ヘルマン・ヘッセのレビュー一覧

  • 荒野のおおかみ

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    よく描けていて読むのは大変かもしれない。でも、悪い意味で大変なのではなくて深く響くから大変という感じ。建設的に捉えれば多く学びや気付きがある作品だと思う。

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    2017年12月18日
  • クヌルプ

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    雪降る中での神との対話は、これまでの人生の中でも有数の「あまりに美しい」文章だった。この美しさを求めて何度でもページを捲りたくなる、そんな一冊。

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    2017年10月23日
  • ヘッセ詩集

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    「詩人になるか、でなければ何にもなりたくない」と言って学校を中退したのは有名な話ですが、ヘッセは小説のイメージが強く、詩集はあまり知られていないような気がします。人生を賭してまで詩人になろうとしたヘッセの生み出す詩は、触れると壊れそうなくらい繊細で、だけど力強い部分もあって。その振れ幅によって取り扱いに困ってしまうようだけど、時折この美しい世界に没入していきたくなります。ヘッセに興味があるならイチオシです。

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    2017年09月08日
  • 春の嵐

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    青春時代の淡い、されど激しい想い。
    届かぬともそれは青春時代が生み出す1つの生き物ではなかろうか。

    妙によそよそしく感じるそれは、その時代特有のものであろう。

    揺さぶられる心。そして、そこに諦めを見出してしまう心。様々な想いが錯綜する。

    それが青春であろう。

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    2015年12月23日
  • 春の嵐

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    絶え間なく変わり続ける時に人の心は抗える。
    並木道の砂埃とともに舞い上がるゲルトルートの幻を心に抱くシーンが印象的。

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    2015年06月29日
  • クヌルプ

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    初めて見た作品だったので。とはいうものの、『車輪の下』に次ぐ出版数を誇るとか。
    なんて愛おしい存在なんだろう。ただ与え続けるという役割を与えられた、このクヌルプという存在は。
    彼は自分を探したいだの、世界が見たいだの、そんな目的をもって旅人をやっているのではない。旅こそ彼の目的であり、望まれたことだ。だから、憧れはできても彼のように旅人に誰もかれもなれはしない。まさに在り難い。迎える人はきっとそれゆえに嬉しいのだろう。
    トリックスター的存在、いわば、非日常を体現したものの物語。けれど、非日常が生きるのは日常の中。本当に彼は一体誰なんだろう。風の又三郎のように、一陣の風のように、さっと吹いてさっ

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    2014年12月20日
  • 知と愛

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    これまで読んだヘッセの作品中最も刺激的。精神世界と肉体の交差点。ストーリーテラーとしてヘッセは退屈だと思っていたがこの本は緩急、静動あり、全く退屈しなかった。

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    2014年12月03日
  • 車輪の下

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    自分の心の動きと向き合い続け、人の心も痛いほどわかる思春期の少年の話。

    あぁ、学校にいた彼はこう思っていたんだなぁとか、リアリティをもって読める。

    こんなに自覚があることは羨ましいと思いつつ、苦しいだろうとも思う。

    ある意味最後はハッピーエンドだったのかもしれない。

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    2014年09月05日
  • 荒野のおおかみ

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    20世紀ドイツを代表する小説家・詩人ヘルマン・ヘッセ(1877-1962)の作品、1927年。時に作家五十歳、第一次大戦敗戦後のワイマール体制下で1923年にはヒトラーがミュンヘン・クーデタ未遂で投獄された情況下、作家自身の自己省察と同時代批判とを本作品で試みた。なお同年の1927年にはにハイデガー『存在と時間』が刊行されている。



    「荒野のおおかみ」ことハリー・ハラーは、ヘッセ自身を表わしていると云われる(そのイニシャルは作者と同じH.H.である)。彼は、ゲーテとモーツァルトを愛し、学芸に則ち書物と古典音楽とに、その観念に、沈潜する。「精神」の人である、「文化」の人である、「考える」人

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    2014年06月14日
  • 青春は美わし

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    ヘッセの小説は「車輪の下」以来2冊目になりますが、ヘッセの小説はとにかく美しい情景描写と、繊細な心理描写が心に残る。
    ヘッセの小説は読んでいると、なんだか甘美で、幻想的な気分になるのです。
    まず「青春は美わし」の方は久しぶりに故郷に帰ってきた青年が、淡い初恋を抱いていた少女が美しく成長している姿を目にしてドキドキしたり、妹の友人の少女が家に泊まりにきてドキドキしたりする胸キュンな内容になっております。都会から田舎に帰ってきたので、田舎の情景の美しさや家族の優しさなどをしみじみと感じる主人公の目線もとても美しく描かれています。
    「ラテン語学校生」の方は都会に下宿している青年が、下宿先の女中と仲良

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    2014年04月27日
  • 知と愛

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    すごく苦しく醜く深く美しいお話。
    デミアンやおおかみはとっ散らかっているけれど、こちらはドイツらしく整っている。
    腐女子さんやゴスロリさんにも読んでほしい。

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    2014年01月16日
  • 車輪の下

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    ヘルマン・ヘッセの代表作で、世界的名作文学作品。
    あまりにも切ない青春小説だった。とにかく、情景描写が美しく様々な場面が映像として目に浮かぶ。
    天才少年であるがゆえの孤独や挫折が描かれており、現代の社会に置きかえてもそのまま通じる内容。
    少年の繊細な精神や、寄宿学校で描かれる恋愛にも似た友情や、初恋の切ない思い出など、世代を超えた青春の苦悩がみずみずしくも、切ない文書で描かれている傑作でした。

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    2013年12月28日
  • メルヒェン(新潮文庫)

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    ヘッセは天才だ。
    訳者の高橋健二さんも。
    それ以外言うことがないですね‥。
    言葉の魔法。単語の天国。本を開けばいつでも見せてくれる。
    こんなに素晴らしい本が古本で105円で手に入るなんて、日本はすごい国だと思いました。
    今まで幸福論が一番好きだったけれど、これは同じくらい好きになるかもしれないです。

    【追記】
    もったいねーーーと思いながら読み終わっちゃったー!
    さいごこピクトルの変身めちゃくちゃカッケーーーー!!しびれた‥
    とくに好きだったのは「詩人」「別の星の奇妙なたより」です。アヤメもよかったな‥

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    2013年09月29日
  • 荒野のおおかみ

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    今さらながら、「名作と呼ばれる作品を、少しでも読もう!」と考えています。
    そこで、ドイツ人のノーベル賞受賞作家、ヘルマン・ヘッセのこの作品を、読んでみることにしました。
    主人公は、禁欲的に学問の世界に打ち込み、それゆえに人生に思い悩んでいる、中年男性。
    ある日、暗く思い悩む彼の前に、魅力的な若い女性が現れます。
    その女性と行動を共にし、現代的な娯楽に触れるにつれて・・・という展開。
    人間の中にある「二面性」による苦悩、娯楽というものの意義、歴史とはどのように作られていくのか・・・などなど、多くの根源的な問題が、この物語の中に込められていると思います。
    後半の、不思議な世界が次々と展開していくく

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    2013年06月03日
  • 知と愛

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    たぶん高校生くらいのときに読んで、いま再読。

    ナルスチ(知)とゴルトムント(愛)という対称関係は、ほかに「霊と肉」「理論と芸術」という対比にもなっていて、もともとけっこうヘッセの小説ってこういう対比がキッパリしていると思うのだけれど、本作においてはよりキッパリして実に小説らしい。

    修道院にはいったゴルトムントは高い精神と信仰心をあわせもつナルチスに惹かれ、彼をめざして勉強にはげむ。しかしナルチスはゴルトムントとの間の埋められぬ境界に気付き、むしろお互い正反対の性質を持つがゆえに重大な存在であることを説く。

    まだ若くたびたび混乱をおこし強情を張るゴルトムントと、彼に対し忍耐をもって理解を促

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    2013年05月16日
  • 春の嵐

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    ネタバレ

    再読。主人公クーンと女の子が夜の山から橇で滑り降りる場面が印象深く残っている。クーンは橇滑りの事故がもとで片足びっこになり、しかしそのおかげもあって音楽で生計をたてていくことを志す。

    クーンの女性関係はけっきょく描かれないままだが、それゆえにかムオトやゲルトルートと交わす友情の場面はとてもうつくしい。
    ムオトの激しさと明るさへの憧れ。そしてクーンの作曲したオペラを介してゲルトルートとふたりで過ごす時間の鮮やかさ。

    青年は自己の願望のために生命までも放棄する。逆に老人は他人のために自己を犠牲にする。青年よりも老年がすばらしいというテーゼ。
    しかしながら青年が老人になるためには、それこそ死にも

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    2013年05月05日
  • 知と愛

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    (メモ)

    ・構成がしっかりしていて話の展開も整っている
    ・ただ、デミアンや荒野のおおかみが好きな自分にとっては、やや整い過ぎている気もした
    ・「知と愛」という題名が好きだ。訳者が邦題としてつけたという。
    ・二元論
    ・厚い
    ・後半の一部は哲学語りそのもの

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    2013年02月22日
  • クヌルプ

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    あらゆる能力に秀で、誰からも愛された少年クヌルプが失恋にうちひしがれ、才能を持て余すさすらいの人生を送る。『シッダールタ』にもつながる魂の救済の物語。

    「きみは聖書に注文をつけすぎるよ。何が真実であるか、いったい人生ってものはどういうふうにできているか。そういうことはめいめい自分で考えだすほかはないんだ。本から学ぶことはできない。これがぼくの意見だ」(p33)

    「だが、それをぼくひとりで楽しんだわけじゃない。たいていの場合、仲間か、若い娘か、子どもが居合わせて、それをおもしろがってくれ、ぼくによくお礼を言ったものだ。それでいいことにしよう。それで満足しよう」(p89)

    引用は控える

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    2013年02月18日
  • 青春は美わし

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    本書には二作の短編が収められているが、両作とも初恋にちなんだ実らぬ恋を通じて導かれる、儚くも玉のように美しい青春を優しく謳っている。誰しも通る青春の美しさ。本書はきっと、国籍問わず万人にノスタルジーを喚起させる。そして大切なのは、青春以降の生き方についても見逃せない示唆を与えてくれるのである。

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    2013年02月01日
  • クヌルプ

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    2012年12月 03/96
    なんとなく気になって読んでみた。多彩な才能を持ち、それを湯水のように使ったクヌルプの少年期、青年期、老年期を描いた物語。終わり方がとてもスキでした。
    読んでる途中でなくして、見つかるまでに時間がかかったので改めて通して読み直したい。

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    2012年12月16日