ヘルマン・ヘッセのレビュー一覧
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ネタバレ読み終わったあとに、考えれば考えるほどじわじわと面白味が増す作品。教員は、優秀なものを生み出した「自分」に酔いしれるような生き物である、ぜひこの世にいる全教員の見解を聞いてみたい。
ハイルナー、教員の皮肉的存在な地位で、ずっと己を貫き通すような人間だったから、特に学校を出たあとも周囲の目なんてそこまで気にせず生きていったんだろうと思う。満足に好きなことを、詩を書いて。一方反対の地位にいるハンスは車輪の下で押し潰されるような違和感を抱えながらも従い続けて、競争に勝つために学習にばかり目を向けて、自分の好きな釣りや幼少期楽しかったこと、ふと思い出すももうほとんどそんなものは殺してし何が楽しくて何が -
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シッダールタが人間の喜び、悲しみ全てを経験して得た『梵』について自分の人生を重ねて考えさせられるヘッセの宗教的体験の集大成。
シッダールタの「愛」のために生きる小児人とは自分は違う人間だという若気の至りから、カマーラと出会い「愛」を覚え、人間の本能的な「愛」に溺れて小児人的価値観に染まっていく青年時代、目的もなく小児人として金と欲を満たし続ける生活をした中、ヴァステーヴァと川の教えを経て最終的に行き着くのは、時間という概念は存在せず、過去も未来も同時的に存在するという気づきであったのは、この本を読んだ全ての人間の人生の救いとなる結末だったのではないかと大変感動的であった。
私は今、社会での -
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ハリーハラーほど高尚な精神を持ち合わせてはいないけれど、とても共感して読むことができた
時代と世界、金銭と権力はちっぽけな平凡の人間のもので、ほかのほんとの人間のものは何も無いのよ。死よりほかのものは何もないのよ
ほかには何もないの?
あるわ、永遠が
永遠の思想
神の国、永遠の意味、時間の他に永遠があるのでなければ全然生きられない。
気づけるようで気づけていなかった。
これで生きることもできるし、死ぬこともできる。
50歳。いま25歳の自分にとって、想像のつかない歳。ただ単純に2倍しただけのものでは無いことは明らかである。
ちょうど大学の今年度の学科長から卒業についての連絡があり、急 -
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音楽は道徳的でないから好きだ。そして、神と悪魔を兼ね備える神が私には必要だ。そうシンクレールは言う。
シンクレールは、幼少期から、明るい世界と暗い世界を行ったり来たりしながら自己について葛藤し悩み苦しんでいた。そんな時出会った、少し大人びたデミアンによって少しずつ導かれていく。時にはデミアンを離れ、堕落しながらも、心のどこかにデミアンがいた。
鳥は、殻を破り外に出ようとしている。その絵をシンクレールは描いた。誰なのかわからない愛する人の絵を、何度も書き直し、その絵は少女ベアトリーチェにも見え、デミアンの母にも見え、デミアンにも見え、シンクレール自分自身にも見えた。
結末を読んで、デミアン -
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青春期の心のなかのあれやこれが、あまりにも高い解像度で描かれていた。この本を読んでいるとまるで禁忌を犯しているような、甘美な背徳感を感じた。なんというか「エロ本」を読んでいるのに近い感覚なのかもしれない。
僕はハンスであり、ハイルナアである。自分とちがったものの見方をする人に惹かれるし、独自の思想と言葉を持っている人に惹かれる。そして、いわれのないすこしきどったようなゆううつの発作になやんでいる。ハンスの、ハイルナアへの甘い耽溺。(これがブロマンスってやつですか?)ふと私があの時期に感じていた友人への「好意」を思い返した。今となれば恥ずかしいことだが、あのときは真剣だった。「ふつうの恋愛なん -
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『われわれは互いに理解する事はできる。しかし、めいめいは自分自身しか解き明かすことができない。』
本書を読んだ動機はアニメ「Ave Mujica」で主人公の豊川祥子が、社会の歯車に狂わされ、選択を迫られた際に本書を読んでいた描写が存在したからです。
本書では、はしがきに書かれている、冒頭に書いた一文が全てを物語っています。『アプラクサス』という神、すなわち自分自身の心に存在する意志に従え、さすれば何事にも覚悟を持って挑めるだろう、というところでしょうか。
キリスト教圏の絶対的な世界で、密かに神は居ない、自身の内から湧き出る衝動こそが従うべきものだという反キリスト思想に目覚めた主人公シンク -
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『車輪の下』より断然こちらの方が好きと思えるのは歳のせいでしょうか。また、いい作品に出会うことができました。
あらすじ:
「それは私の愚かしい青年時代のもっとも愚かしい日だった」……幼い頃、クーンは音楽に惹かれていたこともあり、父の反対をよそに首府の音楽学校に進学します。しかし、学業の壁に阻まれ、喜びのない日々を過ごして三年、似た境遇にあるリディに恋をします。ある日、仲間とソリ遊びに興じていると、そのリディにそそのかされて急斜面をソリで滑り降りますが事故になります。クーンの左足は不具になり、彼女も去っていきました。
この事故をきっかけに故郷に帰って内省を深めたクーンは、音楽の創作に目覚めて -
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146P
初版発行: 1906年
ヘルマン・ヘッセ(Hermann Karl Hesse, 1877年7月2日 - 1962年8月9日)
ドイツ生まれのスイスの作家。主に詩と小説によって知られる20世紀前半のドイツ文学を代表する文学者である。南ドイツの風物のなかで、穏やかな人間の生き方を描いた作品が多い。また、ヘッセは風景や蝶々などの水彩画もよくしたため、自身の絵を添えた詩文集も刊行している。1946年に『ガラス玉演戯』などの作品が評価され、ノーベル文学賞を受賞した。
車輪の下
by ヘルマン・ヘッセ、岩淵達治
だいたい、ほんとの貧乏人というものは、計画をたてたり、貯蓄したりすることはめ