ヘルマン・ヘッセのレビュー一覧
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ヘルマンヘッセの青春小説。
ヘッセの作品とは、中学生の頃に出会ったエーミール以来となる久々の再会となった。
努力家で純粋、そして未来ある主人公が経験する、多大な挫折。そのリアリティには、おそらく精一杯生きてきた人間なら誰もが共感できるところがある。この小説の、もっとも魅力的な語りはそこにあるのだろうと思った。
そして、タイトルにもある「車輪の下」について。
思春期真っ盛りの、多感な主人公は、周囲の勝手な期待や、小さな村社会、閉塞的な学校生活、そうしたそれぞれの狭隘な場所で、まさに「車輪の下」に轢かれるような、苦渋の憂き目に遭う。そうして生命力ある若芽が摘まれていく。最後の靴屋と父親のやりと -
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主人公のシンクレールが、自分の内側にある本当の声に目覚めて、価値観を確立していくお話。
シンクレールがデミアンに出会って、それまで知らなかった世界にのめり込んでいく経過をドキドキしながら読んだ。
最初に読んだ時は、自分の内なる声を突き詰めた先に生きるべき道がある、周りの声に従って生きていくより孤独な道だけども人間はそうあるべきだ、というヘッセのメッセージなのかなと思った。
ただ最近読み返して、それプラスもっとシビアなメッセージを感じたというか、内なる声に気づいてしまった人間は一度殻の外の世界を垣間見た後、殻の中に居続ける選択を自由にできるわけではないんだなと。
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『知と愛』
ヘルマン・ヘッセ著
『ナルチスとグルトムント』グルトムントの10代半ばで神学校に入りそこでギリシャ語の教師をしている若きナルチスと知り合う。グルトムントは神学校を抜け出してシャバの空気のなかで女に遊び愛し、彫刻家になる。領主の城に捕まり、殺されそうになるが、牧師に助けられる。その牧師こそ、教会の神学校の院長になったナルチスであった。全20章の17章から19章はナルチスとゴルトムントとの人生の過ごし方を知で行くか、愛で生き抜くかの修辞学的な対話である。若くしてであった2人はお互い理解しあえる深い友情で結ばれた友である。最後年老いてナルチスに看取られでゴルトムントはなくなるが、人 -
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ネタバレこの作品ほど、芸術とは何か、芸術家とはどのように生きる存在なのかを深く描いた小説を、私はこれまで読んだことがない。芸術が生まれるまでの長い修練や、人生の経験がどのように創造へと昇華されるのかが、非常に崇高なかたちで描かれている。
同時に、この物語には強くユング的な心理の視点を感じた。理性と精神の世界に生きるナルチスと、感覚と生命の世界を放浪するゴルトムント。二人はそれぞれ Geist(精神)とSeele(魂) を体現している存在のように思える。若い頃は互いに相手の中に自分にないものを見て憧れ、同時にどこか劣等感を抱いている。しかし長い人生を経て、二人は互いの影響を自分の中に取り込みながら、そ -
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ネタバレとても心に沁みた作品だった。森の中や川の情景描写がとても綺麗でうっとりとした。私は特にりんごの収穫の時の描写が好きだ。
ハンスは片親のため母親の愛情を受けることなく、父親を含む誰にも心を開くことが出来ずにいたと思う。そして子供らしい少年時代を過ごすことが出来ずにいた。そんな中、唯一心を開いていた親友との別れによってハンスは精神を病んでしまったのだと思う。そんなハンスも恋をすることで青年へと成長していく。しかし環境が変化しても自己矛盾や苦しさを持ち続けた結果、最後を迎えてしまったのだと考えた。
現代においてもこのような子供はいるのではないだろうか。受験戦争で子供の時から子供らしい生活を送る -
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のっけから
「今日では、人間とはなにか、を知っている人はほとんどいない。しかしそれを感じている人はおおぜいいる。それで、その人たちはほかの人よりは安らかに死んでいく。ちょうど私がこの物語を書き終えたら、いくらか安らかに死ねるように。」
と書かれ、ちょっとさせられる。本編は戦争中に執筆された。
「われわれはみんな同じ深淵から出ているのだ。しかし、みんな、その深みからの一つの試みとして一投として、自己の目標に向かって努力している。われわれはたがいに理解することはできる。しかし、めいめいは自分自身しか解き明かすことができない。」
タイトルの少年が主人公かと思われるが、主人公はエーミール・シ -
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ネタバレ市民的なものを嫌う隠者が、わざわざ最も市民的で規則に囚われた生活をしているものの提供する家に住む。
狼(本能的と厭世的)とハリー(市民的で俗物的)の2面性の板挟みになり、どちらも身を投じて楽しむことの出来ないハリー。前半では「狂人しか立ち入り禁止!」という自分と通ずる張り紙を見つけて、入る方法を模索するが、ついぞ入れることは無かった。
ある日飲食店に行った帰りに、墓に立ち寄ったら(この辺うろ覚え)狂人しか立ち入り禁止!を掲げていた男が葬式の参列者として参加していた。話しかけてみるが、なんのことか分からないとしらを切られてしまう。その帰りにハリーはオオカミに内心笑われつつ、旧友である教授にで