ヘルマン・ヘッセのレビュー一覧

  • 車輪の下

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    『新潮文庫の100冊』より。

    子供への期待から生じる大人の無理解と利己主義に抑圧されながらも、自己を取り戻そうと必死にもがく青年ハンスの物語。

    ドイツののどかな田舎の情景と、少年期から青年期に移り変わる多感な心情の対比が痛々しいほど美しい。

    本書に登場する大人の無遠慮な期待と過度な干渉は、子供のいる自分にとって身をつまされる思いだった。
    これから成長していく子供を車輪で押し潰すことがないよう気をつけなければ。
    若い時に読んでいたら今とは違う感想を抱けたかもしれないので、もっと早くに出会いたかった作品。

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    2025年12月05日
  • 荒野のおおかみ

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    ネタバレ

    市民的なものを嫌う隠者が、わざわざ最も市民的で規則に囚われた生活をしているものの提供する家に住む。

    狼(本能的と厭世的)とハリー(市民的で俗物的)の2面性の板挟みになり、どちらも身を投じて楽しむことの出来ないハリー。前半では「狂人しか立ち入り禁止!」という自分と通ずる張り紙を見つけて、入る方法を模索するが、ついぞ入れることは無かった。
    ある日飲食店に行った帰りに、墓に立ち寄ったら(この辺うろ覚え)狂人しか立ち入り禁止!を掲げていた男が葬式の参列者として参加していた。話しかけてみるが、なんのことか分からないとしらを切られてしまう。その帰りにハリーはオオカミに内心笑われつつ、旧友である教授にで

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    2025年11月18日
  • 車輪の下

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    ヘルマン・ヘッセの代表作。街一番の秀才・ハンス=ギーベンラート(14)は、難関試験に2番の成績で合格するほどの実力者だった。周囲の期待に推され、親元を離れて勉強に励むが、 進学先で出会った友との交流、同級生の死などを通して、彼は徐々に少年から大人へと変化していく。特に、親友ハイルナーとの出会いは、彼の運命を大きく変えた。ハイルナーは詩が好きで自由奔放な少年であり、教員たちの間では問題児として有名であった。ハイルナーと交際する中で、ハンスは徐々に今までの勉強に興味を失っていく。ハイルナーの退学を機に、彼と親交の深かったハンスは教員たちから疎まれるようになる。そしてハンスは心身のバランスを崩し、故

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    2025年11月01日
  • 車輪の下

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    全七章に亘って、ハンス・ギーベンラートの柔く脆い青年期を綴る。

    周囲より少し勉強ができてしまったために過度な期待を背負い、踏ん張りが利かなくなったったとき雪崩のようにすべてがうまくゆかなくなる。

    冷たく静かに川を流れるハンス。
    吐き気も恥も悩みも取り去られた、ハンス。

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    2025年09月18日
  • 春の嵐

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    たまたまトニオグレーゲル、ヴェニスに死すを読んだ後にまた芸術家をテーマにした作品。ストーリーがどうと言ったことはないけれど、たっぷりと情景、心理描写を丁寧に描いてるのはせかせかした現代の作品にはない次元を感じます。こう言った作品を読むと、立ち止まる時間ができて嬉しい。

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    2025年09月05日
  • 車輪の下

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    神童の主人公が来る日も来る日も勉強を重ねて、合格した先にあるのもまた勉強を重ねる日々。自分がやりたいなと思ったことを心の中にしまい、やるべきことや求められていることに注力していく中で出会う、愛情や死の形、暴力や非行の形は彼の人生の中で「自分とはどのような存在であるのだろうか、何者であるのだろうか」という問い直しを与える。
    最後の方に彼が語る神童であったのに気づけば周りから遅れていたというところはどのような形であれ、色々な読み手の人生の思い直しにも一石を捧げるものであると感じた。
    働く喜び、人の役に立つ喜び、人を愛する喜び、最終に近づくほどに彼の中に少しずつ湧き立った感情は心の底から生まれた自分

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    2025年07月24日
  • 車輪の下

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    『車輪の下』。中学時代からずっと本棚に並んでいたのに手にとらなかったヘッセの小説。
    私も、「受験戦争」という言葉や「偏差値」という言葉が世間を騒がせていた時代に青少年時代を過ごした。片田舎で育ち、中学、高校、大学受験を経験したからハンスの境遇には少し近い。都会への憧れはあったものの自然の中で育った環境や思い出を否定することはなかった。
    主人公ハンスは、周囲の期待を一身に背負い、神学校というエリート養成機関で過酷な競争にさらされ、精神的に追い詰められていった。学校を追われた友の影響を受け、成績も心も落ちていった。
    エリート意識の揺らぎが思春期の揺れと重なり、繊細なハンスはどんどん病んでいく。

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    2025年07月04日
  • デミアン

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    裕福で光しかない世界に産まれた少年が密かに闇に憧れを抱く。嘘の悪さ自慢をしたらシンクレールに脅されて1時不幸に陥ったが転校生の年長者で神学校にいながらも聖書の内容を先生が教えるものと反した解釈をする不思議なデミアンに救われた。その後主人公はデミアンに惹かれっぱなしだったがある日デミアンが思考の深みに入った時から話さなくなり高校生になった。高校生になってから主人公は酒を飲んだり途中デミアンと出会ったもずっと堕落していたが途中自分にとって神と言えるような少女を見つけ絵を描き神と名付けピアノ奏者に出会い別れてからまた元に戻った。その頃にデミアンと再開し、デミアンの母と出会えた。母は主人公が信仰してた

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    2025年05月29日
  • 車輪の下

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    ヘッセの若い頃の作品です。
    実体験をもとに描かれているようですが、当時の時代の雰囲気を知ることができます。
    子供の教育について、一石を投じた作品で、現代にも通ずるものがあります。

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    2025年05月24日
  • 車輪の下

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    薄いのに読み応えがあった
    昔読んだ気がしたけど全然覚えてなかった
    なんというか、一章ずつ授業とかで読んで、みんなで話し合って噛み砕きたくなるような内容。
    メインストーリーとサイドストーリーが絡み合いすぎて、なんなら、サイドストーリーをたくさん繋げた話のように感じる。主人公は1人なんだけどね。
    賢い真面目な少年がこうなるなんて面白いよな。少年時代の詰め込み勉強や、学校のあり方の弊害だ。ハイルナーと話してみたかった。

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    2025年05月21日
  • 車輪の下

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     ヘッセの『車輪の下』が突きつける最大の問題は、教育制度が〈子ども〉を「人格ある一個人」として認めず、都合のよい記号へ還元してしまう点にある。多くの物語が〈従順な優等生〉か〈反抗児〉に子ども像を二分するなか、ヘッセはハンスを欲望と不安、優越感と傷つきやすさを併せ持つ等身大の存在として描いた。川辺で魚を眺める彼は順位や身分を忘れ、五感で世界を確かめるが、神学校合格直後にはまだ机に向かう同級生を見下し、成績表が貼り出されるたび密かに胸を張りながら怯える。この二面性こそ、人が成長過程で抱える本音と矛盾そのものだ。

     その揺らぎを歪めたのが寄宿制神学校という装置である。生活の隅々まで統制された環境で

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    2025年04月24日
  • 車輪の下

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    純粋に読んで良かった思った。
    というか自分が1番悩んで苦しい時に読みたかった。救いにはならなかっただろうけど、多分寄り添ってくれただろうから。
    私も未だ車輪の下から抜け出せず溺れている。

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    2025年04月23日
  • シッダールタ

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    難解な文章で書かれているのかなと思ったら、とても読みやすいの翻訳で、逆に驚いた。翻訳者の高橋健二さんが凄いんだろうとなと本文とは違うところで感心してしまった。仏陀になるべく修行するシッダールタであったが、愛に溺れて酒に溺れて金儲けに走り、やがては自ら命を断とうとする展開に驚いた。仏教には詳しくないので、最後に川を人生に例えて悟りを拓くかのような展開。一度で理解できなかったので、また読もうと思う。

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    2025年04月19日
  • 車輪の下で

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    ハンス。少年。繊細。秀才。小さな町で一番の神童。神学校に入り、自由奔放で怠け者の友人(ヘルマン)ができると、次第に勉学から遠ざかっていく。将来を期待され、ちやほやされてきたハンスだったが、徐々に周囲の態度は冷たくなる。ハンスはしだいに精神を病み、学校を退学。父親の紹介で機械工の仕事につく。ハンスは機械工の仲間と酒を飲んだ帰りに川に落ち、人知れず闇の中を流れていく。ヘルマン・ヘッセHesse『車輪の下』1906
    〇ヘルマン・ハイルナー。ハンスの同級生。詩を作る。自由奔放。
    〇エンマ。ハンスが想いを寄せる女の子。
    〇フライク。靴屋の男。親方。信心深い。勉強ばかりするなとハンスをさとす。

    2人の罪

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    2025年04月20日
  • デミアン

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    かなり哲学的であり、宗教的でもあった。集中して読む必要がある。自分にはやや難しく感じたので、数年後また読みたい。ヘッセの描く思春期の少年の葛藤や苦難がやはり好きだと思った また、ヘッセ自身はこんなにも自己と向き合っていたのかと驚かされる。

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    2025年03月28日
  • シッダールタ

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    シッダールタ=ゴータマだと思っていたら、そんなことはなかった。全時代のシッダールタさん失礼しました。

    本作はどこかで、ヘッセによる東方の神秘を描いた作品、というような謳い文句で紹介されていた。
    さて実際はいかがか、と楽しみに読んでいくと、そのエロティシズムと聖人とは程遠そうなシッダールタの所業に、結局ヘッセもヨーロッパ人か…といくらか落胆する。
    しかし終盤に差し掛かり、シッダールタが川の声を深く聞く頃から、話に深みが増し面白くなる。
    それは作中にもあるように、初めから読んできたからであり、そしてこの私が感じた面白さを真に言葉に表すことはできないのだと思う。

    さて、ここまで書いてこの感じ方を

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    2025年03月18日
  • 車輪の下

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    読むのにだいぶ時間がかかってしまって、そのせいもあってかハンスに結構な感情移入をしてしまったらしい。喪失感が物凄い。
    情景描写が綺麗で没入し易い
    海外文学なのもあってか知らない単語や地名も多く進みにくかったように感じる。
    あっけない
    18のうちに読めて良かった

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    2025年02月11日
  • デミアン

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     自分の理解の範疇を超えた意見を受け止められるような人間でありたいし、過去に幸福や逃げ場を探し続けるのはやめようとも思った。
     文章については、直訳が多いのか比喩が多いのか、私の読解力が足りない故か、まわりくどく分かりにくく感じてしまった。翻訳者のバイアスがかからないように訳すのも素敵だけれど、翻訳者の解釈も混じった文章も魅力的なのになと思った。

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    2025年02月05日
  • 車輪の下で

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    ネタバレ

    思いやりのない少年ハイルナーに出会ったことが、ハンスの不幸の始まりだった。ハンスの取り柄は優等生であることだ。それは周りから褒められる美点であり、自尊心と成長心を持たせて、ハンスの思春期の芯となる大事なものだった。しかし、それをハイルナーはずかずかとハンスの心に入り込み、思わせぶりな態度でハンスに友達として依存させる。そして、勉強の邪魔までしてくる。人を見下し、迷惑をかけるハイルナーは友達ではない。もし友達であれば、当然、持つべき友達への興味や思いやりを持っているはずだ。だが、ハイルナーにはそれがない。周りの大人たちも、優等生であるハンスが優等生でなくなったことに対して辛辣だ。機械工としての仕

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    2025年01月21日
  • 車輪の下

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    ネタバレ

    自分の命を人質にすることで生きやすくなってしまったりとか、何となく見下していた肉体労働を楽しんでしまったりとか。自分の本当にしたいと思ってることや意思がどんどん周りの環境に負けていってしまう感じが、僕自身とダブりすぎてしんどくなる。
    僕もこのまま車輪の下敷きかもな

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    2025年03月01日