ヘルマン・ヘッセのレビュー一覧
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この訳を「メルヘン」じゃなくて「メルヒェン」にした高橋健二はエライ!!どっからどーみても絶妙にメルヒェン。穏やかで情熱的な話の展開とか、優しい登場人物がいまいち甘やかしてくれないところとか、どーにもドイツ文学。なにより美しい。
アウグスツスが一番人気みたいですが、わたしは詩人がとても興味深かったです。
男の人が男主人公でえがく求道小説というのは読んでいて「自分勝手だなあ!」と思ってしまうことが多いのですが、この話は前半多少汗臭いものの全体的に童話っぽくてなんとなく可愛らしい。とても短い話なんだけどちゃんとポエティックで、ラストはゆっくりと息を吐いてしまいました。
五感全部で小説を読んだのは久しぶりです。ヘッセはこれですきになった。 -
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狭い故郷を離れ都会に出たアルプスの自然児ペーターは、文筆家として身を立てるが、都会の文明に失望し、幻滅を感じるようになる。この彼を救ったのは、美しい少女エリーザベトへの愛と、姿は醜いけれども美しい魂を持った身障者ボピーへの愛の奉仕であった。ボピーの死後、自然に包まれた故郷へ帰ったペーターが、そこで見出したものとは──。
物語の中で、彼は幾度か大切な友の死を経験することになる。そして彼の恋は、いつも片想いで終わってしまう。
彼の人生の中で幸福かと言われる時期はないように見えてしまうけれども、大切な友と過ごした時間は、彼にとってとても大切なものであったのではないだろうか。
幸せになってほしいと、読み終えた今でも願わずにはいられない。 -
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CREAという雑誌の読書特集で、中谷美紀が「読んでいて幸せになる1冊」と書いていたのが妙に心に残り、うん十年ぶりに読み返してみました。
ヘッセを読んでいたころって中学生くらいで、文学少女を気取ってスタンダールとかトルストイとかカミュとか太宰とか芥川とか、とにかくそういう背伸びした読書がマイブームでした・・・いや、今思うとハズカシいですけど
(どこまで内容を理解していたのかは不明ですが(^^;)
すっかり忘れさっていたので、今回は新たな気持ちで読みました
まあ、どれもこれも丁寧に書かれていること!
この人は本当に一字一句、言葉を文字を大切にしているのだなぁと感心ばかりしておりました。
Glück(幸福)という言葉が、彼にとってどれほど美しく重みのあるものかという事が、切々と語られている『幸福論』を読むと、自分がいかに日々、言葉も文字もぞんざいに扱っていたかという事実を思い知らされて少し反省しました。
それからは文字を、少し気をつけて丁寧に書くように心がけるようになりました(ああ!私って本当に、影響されやすい!)
こんなに繊細な人は、生きるのが大変だっただろうなぁ。
人一倍に喜びや美しさを感じる心があるから、人一倍、苦しみや悲しみも受けざるを得なかったのでしょうけれど。
ヘッセは言葉を操る言霊師とみたり。 -
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タイトルが「共同体の中で友愛関係を失い追放された異人である人狼」を連想させ、ぱらぱらっとめくったページに書いてあった、
「今夜4時から魔術劇場
――入場は狂人だけ――
入場料として知性を払うこと。
だれでもの入場はお断り。ヘルミーネは地獄にいる。」
「ハリーの死刑執行」
などに心惹かれたので読んだ。
序盤のハリーの心理描写などがよかったが、途中退屈して読むのを中断していた。
2006年の秋頃の精神的につらい時に読んで90ページくらいで中断し、また今年の9月に入ってから読んでいたが、退屈するところは同じなようで、90ページ目くらいで数日放置し、その後、1日30〜40ページくらいのペースで読み、今日読み終えた。
ハリー・ハラー(H.H)とはヘルマン・ヘッセ(H.H)自身を指すらしい。
魔術劇場での将棋の駒は小説の登場人物を指し、それの組み合わせから展開するものは小説を指しているのだろう。
魔術劇場での一場面は、マンガの「ベルセルク」のガッツの心理描写を思い起こさせるところがあった。「ベルセルク」が影響を受けた全作品(文学、映画など)リストがあればいいなと思う。三島由紀夫の「真夏の死」という作品からの影響もあるとか。
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読むのに非常に時間がかかった。話が現実と幻想を行き来しているし、第一人称で描かれているし、構造がムヅカシかった。もちろん読みごたえ十分。この作品は世界へむけて描かれたものなのかな。主人公は既読の「デミアン」「シッダールタ」「知と愛」と同じく、現実世界の背後の永遠の世界を求める、というようなヘッセ自身の投影なのだろうけど、悟るのではなく現実社会に打ち砕かれる、というところがこの作品の特徴。近代世界への強烈な揶揄というか。
最後の狂気じみた劇場での幻想の場面の、言葉の使い方が美しい!!これは翻訳の高橋さんの手柄なのかな。やっぱりドイツ語で読んでみたい。 -
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有名作品なので読んでみた。少年〜若年の生涯を描いた作品。あとがきで、ヘッセ少年の自叙伝的作品であることも知った。神学校にも通っていたし、ハイルナーのように脱走もしたそう。
後半は特に地の文が多く会話文が少ないので、読書慣れしていない人にはしんどいかも。大事件がなんの前触れもなく地の文で描かれるから、作者が精神的に安定しているというか、あまり感情がない人間のように感じられた。
基本的に陰鬱とした雰囲気でありながら、少年が大人になるにあたって心情が大きく揺れる場面は読み応えがあった。読書体験としては良かったけど、再読したいと思えるほどは入り込めなかった。 -
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その昔、積読コレクションの中から私よりも先に手に取り、「感動した」と感想を述べた高校生の弟。その一言がきっかけで、本書は長年にわたり私の課題図書となっていました。
会話文の少ないクラシカルな文体は、まるでRPGの防御力MAXのラスボスのような存在。40年以上もの間、挑戦しては挫折を繰り返し、積読ダンジョンで「難攻不落書籍」として君臨し続けました。
そして今年、「今度こそ」と意気込み、活字対策のレベル上げをし、心の装備を万全にし、更に本書を新たに購入し直して再挑戦。そこまでしてなんとか紙一重で読み終えることができました。
大袈裟かもしれませんが、人生のどのタイミングで一冊の本と出会うかによって、その本の価値や受け取り方は大きく変わるのかもしれません。
今さらながら、高校時代にこの本を読み切り、しかも「感動した」と言い切った弟の感性には、羨ましい限りで嫉妬すら覚えますが、書店などで本書を目にする度に弟の事を思い浮かべる、、、そんな一冊であり続けるのだと思います。