ヘルマン・ヘッセのレビュー一覧

  • クヌルプ

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    生活の芸術家、クヌルプの3の物語を描いた作品。「早春」「クヌルプの思いで」「最期」と題された思いでの中に、クヌルプという人間の豊かさが溢れている。


    中でも好きな場面が、「最期」でクヌルプが故郷に帰り、その少年時代を懐古するところだ。少し抜粋したい。

    「どの屋根にどのネコがいるか知らないことはなかった。どの庭でもその果実を食べてみなかったことはなかった。どの木でも、登ってみなかったのはなかった。そのこずえに緑色の夢の巣を彼が営まなかった木はなかった。この一片の世界は彼のものであり、このうえなく深い親密さでなじみ愛したものであった。ここでは低木の一つ一つ、庭の生がきの一つ一つが、彼にとって重

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    2012年12月12日
  • 知と愛

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    読んでいる間の身の震えるような感動は言葉にできない。心のいろんな所を揺すぶられた。近いうちにまた読みたい。

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    2012年11月20日
  • クヌルプ

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    二カ月ほど前、我が家に猫がやってきた。母が道端で鳴いていた黒い子猫を拾って来たのだ。その頃は目も開いておらず、当然餌も自力では食べられないため、注射器にミルクを入れて飲ませなければならなかった。時が経ち、日に日に成長した猫だったが、自分たち家族は彼のために様々な気を遣い、世話を焼かなければならなかった。その割に本人は飄々として自由気ままに過ごし、気の向いたままふらついて行く。呆れることもしばしばあったが、しかしそのぶん家族間の空気は和み、癒され、以前に比べて笑顔も増えた。すべて彼のおかげである。

    さて、この話の主人公クヌルプは、まさにこの猫のような人間である。
    自由気ままに放浪し、旅先の知り

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    2012年10月04日
  • 春の嵐

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    ゲルトルートは、直感に素直に生きている人じゃないかという印象を受けた。芸術と恋愛等々、古典的なテーマでいい小説だった。愛が修行と呼ばれる所以は...どのような考えを持った人が破壊せず、精神的にも負けず愛を成就できるのか。小説をまたもっと読まなくちゃと思いました。

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    2012年09月07日
  • ヘッセ詩集

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    自分へのごほうび感覚で買った。

    大島へ持って行って、そこで一度読み終えた。
    何度でも、黙って、または声に出して、読み続けたい。

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    2012年11月07日
  • 知と愛

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    神に奉仕する学者ナルチスと、美に奉仕する芸術家ゴルトムント。
    そんな二人の友情の物語で″知と愛″という邦題は見事。
    対照的な生涯を送った二人が、最後に芸術を通して互いを認め、精神世界と思想を語る姿に感動しました。
    清廉と官能が織り成す精神性の美しさに心が洗われるようで。
    哲学的な作品でまだ理解しきれてない部分もあるので、大人になったらまた読み返したい。

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    2012年09月24日
  • 知と愛

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    レビューというのは自分から距離が離れていればこそ、気軽にホイホイ書けたのだ。ヘッセのレビューを書こうとすると、思い知らされる。

    苦しみを宿命づけられた生のなかで、人がその生と死を渡り仰せるだけの光ー平穏ー意味など、何かしらの確かさを見いだそうとする不断の努力。ヘッセという人の根底のテーマは一貫している。そして、そのような凄惨さの中に、美しく優しく人や世界が描かれる点も変わらない。

    「シッダールタ」や「荒野のおおかみ」の変奏として「知と愛」を捉えることが適切かは分からない。けれど「シッダールタ」では主人公シッダールタが1人でくぐり抜けた聖者の修行と俗人の生活という2つのアプローチを、ここでは

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    2012年05月10日
  • 荒野のおおかみ

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    やっぱりヘッセはすごい。個人のある感情についてメタに、俯瞰的に言及することは誰にも可能だ。しかしそれに対してさらにメタの視点で言及することは少し困難だ。これを自由に使いこなす人間が小説家というものだと思う。しかしこれだけでは二流である。一流はさらにそれらに関してメタレベルで表現することができる。ヘッセのすごいところは、さらにこのもうひとつ上のレベルにときどき「ひょいっ」と上がってしまうところである。ヘッセは最初から高みにのぼったりしない。いつも私の手の届きそうなところにいて、いよいよ捕えたかと思うとするっと脇を擦り抜け一段のぼる。繰り返すうちについに私は追いつけなくなってその背中をじっと見つめ

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    2012年02月28日
  • メルヒェン(新潮文庫)

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    表現が綺麗でとても好きです。アウグスツスと詩人が特に好きです。愛されるのと愛すことの違いはやっぱり大きいなと思いました。そして、詩人も興味深いです。全体的に、音楽を聴いているような感覚で本を読んでいました。本当に綺麗な話です。

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    2012年02月26日
  • 知と愛

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    自分にとってはこの本を読まずに死んでいたら後悔するような本.ホントは★★★★★★つけたい.ヘルマン・ヘッセは大好きでずいぶん読んだが,自分の中ではこれがベストの著作だと思う(シッダールタも良かったが)

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    2012年02月24日
  • クヌルプ

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    傍から見てその問題がどうなのかではなく、彼にとってどんな出来事だったのか。それを経て、彼はどう生きてきたのか。苦味が時間を抱き込んで、いつかほのかな甘味すら呼び込む。彼は抱えるものと共に、まるでゆるやかな風だった。これはハッピーエンドだろうか。最期に安息を感じる。

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    2011年12月18日
  • 青春は美わし

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    青春は美わし。たった1つの夏を通して、懐かしさがいくつもにじんでる。ゆっくり、しっとり過ぎてく夏がちょっぴりほろ苦い。

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    2011年08月31日
  • 荒野のおおかみ

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    1927年(昭和2年) ヘッセが50歳の時の作品。
    同じ年に紀行『ニュルンベルクの旅』を出版。
    フーゴー・バルがヘッセ50歳の誕生記念に最初の伝記『ヘッセ伝』を出版。その直後バルは41歳で逝去。
    ルート・ヴェンガーと離婚。

    心は自分が全てと繋がっていることを知っている。
    目の前のことに集中している時、没入しきっている時、過去に存在した全て、未來に存在する全てに確信を持てる。

    微笑みを学べ。

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    2012年01月02日
  • 荒野のおおかみ

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    1927年にドイツで発表された作品。
    第一次世界大戦を省みるどころか、再び戦争に向かおうとしている社会を疑うこともなく生きる市民を批判する「アウトサイダー」の立場(おおかみ)の立場をとりながらも、まぎれもなく市民的行動の一部に加担している自分の葛藤が描かれています。そしてそんな自分は自殺によってしか報われない、と考え死を望むハリー・ハラーが主人公。彼はヘッセの自画像だそうです。

    この葛藤はまさに、神経が不安定であったヘッセが色濃く表現されていて、
    その如何ともし難い苦痛には時に目を覆いたくなります。
    一方で、一般論や世の中の体制によって作られる考えを排除し、確固たる「自己」を追求すべ

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    2011年07月31日
  • クヌルプ

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    ヘッセの作品の中で一番好きで何度も再読しています。
    幸福とは何か、読むたびに微妙に違う感想を持ちます。

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    2011年06月20日
  • 青春は美わし

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    高校生のうちに読みたい!!!と思って。すばらしかった。”小さい中庭の上にわずかな空が弱い金色の火に燃えていた。”なんて、自分には一生そんな文章は書けないな、と絶望。

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    2011年04月03日
  • 荒野のおおかみ

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    共感しすぎて初めて読んだ気がしない本。

    それでいて先人は刺激的で、まだ見たことのない世界まで連れて行ってくれる。現実の日常でもなかなか得られないような交流が、本を介して作者との間に生まれるのだから、作者の力にただただ頭が下がるばかり。体の奥から勇気が湧いてくる。

    もっと頑張ろう、楽しもう。一度きりの人生を。ひとつだけの世界を。

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    2011年03月19日
  • 春の嵐

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    報われるあてのない努力でも、心から離れない限り無力に終わることはない。

    クーフの作詞家は「ハンス・H」。「車輪の下」のハンスを救済した?そうだといいな。

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    2012年07月12日
  • クヌルプ

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    陽気な愛嬌者が、誰も知らない心の奥底に持つ孤独。ラストの美しさが際立ちます。なぜか毎年、夏が来ると読みたくなる。ヘッセの夏の描写は秀逸。

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    2011年10月02日
  • 知と愛

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    人の一生分の愛、苦悩、不安、情熱、絶望、戦いをみてしまったようです。
    知と愛どちらかの道しか歩むことができないんだろうか。

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    2013年03月02日