村田喜代子のレビュー一覧
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夫を亡くしたばかりの美土里は、空っぽな日々を過ごしていたが、忘れ物を取りに行った病院で時実美子と出会う。彼女もまた夫を亡くしたばかりだった。
パソコン教室やおはなし会を休んでいた美土里が、山城教子の誘いで再び足を向けると、昨年夫を亡くしたという十鳥辰子が俳句を作りたいと入っていた。
それから「未亡人倶楽部」の彼女たち3人は、時折夫のことなどを振り返りながらゆるゆると生きていく。
『地獄草子』や『梁塵秘抄』などの話も出てくるのは、十鳥辰子の年齢や夫との関係性もあるのだろうか…と思いながらも夫が亡くなると日頃は思うこともない仏教のことを少しは考えてしまうのだろうかと。
夢を見たのか現実だった -
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夫を亡くしたばかりの美土里が、同じく夫を亡くした美子、辰子と出会い、交流していく中で死について考え、受け入れていくまでの「未亡人倶楽部」一年間の物語。
夫との関係性や、亡くなった時の状況によってその死を引きずるかスッキリと前を向けるかに差があったり、泣き暮らす人もいれば、新しい生活に活力を得る人もいて、喪のカタチは人それぞれ。
作者自らの体験に基づく作品らしく、伴侶の死を克服していく過程にリアリティがある。
地獄のあれこれや、大分地方のお盆の“お精露さま迎え”の風習、渡り鳥の話などエピソードも興味深い。
教子の新しいパートナー?貝島さんの「ヒトが生きるのも死ぬのも一つの現象に過ぎない」と -
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表紙がとても綺麗で手に取りました。
二十四節気は知っていても、それをさらに三等分した七十二候は知らない人が多いのでは?
わたしも今回初めて知りました。
雉始雊(きじはじめてなく)というように、動詞で示されているのが、分かりやすい。
どれも現代人にも理解できるもので、時代が変わっても季節の移ろいは変わらないものだなと思います。
この本では、二十四節気の春夏部分を抜き出し、また、各節気の真ん中の七十二候をタイトルに各自が短編をお書きになっています。
思えば、短い作品は触れてこなかったので、どれも不思議な余韻を残す終わり方で、こちらの想像力や読解力を掻き立てるなぁと短編の面白みを初めて知りま -
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ネタバレ島に2人の老女が生活をしている、それだけで興味をそそられたけれどその小説の内容はどんなものか、読み進めて実際にこのような島はあるのだろうか?今はなくてもかつてあったとか。。
ウミ子さんの立場になったら母親を引き取りたいというのが本音だというのも理解できる。ただウミ子さんは島で育ったから島から離れようとしない母親の気持ちも分かってしまい寄り添っている。自分が島で暮らすことを考え始めている時点でたくましさがわかる。台風に襲われて散々な目に遭ってもどうにか暮らしていける、となれば2人の老女はやはり命あるかぎり島で暮らすことを選ぶのだろう。きっとウミ子さんは2人を見届けるまで島で生きることになるのだろ -
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2023.03.10 ★3.3
こんなにも自らを貫いたまま淡々と身を売る娼妓もいたのだろうか。
廓は苦界とも言われ、自殺する妓も多かったと聞きかじったことがある。
買われた先の店の大小で待遇に大きく差はあったのだろうが、日記を書くことに自分を見出し、自分を保ち続けた青井イチの元々の強さもあるんだろう。
15歳の少女が廓に売られ、そこを出ていくまでの物語。
時代は明治。舞台は熊本。
慣れない熊本弁(? イチの島の方言?)を読むのに初めのうちは苦労した。
↓↓↓内容↓↓↓
貧しさゆえ硫黄島から熊本の廓に売らた海女の娘イチ。郭の学校〈女紅場〉で読み書きを学び、娼妓としての鍛錬を詰みなが -
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実在した熊本の遊廓、東雲楼が舞台。
遊廓と聞けば江戸の吉原がまず浮かんでくるけど、これは明治の後期の熊本のお話。
いろんな土地から貧しい家の娘が売られてくる。
娼妓として育てられる過程(読み書きなどの勉強・性的な技術)や楼での生活の様子、街全体の様子など、興味深く面白かった。
親に売られた女たちの成長と心の声、そして生き様は力強かった。
主人公のイチ15歳は硫黄島の生まれで島の言葉と島の人間しか知らない。
文字を覚えてからのイチが書く日記は、なんとも面白い。
イチも親に売られ男たちに買われ、親との再会を楽しみにしていたが借金が増やされただけだった。
そして、親を捨てるべきだと気付く。
時代の -
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