あらすじ
何年ぶりかで家族の住む故郷に帰ってきた青年は、昔恋したことのある美しい少女に再会する。しかしその愛は実らず、その上、妹の友達への恋にも破れる。彼は孤独な、しかし清らかな思い出を胸に故郷を去って行く……。ふるさとを懐かしみながら放浪に心ひかれ、地道に生きようと願いながら浪漫的な憧れに駆られる青春の心を抒情性豊かに謳いあげた表題作。他に、「ラテン語学校生」。
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Posted by ブクログ
ヘッセの平和なロマン主義が楽しい。
特にラテン学校生徒の物語は短編ながらも、
あどけなさの残る少年の恋の情熱の目覚めから、
愛の美しさへの深い理解に達するまでの経緯が
素晴らしく綺麗に綴られている。
最高な読書だった。
Posted by ブクログ
ヘッセの小説は「車輪の下」以来2冊目になりますが、ヘッセの小説はとにかく美しい情景描写と、繊細な心理描写が心に残る。
ヘッセの小説は読んでいると、なんだか甘美で、幻想的な気分になるのです。
まず「青春は美わし」の方は久しぶりに故郷に帰ってきた青年が、淡い初恋を抱いていた少女が美しく成長している姿を目にしてドキドキしたり、妹の友人の少女が家に泊まりにきてドキドキしたりする胸キュンな内容になっております。都会から田舎に帰ってきたので、田舎の情景の美しさや家族の優しさなどをしみじみと感じる主人公の目線もとても美しく描かれています。
「ラテン語学校生」の方は都会に下宿している青年が、下宿先の女中と仲良くなり、よその家の年上の女中に一目惚れしちゃう、という物語。主人公の純粋さが時々読んでいて「こいつはバカか」と思ってしまう部分もあるんだけど、それも含めてとてもいい。まさに、青春のバカさ加減が出ている。個人的にはこっちの小説の方がおもしろかった。下宿先の女中にかわいがってもらう主人公のかわいさが、読んでいてとても初々しくて、好感が持てる。そして、初恋らしくバッサリとふられちゃう感じもいい
初恋はそうでなくてはいけませんね。両方とも青春の甘酸っぱさをとっても美しく、みずみずしく、素晴らしい小説でした。読み終わった後は心が洗われたようにキラキラします。
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本書には二作の短編が収められているが、両作とも初恋にちなんだ実らぬ恋を通じて導かれる、儚くも玉のように美しい青春を優しく謳っている。誰しも通る青春の美しさ。本書はきっと、国籍問わず万人にノスタルジーを喚起させる。そして大切なのは、青春以降の生き方についても見逃せない示唆を与えてくれるのである。
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高校生のうちに読みたい!!!と思って。すばらしかった。”小さい中庭の上にわずかな空が弱い金色の火に燃えていた。”なんて、自分には一生そんな文章は書けないな、と絶望。
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非常に上品で豊かな翻訳で、読みやすい。繊細な心情と情景の描写が印象的。どちらかと言うと、『ラテン語学校生』の幼さの残る純粋さが好きだった。憧れと期待、そして少しの高慢さが初恋らしく瑞々しい。何年経っても大切に取っておきたい、淡く光る小さな宝石のような恋。格好悪くても、実らなくても、その痛々しさとほろ苦さが何よりも美しいと思った。
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ヘッセの描く青春は、いつ読んでもやさしい。
すべてが愛しい思い出になってくれるような、自分の中に溶け込んでいく、強いるところのない、なめらかな時の流れ。
「時と日は夏の雲のように軽く跡もなく過ぎ去って行った。一日一日が色どられた絵であり、さまよう感情であった。ざわめいてわき起こって来て輝くかと思うと、たちまち夢のように余韻だけを残していくのだった。」
この余韻をいつまでも大事にしていきたい。
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青春は美わしの方でアンナに対して「特に美しくない」などとあくまで自分が選別する側かのように言っていたのが少し嫌だったけど、恋をするときって確かにそういう傲慢さがあるかもなって思った。
片思いをしている、いわば相手に弱みを握られているような状態なのに好意を抱く女の子2人を同時に遊びに誘ったり割とやりたい放題で笑っちゃう。
久しぶりに帰ってきた故郷で見て感じたことや失恋を経て主人公の青春時代が終わることの切なさを感じられた。
故郷という変わらないものと変わりゆく主人公の対比みたいなのがよかった。
ラストを読んで主人公にとって青春は花火みたいなものだったんだろうなと、美しい。
個人的にはラテン語学生の方が好き。
恋をすることで急に仲間との関係を断ち詩に触れるようになったり、恋に正直というか、その純真さが良かった。
ティーネの優しさと冷静さがあったからこそカールはこの恋によって拗れずにいれたんだと思う。
そしてティーネの婚約者への献身的な愛に対して、ティーネに恋したばかりの頃の純粋さを無くさずに素直に学びを得たと感じられるのがカールはすごいと思った。
青春時代の1つの恋に固執せず、あくまで経験として、これからの人生に希望を与える存在として失恋が描かれているように感じて読後はすっきりとした気持ちになった。
Posted by ブクログ
淡々とした文体で故郷の美しさ、青年の心の移ろい、初恋の苦味が描かれた本だった。青春のかがやかしさが感じられる素敵な文章が続いており、読んでいてとても心地よかった。ただ、少し無機質に感じられのは、翻訳された文だからなのだろうか。
Posted by ブクログ
人の記憶って忘れられるから良いものなのかな
恋して、振られて、立ち直れるのは「忘れ」られるからなんだよねきっと
人生辛いことあっても、いつか和らぐのは忘れられるから
まーもちろん
記憶として、思い出としては残るけど
ずっと辛いまんまじゃないもんね
辛い出来事乗り越えて、
いつの日か、辛い出来事を思い返して笑えるってなんか素敵だよね
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読んでいる間、故郷への甘い美しい感情と、淡い恋心への懐かしい回想が、くるくると体の中をめぐるような作品。
ヘルマンヘッセは、文字で絵を描く作家である。
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異郷で放浪の生活を送り、帰郷した青年が故郷の美しさに改めて気づく。ちょうど実家に帰ったあとに読んだので、自分の地元のことを思い出しながら読みました。故郷を離れて暮らすことによって見えてくる故郷の美しさというのは本当にあると思います。
同録の「ラテン語学校生」は、ヘッセ自身と重なる部分もある短いながらも良い作品です。初恋は破れますが、想いを寄せた相手の生き方から一生の糧を得るというラストがとても印象的な作品でした。
Posted by ブクログ
「青春は美わし」故郷に帰ってきた青年が2人の少女に再会してドキドキしていてかわいらしい。
「ラテン語学校生」こちらの方が読みやすい。歳上女性に夢中になった少年。最後、生涯忘れないであろうプレゼントを受けるところが印象的だった。
Posted by ブクログ
青春は美わし の方はあまり刺さらず。
街に帰ってきて出ていくまでを描いた作品だけどあまり目立った事は起こらなかったように思う。
ラテン語学校生はとても良かった!テンポもよく、流れもスッキリしていて読みやすい。
他のヘッセ作品と似たような境遇の主人公だが、珍しく主人公が思いを寄せる女性からの視点からも描かれていた。彼女が主人公を裏切って(あまり裏切りという感じはしなかったが結果的に)しまった際に彼女からの謝罪があったのが印象的。クヌルプではこのフォローがなかったから彼は放浪の旅に出ることになってしまったわけだし。
主人公が成長していく過程とその成長した結果がとても好きな作品です。
生き物を飼っていたけど成長後は飼わなくなったと言う記述があった。これは何の比喩なのだろう。
Posted by ブクログ
翻訳された本だからなのか、登場人物の感情の表現が淡々としている印象だった。物語自体は短いのですぐ読み切れるが、ドラマチックな展開を求める人にはあまりオススメではない。
Posted by ブクログ
品が良いのは原文なのか、はたまた訳なのかどちらかは測りかねますが、日本人好みでいかにも教科書に出てきそう。
内容は正直うんっ?というのが正直なところ。純と言えばそれまでですが、いくらなんでもナイーブ過ぎませんかね?
もしかすると時代が変わってしまったということかもしれませんが。
Posted by ブクログ
あえて言いたい。
青春は美わしくない、と。
この本は初恋を軸にした小説が2篇収められおり、分量も少ないのであっさり読み切れると思う。
ただヘッセの作品群においてそんなに重要ではないかと。
初恋とかもうね・・・下らないでしょう。
いや、男はそう思うしかないの。
実際振り返ると美しいという感情よりも下らない思い出のヤツが多いはず。
統計取ったわけじゃないけど。
特にいい歳になってから初恋らしいことをするとロクな目に遭わないような気がする。
正直ヘッセには初恋を書くならもっと毒性を強くしろ、と言いたい。
なんでわざわざ美わしくしようとしたのか。
自分にはあまり面白いとは思えなかった。
もっとドロッとした救いのない初恋が読みたかったというのが本音。
個人的には表題作よりも「ラテン語学校生」の方を評価したい。