ヘルマン・ヘッセのレビュー一覧
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感想を書くのが難しい。哲学書寄りだが、小説の域を超えていないのがこの作品の魅力のように感じる。やはり少年時代特有の複雑な心情を描き出すのが抜群にうまい。読者は主人公と一緒にそれをなぞりつつ、各物語を共に体験し、共に考えることで、一緒に成長しているような気分になってくる。そういったさまざまな自己形成の段階を重ね、最後は生きていくことに対して一つの自信、指標のようなものを得られる。これは小説の読書体験として不思議で、そこがとてもユニークで魅力的に感じた。
どうしてこんなに巧いんだと、恐ろしく感じるくらい繊細かつ的確な心理描写で、没入感がすごい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ数あるヘッセの著作の中で『知と愛』に続く、かなり上位の作品となった。
主要なテーマの一つとして、「青春と老い」があったと認識しているが、かつての青春の暗さもやがては心の内に定まるところを見つけ、私は今のところ否定的な言い方しか出来ないのだが、つまり人間は青春に限らず全ての過去を美化することしか出来なくなってしまうのか、という結末だった。その点で青春のうちに、愉しいうちに死ぬことを選んだムオトは私にとって最も美しく真実味を帯びている人物だったのかもしれない。しかし、私がもう少し年齢を重ねて再読した時は、この本は私にとって過去を掬いあげてくれる、綺麗にまとめられたものとなるのだろう。
私は主 -
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ネタバレバッドエンド、暗い話ウェルカムなので、最高なラストではあった。まぁ、夢オチ、とは言わないけど、ああいうラストはズルい感じもする。けど、わたしは、ああいう風に投げ出して解釈任せて想像させてくれるのも好きだから、良かった。
うーん、でも、ハンスは何一つ間違っていないからこそ、彼を死なせてしまうことにより、やっぱ変わらない世間の肯定になってしまう、彼が車輪の下に轢かれてしまったことを証明してしまうことになるので、それは悔しい。やっぱ絶対生きててほしかった。ハンスは死んではいけなかった。
全体も、試験前・試験後・神学校・地元に戻った後(過去の思い出・現在)、とにかくテンポが良くて、スラスラ読めた。
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中学3年生のとき、父に手渡されたヘッセの『デミアン』。それからずっと、もうほんとうにずっと、私はデミアンの面影を追いかけている。
文庫は父から引き継ぎ、わたしの本棚にある。高校1年、2年、3年、大学1年…毎年読み返した。(父がそう読んでいて、年々感じることが変化していった、と言っていたから)
本当に大好きな小説。もろてをあげておすすめ!大大おすすめ!というのはなんだか違うかもしれないけれど、もしこれを読んでくださっているあなたが国語の教科書に載っていた『少年の日の思い出』に魅了されたのなら、ぜひ読んでほしいです。
わたしの方は、そこからウテナを見て(お察し…)
サンタ本 -
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ネタバレ聡明な、でも生きることに疑問を抱いている主人公が、さまざまなな体験を通して、ついには悟りを得る話。
主人公の名はシッダールタで舞台はインドだけど、あの仏教の開祖仏陀の話ではありません。仏陀は別人としてシッダールタの前に現れます。自分にはなかなか難しくて、読むペースもゆっくりになったけど、読んで本当に良かった。めっちゃいろいろ考えた。メモまで書きながら読んだ。
シッダールタは仏陀に教えを乞いながら、彼の元を離れる。それは「仏陀の教えは素晴らしいけれども、言葉ではそのすべてを伝えることは不可能=じゃあ自分で悟らなきゃダメじゃん」という理由だと読んだ。んで悟りを得るために?俗世に戻るも、元が聡明 -
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優等生の少年ハンスの苦悩と破滅が描かれた小説だが、本筋以外にも様々な楽しみ方ができる。一粒で何度も美味しいタイプの本。
第1,2章は神学校の試験に向けた勉強と受験本番、そして受験後の解放というハンスの心情の移り変わりが秀逸。情景や周辺人物の描写も、ともすれば必要以上なほどに詳細ですぐに作品世界に入り込めた。ぼく自身の受験時代を思い返し、これでもかと感情移入してしんどくなりつつ、それでも眩しかった。
そして第3,4章は青春小説。同じくドイツの『飛ぶ教室』のごとき、少年たちの若さと美しさに目が潰れそうになる。特にハイルナーとハンスの友情はもはやブロマンスの域を超えており、かといって同性愛でもな -
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人が苦しみの中にあるとき、救いというものは、それほど多くあるわけではない。家族や友人の励まし。信じる教え。あるいは、大好きな景色や音楽。そして、大切にしてきた言葉。私たちは、苦しみをどう抱え、向き合い、乗り越えていくのか。
もし一冊の本が、苦しむ誰かを支え、乗り越える助けとなるなら、本は、信頼する友人一人に匹敵する。その言葉は、自分の中で声となって響く。それは、ただの知識や語彙ではなく、人間の言葉として残り、私たちが生きることを肯定する。小説が、随筆が、詩集が、格言集が、私たちの中に感触となって残り、私たちは自分の人生をその感触に重ね合わせて生きる。
この小説のタイトルは、ブッダの出家以