ヘルマン・ヘッセのレビュー一覧

  • 車輪の下で

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    要所要所での人間に対する分析が非常に鋭く、登場人物それぞれの人生もどこか見過ごせないような感じがして、とても面白かった。ハッピーエンドと捉えるか、バッドエンドと捉えるかは人によりそう。主人公のような人生を歩む人は多いと思う。

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    2021年05月08日
  • 車輪の下

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    ネタバレ

    前半は主人公に感情移入したけれど、故郷に戻ったあとからはあまり感情移入はできなかった。精神の成長を描いているのかと思って読んでいたけれど違うようだ。

    主人公は結局お受験エリートでしかなくて、結局人から与えられたものに時たま魅力は感じつつも、単に与えられたものとして物事に取り組む以外何もできなかったように見える。
    自分で何かを獲ることが「強気」になれる唯一の方法だと思うが、それが最後までできなかったのを見ると、なにがその段階への成長を遮ったのかなぁと疑問を感じてしまう。

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    2021年05月02日
  • 春の嵐

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    主人公は作曲家。事故で片足が不自由になった彼の乱高下激しい人生、特に強い愛や友情ゆえに苦悩する日々の物語。感情表現の仕方が絶妙というか分厚い。常に内外、表裏、手前と向こう側が同時に書かれていて、小説ながらに「なるほど」と頷いてしまうこともしばしば。50も近づいてきて、未だどこか作曲家になる夢を懐き続けてる自分にとって、主人公を応援する気持ちも相混じり、一気に読んでしまった。

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    2021年03月18日
  • 青春は美わし

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    淡々とした文体で故郷の美しさ、青年の心の移ろい、初恋の苦味が描かれた本だった。青春のかがやかしさが感じられる素敵な文章が続いており、読んでいてとても心地よかった。ただ、少し無機質に感じられのは、翻訳された文だからなのだろうか。

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    2021年02月15日
  • 郷愁

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    ネタバレ

    まず「郷愁」というのは意訳であるが、原題は「ペーター・カーメンチント」というひとりの名もなき男の自叙伝である。故郷はカーメンチントの原点でありいつも彼とともにあるが、本人が認めるのは最後の最後である。チューリヒ編、バーゼル編、アンジ編、バーゼル・ボピー編(パリは大胆に割愛されている!)振り返るとそれぞれ甘苦く生々しい記憶が綴られている。チューリヒ時代の若い輝きが懐かしい。それにしても…(誰しも一生を振り返れば思い出したくもない記憶の一つや二つあるにしても)この主人公は、愛は一度も成就せず、親友はみな死に、なかなか気の毒である。

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    2021年02月15日
  • シッダールタ

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    読めるが初回は理解しにくい。
    まだ早いかな、しっかりと感想を言葉で表せるようになるまではきっと2回目以降になる、、
    率直に、人の出会いや別れ、再会とは、奇遇であるということ。

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    2021年01月11日
  • メルヒェン(新潮文庫)

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    今年は毎日読書をしようと決意し、手始めに高校時代に大好きだったヘッセの本の中で、短編集で最も読みやすいこちらを再読です。

    物語は、割と共通点があり、
    アウグスツス、笛の夢、アヤメ、は人生の歩みを進める中で失っていく悲しみと感慨。
    詩人、ファルドゥムは更に大きな時間から人間の営みを観察しています。
    そんな中で「別な星の奇妙なたより」「苦しい道」「夢から夢へ」は不穏な世界に連れていかれます。中でも「夢から夢へ」は全く異様でした。
    「ピクトルの返信」は、同じような書き方ながら少し変わっていて、仏教的な雰囲気がありました。("大聖歓喜天"のイメージと重なりました)

    言葉がレース

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    2021年01月11日
  • シッダールタ

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    真理に近づく為には実体験、経験こそが必要。教えられることだけでは決して近づくことはできない。
    自発的に行動を起こし、失敗(経験)を繰り返し、自分の答えを導き出す事ことが必要。

    傾聴することが大切。

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    2021年01月03日
  • 車輪の下

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    【始】仲買人、兼代理店主、ヨーゼフ・ギーベンラート氏は、同じ町の人にくらべて、目だつようなすぐれた点も変わったところも、べつに持っていなかった。

    【終】ギーベンラート氏は、このひとときの静寂と、異様に苦しい、かずかずの物思いとから離れて、ためらいながらとほうにくれたように、暮し慣れた生活の谷間へと向かって歩いた。

    神学校から帰ってきてからが好き。
    酩酊状態の描写は素晴らしい。

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    2020年11月03日
  • 青春は美わし

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    ラテン語学校生の方が主人公の内心と行動が大胆で面白かった。失恋したばかりだったのでこの本のおかげで立ち直れた気がした。ありがとうヘッセ。

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    2020年06月11日
  • 春の嵐

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    若い人は利己的で何か理想と食い違うと自殺したりする、でも、自分の命が他者と繋がってることを知っているものは安易に自殺したりしない

    年を重ねてゆくと満足感や幸福感は他者の役に立つことで得られることをしる、
    人生自体は空である、

    なるほどな、、、

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    2020年04月14日
  • 車輪の下で

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    ネタバレ

    ヘッセが若い頃に書いたようだけど教育機関、細い一本道の進路の閉塞感に反発しまくり。批判的な自伝的小説。ロックンロール。
    生真面目に頑張ったけど落ちぶれて川に落ちて死んだハンスと、詩人で自由人で周囲から疎まれ退学してそれなりにいい人生を送ったらしいハイルナー、親友同士のこの二人が、実はヘッセ自身の分身的存在であると解説で知り、面白い。
    レールに敷かれた人生を真面目に生きても周囲の重圧に揉まれ運もよくなくて病んで落ちぶれダメになったハンス、これは割と「あるある」なのだろうけど、そういう人たちへの哀れみ、鎮魂歌、或いは祈りのように感じる。そうさせた社会への怒りも。十代で読むか大人の側に立って読むかで

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    2020年02月12日
  • 車輪の下で

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    思春期の少年の、細かな心の動きをしつこく客観的に描いた作品。
    10代の頃に出会っていたら、すごく救われるか図星すぎて直視できなかったか。
    思春期って命がけなことを思い出した。
    それとは別に季節と風景の捉え方が秀逸。

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    2020年01月12日
  • 郷愁

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    田舎から都会へ出て暮らし、田舎を想う気持ちを持ち、時に田舎に帰ってみたりしていること。そんな共通点があるからか、主人公には少し親近感を持ち読み進めることができた。

    田舎から都会に出ると決めた時、何がそうさせた?
    都会で学び、人々と交わり、友情を育み、恋に落ち、いろいろな経験をし、世間一般の幸せ、青春のあこがれを追い続け、結果として田舎に帰った時、何を想うだろうか?

    一人の人間の人生を通して、見えるものはたくさんある。小説を読む醍醐味を味わえる作品だった。

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    2019年04月16日
  • 車輪の下

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    ネタバレ

    優秀さ故に大人達から勝手に期待されて勝手に失望されて
    勉学と引き換えにせっかく築いたはずの友情は脆くも消え去り鬱状態になったあげく
    初恋の純情は弄ばれ
    仕事は二日目にして早くも苦痛で
    仕事仲間が一週間の楽しみにしているらしい酒盛りもそれほど楽しく感じられない
    そりゃ辛いよね…まして若くて繊細な子だもの…

    名作はどの時代にも通じることが描かれているから名作なのだと、改めて思った。

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    2017年07月05日
  • クヌルプ

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    見た目がすっかり変わっていても、話をするとすぐにそれが誰だか思い出せるという主人公の在り方に心惹かれた。そういう風になりたいというわけでは決してないけれども。

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    2017年06月11日
  • 荒野のおおかみ

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    ユング心理学の「影」の概念についての本を読んだ直後だったので、かなり一面的に「影の克服」の物語として読んでしまったが、それが主題であることはたぶん間違ってないと思う。実際にヘッセはユング心理学に高い関心があったというし。私はこの小説で影は一つではないことを知った。あるいは1人の人の中の影にも多様な姿かたちがあることを理解した。平面的なものにとどまっていた影の概念の理解が深まり、驚きとともに嬉しい手応えがあった。物事の理解を深めるのは何も学術書だけではないのだなあ。物語を通して疑似体験できることはとても有意義なのだと実感した。物語としても、仮装舞踏会でのヘルミーネとの恋の踊りは本当に感動した。読

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    2017年01月14日
  • ヘッセ詩集

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    小説よりも自由で、ヘッセという人物の文体が限り無く課されていると思う。詩人になりたくてしょうがない、詩を書くより他ないと知った少年の心根が最初から最後までにじみ出ている。
    永遠の旅人。とどまることのできない時の中で、失われていった青春への憧れとのはざまを漂いながら今を過ごしていく。どこまでいっても今を生きていたから、時間の経過で詩人として成長していく様というよりかは、はじめから、ずっと一貫して流れていく様を見つめているといった感じ。何にもなじめず、どこにも安らぎを見いだせず、そんな自分を抱きしめるより他ない、やせっぽちの少年。
    小説では、じっくり考えて構成して、ひとつの表現を獲得していくのに対

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    2016年12月31日
  • 超訳 ヘッセの言葉

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    「〇〇の言葉」というタイトルの本がここ数年増えてきている。それなりに売れているということかな。
    この本は小説家・詩人の言葉ということで、ちょっと気になったので読んでみた。
    こういう形式の本は途中から飽きてくるけれど、どういったことを考えていた人かを知るには、とっつきやすくて良い。

    孤独な雰囲気と、静かな強さを感じた。
    車輪の下しか読んだことがないけれど、その他の小説も読んでみたい。

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    2016年11月16日
  • 知と愛

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    ヘッセの人生というのは、常に知性と感覚のせめぎ合いだったのだろう。この激しい二項対立を抱えて生き続けたと言ってもいい。知るとは何だ。目の前にあるこの美しい景色を感じるこの心はなんだ。彼は幼い時からそう思う心を非常に大事にしてきたに違いない。彼にとって学問は感覚抜きに行われる、純粋に抽象的なものであったのだろう。なぜ、感じられもしないそんなことをしなければならないのか。どこまでも素直な彼にとって、こんな理不尽なことはない。彼はそうして何もかも捨てて飛び出していくのであった。
    旅に生き、流れのなかに生き、とめどないひとの世でさすらうということは、別れが必然であり、定住はできない。ひとが好きなのに、

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    2016年08月21日