ヘルマン・ヘッセのレビュー一覧

  • 車輪の下

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    子供と大人。
    葛藤。
    大人の正義と子供の自我。
    「大人」ってなんなんだろう。

    子供の内面を捉えた描写は、あまりにも繊細で、油断すると息苦しささえ覚える。

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    2020年08月08日
  • 春の嵐

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    時代のせいなのか、筆者の育ちの良さのせいなのか、ともかく品が保たれているのは確か。ストーリー的には今でもありそうな感じだが、今だったらもっとギトギトした筆致となりそう。
    この意味でその昔の日本人がこの作家が好きだったというのは良く分かる。そして今は物足りないという指摘が多そうなことも何となく推察できる。
    まぁ当方としてはもう少し暗くっても良いかなと思います。直前に読んでいる作品もそうですが、どうもこの作家、ほんとの底に降りてきていない感じがする、しかも意図的に。

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    2019年06月20日
  • メルヒェン(新潮文庫)

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    個人的にこの手のおとぎ話的なものはあんまり好みでは無いので、少し評価は辛目かも。
    でも最初と最後から二番目の作品は、少なくとも当方にとっては現実感が感じられ、なかなかによろしいかと。まぁ若干道徳臭が強すぎて教科書的かもしれませんが、この作家の特徴なんでしょうかね、何かそんな気がする。
    そしてそれは日本人好みかなと思います。

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    2019年05月26日
  • 青春は美わし

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    品が良いのは原文なのか、はたまた訳なのかどちらかは測りかねますが、日本人好みでいかにも教科書に出てきそう。
    内容は正直うんっ?というのが正直なところ。純と言えばそれまでですが、いくらなんでもナイーブ過ぎませんかね?
    もしかすると時代が変わってしまったということかもしれませんが。

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    2019年05月19日
  • 郷愁

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    『春の嵐』の後に読んだせいか、やや流れが似ているのと、春の嵐の方がすきなためこの評価に。

    体の不自由なボピーとの交流が1番印象に残っていて好きだな。

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    2019年03月18日
  • クヌルプ

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    孤独を愛することは誰かに依存してはいけないんやと、思う。クヌルプはけっこう自分勝手で自分大好き人間やから、孤独とはちょっと違うのかもしれない。人の好意をどう思ってるのかなとはめっちゃ感じたし、そばにいたくないタイプかなーと思ってしまったですよ。

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    2019年02月22日
  • 幸福論

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    ヘッセの晩年のエッセイとも言える短編集。
    老後に我が人生や人生観を語る内容で、素直な気持ちが打ち明けられている。人生における様々なエピソード、親しい人との死別、時間により熟成された経験と対比など多くの部分で同感できる。自己の人生観と対比させながら読んだ。
    詩人の文章であるからか、すっと受け入れにくい文体が多く、読みにくいのが難点だが、あまり子細に拘らず感じるように読み進めるのが良いと感じた。
    幸福論で語られた、日常生活や時間にとらわれない、むせぶような一瞬の幸福感を探す人生を送りたいと思う。

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    2018年09月02日
  • 車輪の下で

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    中学生の頃に母親がこの本を買い与えてくれ(訳者が異なりヘッセ翻訳者として高名な高橋氏であったが)、読んだのが初めての記憶。しかし読んでいる途中は主人公のハンスがかわいそうでならなかった。その感想は今も変わっていない。
    好き嫌い関係なく、そしてなんの疑問も持たない(持てない)子供に勉強をさせるのが本当に正しい教育の姿なのだろうか…
    私自身も親からの期待を裏切れずに過ごした塾漬けの毎日に嫌気がさし、勉強嫌いになってしまった人間だからそう思うのかもしれない。
    やはり今でも読んでいて辛い物語で、結果的にヘルマン・ヘッセという素晴らしい作家を10年以上も遠ざけてしまうことになったのは残念でならない。少な

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    2018年04月24日
  • 車輪の下で

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    ネタバレ

    ‹内密紹介より›
    周囲の期待を一身に背負い猛勉強の末、神学校に合格したハンス。しかし厳しい学校生活になじめず、学業からも落ちこぼれ、故郷で機械工として新たな人生を始める……。地方出身の一人の優等生が、思春期の孤独と苦しみの果てに破滅へと至る姿を描いたヘッセの自伝的物語。

    ーーーー
    受験に耐え抜き、エリート学校に進学したハンス。
    そして神学校での勉強についていくために必死で勉強をつづけましたが、次第に無理がたたって精神的な不調をきたすようになります。
    現在で言えば「学校不適応」ということになるのでしょうか。
    時代が時代であったためか、学校側の支援も保護者の理解も得られず、追い込まれてゆくハンス

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    2017年10月24日
  • 郷愁

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    ネタバレ

    ヘッセの出世作。成長小説。アルプス生まれの自然を愛する主人公が、都会に出て様々人と出会い、別れを繰り返し成長して故郷に帰る。

    故郷が田舎で現在東京に住んでいる自分も読み終えて郷愁を感じた。薄い本だが、翻訳でもありすらすら読める感じではない。

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    2017年10月22日
  • 車輪の下

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    ネタバレ

    百年以上も前の作品であり、神学校や田舎の暮らしなど、私たちの生活とはかけ離れているにも関わらず、少年の押しつぶされ傷ついた心に共感できる。
    心は不変なものだと感じました。

    神学校時代もそうだが、田舎に戻ってからの少年の、友も少なく死に囚われた描写が痛々しい。救われてほしかったけれど、悲しい最後でもやもやしました。

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    2017年08月22日
  • ヘッセ詩集

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    小説でも感じたことだが、ヘッセの悩みには自分と通じるところが多い気がする。そのためか詩も全体的に馴染みやすかった。なかでも個人的に特によくて、動揺と感動の渦が沸き起こる感じがしたのは次の5つ。

    眠れぬ夜(p80)
    陶酔(p150)
    ある友の死の知らせを聞いて(p189)
    新しい家に入るに際し(p192)
    夕暮の家々(p195)

    年代によって著者の悩みの種が移り変わっていることが窺えるが、終盤の詩からはついに全ての悩みを乗り越えて一つの境地に到達したという感じがして一段と味わい深い。

    "そしてわれらは感じる、危きもの、人間を、
    永遠なものは特別な愛をもって愛しているのを。"
    (沈思 p20

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    2017年06月12日
  • 車輪の下

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    試験が終わった後の解放感溢れた時期の情景描写が秀逸
    ハイルナアがどうしてそんなに影響してしまったのかいまいちよく分からない

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    2016年01月17日
  • 車輪の下で

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    いたって普通、という感想しか持てなかった。
    緩慢に人が壊れていく話。
    人といっても、10代の真ん中位の少年だけれど。
    共感も何もなかったのは、年を取りすぎたからか、元々心がないからか。
    150717

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    2015年07月17日
  • クヌルプ

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    ネタバレ

    解説に小説としてのストーリーはないが、散文詩としてのまとまりがある、と記されている。その通りで筋らしいものはない。1部はクヌルプの気障なところが見える。2部は友との哲学的対話。3部がメインだろう。この最期に感じたクヌルプの人生の決着が、この小説の最も重要なシーンだと思われる。普通の人のように、人生に対して建設的に臨めなかったが、周囲に子供っぽい笑顔を振りまくクヌルプらしい人生だった、というわけだ。

    「彼は才能があったのに、何故落ちぶれてしまったんだろうか」という問いに対する答えがこの小説にある。
    落ちぶれた人クヌルプ…しかし彼は落ちぶれてなどいない。
    自由気ままな旅人だ。解説にはエリートより

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    2015年05月11日
  • 荒野のおおかみ

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    読書の時間がとれず、時間をかけて読み返した作品。

    世間一般の価値観とは相容れないアウトサイダーの男が現れる設定と、アウトサイダー=荒野のおおかみの定義が綴られた手記の幕、男の実際の行動の幕と続く展開はドストエフスキーの「地下室の手記」を思い出させる。
    同作と本作が異なるのは、主人公の男が自意識を拗らせておらず、差し伸べられた転向のチャンスを払いのけなかった点であろうか。

    思春期以降に彼と近しい境遇だったり、考え方を経験したことがある人は一読の価値あり。
    まだ自分は後半の展開についていくには功徳が足りなかった模様…。

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    2015年01月04日
  • 車輪の下で

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    教育業界はいつの世も問題を抱えている。教育を受ける子供たちが苦しむのは不条理である。
    大人はかつて子供だったのに、自分が子供だった頃を覚えている人は少ない。

    子供に寄り添える、子供が手放しで心を見せてくれる、そんな大人になりたい。

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    2015年01月01日
  • 郷愁

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    人生にはある程度年をとったからわかってくることも多い。ヘッセの郷愁は年をとった今だからこそ理解が進んだんだろうと思うが、ヘッセの若い頃の作品と知り驚いた。心理描写も多く読みやすい作品ではないし、とっちらかっているのは否定できないが、若者の成長については本質をついている。

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    2014年10月29日
  • クヌルプ

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    エリートコースを進む主人公の人生の歯車が少しずつ狂っていく、という大筋は「車輪の下」「デミアン」と似ているが、本作はそこまで暗さがなく、青春時代の楽しそうな描写が多い。放浪するに至るほどの苦悩ではないように感じて、あまり感情移入はできなかった。

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    2014年10月26日
  • ヘッセ詩集

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    あまり体調が良くなかった。テレビやスマホを見るのもつらく、音楽を聴く気にもならず、かと言ってただ寝ているのも暇を持て余す。読書でも、と思ったがビジネス書に有りがちな「ああせよ、こうせよ」という文言を見るのも厭わしく、詩集に手を伸ばした。
    憂鬱、空虚、孤独、諦め、死。日常生活で避けられがちな言葉をふんだんに使いながら、詩には淡々とした優しい響きがあって、粥のように体に沁みた。ありがとう、ヘッセ。一番のお気に入りは「私は、太陽や海や風のように白いもの、定めないものが好きだ」が印象的な「白い雲」。

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    2014年10月04日