ヘルマン・ヘッセのレビュー一覧

  • 車輪の下で

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    中学生の頃に母親がこの本を買い与えてくれ(訳者が異なりヘッセ翻訳者として高名な高橋氏であったが)、読んだのが初めての記憶。しかし読んでいる途中は主人公のハンスがかわいそうでならなかった。その感想は今も変わっていない。
    好き嫌い関係なく、そしてなんの疑問も持たない(持てない)子供に勉強をさせるのが本当に正しい教育の姿なのだろうか…
    私自身も親からの期待を裏切れずに過ごした塾漬けの毎日に嫌気がさし、勉強嫌いになってしまった人間だからそう思うのかもしれない。
    やはり今でも読んでいて辛い物語で、結果的にヘルマン・ヘッセという素晴らしい作家を10年以上も遠ざけてしまうことになったのは残念でならない。少なくとも本書はヘッセ諸作の中で、中学生に読ませる本ではないのではないか。親が子供に与える本の大切さはもっと認知されてしかるべき問題だと思う。

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    2018年04月24日
  • 郷愁

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    ネタバレ

    ヘッセの出世作。成長小説。アルプス生まれの自然を愛する主人公が、都会に出て様々人と出会い、別れを繰り返し成長して故郷に帰る。

    故郷が田舎で現在東京に住んでいる自分も読み終えて郷愁を感じた。薄い本だが、翻訳でもありすらすら読める感じではない。

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    2017年10月22日
  • ヘッセ詩集

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    小説でも感じたことだが、ヘッセの悩みには自分と通じるところが多い気がする。そのためか詩も全体的に馴染みやすかった。なかでも個人的に特によくて、動揺と感動の渦が沸き起こる感じがしたのは次の5つ。

    眠れぬ夜(p80)
    陶酔(p150)
    ある友の死の知らせを聞いて(p189)
    新しい家に入るに際し(p192)
    夕暮の家々(p195)

    年代によって著者の悩みの種が移り変わっていることが窺えるが、終盤の詩からはついに全ての悩みを乗り越えて一つの境地に到達したという感じがして一段と味わい深い。

    "そしてわれらは感じる、危きもの、人間を、
    永遠なものは特別な愛をもって愛しているのを。"
    (沈思 p204)

    私も早くこの境地に到達したい。

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    2017年06月12日
  • クヌルプ

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    ネタバレ

    解説に小説としてのストーリーはないが、散文詩としてのまとまりがある、と記されている。その通りで筋らしいものはない。1部はクヌルプの気障なところが見える。2部は友との哲学的対話。3部がメインだろう。この最期に感じたクヌルプの人生の決着が、この小説の最も重要なシーンだと思われる。普通の人のように、人生に対して建設的に臨めなかったが、周囲に子供っぽい笑顔を振りまくクヌルプらしい人生だった、というわけだ。

    「彼は才能があったのに、何故落ちぶれてしまったんだろうか」という問いに対する答えがこの小説にある。
    落ちぶれた人クヌルプ…しかし彼は落ちぶれてなどいない。
    自由気ままな旅人だ。解説にはエリートより共感しやすいとあるが、共感の対象になるにはあまりにクヌルプは人好きのする性格だ。太宰治の人間失格を読んだ時のような気分だ。持つものが、道を踏み外して落ちぶれていくのに、共感は来さない。持たざるものが道を踏み外した悲しみより、幾分救いがあるからだ。

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    2015年05月11日
  • 荒野のおおかみ

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    読書の時間がとれず、時間をかけて読み返した作品。

    世間一般の価値観とは相容れないアウトサイダーの男が現れる設定と、アウトサイダー=荒野のおおかみの定義が綴られた手記の幕、男の実際の行動の幕と続く展開はドストエフスキーの「地下室の手記」を思い出させる。
    同作と本作が異なるのは、主人公の男が自意識を拗らせておらず、差し伸べられた転向のチャンスを払いのけなかった点であろうか。

    思春期以降に彼と近しい境遇だったり、考え方を経験したことがある人は一読の価値あり。
    まだ自分は後半の展開についていくには功徳が足りなかった模様…。

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    2015年01月04日
  • 郷愁

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    人生にはある程度年をとったからわかってくることも多い。ヘッセの郷愁は年をとった今だからこそ理解が進んだんだろうと思うが、ヘッセの若い頃の作品と知り驚いた。心理描写も多く読みやすい作品ではないし、とっちらかっているのは否定できないが、若者の成長については本質をついている。

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    2014年10月29日
  • クヌルプ

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    エリートコースを進む主人公の人生の歯車が少しずつ狂っていく、という大筋は「車輪の下」「デミアン」と似ているが、本作はそこまで暗さがなく、青春時代の楽しそうな描写が多い。放浪するに至るほどの苦悩ではないように感じて、あまり感情移入はできなかった。

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    2014年10月26日
  • ヘッセ詩集

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    あまり体調が良くなかった。テレビやスマホを見るのもつらく、音楽を聴く気にもならず、かと言ってただ寝ているのも暇を持て余す。読書でも、と思ったがビジネス書に有りがちな「ああせよ、こうせよ」という文言を見るのも厭わしく、詩集に手を伸ばした。
    憂鬱、空虚、孤独、諦め、死。日常生活で避けられがちな言葉をふんだんに使いながら、詩には淡々とした優しい響きがあって、粥のように体に沁みた。ありがとう、ヘッセ。一番のお気に入りは「私は、太陽や海や風のように白いもの、定めないものが好きだ」が印象的な「白い雲」。

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    2014年10月04日
  • クヌルプ

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    クヌルプの流浪してても、装いを綺麗に、物を大切に扱うところが素敵だ。見習いたい。ラストはなかなかいい。

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    2014年09月02日
  • メルヒェン(新潮文庫)

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    ドイツの叙情詩人が挑む『知らない人についてったらえらい目に遭った』アンソロジー。

    『 別な星の奇妙なたより』だけ好き。ろくでなしにも矜恃くらいあるんだってとこがいい。

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    2014年05月16日
  • 知と愛

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    対称的な生き方をした二人を通して見る、「知」を大事にする生き方と、「愛」を大事にする生き方。
    なんだか口にして語ればそう、かからない話なのに、すごく壮大な話であったかの印象。

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    2014年01月14日
  • 幸福論

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    「何にも期待していない状態」や「何かを失う不安を持たない状態」、「純粋な今現在」こそが幸福である、ということを意識していれば、いつでもどこでも幸せになれるのかなと思った。
    2014/1/3

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    2014年10月31日
  • クヌルプ

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    見どころがありそうなだけに惜しい作品。1クール目だけはおもしろいアニメみたいなかんじ。もっと跳躍できそうなのに、やはりいつものヘッセである。

    クヌルプの漂白の人生。彼は美青年で気ままで不思議なところがあり、かならず娘っこたちの目にとまる。彼のときおり口ずさむ詩や、生活をいとなむうえではいくらも役にたたない手先の器用さは「人々の息苦しい生活に一脈の明るさとくつろぎをもたらす。」

    作者のいうことを鵜呑みにすれば、そうなのだろう。けれどもぼくにはこのクヌルプという人物が真から人を和ませることのできる人物とはとても思えない。なぜなら彼の性格はやはりヘッセ的気難しさであって、それがクヌルプの柔和な性格といまいち融和しきれない感じをおぼえる。

    なにより生活を営む人たちに対するクヌルプの軽蔑がかなり徹底してることに驚く。彼の生活は社会の外にあって、アウトサイダーそのものであり、そのうえ「軽蔑」まで加われば、これはもう生活の内にある人々・インサイダーにとってみれば「破壊者」そのものであろうし。

    クヌルプが「聖」の属性をになっているのはわかるのだけれども、「俗」への軽蔑をみせる場面ではたしょう説教師的「聖」のありかたが垣間見える。まあ救世軍に入りたいとも言ってるし。けれどもクヌルプはけっきょく最後まで彼の「繊細さや敏感さ」を捨て去ることはなかった。ただぼくにとっては、年上の女にふられて漂白という、クヌルプのなまっちろさがいかにもうさんくさいのだ。

    彼は「繊細さや敏感さ」の世界に留まることを選び、俗と汚辱にまみれた生活とは縁を切っていたけれど、神がこのクヌルプを選ぶということは、はっきりと誤まりだったとぼくは思うのだ。とヘッセに言いたい。

    もはやヘッセとの対話という感じではあるが、二章の「クヌルプの思い出」は好き。

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    2013年05月09日
  • 春の嵐

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    少年時代の恋から足に障害を負ったクーンが、音楽の道を切り開き、成長した青年となっていく過程を描いた、辛くて哀しいヘッセらしい作品です。

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    2013年03月30日
  • メルヒェン(新潮文庫)

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    メルヒェン/ヘルマン・ヘッセ 読んだ。
    解説にもあるとおり、母から授かった無償の愛と死生に対する考察が混じりあって、価値観の放擲がなんどとなくくり返される。憧憬と回帰に関する一貫したテーマのなかで、短編集ながら連作を思わす生活くささが妙に生々しい。
    メルヘンとはなにか、読みすすめるうちに何度となくこう自問したくなる。この一冊の中に読み取るべきものは『アヤメ』のなかで、他作品とくらべてスローダウンした筆致で書かれてあるのでページを戻りながら読むとわかりやすいが、読み終わってそこに答え(救いのようなもの)をもとめるなら「ノー」と言わざるを得ない。
    たち返ることが必要で純粋なものに同調し、なじむこと、をヘッセはよく最上のもののように書くふしはあるけれど、ヘッセに限らずこの種の道徳をもった恋人は病に倒れるか何かして、早死にする場合がほとんどであるから、主人公が死を目前にして『そこ』へたち返ると確信したとしても、それこそメルヘンということもできるだろうし、だからこそ母を思うのだろうし、答えはいつもノーとなるわけ。

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    2013年03月24日
  • 荒野のおおかみ

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    なんかわかる部分もあるけど、今の時代に読むと・・・これどうなんだろう。
    訳のせいもあるかもしれないが、難解かつ読みづらい。
    グダグダ電波自己告白文・・・

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    2012年10月30日
  • クヌルプ

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    どこか散文詩的な性格を持った小説。
    相変わらずヘッセは主人公に自分を投影させまくり。
    作品自体が忠告をその内に秘めてるというか、一言で要約すれば「恋愛ごときで中退するのはやめとけ」ってことかね。
    故郷の村をあてもなく彷徨う場面が好き。

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    2012年09月11日
  • ヘッセ詩集

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    ワシは「詩」が苦手です。「小説」が好きで、いわんや「言葉」が好きなのに、なぜか「詩」は苦手。理由は掘り下げればいろいろ出てくるのですが、端的に言うと「受け取れている気がしない」。

    詩って、俳句や短歌に次いで、極限まで言葉を削いだ状態ですから、言葉そのものに共感できないと、なかなか入り込めないんですよね。そしてワシはその辺りの感性が鈍いのでしょう、感覚的な言葉紡ぎは結構難しい。

    それでも、まだこのヘッセの詩集は読めました。まぁ和訳の妙もあるのでしょうけど、まだ「分かる」という感覚で読める作が半分くらいはあった。それが多いか少ないかは分かりませんが。そんな中、特に感じ入ったことが二つ。

    一つは、創作家は満ち足りてはいけない、幸せになってはいけない、そんな気がしたこと。というのも、この静かな詩人の叫びは、渇望から生み出されているに違いない……そう感じたんですよね。満ちた瞬間、言葉がこぼれ落ちてくることはなくなるんじゃないか、この言葉紡ぎを見ていると半ば本気でそう思います。

    二つ目は、詩は分からないワシなりに心に響いたものをメモっていったら、その半分が晩年寄りのもので、著者が実感としての「死」を意識し始めたのではないか、と思われるような、「生への渇望&諦観」が書かれたものが多かった気がしたこと。これも、言葉を削ぎ落していく詩作という作業は、人生の無駄を削ぎ落していくことにも似ているのかな、と、そんなことを感じました。

    や、そもそも「詩集」のレビューって難しいですね。小説で言えば、無数の短編集みたいなものですから、なかなか全体を通じてこう、と言いづらい。

    ただ、これもレビューとは言えませんが、ひとつ自覚して驚いたこと。子供は好きだけど自分の子供はいらないと吹聴するワシが、一瞬だけど、子孫がいた方が良いかも、と思わさせられてしまったこと。普段からゼロの結婚願望が沸き起こることはなかったとはいえ、意外な心の移り変わりを感じた読書だったのは確か。

    純粋すぎる言葉の応酬は、思わぬ心への効果をもたらすものかもしれませんね。

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    2012年04月26日
  • メルヒェン(新潮文庫)

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    ヘルマン・ヘッセの短編集。大人のための童話みたいな物語がたくさん収録されている。いくつか好きな作品があった。が、ヘッセの良さは短編では出きらないな、とも思った。なぜなら、ヘッセの良さというのは、人間が心の奥底で悩んでいることについて、それが自分自身にもよく言い表せないような状況において、それを見事なまでに文章化する点にある。そしてもっとすごいところは、さらに自分自身でもそこに存在していたことに気が付かなかったような細かな感情の揺れ動きまでを見事に表すことができる点にある。こんな事をするには長ーい前ふりと細やかな記述が必要なのだけれども、短編ではそこのところができなくなってしまう。なのでヘッセの作品は長編の方がいいと思う。

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    2012年02月29日
  • 郷愁

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    まるでヘッセの自伝を綴った小説のよう。

    主人公カーメンチントは自然豊かな田舎育ち。
    荒々しくも美しい山、川、森、空に囲まれ育まれた純真で透明感のある心で、無二の友人、恋心を抱く芸術家、障害者たちとの出会いを鮮明に際立たせる。

    繊細でダイナミックな自然描写と、詩的な感情表現が美しい文学小説。
    やや回りくどい感は否めないが、海外文学の入門書としておすすめ。

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    2012年01月02日