村田喜代子のレビュー一覧

  • 美土里倶楽部

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    夫を亡くしたばかりの美土里は、空っぽな日々を過ごしていたが、忘れ物を取りに行った病院で時実美子と出会う。彼女もまた夫を亡くしたばかりだった。
    パソコン教室やおはなし会を休んでいた美土里が、山城教子の誘いで再び足を向けると、昨年夫を亡くしたという十鳥辰子が俳句を作りたいと入っていた。

    それから「未亡人倶楽部」の彼女たち3人は、時折夫のことなどを振り返りながらゆるゆると生きていく。

    『地獄草子』や『梁塵秘抄』などの話も出てくるのは、十鳥辰子の年齢や夫との関係性もあるのだろうか…と思いながらも夫が亡くなると日頃は思うこともない仏教のことを少しは考えてしまうのだろうかと。

    夢を見たのか現実だった

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    2025年07月07日
  • 美土里倶楽部

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    「人は生まれたから死ぬのです」
    そして自然界から見ればただの“現象”

    お精露さまのお迎えの場面はそっと鳥肌が立つよう

    私もパートナーを亡くした後、こんな地獄を受け入れて乗り越えるのか?

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    2025年07月01日
  • 美土里倶楽部

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    夫を亡くしたばかりの美土里が、同じく夫を亡くした美子、辰子と出会い、交流していく中で死について考え、受け入れていくまでの「未亡人倶楽部」一年間の物語。

    夫との関係性や、亡くなった時の状況によってその死を引きずるかスッキリと前を向けるかに差があったり、泣き暮らす人もいれば、新しい生活に活力を得る人もいて、喪のカタチは人それぞれ。

    作者自らの体験に基づく作品らしく、伴侶の死を克服していく過程にリアリティがある。
    地獄のあれこれや、大分地方のお盆の“お精露さま迎え”の風習、渡り鳥の話などエピソードも興味深い。

    教子の新しいパートナー?貝島さんの「ヒトが生きるのも死ぬのも一つの現象に過ぎない」と

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    2025年06月25日
  • 美土里倶楽部

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    夫を亡くしてからの一年、一人暮らしの中で2人の未亡人との出会いと日々の暮らし、それが淡々とゆっくりと旦那との想い出と共にしまいこまれていく。
    未亡人の言葉に亡き婦人だと勝手に解釈していたがいまだ亡くならない人だったとは。昔は家長が死ぬと妻は後を追う事を求められていて差別用語だったとは。
    この小説全体は日本人の年配者にとって神仏に対する見方や考え方が分かる話だと感じる。
    何十年経った若い人が読んだらどんな感想を書くのか気になる。

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    2025年06月10日
  • 掌篇歳時記 春夏

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    表紙がとても綺麗で手に取りました。

    二十四節気は知っていても、それをさらに三等分した七十二候は知らない人が多いのでは?

    わたしも今回初めて知りました。
    雉始雊(きじはじめてなく)というように、動詞で示されているのが、分かりやすい。
    どれも現代人にも理解できるもので、時代が変わっても季節の移ろいは変わらないものだなと思います。

    この本では、二十四節気の春夏部分を抜き出し、また、各節気の真ん中の七十二候をタイトルに各自が短編をお書きになっています。

    思えば、短い作品は触れてこなかったので、どれも不思議な余韻を残す終わり方で、こちらの想像力や読解力を掻き立てるなぁと短編の面白みを初めて知りま

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    2024年08月05日
  • 新古事記

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     予備知識なしで手に取り、読み始めて驚いた。
    「古事記」の現代版だと思っていたからだ。
     翻訳小説のような文体からか、少し引いた感覚で物語を捉えてしまった。
    しかし、ひとりの女性の隔離された暮らしの記録、と読むとその淡々とした日常の裏に、恐ろしいことが計画実行されている現実があり、知らされない怖さを教えてくれる。
     その、よくわからない、ぼんやりした違和感を覚えつつ、淡々と暮らしていくことは、現代の私たちにも繋がっているのかもしれない。

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    2023年10月11日
  • エリザベスの友達(新潮文庫)

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    いい老人ホームだ。2人の娘もよく通ってくれて初音さんは幸せだ。でもそんなこちらの世界とは全く別のところに認知症のお年寄りは生きているようだ。だとしたら幸せって何だろう…

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    2023年07月17日
  • 飛族

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    ネタバレ

    島に2人の老女が生活をしている、それだけで興味をそそられたけれどその小説の内容はどんなものか、読み進めて実際にこのような島はあるのだろうか?今はなくてもかつてあったとか。。
    ウミ子さんの立場になったら母親を引き取りたいというのが本音だというのも理解できる。ただウミ子さんは島で育ったから島から離れようとしない母親の気持ちも分かってしまい寄り添っている。自分が島で暮らすことを考え始めている時点でたくましさがわかる。台風に襲われて散々な目に遭ってもどうにか暮らしていける、となれば2人の老女はやはり命あるかぎり島で暮らすことを選ぶのだろう。きっとウミ子さんは2人を見届けるまで島で生きることになるのだろ

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    2023年07月14日
  • ゆうじょこう

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    2023.03.10 ★3.3

    こんなにも自らを貫いたまま淡々と身を売る娼妓もいたのだろうか。
    廓は苦界とも言われ、自殺する妓も多かったと聞きかじったことがある。

    買われた先の店の大小で待遇に大きく差はあったのだろうが、日記を書くことに自分を見出し、自分を保ち続けた青井イチの元々の強さもあるんだろう。

    15歳の少女が廓に売られ、そこを出ていくまでの物語。
    時代は明治。舞台は熊本。
    慣れない熊本弁(? イチの島の方言?)を読むのに初めのうちは苦労した。


    ↓↓↓内容↓↓↓

    貧しさゆえ硫黄島から熊本の廓に売らた海女の娘イチ。郭の学校〈女紅場〉で読み書きを学び、娼妓としての鍛錬を詰みなが

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    2023年03月10日
  • ゆうじょこう

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    実在した熊本の遊廓、東雲楼が舞台。
    遊廓と聞けば江戸の吉原がまず浮かんでくるけど、これは明治の後期の熊本のお話。
    いろんな土地から貧しい家の娘が売られてくる。
    娼妓として育てられる過程(読み書きなどの勉強・性的な技術)や楼での生活の様子、街全体の様子など、興味深く面白かった。
    親に売られた女たちの成長と心の声、そして生き様は力強かった。

    主人公のイチ15歳は硫黄島の生まれで島の言葉と島の人間しか知らない。
    文字を覚えてからのイチが書く日記は、なんとも面白い。
    イチも親に売られ男たちに買われ、親との再会を楽しみにしていたが借金が増やされただけだった。
    そして、親を捨てるべきだと気付く。
    時代の

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    2022年05月15日
  • ゆうじょこう

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    ネタバレ

    明治の終わり、熊本の遊廓で働く遊女の話。今までに読んだ遊女もの、『吉原手引草』『花宵道中』『滔々と紅』に比べると、あまり悲壮感が無い。主人公が南の島の出身で、最後まで島の方言を使っていたからだろうか。ラストは予想外の幕切れ。こんなに簡単に抜けられるの?

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    2022年03月12日
  • ゆうじょこう

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    健康的で尊敬する海人の母。青く広い海と、海亀。遊郭という非常識な世界にきた15歳の少女の悩み、明治の教育と遊郭の矛盾、人間の生や尊厳と遊郭の矛盾。何もわからない少女だからこそ。
    架空の作文だとはわかっていても胸を打つ。素朴で本質をついてくる感じが逆に技巧的でわざとらしく感じるけど。
    ストライキも労働者とか権利ではなく、自分の欲求と意地の張り合いという視点。外野には自分達の世界はわからない。東雲さんがどっちに転ぶか気になってたけど、最後まで格好よくて良かった。

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    2022年02月04日
  • エリザベスの友達(新潮文庫)

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    誰にも邪魔の入らない、夢現のとき
    そこには天津租界でのキラキラした世界が、、
    もっと広がるのかと思ったけど、意外と現実的
    老々介護か
    身につまされるなあ

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    2021年11月16日
  • 掌篇歳時記 春夏

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    ネタバレ

    二十四節気をさらに三等分した七十二候をもとに、年末から夏にかけて、それぞれ人気作家がつづる短編集。
    季節がテーマで、純文学系の作家が中心ということで、その表現を楽しむ小説であることは間違いない。
    でも、その反面、連想で思考があちこちに飛んでしまうので、集中できないのも確か。
    寂聴氏の作品を初めて読んだが、住職っぽくなく驚いた。もうすぐ100才。

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    2021年10月23日
  • 屋根屋

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    ネタバレ

    家の屋根の雨漏りの修理に来た屋根屋の永瀬と、夢の中で逢瀬を楽しむみのり。
    2人は京都の五重塔、フランスの大聖堂へと旅をした。

    ゴルフ三昧の夫と、高校生の息子と3人暮らしの平凡な主婦みのり。
    そこに現れた屋根屋の永瀬は、彼女に刺激を与えてしまったのでしょう。
    夢の中だからいいよね、という気持ちでいながら、一歩踏み出す直前まで行ってしまっていて、どうなるのかと緊張しました。
    何も無くて良かったんだと思います。

    永瀬が残した落書き。
    家の屋根瓦の上にあるかもと勝手に想像してました。
    違った…。

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    2020年01月10日
  • 掌篇歳時記 春夏

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    季節の生江を表す二十四節気七十二候のうち春から夏の十二の候を題にして、十二人の作家の掌編集。
    七十二候のとらえかたが様々で、面白い。

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    2019年10月02日
  • 掌篇歳時記 春夏

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    村田沙耶香さんがやっぱ面白かった。どうやったらこんな不思議で面白いこと思いつくんだろう。
    私は野生に返るといって家を出た姉と、女3人で暮らし人工授精で子どもを持とうとしている妹の話。ぽうという声。
    村田さんの作品が読めたので大満足です。

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    2019年05月29日
  • 掌篇歳時記 春夏

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    二十四節気、七十二候テーマの12作。
    日々の変化や季節の移ろいを表す、その言葉の意味の楽しさにはっとする瞬間。
    流されるままの同じ日々だと見誤っているわたしへの気づきになればいいな。

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    2019年05月21日
  • 掌篇歳時記 春夏

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    12人の作家さんが旧暦の七十二候をテーマに執筆した小説集。春夏編。
    気になる作家さんが書いているので読んでみたかったのです。それに12人! 豪華執筆陣。装丁も綺麗ね。季節を表す言葉、日々の生活で変化を感じたこと、素敵で、自分の生活も日々に流されるだけでなく、自然の声に目を向けたくなりました。それぞれ短いですが、作家さんの色が出ていて楽しめました…際立っていたのは村田沙耶香さん、好み的には前半の方。

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    2019年05月17日
  • 屋根屋

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    ネタバレ

    2018/11/25
    相当時間がかかった。
    夢を好きなように操れると楽しいだろうなと思う反面、やっぱりそこから出られなくなる恐怖が付いて回る。
    そういう意識せずに抱いていた感覚を見せてもらった感じ。
    しかし登場人物が夢に入って行くときに私もつられて睡魔に襲われるもんだから読み進められないのだよ。
    どんだけ寝たか。
    本読んでるのか夢を見てるのかわからなくなる。ことはないか。
    よーく寝ました。

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    2018年11月25日