あらすじ
誇りと喜びにあふれて首都の神学校に入学したハンスがそこで見いだしたものは、詰めこみ主義の教育と規則ずくめの寄宿舎生活であり、多感で反抗的な友人の放校であった。疲れ果てて父の家に戻った彼は機械工として再び人生を始めようとするが……。重い「車輪の下」にあえなく傷つく少年の魂を描くヘッセの永遠の青春小説。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
ハンスが希望を持って神学校に入学したのに、その後の挫折は現実社会でありがちなこと。優秀な人間は、いくらだっていて、その中で挫折せずに成長できるのはほんのわずか。挫折を糧にして前へ進んで欲しいのは願望。
私にはハンスも父親の気持ちもよく分かった気持ちになった。
Posted by ブクログ
青春期の心のなかのあれやこれが、あまりにも高い解像度で描かれていた。この本を読んでいるとまるで禁忌を犯しているような、甘美な背徳感を感じた。なんというか「エロ本」を読んでいるのに近い感覚なのかもしれない。
僕はハンスであり、ハイルナアである。自分とちがったものの見方をする人に惹かれるし、独自の思想と言葉を持っている人に惹かれる。そして、いわれのないすこしきどったようなゆううつの発作になやんでいる。ハンスの、ハイルナアへの甘い耽溺。(これがブロマンスってやつですか?)ふと私があの時期に感じていた友人への「好意」を思い返した。今となれば恥ずかしいことだが、あのときは真剣だった。「ふつうの恋愛なんてできないんじゃないか」。そんなことを彼への「愛」を感じてしまったために悩んだ夜があった。うう、苦しい苦しい。これを書いている今、ここに描かれていたのは「あのとき」のことだと思い込んでいるが、希死念慮はいまも自分の側にあるし、これって今の話なのかもしれない。
やっぱり思うのは、感性は鈍りゆくものであるということ。できるだけ世界が輝いているうちに、できるだけ強くそのときめきを感じ取らなきゃ。「若いうちに読めてよかった」なんて言葉があるけれど、本当にそのとおりなんだと思う。車輪に押しつぶされてからじゃ遅い。取り返しがつかない。ときめけるうちにときめくこと。これは大切にしていきたいね。
Posted by ブクログ
あらすじ
秀才のハンスは周囲の期待に応えようと、ひたすら勉強に打ち込み、難解な試験に合格して神学校に入学するが次第に押しつぶさていく…。
休暇も勉強に費され、大好きなものまで取り上げられてしまう。
ハンスは真面目で良い子過ぎるがゆえに、嫌なことも言えず、好きなことをやりたいとも言えず、周りの期待に応えようと頑張ってしまう。
大人達はハンスのために「良かれ」と思ってやっている。
・得意で好きだった勉強が、どのようにして辛くなっていったのか。
・大人達のどのような言動がハンスの心を潰していったのか。
その時々のハンスの心理描写がとても詳細にわかりやすく書かれている。
私は親なので、自分がハンスの親ならばどうしたら良かったのかをつい考えてしまう。
・親の顔色を伺うのではなく、自分の意見を持つことの大事さを伝える。
・子供時代に思いっきり遊ぶのは1番大切で貴重な経験で、大人になってからはできないことなのでそれを取り上げない。
私も子どもたちにもっとこうすれば良かったと思うことはたくさんある。
一人一人性格も個性も違うし、正解が何かはわからないから子育ては本当に難しい。
この作品はヘルマン・ヘッセの自伝小説ということを読後に知った。
リアルな心の叫び声が苦しくて読むのが辛かったけど、読んで良かった。
Audibleにて。
Posted by ブクログ
自然や風景の描写や心情表現がとても美しくて、魅力的だった。車輪はギリシア神話(?)の、運命を象徴するもののことで、心身ともに健康で美しい思い出に溢れた時代と、知識。おとなからの押し付けでからだも心も壊していく神学校時代のことを車輪の下にしているのかなと思ったが違った。
何度か読み返したくなる本。
Posted by ブクログ
教育とは敷かれたレールの上を歩かせるだけのものなのか。一人の貴重な人間の将来が奪われてしまったことに悲しみを覚えた。
最後の酔っぱらった中での溺死は事故なのか、故意なのか描かれていなかったが私は自ら川に入ったのだと思う。
救われない少年の話
Posted by ブクログ
教育とは何なのかを考えさせられる
良いとされる人生のレールに子供を乗せる親や教師、そして自分の周りの狭い世界の中では成功しそのレールに乗ることを望んでいる子供は自分の運命がわかっていない
何も考えずにレールを進む子供もいれば、多感な時期を過ごす中でそのレールから外れてしまう子供もいる
そして死んでしまったハンス。その死因は語られない。
そのことがむしろ、読み終わった後に、彼の周囲の彼への期待や強制を自分と照らし合わせて内省に向かわせる。
以下、あるサイトからのコピペ
+++
主人公ハンスは、他の子供たちと同様に自然や動物を愛する素朴な少年。
唯一違うのは、彼は学問に優れた天才であること。
ハンスは父親や学校の先生など周囲の大きな期待を背負い、一心不乱に受験勉強をする。
そして見事、エリート神学校への合格を果たすのだ。
しかし、神学校での規則や価値観に縛られた日々は、ハンスの神経を弱らせる。
彼は神学校を中退して、「脱落者」という不名誉な称号と共に帰省。
かつてエリートだったハンスは、同郷の仲間たちよりも遅れて肉体労働の見習いとなる。
それは肉体的にも精神的にも苦痛なことだった。
物語のラストで、ハンスは死体となって川で見つかるのである。
ハッピーエンドの小説が多い中、今作は主人公が死んで物語は終わりを告げる。
死因は分からない。
死ぬ直前に、ハンスは酩酊していたから、事故で川に落ちたのかもしれないし、もしかすると自殺したのかもしれない。
とにかく主人公の少年が死んで物語は終る。
「車輪の下」は救いのない小説と言われる。
確かに、小説を読み終わった後、陰鬱な気分になるだろう。
しかし、この救いのない作品は、現代人を救ってくれる一冊でもある。
僕達は成功体験からだけ学ぼうとしている。
でも、成功者から学んだとしても、誰もが彼らと同じように成功できるとは限らない。
一方、僕達は失敗体験からも学ぶことができる。
誰もが先人達の失敗を教訓に、人生を正しい方向へと導くことができるのだ。
100年以上前の作品ながらも、「車輪の下」は現代人の必読書である。
だって、誰もがハンスになる可能性があるのだから。
良い学校、良い仕事に就くことだけが、幸せなのだろうか。
周囲の視線や期待、価値観に捉われすぎて、自分らしさを失ってはいないだろうか。
僕達はハンスであり、だからこそハンスのような結末を迎えるのを避けなくてはいけない。
Posted by ブクログ
この若造の甘ったれ感が嫌いな人もいると思うけど、自分は好き。何せ、年を食った今でも甘ったれなので。
子供の人生が周りの大人の都合で決まってしまうってことはよくあることだと思うんだけど、よくあるってことが実は怖い。アシストしてるように見せかけて、実は目隠しした少年を自分の都合の良いように歩かせてるんだと思うと怖い。
それにしても情景の描き方がキレイ。どんどん引き込まれていく。目の前にその世界があるかのように。ここでその形容詞か?!って思うこともあるけど、まあ時代が違うし。言葉は生き物。
結局はみんな自分中心なんだから、自分中心に生きないと損。そう言われてる気がする。そうしないと戦車にひかれるぜ。
Posted by ブクログ
あまりにも言葉が、文章が、美しく、若者の繊細な感情を表すヘルマン・ヘッセ。自伝的とも言われる物語には、時代を越え国境を越え言語を越え、人々に普遍的な青春時代の脆さ・儚さを彷彿とさせる力がある。
翻訳は1958年の出版なので古めかしい部分もあるが、それも含めて味わい深い作品。
Posted by ブクログ
自分の心の動きと向き合い続け、人の心も痛いほどわかる思春期の少年の話。
あぁ、学校にいた彼はこう思っていたんだなぁとか、リアリティをもって読める。
こんなに自覚があることは羨ましいと思いつつ、苦しいだろうとも思う。
ある意味最後はハッピーエンドだったのかもしれない。
Posted by ブクログ
ヘルマン・ヘッセの代表作で、世界的名作文学作品。
あまりにも切ない青春小説だった。とにかく、情景描写が美しく様々な場面が映像として目に浮かぶ。
天才少年であるがゆえの孤独や挫折が描かれており、現代の社会に置きかえてもそのまま通じる内容。
少年の繊細な精神や、寄宿学校で描かれる恋愛にも似た友情や、初恋の切ない思い出など、世代を超えた青春の苦悩がみずみずしくも、切ない文書で描かれている傑作でした。
Posted by ブクログ
『新潮文庫の100冊』より。
子供への期待から生じる大人の無理解と利己主義に抑圧されながらも、自己を取り戻そうと必死にもがく青年ハンスの物語。
ドイツののどかな田舎の情景と、少年期から青年期に移り変わる多感な心情の対比が痛々しいほど美しい。
本書に登場する大人の無遠慮な期待と過度な干渉は、子供のいる自分にとって身をつまされる思いだった。
これから成長していく子供を車輪で押し潰すことがないよう気をつけなければ。
若い時に読んでいたら今とは違う感想を抱けたかもしれないので、もっと早くに出会いたかった作品。
Posted by ブクログ
ヘルマン・ヘッセの代表作。街一番の秀才・ハンス=ギーベンラート(14)は、難関試験に2番の成績で合格するほどの実力者だった。周囲の期待に推され、親元を離れて勉強に励むが、 進学先で出会った友との交流、同級生の死などを通して、彼は徐々に少年から大人へと変化していく。特に、親友ハイルナーとの出会いは、彼の運命を大きく変えた。ハイルナーは詩が好きで自由奔放な少年であり、教員たちの間では問題児として有名であった。ハイルナーと交際する中で、ハンスは徐々に今までの勉強に興味を失っていく。ハイルナーの退学を機に、彼と親交の深かったハンスは教員たちから疎まれるようになる。そしてハンスは心身のバランスを崩し、故郷へ帰ることとなった。精神虚弱の症状は治らず、ハンスは自死への思いを強くする。手工業の見習として働きに出るが、虚しく欠けた心は戻らない。自死か事故か、ハンスは川で溺死体となって発見される。
青年期の心の変動を本当によく表現している。ハンスは勉強も好きだし、賢い子だから、周囲の期待も分かっている。けど本当は釣りが好きで、散歩が好きで、友達と笑うのが好きな、ごくごく普通の少年だった。彼の柔らかい心を、期待という重機で押し潰したのは、他でもない大人たちである。自分を轢き潰そうと迫ってくる無機質な車輪を、轍の上にいる彼はどんな思いで眺めていたのだろう。最後の、川面に惹かれてしまう描写はあまりにも美しく哀しい。酒に酔ってどろんとした頭で、涙に滲んだ目で、星あかりに揺れる水面はどれほど美しかったことだろう。
ハンスが神学校に入る前から気にかけてくれたフランツ親方。「試験がダメだったからって、お前自身がダメという訳ではないんだぞ」と言ってくれた親方。その言葉をかけてくれる大人が、ハンス自身を見てくれる大人が、他にもいてくれたなら。何か違う結末があったのではないかな…。
Posted by ブクログ
読むのにだいぶ時間がかかってしまって、そのせいもあってかハンスに結構な感情移入をしてしまったらしい。喪失感が物凄い。
情景描写が綺麗で没入し易い
海外文学なのもあってか知らない単語や地名も多く進みにくかったように感じる。
あっけない
18のうちに読めて良かった
Posted by ブクログ
普通、ヘッセのこの本は、多感な思春期とかに読むべきもののはずですが、ちゃんと読んでなかったと記憶しているので、最近、買ってみました。
こういう内容だったのか。。最後のほうが、今から考えると、私なりには、なんとも残念な気がしますが、自伝的作品ということなので、これは、悩み多き青春期を振り返って、著者なりに決別しようとしたのか。現実にはヘッセは生きてこの作品を執筆したので、ひとり流れ去らなかったことを後悔しているのか?
Posted by ブクログ
セリフシーンは少ないが、風景描写や感情表現が緻密で、主人公ハンス・ギーベンラートの心情や風景が想像しやすかったです。ただ、近代特有の言葉も使われるため、理解を深めるのであれば調べる必要もありますが、普通に読むだけなら問題になりませんでした。
ハンスへの車輪の轍をなぞるように仕向けられた教育への批判、ハンスに足りなかったもの、結末でのハンスの思いなど、現代にも通ずるような問題提起や考察の余地もあるため、読んだ後も記憶に残りやすい作品でした。
ただ、作者の人生を擬えた作品のためか、個人的には物語の起伏が少なく、平坦に進む印象があったため、星4とさせていただきました。読んで損はない作品だと思いますので是非お試しください。
Posted by ブクログ
読書力読書、3冊目。
学生のころ、どの先生だったか忘れましたが、この本の内容を「受験の話」だとおっしゃっていました。しかしとくに興味を惹かれることなく数十年経過、人生半ばまできてようやく読みました。
シュワルツワルト地方の小さな町で唯一の秀才、ハンス・ギイベンラアトは、ほかの〈天分にめぐまれた少年たち〉と同様、州試験を通って神学校へ行き国のために働くというエリートコースを歩むべく、父親や町の人びとの期待を背負って州試験を受け、無事合格、マウルブロン神学校に入学します。友人もでき、勉学に励みますが、少年から青年へと成長するとともに、心身の調子を崩してゆきます。
主人公ハンスの苦悩は受験のときから続いているので、たしかに受験の話と言えなくもないのですが、物語全体を通して考えると、受験は通過点のひとつです。読後はもういろいろな思いが渦巻いて、この物語のテーマの深さに言葉を失い、しばらく動けませんでした。もし学生時代に読んでいたら、たぶんここまで複雑な気持ちにはならなかったと思います。
なんと重い車輪なのか。周囲からのプレッシャー、プライド、そして本心との闘い。ハイルナアとの友情、エンマとの恋、突如おそわれる不安、おそれ、頭痛。がんじがらめになった心の唯一の解放は、一人で流す涙でした。ただ一人、靴屋のフライク親方だけは、真実を見抜いていたようですが。
これは著者の自伝的小説です。本書の訳者解説が書かれたとき、ヘッセは80歳、ご存命だったそうです。
私が本書を買ったのは数十年前でした。名作だからとりあえず買っておいたのでしょうね。なのでカバーに書いてある定価は200円です。訳文にもやはり古臭さを感じるので、今ではさすがに新訳になっているかしらと、書店で現在(2021年5月)売っているものを見てみたら、なんと文字が大きくなってその分本の厚みが増しているだけで、訳文はまったく同じでした。これから買って読むなら、光文社古典新訳文庫の『車輪の下で』のほうが読みやすいかもしれません。が、私としては、これまで多くの人たちが読んできた文章で本作を味わえたことをうれしく思っています。
Posted by ブクログ
前半は主人公に感情移入したけれど、故郷に戻ったあとからはあまり感情移入はできなかった。精神の成長を描いているのかと思って読んでいたけれど違うようだ。
主人公は結局お受験エリートでしかなくて、結局人から与えられたものに時たま魅力は感じつつも、単に与えられたものとして物事に取り組む以外何もできなかったように見える。
自分で何かを獲ることが「強気」になれる唯一の方法だと思うが、それが最後までできなかったのを見ると、なにがその段階への成長を遮ったのかなぁと疑問を感じてしまう。
Posted by ブクログ
【始】仲買人、兼代理店主、ヨーゼフ・ギーベンラート氏は、同じ町の人にくらべて、目だつようなすぐれた点も変わったところも、べつに持っていなかった。
【終】ギーベンラート氏は、このひとときの静寂と、異様に苦しい、かずかずの物思いとから離れて、ためらいながらとほうにくれたように、暮し慣れた生活の谷間へと向かって歩いた。
神学校から帰ってきてからが好き。
酩酊状態の描写は素晴らしい。
Posted by ブクログ
優秀さ故に大人達から勝手に期待されて勝手に失望されて
勉学と引き換えにせっかく築いたはずの友情は脆くも消え去り鬱状態になったあげく
初恋の純情は弄ばれ
仕事は二日目にして早くも苦痛で
仕事仲間が一週間の楽しみにしているらしい酒盛りもそれほど楽しく感じられない
そりゃ辛いよね…まして若くて繊細な子だもの…
名作はどの時代にも通じることが描かれているから名作なのだと、改めて思った。
Posted by ブクログ
中学・高校時代の読書感想の対象本だったのを読み直してみました。
古いせいか、訳はちょっと違和感ありますが。内容は色んな意味で良いです。巻末の解説にもありますが、暗記型の押しつけ教育を「大人の無理解・利己主義」と否定するもの。これがこの本の最大のテーマです。これを読書感想の対象本に選んだ先生のセンスもGoodでした。私立の進学校でしたけど(笑)
それにしても、最近は暗記型押しつけ教育の復権って感じがしますが、いかがでしょ? 日経なんか見てると、「国際的に日本の若者の点数が低下した」「ゆとり教育のせいだ」と煽ってる印象がしますが?
ま、テーマをちょっと横に置いて。原文を読んだわけではないのですが、訳文でもヘルマンヘッセのセンスは良いと感じさせられました。
Posted by ブクログ
1905年発表、ヘルマン・ヘッセ著。秀才ハンスは試験に合格し、神学校に入学するが、友人の影響で徐々に成績が悪くなっていく。そして友人が放校になったことをきっかけに精神を病み、実家に戻る。彼は機械工となり人生を再開しようとするが、酒に酔って川に転落してしまう。
ヘッセの自伝的小説らしいが、なるほど確かに田舎の描写が綺麗で、ヘッセが幼少の頃に見た風景が目に浮かんでくるような気がした。
そしてストーリーは非常に身につまされるものだった。充分、現代にも置き換えられる気がする。例えば、必死に勉強してそれなりの大学に入ったにもかかわらず、自分を見失い、ろくに就職も決まらず精神を病んでいく若者(といっても、ハンスはもっと年齢が若いが)。この小説には、まさにそういう若者特有のナイーブさが描かれている。最後の展開は事故なのか自殺なのかよく分からないが、どちらにせよ、ハンスの心は限界だったのだろう。
あまりにも敏感な精神を持っていると、ハンスのようになってしまうのだろう。それが良いとか悪いとかいう問題ではない。ただ、思うに、ハンスは閉じた世界でこそまともに生きることのできた人間なのではないだろうか。開いた世界に接していると、どこかしらで様々な他人の影響を受けるはずだ。そこで壊れるかどうかが、大きな境目である。ヘッセ自身もきっと壊れてしまったのだろうが、彼はそれを芸術に昇華できた。一方、ハンスはどん詰まりに行き着いてしまった。
Posted by ブクログ
繊細な少年の幼少から青春を描いたヘルマン・ヘッセの代表作です。
傷付きやすく、繊細で、多感な少年時代。心理描写や自然描写の詩的な美しさに、豊かな感性を持った少年の心の内を思わされます。親や周囲からの期待に応えようと自分を追い込み、努力をし、必死で掴んだ神学校への切符も、学友との関係の中で色々なことが変化していく。どうにもならない車輪の下で必死にもがく姿に、なんとも苦しい心地になります。
決して、読後が爽やかな話ではありません。
でも、読めてよかったと思う一冊です。
じわじわと身体の中に落ちてくるような、やりきれなさと日々の中にある輝きを見る物語でした。
Posted by ブクログ
海外の有名な作品を読んでみよう!という安易な動機で選んだ作品です。今でも学生に推奨されている古典文学な気がしますが、今の若者とは価値観や感性が違い過ぎて面白さが理解されないのでは、と思いました。いらぬ心配ですが。
若い時代って濃い分生きるのしんどいと感じることが多かったな。多感だったな。とか思いました。
Posted by ブクログ
最初はよくわからず言われるがまま勉強するハンスの様子が淡々と語られるが、入学後関わる友人の登場から一気に面白くなった
共感できる部分もあって、最後は誰にでもありえそうな悲しい最後
期待に潰される鬱小説
Posted by ブクログ
高校入学前、春休みの課題図書だったので読んだ
この本の救いのない展開と、入学後に始まった詰め込み学習で、失望しながら高三の秋まで遊んで過ごした
主人公に自分を重ねずにはいられなかった
当時の高校教師の意図が未だにわからない
今読めば違った感想が持てるのかもしれないけど、ハンスがどんどん落ちぶれていく様がトラウマになってるのでもう読めないかも
Posted by ブクログ
教育の名の下、親や先生のエゴに敷かれた子供の行く末が描かれている。
終始悲壮感が強いが、その中にも微かに光がちらちら見えた気がした。風景描写や人物描写が水々しく、濃厚だった。
文調は慣れないながらも、さすが、秀逸だと思う言葉は沢山あった。
読むのに苦労はした!
Posted by ブクログ
子供と大人。
葛藤。
大人の正義と子供の自我。
「大人」ってなんなんだろう。
子供の内面を捉えた描写は、あまりにも繊細で、油断すると息苦しささえ覚える。
Posted by ブクログ
百年以上も前の作品であり、神学校や田舎の暮らしなど、私たちの生活とはかけ離れているにも関わらず、少年の押しつぶされ傷ついた心に共感できる。
心は不変なものだと感じました。
神学校時代もそうだが、田舎に戻ってからの少年の、友も少なく死に囚われた描写が痛々しい。救われてほしかったけれど、悲しい最後でもやもやしました。