づく為には実体験、経験こそが必要。教えられることだけでは決して近づくことはできない。
自発的に行動を起こし、失敗(経験)を繰り返し、自分の答えを導き出す事ことが必要。

傾聴することが大切。

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Posted by ブクログ 2020年09月08日

観念的、哲学的内容ではあるが、非常にわかりやすく書かれていて面白かった。
禁欲にて解脱を目指すのではなく、あるがままを愛していくという無意識の呼吸のような悟りにシッダールタは達するまでの話。

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Posted by ブクログ 2020年04月11日

バラモンの息子として生まれたシッダールタが父と決別し、友ゴヴィンダと沙門となり、ブッタと出会い友と別れ、カマーラとの快楽と、カーマスワーミからもたらされる物欲に溺れ、逃げて、川にたどり着き、渡守となり、息子と出会い逃げられ、友と別れ、友と再開する人生を賭けた旅の物語!

仏陀と同じ名を持つシッダール...続きを読むタは時に聡明で時に傲慢さも感じるが才覚と出会いに恵まれ、悟りに近づいていくようなお話です。

ヘッセの作品は初めてですが、最初、退屈かと思いきや川の流れのような健やかなる心穏やかにしてくれる物語です。

是非 春に読む一冊としてください!

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Posted by ブクログ 2018年11月17日

いい経験も、悪い経験もすべては学び。
そして出会う人はすべて師。
私も嫌な経験はたくさんしたけれど、すべては学びであって、必要なことだったのかもしれない。

ヴァズデーヴァとゴヴィンダのように、日々同じことを繰り返し行う、禅的な暮らしのほうが大変だと思う。
でも、それが大切なのですよね。

ヴァズデ...続きを読むーヴァの存在が、とても安心する。


余談ですが、映画『イコライザー1,2』に「よむべき名作文学100冊」が登場するのですが、これはその1冊に入っていました。

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Posted by ブクログ 2018年07月30日

きっと読んだときの年齢や状況によって、印象に残る文が違うのかなと思った。時間を空けて何年かに一度読みたい一冊。
「私は考えることができます。待つことができます。断食することができます。」

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Posted by ブクログ 2018年10月14日

マイナーでやや時代遅れ?とも言えるヘッセの中編に、このMediaMarkerのユーザ数が150以上も付いているのはフシギだ。有力な書評ブログにでも取り上げられているのであろうか。

ヘッセ自身の思索・求道の遍歴を、インド'風'の背景でシッダールタ(!)なる知的なキャラクターに仮託...続きを読むして寓話的に抽象化して描いたものだろう。

知識を求める欲、衆に抜きんでて高い視野を持ちたいとする欲、唯一完全な真理を求めようとする欲、愛欲、子供への愛情という煩悩、そして最後にたどりつくのは万物すべてを包むアルカイックである・・と。

たしかに国境や人種を超えて、世界普遍的にアピールすることのできる抽象まで結晶化されたヘッセらしい作品。

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Posted by ブクログ 2022年03月27日

最初の方は文章がちょっと読みづらくて、読み進めるのに時間がかかったが、途中からどんどん読みやすくなってきた。
人間は言葉とか思想じゃなくて、実際の経験の中で失敗したりして学ぶし、成長するんだなと思った。

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Posted by ブクログ 2022年03月26日

隅から隅までヘッセ。それもかなり宗教寄りのヘッセ。訳の影響もある気がするけど、最初は読み辛い。慣れるとそうでもない。宗教っぽくて一段上から物を言ってる感じなんだけど、結局のところ人間は人間らしくいるのが一番、そう言ってるように思える。人間界、ふるさとの心地良さ的な。川の声なんて川のすぐそばじゃないと...続きを読む聞こえない。人の声、人の心もまた同じ。感じる力を研ぎ澄ませ。

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Posted by ブクログ 2020年12月05日

 シッダールタは釈尊の出家以前の名前であるが、これは別の求道者の話。
シッダールタはバラモンの子であるが、普通のバラモン僧になる気はなく、父の反対を押し切って、沙門(苦行僧)の仲間入りをする。
 修行のなかで無我を目指し、誰よりも無我に近い所に辿りつけるが、疑問を感じる。ある日、仏陀に出会い、この世...続きを読むで一番尊敬出来る師だと思った。親友は仏陀の弟子になるが、シッダールタは「教えられる」ということには興味をもてなくなり、一人、仏陀からも沙門の仲間からも離れて修行を続けようとする。
 虚しさのあまり、考えぬいた結果、自我に目覚め、町のほうへ歩いて行く。随一の遊女カマーラに出会い、愛について教えを乞う。カマーラに会うためには収入が要ると言われ、カマーラに紹介された商人の所で働き始める。気がつくと、シッダールタは愛欲と金銭にまみれた軽蔑すべき生活を送るようになっていた。
 そんな自分にある日目覚め、川に身を投げて死のうとするが、出来ず、川の渡し守をしているヴァズデーヴァに出会い、彼の人の話を耳を澄ませて聞ける人徳に惚れて彼と共に渡し守として働くようになる。渡し守として様々な人びとと出会い、普通のささやかな幸せのために努力している人びとに愛情を感じるようになった。
 ある日、かつての愛人カマーラとその息子(シッダールタの息子)の渡し守をすることになる。何年ぶりかに会ったカマーラは毒蛇に噛まれてすぐに死んでしまい、シッダールタは息子を引き取るが息子はシッダールタに馴染まない。シッダールタは息子のことが可愛くて、心配で仕方ないが、ヴァズデーヴァは、馴染まない息子のことを愛情で縛り付けるのは、虐待と同じだと諭し、逃げる息子を追うなと言う。シッダールタはヴァズデーヴァに従い、息子を追わないが、愛する息子と離れ、悲しくて仕方がない。こんな感情を持ったのは初めてだった。川を覗くとそこに、彼の父の顔が映る(年老いた彼自身の顔)。彼自身も曾て父を捨ててきたのだった。生きとし生けるものは巡り巡る。川の流れのように続いている。

 普通に一生懸命働いて生活している人が悟っていることを随分回り道して悟ったのだな……というのが率直な感想。しかし、シッダールタは父親に逆らわず、そのまま進んでいれば身分の高いバラモン僧になっていたところ、それを捨て、一人で修行する道を選んだ。初めは高い所から人間を見下ろしていたけれど、最後には川の流れに教えられる謙虚な人間になった。

 最後に修行時代に別れた親友ゴーゥィンダに年老いてから再会した時に言った言葉。印象に残ったものを挙げておく。
「知識は伝えることが出来るが、知恵は伝えることが出来ない。」
「探り求めるとその人の目が探り求めるものだけを見る、ということになりやすい。その人は、常に探り求めたものだけを考え、一つの目標を持ち、目標に取り憑かれているので、何ものをも見出すことが出来ず、何ものをも心の中に受け入れることが出来ない。さぐり求めるとは目標を持つことである。これに反し、見出すとは自由であること、心を開いていること、目標をもたぬことである。」

 一般人は目標を持って頑張ることを良しとする。子供にだって「目標を持ちなさい」と教育する。しかし、シッダールタは目標を持つことよりも目標を持たず、心を開くことを良しとするを自分で学んだのだ。やはり人生をかけた修行をしてきたのだ。
 

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Posted by ブクログ 2020年11月03日

短い中でも遠回りをして、悟りに至るまでの苦悩が凡人にも分かり易く描かれていた。
けれども、何となく肌に合わず…今の私にはしっくりこなかった。もう少し年を重ねて、自分自身の人生と重なるところがあればまた違うのかもしれない。

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Posted by ブクログ 2020年08月16日

ラスト20ページぐらいは難しく、すっと頭に入り辛かったです。
しかし、一文ずつ、現代の考えに通ずるものがあり心を落ち着けて読むと達観できる部分がある。

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Posted by ブクログ 2020年04月28日

静かに穏やかに、心を鎮めてくれる文学。我々は軽々しく「煩悩」という言葉を使うが、それがどんなに切なく、また人間的なものなのかを知る。

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Posted by ブクログ 2020年03月19日

人の説教を聞くだけでは悟りを開くことは不可能。
自然に目を向けて、人生との共通点を見出すことが悟りを得る第一歩なのかも。

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