ヘルマン・ヘッセのレビュー一覧

  • 春の嵐

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    不慮の事故で片足が不自由になってしまったクーンという男の話。不運を嘆きながらも、作曲の喜びに目覚め、人生を必死に切り拓いていこうとするクーン。また、彼と親友との間に現れた女性を巡っての複雑な人間関係も描かれている。“最も不幸なことを捨ててしまうことは楽しかったことを捨てることよりもつらい。避けがたい運命を甘受し、よいことも悪いことも味わいつくし、内的な本来の運命を獲得することが人間生活の肝要である”と冒頭で主人公は振り返っている。その言葉がとても重みをもつ、重厚な作品であった。

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    2021年08月12日
  • 車輪の下

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    ネタバレ

    教育とは何なのかを考えさせられる
    良いとされる人生のレールに子供を乗せる親や教師、そして自分の周りの狭い世界の中では成功しそのレールに乗ることを望んでいる子供は自分の運命がわかっていない
    何も考えずにレールを進む子供もいれば、多感な時期を過ごす中でそのレールから外れてしまう子供もいる
    そして死んでしまったハンス。その死因は語られない。
    そのことがむしろ、読み終わった後に、彼の周囲の彼への期待や強制を自分と照らし合わせて内省に向かわせる。


    以下、あるサイトからのコピペ

    +++

    主人公ハンスは、他の子供たちと同様に自然や動物を愛する素朴な少年。

    唯一違うのは、彼は学問に優れた天才であるこ

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    2021年07月05日
  • 車輪の下

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    この若造の甘ったれ感が嫌いな人もいると思うけど、自分は好き。何せ、年を食った今でも甘ったれなので。

    子供の人生が周りの大人の都合で決まってしまうってことはよくあることだと思うんだけど、よくあるってことが実は怖い。アシストしてるように見せかけて、実は目隠しした少年を自分の都合の良いように歩かせてるんだと思うと怖い。

    それにしても情景の描き方がキレイ。どんどん引き込まれていく。目の前にその世界があるかのように。ここでその形容詞か?!って思うこともあるけど、まあ時代が違うし。言葉は生き物。

    結局はみんな自分中心なんだから、自分中心に生きないと損。そう言われてる気がする。そうしないと戦車にひかれ

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    2021年02月01日
  • メルヒェン(新潮文庫)

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    特別な愛読書。ビーズで飾った、手縫いのブックカバーをつけて、手もとに置いています。   …訳者の高橋健二氏が解説の最後で述べられているように、 ヘッセの書いたものの中で最も美しいものの一つ、だと思います。  短編集。 私は、 別な星の奇妙なたより  という物語が、一番好きです。

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    2020年07月20日
  • 車輪の下で

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    ネタバレ

    ハンスが死を支えに生きるとき、そして冷たい水の中で帰らぬ人となったとき、安堵した。無慈悲に回る車輪の轟音のふもとで生きるには、彼の心は小鳥の雛のように柔らかくはかなすぎた。人生にピリオドをあっさりと打てる人もいるけれど、そうでない人もたくさんいる。小鳥の心の周りを頑丈な鎧で固めたり、小鳥の心に知らん顔して、新たな大人の理性をインストールしたりして生きてる人をたくさんしっている。私の中のハンスは、ぼんやり遠いうつろな目をして日曜日の終焉に絶望している。

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    2020年07月05日
  • 車輪の下

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    ネタバレ

    あまりにも言葉が、文章が、美しく、若者の繊細な感情を表すヘルマン・ヘッセ。自伝的とも言われる物語には、時代を越え国境を越え言語を越え、人々に普遍的な青春時代の脆さ・儚さを彷彿とさせる力がある。
    翻訳は1958年の出版なので古めかしい部分もあるが、それも含めて味わい深い作品。

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    2020年05月08日
  • 郷愁

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    田舎から都会へ、そして都会から田舎へ。
    出会った人々との思い出が、詩人らしい主人公に幸福を与えてるのだとすると、彼は故郷に帰った後も満ち足りた生活をするはずである。
    南風のように煩わしい経験が何か情熱に変化されたり、甘酸っぱい恋が青春の価値を保証したりする、と思う。

    郷愁、故郷を想う気持ちがどれほど大切か。
    いま故郷を離れた現実を、再考したくなる。

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    2020年04月12日
  • メルヒェン(新潮文庫)

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    ヘルマン・ヘッセの『メルヒェン』に収められている、「アウグスツス」に不覚ながら涙した。

    アウグスツは、生まれた時に「誰からも愛さずにはいられないように」と母親から願いをかけられ、その通りになる。

    子どもの彼には、天使の歌声が聞こえた。

    しかし、誰からも愛されるあまり、彼は傲慢になり、
    あらゆる富と名声を得て、堕落し、あらゆる悪事を尽くす。

    あらゆる欲望に満たされても幸福になれない彼は、いよいよ自殺を図ろうとするが、
    魔法をかけた名付け親が現れる。

    そこで、アウグスツスは、
    「それまでの人生にかかっていた魔力を取り消し、愛することができるように」と願う。

    ラストシーンの描写があまりに

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    2019年02月27日
  • 春の嵐

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    ネタバレ

    2019/2/17

    翻訳 高橋健二先生

    ゲルトルートはこの小説に出てくる女性の名だ。

    ラストの数行でボロボロと泣いた。
    歳をとってから青春を思い出すと苦いことも多々あったのに美しく感じる。
    歳をとるということはそういうことなのかな。



    主人公クーンは、ソリの事故で足を怪我し身体障害者となる。
    それにより、自分は誰かと恋仲になることも結婚もできないと思っている。
    そして、自殺まで考えるが、音楽が彼を救った。

    彼は悩みながらも、現実を受け入れつつ生きてきた。

    友人のオペラ歌手ムオトは、容姿にも才能にも恵まれ、どんな女も自分のものにできる。
    ただ、精神面が壊れやすかった。それは自分の中

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    2019年02月19日
  • メルヒェン(新潮文庫)

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    中学校のとき、尊敬する担任の先生が道徳の時間に、この中の「アウグスツス」という作品を朗読してくださり、鮮烈に心に残りました。
    愛されることを望むよりも、自らが人を愛することのできる人間になれることの大切さを、強く刻みつけてくれる作品です。
    当時は作品の本意を理解しきれなかったのですが、何十年も経ち、人生の後半に差しかかってようやく、理解できるようになりました。
    深くて素敵な作品だと思います。

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    2019年02月03日
  • 荒野のおおかみ

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    人は誰しもいろいろな側面を内に持っている。ハリーはヘルミーネと出会うことで、自己の諸側面について気づき、洞察を深めていく。その中には、自身が否定してきたものと相反する矛盾した自身の姿もある。たとえば、反戦思想を唱え人道を叫びながら、裕福な身分のまま亡命し個人の活動に耽っている自分、自殺志願者である自分についてである。

    物語で、ハリーの矛盾する己の存在への葛藤は、ヘルミーネによって解消される。
    しかし、現実はそうした自己の存在に気づくことは容易ではない上に、気づけたとて向き合うことは非常に勇気のいることである。多くの人は気づいていなかったり、気づいても無意識に知らぬふりをしてしまうだけで、実は

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    2021年01月02日
  • 車輪の下で

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    昔大学生のころだったと思いますが。。
    そのころに付き合っていた人に紹介してもらった
    と思う本。
    そのころは読まなかったのですが。
    その時にこの本を読んでいれば、どう思って
    どうなっていたのか?
    もういまとなっては、そんなに重くは受け止めることは
    ないですが。
    やはり、自分のことを考えてしまう内容だったと思います。
    だれでもある感情だとは思いますが。

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    2018年08月29日
  • 荒野のおおかみ

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    よく描けていて読むのは大変かもしれない。でも、悪い意味で大変なのではなくて深く響くから大変という感じ。建設的に捉えれば多く学びや気付きがある作品だと思う。

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    2017年12月18日
  • クヌルプ

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    雪降る中での神との対話は、これまでの人生の中でも有数の「あまりに美しい」文章だった。この美しさを求めて何度でもページを捲りたくなる、そんな一冊。

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    2017年10月23日
  • ヘッセ詩集

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    「詩人になるか、でなければ何にもなりたくない」と言って学校を中退したのは有名な話ですが、ヘッセは小説のイメージが強く、詩集はあまり知られていないような気がします。人生を賭してまで詩人になろうとしたヘッセの生み出す詩は、触れると壊れそうなくらい繊細で、だけど力強い部分もあって。その振れ幅によって取り扱いに困ってしまうようだけど、時折この美しい世界に没入していきたくなります。ヘッセに興味があるならイチオシです。

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    2017年09月08日
  • 春の嵐

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    青春時代の淡い、されど激しい想い。
    届かぬともそれは青春時代が生み出す1つの生き物ではなかろうか。

    妙によそよそしく感じるそれは、その時代特有のものであろう。

    揺さぶられる心。そして、そこに諦めを見出してしまう心。様々な想いが錯綜する。

    それが青春であろう。

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    2015年12月23日
  • 春の嵐

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    絶え間なく変わり続ける時に人の心は抗える。
    並木道の砂埃とともに舞い上がるゲルトルートの幻を心に抱くシーンが印象的。

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    2015年06月29日
  • クヌルプ

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    初めて見た作品だったので。とはいうものの、『車輪の下』に次ぐ出版数を誇るとか。
    なんて愛おしい存在なんだろう。ただ与え続けるという役割を与えられた、このクヌルプという存在は。
    彼は自分を探したいだの、世界が見たいだの、そんな目的をもって旅人をやっているのではない。旅こそ彼の目的であり、望まれたことだ。だから、憧れはできても彼のように旅人に誰もかれもなれはしない。まさに在り難い。迎える人はきっとそれゆえに嬉しいのだろう。
    トリックスター的存在、いわば、非日常を体現したものの物語。けれど、非日常が生きるのは日常の中。本当に彼は一体誰なんだろう。風の又三郎のように、一陣の風のように、さっと吹いてさっ

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    2014年12月20日
  • 知と愛

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    これまで読んだヘッセの作品中最も刺激的。精神世界と肉体の交差点。ストーリーテラーとしてヘッセは退屈だと思っていたがこの本は緩急、静動あり、全く退屈しなかった。

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    2014年12月03日
  • 荒野のおおかみ

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    20世紀ドイツを代表する小説家・詩人ヘルマン・ヘッセ(1877-1962)の作品、1927年。時に作家五十歳、第一次大戦敗戦後のワイマール体制下で1923年にはヒトラーがミュンヘン・クーデタ未遂で投獄された情況下、作家自身の自己省察と同時代批判とを本作品で試みた。なお同年の1927年にはにハイデガー『存在と時間』が刊行されている。



    「荒野のおおかみ」ことハリー・ハラーは、ヘッセ自身を表わしていると云われる(そのイニシャルは作者と同じH.H.である)。彼は、ゲーテとモーツァルトを愛し、学芸に則ち書物と古典音楽とに、その観念に、沈潜する。「精神」の人である、「文化」の人である、「考える」人

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    2014年06月14日