ヘルマン・ヘッセのレビュー一覧

  • シッダールタ

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    二十年ものインド思想の研究を経て、自身の宗教的体験の告白としてシッダルータを通して象徴的に美しく描かれていた。

    変な宗教教育(母方、キリスト教、父方、仏教)をちょっとばかし受けてきた自分としてはすんなりと頭と心に入ってきた。

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    2025年06月12日
  • デミアン

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    こんなにも心を動かす本は稀で、
    古典と呼ばれるような一冊からどれだけ未知に触れたのか、
    若いうち、発育の真っ只中でこの本に触れられて本当に良かったと思える本だった、
    少なくとも個人的には。
    シンクレアの魂の成長というものを俯瞰して眺めたその中で、
    自分の道に従う人生を知った、道からは逃れられないという残酷さも。

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    2025年06月12日
  • 荒野のおおかみ

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    ハリーハラーほど高尚な精神を持ち合わせてはいないけれど、とても共感して読むことができた


    時代と世界、金銭と権力はちっぽけな平凡の人間のもので、ほかのほんとの人間のものは何も無いのよ。死よりほかのものは何もないのよ
    ほかには何もないの?
    あるわ、永遠が

    永遠の思想
    神の国、永遠の意味、時間の他に永遠があるのでなければ全然生きられない。
    気づけるようで気づけていなかった。
    これで生きることもできるし、死ぬこともできる。

    50歳。いま25歳の自分にとって、想像のつかない歳。ただ単純に2倍しただけのものでは無いことは明らかである。

    ちょうど大学の今年度の学科長から卒業についての連絡があり、急

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    2025年05月27日
  • デミアン

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    音楽は道徳的でないから好きだ。そして、神と悪魔を兼ね備える神が私には必要だ。そうシンクレールは言う。

    シンクレールは、幼少期から、明るい世界と暗い世界を行ったり来たりしながら自己について葛藤し悩み苦しんでいた。そんな時出会った、少し大人びたデミアンによって少しずつ導かれていく。時にはデミアンを離れ、堕落しながらも、心のどこかにデミアンがいた。

    鳥は、殻を破り外に出ようとしている。その絵をシンクレールは描いた。誰なのかわからない愛する人の絵を、何度も書き直し、その絵は少女ベアトリーチェにも見え、デミアンの母にも見え、デミアンにも見え、シンクレール自分自身にも見えた。

    結末を読んで、デミアン

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    2025年09月17日
  • クヌルプ

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    ネタバレ

    あるがままに生きること、自分の人生を生きることを考えることができる本だった。
    といっても、デミアンほど哲学書めいてはなくて、
    淡々と暖かく、綺麗に書かれたクヌルプの生涯を通じて読者に疑問を残してゆくタイプの本。
    ヘッセ文章の柔らかさをひしひしと感じた。
    思わず宝箱に入れたくなるような一冊。

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    2025年05月18日
  • 車輪の下

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    青春期の心のなかのあれやこれが、あまりにも高い解像度で描かれていた。この本を読んでいるとまるで禁忌を犯しているような、甘美な背徳感を感じた。なんというか「エロ本」を読んでいるのに近い感覚なのかもしれない。

    僕はハンスであり、ハイルナアである。自分とちがったものの見方をする人に惹かれるし、独自の思想と言葉を持っている人に惹かれる。そして、いわれのないすこしきどったようなゆううつの発作になやんでいる。ハンスの、ハイルナアへの甘い耽溺。(これがブロマンスってやつですか?)ふと私があの時期に感じていた友人への「好意」を思い返した。今となれば恥ずかしいことだが、あのときは真剣だった。「ふつうの恋愛なん

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    2025年04月25日
  • 車輪の下

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    麒麟児が普遍的な思春期を際立たせて、その正確さから自身の思春期を掘り起こされた。物語の儚さも美しかった。

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    2025年03月26日
  • デミアン

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    『われわれは互いに理解する事はできる。しかし、めいめいは自分自身しか解き明かすことができない。』

    本書を読んだ動機はアニメ「Ave Mujica」で主人公の豊川祥子が、社会の歯車に狂わされ、選択を迫られた際に本書を読んでいた描写が存在したからです。

    本書では、はしがきに書かれている、冒頭に書いた一文が全てを物語っています。『アプラクサス』という神、すなわち自分自身の心に存在する意志に従え、さすれば何事にも覚悟を持って挑めるだろう、というところでしょうか。

    キリスト教圏の絶対的な世界で、密かに神は居ない、自身の内から湧き出る衝動こそが従うべきものだという反キリスト思想に目覚めた主人公シンク

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    2025年03月24日
  • 春の嵐

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    『車輪の下』より断然こちらの方が好きと思えるのは歳のせいでしょうか。また、いい作品に出会うことができました。

    あらすじ:
    「それは私の愚かしい青年時代のもっとも愚かしい日だった」……幼い頃、クーンは音楽に惹かれていたこともあり、父の反対をよそに首府の音楽学校に進学します。しかし、学業の壁に阻まれ、喜びのない日々を過ごして三年、似た境遇にあるリディに恋をします。ある日、仲間とソリ遊びに興じていると、そのリディにそそのかされて急斜面をソリで滑り降りますが事故になります。クーンの左足は不具になり、彼女も去っていきました。

    この事故をきっかけに故郷に帰って内省を深めたクーンは、音楽の創作に目覚めて

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    2025年03月03日
  • 郷愁

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    再読1/23
    ヘッセ作品で1番好きです。
    ヘッセの全作品に通ずる自然への愛は勿論、近代文化の生活への批判や享楽との葛藤も描かれていて源泉的な地位を占めていると実感しました。
    最初に読んだときは自然描写に慣れておらず、読み辛いと感じていましたが、再読の際は全く苦しくなく、むしろ非常に読みやすい、おもしろい読み物だと思いました。
    ヨーロッパの田舎の描写は実際に目にしたことはほとんどありませんが、眼前にありありと浮かんでくるようで、そうした景色はホッとさせてくれます。
    心が癒される読書体験が得られるのでまた何度でも読み直したいです。

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    2025年01月23日
  • ヘッセ詩集

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    211P

    初版発行: 1950年

    ヘルマン・ヘッセ(Hermann Karl Hesse, 1877年7月2日 - 1962年8月9日)
    ドイツ生まれのスイスの作家。主に詩と小説によって知られる20世紀前半のドイツ文学を代表する文学者である。南ドイツの風物のなかで、穏やかな人間の生き方を描いた作品が多い。また、ヘッセは風景や蝶々などの水彩画もよくしたため、自身の絵を添えた詩文集も刊行している。1946年に『ガラス玉演戯』などの作品が評価され、ノーベル文学賞を受賞した。

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    2024年12月24日
  • デミアン

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    少年から青年へと成長する過程での宗教的・哲学的葛藤が、非常に精緻に描かれた作品。主人公の内面を深く掘り下げる心理描写と、彼に影響を与える人物たちの台詞が、全編の大部分を占めている。哲学的で難解な内容ではあるものの、薄い文庫本なので意外とすんなりと読めた。簡単な哲学書を一冊読破した気分になれるので、知的な「お得感」を求める読者にはお薦めしたい。
    ただ、凡人の私からすると、主人公に強いシンパシーを感じることはなかった。ここまで自分の内面に向き合い、深く掘り下げる人間がいるのかと興味深く読み終えた。

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    2024年12月30日
  • 幸福論

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    何回でも読み直したいです。
    ヘッセ自身の体験が彼の作品に顕れていると感じられ、とても面白かったです。

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    2024年11月25日
  • デミアン

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    ネタバレ

    カインやアプラクサスなど、宗教に関する言葉はあまり理解できなかった。しかし明るい善の世界、暗い悪の世界の狭間でどう自己を突き詰め、生きていくかが大切だと本作を通じて理解はできた気がする。
    「鳥は卵の中を〜」などの名台詞が多くあったが、理想は選ばず、運命は用意して待つものだということをデミアンが語っているシーンがお気に入り。

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    2024年11月13日
  • 車輪の下

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    まだ10代だったハンスがどんどん落ちていく様子を見ていくのは、涙が出なくとも心を締め付けられて辛かった。
    しかし繊細な心情描写や情景描写にかなり読み応えがあり、とても楽しませてもらった。
    個人的に大人になったら読み返したい本TOP5に入るぐらい痺れた一冊だと思う。

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    2024年11月13日
  • 車輪の下

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    146P

    初版発行: 1906年

    ヘルマン・ヘッセ(Hermann Karl Hesse, 1877年7月2日 - 1962年8月9日)
    ドイツ生まれのスイスの作家。主に詩と小説によって知られる20世紀前半のドイツ文学を代表する文学者である。南ドイツの風物のなかで、穏やかな人間の生き方を描いた作品が多い。また、ヘッセは風景や蝶々などの水彩画もよくしたため、自身の絵を添えた詩文集も刊行している。1946年に『ガラス玉演戯』などの作品が評価され、ノーベル文学賞を受賞した。

    車輪の下
    by ヘルマン・ヘッセ、岩淵達治
    だいたい、ほんとの貧乏人というものは、計画をたてたり、貯蓄したりすることはめ

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    2024年11月05日
  • 春の嵐

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    ネタバレ

    ■評価
    ★★★★✬

    ■感想
    いい! めちゃくちゃいい! ここ半年で読んだ小説の中では、ダントツで良い。 読み終わって冒頭の『自分の一生を外部から回顧してみると、特に幸福には見えない。しかし、迷いは多かったけど、不幸だったとは、なおさらいえない。』 が、めちゃくちゃ沁みる。 何度も再読したい作品だし、人に薦めたい作品。 文庫本の背表紙の要約が1文字も過不足なく、ネタバレ含むあらすじを網羅するのもすごいなーとも思った(´∀`=)

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    2024年10月29日
  • 車輪の下で

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    少年の繊細な心は、まるで剥き出しの心臓を見ているかのようでした。受験、宗教、学校教育に対する批判や、後半に描かれる労働や初々しい恋といった要素も含め、心理描写が非常に細やかで、ハンスの葛藤や孤独が強烈に伝わってきます。彼のプライドや挫折、苦悩にも大いに共感しました。結末は悲しいですが、それ故に深く考えさせられる作品だと思います。高校生の頃に読んだ際はハンスと同じく学校への批判的な視点を持ちましたが、30代の今、再読してみると、もう少し器用に生きられなかったのか、不合理や葛藤とうまく付き合えたのではないかと、異なる視点が得られました。読み直して本当に良かったと思います。

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    2024年10月05日
  • 車輪の下

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    ネタバレ

    最初から最後まで悲しすぎるというか、切ないお話だった。

    表現がとても豊かで詩的。それが心の繊細な部分を正確に表現していて、自分たちも似た経験を一度はしたなぁと共感しながら読むことができる。また、この歳の子供の心理描写や精神面、天才児ならではの苦悩などもリアルで面白い。この気持ちをこのような言葉で表現するんだと感心する場面も多く、語彙力を上げるのにもとてもいい。

    ただ、話に救いの場面が少ないところがちょっと辛かった。自分の意志を出す事ができず常に弄ばれる世間知らずの子供。その子供が社会の波に揉まれて成長するお話といえばわかりやすいか。綺麗な表現なだけに、結末は現実的に残酷なところがちょっと皮

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    2024年10月02日
  • 春の嵐

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    何十年ぶりかで再読。実らぬ恋のものがたり、との記憶はとても浅いものだった。
    「自分の人生を幸か不幸かと問うのは愚かなことで、「私」には不幸な記憶こそ捨てられない」と言う趣旨の巻頭言に共感するのは老年になったからか。
    消えぬ恋情と戦いながら、不幸な結婚に心身を病む女性を節度を保ちながら労る「私」。敬愛する友人に傷つけられ、敵意を抱きながらも、憧れや敬意も蘇ってくる。その才ある友人も奔放な自身の性格に振り回されている。これらが寄せては返す波のように繰り返される。これが人生なんだよ、とばかり。
    アリアだけのオペラが無いように、緩徐楽章だけのシンフォニーはないように、幸も不幸も全て必要なことだったのだ

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    2024年09月29日