ヘルマン・ヘッセのレビュー一覧

  • デミアン

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    感想を書くのが難しい。哲学書寄りだが、小説の域を超えていないのがこの作品の魅力のように感じる。やはり少年時代特有の複雑な心情を描き出すのが抜群にうまい。読者は主人公と一緒にそれをなぞりつつ、各物語を共に体験し、共に考えることで、一緒に成長しているような気分になってくる。そういったさまざまな自己形成の段階を重ね、最後は生きていくことに対して一つの自信、指標のようなものを得られる。これは小説の読書体験として不思議で、そこがとてもユニークで魅力的に感じた。
    どうしてこんなに巧いんだと、恐ろしく感じるくらい繊細かつ的確な心理描写で、没入感がすごい。

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    2024年08月13日
  • シッダールタ

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    宗教色が強くて、悟りに関する複雑さを理解するのが難解でした。けれど、圧倒的な文章の美しさや精神世界の神秘性に圧倒されました。

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    2024年07月28日
  • 春の嵐

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    春の美しい描写、切ない心を表す文体に惹かれました。
    愛は切なく苦しいものだと、改めて思わされました。

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    2024年06月02日
  • 春の嵐

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    ネタバレ

     数あるヘッセの著作の中で『知と愛』に続く、かなり上位の作品となった。
     主要なテーマの一つとして、「青春と老い」があったと認識しているが、かつての青春の暗さもやがては心の内に定まるところを見つけ、私は今のところ否定的な言い方しか出来ないのだが、つまり人間は青春に限らず全ての過去を美化することしか出来なくなってしまうのか、という結末だった。その点で青春のうちに、愉しいうちに死ぬことを選んだムオトは私にとって最も美しく真実味を帯びている人物だったのかもしれない。しかし、私がもう少し年齢を重ねて再読した時は、この本は私にとって過去を掬いあげてくれる、綺麗にまとめられたものとなるのだろう。
     私は主

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    2024年05月21日
  • メルヒェン(新潮文庫)

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    頭を柔軟にして読むべし。そうでないと読みにくい。大人のための童話だと思うが、もしかしたら子供のほうがすんなりと受け止められるかもしれない。気づかされることが多かった。ヘッセらしさが充満している。

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    2024年05月04日
  • メルヒェン(新潮文庫)

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    読みにくい短編もあったけど、『アウグスツス』で一気に心惹かれて、凄く面白かった。
    『ファルドゥム』と『アヤメ』も好きだったな…
    大人の童話って言われているようだが本当にその通りで、宝箱にしまいたいような、温かさのある本だった。

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    2024年03月13日
  • 車輪の下で

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    ネタバレ

    バッドエンド、暗い話ウェルカムなので、最高なラストではあった。まぁ、夢オチ、とは言わないけど、ああいうラストはズルい感じもする。けど、わたしは、ああいう風に投げ出して解釈任せて想像させてくれるのも好きだから、良かった。
    うーん、でも、ハンスは何一つ間違っていないからこそ、彼を死なせてしまうことにより、やっぱ変わらない世間の肯定になってしまう、彼が車輪の下に轢かれてしまったことを証明してしまうことになるので、それは悔しい。やっぱ絶対生きててほしかった。ハンスは死んではいけなかった。

    全体も、試験前・試験後・神学校・地元に戻った後(過去の思い出・現在)、とにかくテンポが良くて、スラスラ読めた。

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    2024年03月07日
  • デミアン

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    第一次世界大戦に巻き込まれていく中、母国ドイツに対して反戦を訴えたことで社会的な批判を浴びたヘルマン・ヘッセ。初めて、自己の内面の追求というテーマに正面から取り組み、自身の罪に悩めるシンクレールに、罪を悪か善かで二分すること以外の選択肢を与える存在としての友人デミアンが、人生を通して関わってくる。夢の分析に傾倒していたヘッセの思考がよく反映されており、デミアンに似た女性、エヴァ夫人との現実での体験は超体験として新鮮に映っている。当時のヨーロッパの青年に大きな影響を与えたとされる短編小説。

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    2024年01月03日
  • デミアン

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    中学3年生のとき、父に手渡されたヘッセの『デミアン』。それからずっと、もうほんとうにずっと、私はデミアンの面影を追いかけている。
    文庫は父から引き継ぎ、わたしの本棚にある。高校1年、2年、3年、大学1年…毎年読み返した。(父がそう読んでいて、年々感じることが変化していった、と言っていたから)
    本当に大好きな小説。もろてをあげておすすめ!大大おすすめ!というのはなんだか違うかもしれないけれど、もしこれを読んでくださっているあなたが国語の教科書に載っていた『少年の日の思い出』に魅了されたのなら、ぜひ読んでほしいです。

    わたしの方は、そこからウテナを見て(お察し…)

    サンタ本

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    2024年01月22日
  • デミアン

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    心を病んでいた時に読んだので心苦しくなる場面も多々ありましたが、デミアンの言葉やシンクレールの移り変わる心情が所々で私の救いになりました。
    また読みたいな。

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    2023年11月23日
  • デミアン

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    ヘッセの本はあらかた読んだが、個人的にはこの作品が一番引きが強かった。

    見栄のためにホラ話をしたのがきっかけで秘密を抱えたシンクレール少年は、デミアンという転校生に助けられる。そのデミアンとの接近が、シンクレールの自立と自己の深淵を覗き込む動きを間接的に手助けし、彼は思想的にも成長していく。
    最後の方は少しスピリチュアルすぎる感もあるが、だからこそタイトルが「デミアン」なのだ、という感じのある印象的な終わり方。

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    2023年09月09日
  • 車輪の下で

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    確固たる理由を持っている場合よりも、なんとなく衝動に任せて行動してしまうケースの方が遥かに多い。

    主人公ハンスがなぜあのような最後を迎えたのか。私には明確な理由はないように見えた。精神を削られ、朦朧とした意識になっていたとはいえ、若さゆえになんとなく身を任せてしまったのだろうと。ただ、それが非常にリアルだなと思った。

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    2023年08月04日
  • シッダールタ

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    ネタバレ

    聡明な、でも生きることに疑問を抱いている主人公が、さまざまなな体験を通して、ついには悟りを得る話。

    主人公の名はシッダールタで舞台はインドだけど、あの仏教の開祖仏陀の話ではありません。仏陀は別人としてシッダールタの前に現れます。自分にはなかなか難しくて、読むペースもゆっくりになったけど、読んで本当に良かった。めっちゃいろいろ考えた。メモまで書きながら読んだ。

    シッダールタは仏陀に教えを乞いながら、彼の元を離れる。それは「仏陀の教えは素晴らしいけれども、言葉ではそのすべてを伝えることは不可能=じゃあ自分で悟らなきゃダメじゃん」という理由だと読んだ。んで悟りを得るために?俗世に戻るも、元が聡明

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    2023年06月07日
  • 車輪の下で

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    優等生の少年ハンスの苦悩と破滅が描かれた小説だが、本筋以外にも様々な楽しみ方ができる。一粒で何度も美味しいタイプの本。

    第1,2章は神学校の試験に向けた勉強と受験本番、そして受験後の解放というハンスの心情の移り変わりが秀逸。情景や周辺人物の描写も、ともすれば必要以上なほどに詳細ですぐに作品世界に入り込めた。ぼく自身の受験時代を思い返し、これでもかと感情移入してしんどくなりつつ、それでも眩しかった。

    そして第3,4章は青春小説。同じくドイツの『飛ぶ教室』のごとき、少年たちの若さと美しさに目が潰れそうになる。特にハイルナーとハンスの友情はもはやブロマンスの域を超えており、かといって同性愛でもな

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    2023年04月09日
  • シッダールタ

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    時間は存在しない。
    世界をありのままに受け入れる。
    万物を愛し、繋がる。そこに善と悪、生と死という概念はない。

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    2023年03月26日
  • シッダールタ

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     人が苦しみの中にあるとき、救いというものは、それほど多くあるわけではない。家族や友人の励まし。信じる教え。あるいは、大好きな景色や音楽。そして、大切にしてきた言葉。私たちは、苦しみをどう抱え、向き合い、乗り越えていくのか。
     もし一冊の本が、苦しむ誰かを支え、乗り越える助けとなるなら、本は、信頼する友人一人に匹敵する。その言葉は、自分の中で声となって響く。それは、ただの知識や語彙ではなく、人間の言葉として残り、私たちが生きることを肯定する。小説が、随筆が、詩集が、格言集が、私たちの中に感触となって残り、私たちは自分の人生をその感触に重ね合わせて生きる。
     この小説のタイトルは、ブッダの出家以

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    2024年05月13日
  • シッダールタ

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    聖人として生まれ(たと思いこみ)、聖人として真摯に学んだ青春。共に学んできた友と別れ、自分の道を歩み出した時、周りとの乖離を感じて、世間を知るためという口実で周りと一緒になって遊び、金を稼ぎ、気づいたら中年に。子を得たが、自分の思い通りにならない存在を前に自己受容を学ぶ。子育てを終えた頃、初めて聖人でありそうでないこともあるのが人であると理解する。
    という人間そのものの話。人生そのものの話だった。
    ただ今の私には理解しきれない点があった。
    「時間は存在しない」ということ。
    まだわからない。いつか分かる日まで。

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    2023年01月13日
  • 車輪の下で

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    ノーベル賞作家ヘルマン・ヘッセの代表作のひとつ。大人たちの期待と詰め込み教育に押しつぶされる少年の軌跡。

    悲痛な話だ。日本人に特に人気があるというのも、少年ハンスにはどこかしら共感するものが多いからだろう。繊細な感性と周囲の視線。友情と恋愛における齟齬。思春期における様々な問題のすべてが、何かをかけ違えたようにうまくいかなかったら、誰もが同じような苦悩に埋没してしまうかもしれない。そのリアリティと、教育のあり方に対する糾弾は、今の日本人にとっても他人事ではないと思えた。泣ける体力のあるときに読んでおきたい名作。

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    2022年07月07日
  • 車輪の下

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    自然や風景の描写や心情表現がとても美しくて、魅力的だった。車輪はギリシア神話(?)の、運命を象徴するもののことで、心身ともに健康で美しい思い出に溢れた時代と、知識。おとなからの押し付けでからだも心も壊していく神学校時代のことを車輪の下にしているのかなと思ったが違った。
    何度か読み返したくなる本。

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    2022年04月27日
  • 車輪の下で

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    日本語訳が非常にわかりやすく、文学初心者の私でも読み終えることができた。

    主人公ハンスに性格や思考に共感できるところは少なからずあったので、飽きなく読めた。主人公の最終的な結末をみて、少なからず同情の念はわいた。本当の意味で主人公ハンスを理解し支えてくれる大人がいれば、こんなことにはならなかったのではないかと思う(母がまだ存命で、友人も退学したければ、こんなことにならなかった?)。

    ドイツの田舎の美しい自然描写や街の暮らしなどが細かく表現されていて読んでて楽しかった

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    2022年04月08日