ヘルマン・ヘッセのレビュー一覧
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学生時代に「車輪の下」を読んで以来のヘッセです。
いやぁ、深い・・人生において大切なものを気づかせてくれる一冊です。
涅槃の域を求めて流浪する求道者、シッダールタ。“バラモンの教え”“ストイックな苦行”を経て、カリスマ聖者・仏陀と出会います。(そう、タイトルから仏陀の話と思いがちですが、仏陀とは別の“シッダールタ”です)
一緒に修行してきたシッダールタの友は仏陀の弟子となりますが、シッダールタは“教えられる”という事では自我を克服できないと、一人流浪を続けます。
崇高な求道を続けると思いきや、敢えて“堕落”の生活も経験してみるシッダールタ。それでも彼の虚しさは増すばかりです。そんなシッダー -
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読書力読書、3冊目。
学生のころ、どの先生だったか忘れましたが、この本の内容を「受験の話」だとおっしゃっていました。しかしとくに興味を惹かれることなく数十年経過、人生半ばまできてようやく読みました。
シュワルツワルト地方の小さな町で唯一の秀才、ハンス・ギイベンラアトは、ほかの〈天分にめぐまれた少年たち〉と同様、州試験を通って神学校へ行き国のために働くというエリートコースを歩むべく、父親や町の人びとの期待を背負って州試験を受け、無事合格、マウルブロン神学校に入学します。友人もでき、勉学に励みますが、少年から青年へと成長するとともに、心身の調子を崩してゆきます。
主人公ハンスの苦悩は -
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ネタバレまず「郷愁」というのは意訳であるが、原題は「ペーター・カーメンチント」というひとりの名もなき男の自叙伝である。故郷はカーメンチントの原点でありいつも彼とともにあるが、本人が認めるのは最後の最後である。チューリヒ編、バーゼル編、アンジ編、バーゼル・ボピー編(パリは大胆に割愛されている!)振り返るとそれぞれ甘苦く生々しい記憶が綴られている。チューリヒ時代の若い輝きが懐かしい。それにしても…(誰しも一生を振り返れば思い出したくもない記憶の一つや二つあるにしても)この主人公は、愛は一度も成就せず、親友はみな死に、なかなか気の毒である。
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今年は毎日読書をしようと決意し、手始めに高校時代に大好きだったヘッセの本の中で、短編集で最も読みやすいこちらを再読です。
物語は、割と共通点があり、
アウグスツス、笛の夢、アヤメ、は人生の歩みを進める中で失っていく悲しみと感慨。
詩人、ファルドゥムは更に大きな時間から人間の営みを観察しています。
そんな中で「別な星の奇妙なたより」「苦しい道」「夢から夢へ」は不穏な世界に連れていかれます。中でも「夢から夢へ」は全く異様でした。
「ピクトルの返信」は、同じような書き方ながら少し変わっていて、仏教的な雰囲気がありました。("大聖歓喜天"のイメージと重なりました)
言葉がレース -
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ネタバレヘッセが若い頃に書いたようだけど教育機関、細い一本道の進路の閉塞感に反発しまくり。批判的な自伝的小説。ロックンロール。
生真面目に頑張ったけど落ちぶれて川に落ちて死んだハンスと、詩人で自由人で周囲から疎まれ退学してそれなりにいい人生を送ったらしいハイルナー、親友同士のこの二人が、実はヘッセ自身の分身的存在であると解説で知り、面白い。
レールに敷かれた人生を真面目に生きても周囲の重圧に揉まれ運もよくなくて病んで落ちぶれダメになったハンス、これは割と「あるある」なのだろうけど、そういう人たちへの哀れみ、鎮魂歌、或いは祈りのように感じる。そうさせた社会への怒りも。十代で読むか大人の側に立って読むかで -
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ユング心理学の「影」の概念についての本を読んだ直後だったので、かなり一面的に「影の克服」の物語として読んでしまったが、それが主題であることはたぶん間違ってないと思う。実際にヘッセはユング心理学に高い関心があったというし。私はこの小説で影は一つではないことを知った。あるいは1人の人の中の影にも多様な姿かたちがあることを理解した。平面的なものにとどまっていた影の概念の理解が深まり、驚きとともに嬉しい手応えがあった。物事の理解を深めるのは何も学術書だけではないのだなあ。物語を通して疑似体験できることはとても有意義なのだと実感した。物語としても、仮装舞踏会でのヘルミーネとの恋の踊りは本当に感動した。読