村田喜代子のレビュー一覧

  • 八幡炎炎記

    Posted by ブクログ

    戦後の八幡製鉄所近辺で暮らす人々の話。当時の生活ぶりが知れて貴重。祖父母が北九州出身なので方言や地元の風習が懐かしかった。第一部了、と書かれていてびっくり。続編があるのか。

    0
    2023年12月24日
  • エリザベスの友達(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    施設に入所している認知症の母とその娘たちの物語で、認知症老人を温かい目で描く良作。中国の租界や満州などの若い頃の体験を今の体験として感じているという説明に、認知症への理解が深まったように思う。

    0
    2023年11月09日
  • エリザベスの友達(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    介護施設に入所できた場合、認知症患者自身は、外から見るよりも幸せに生きているのかもしれないと思った。見たい光景を見ているなら、良い事なのかもしれない。やりたいようにやらせてあげる、その余裕が家族にあるかは考えるだけで苦しい。
    初音さんのように夢心地でなく現実を生きている満州美さんのことが気になった。読んでいる限り内面はいたって穏やかに見える満州美さんだが、若くして後遺症を持つ身体になった苦しみが顔に表れているという。そして妹には心配かけまいとしている姉の心が涙ぐましい。
    陽気とされる千里も、そんな性格なら結婚して子どもの1人や2人いそうなものだがそうではないところに、作中には書かれていない千里

    0
    2022年10月18日
  • エリザベスの友達(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    不思議な味わいの作品だった。
    認知症となったお年寄りたちの内面世界を浮かび上がらせたかと思えば、見守る子供たちの気持ちにもよりそう。
    お年寄りが思いがけず反応を示す昔のことに、驚いたりする若い介護士たちの姿も描かれる。
    現代と、お年寄りが過ごした過去とを自由に行き来しつつゆったりと話が進んでいく。

    お年寄りたちの帰っていく過去は、多くの場合戦時中だったりする。
    自分の人生の最盛期に戦争を経験した世代の、半世紀以上経っても消えない傷がそこにある。

    主人公の初音さんは大正生まれで、戦時中は天津の日本租界で暮らした経験がある人だ。
    租界での優雅な暮らしは、終戦とともに終わり、現地で生まれた幼い娘

    0
    2022年09月12日
  • 飛族

    Posted by ブクログ

    ふたりの女性が、離島にいる。
    92歳と88歳で
    ゆらゆら漂うように生きていた。

    このオビ文句に触れ、自然と手が伸びた。
    日本海のはずれ、養生島で暮らす二人の老人。
    その一人、92歳の母イオさんを本土に迎えるため、娘のウミ子が訪ねていく。

    読んでいると、イオさんもソメ子さんも、しっかりと老いているはずなのに、なぜか艶々と描かれるときがある。
    海に潜り、踊りを舞う。
    その姿に、時々ドキッとさせられる。

    養生島の暮らしは、よくあるバカンスのように居心地良いものとして描かれているわけではない。
    安全な暮らしは、本土にある。
    けれど、イオさんが今更、海を離れたくない、ソメ子さんと別れるつもりもない

    0
    2022年02月28日
  • ゆうじょこう

    Posted by ブクログ

    明治中期、硫黄島で生まれ育ち、当時全国有数の花街だったという熊本のなかでも最上格の廓に親によって売られたイチの1年ばかりの日々。明治の空気か女紅場のような一応の教育施設もあり、そこでイチはお師匠さんの指導のもと自分の気持ちを文章にすることに没頭する。そこここにその文章がはさまれるんだけど、硫黄島のことばそのままに文字になったようなその文章にイチの素直な喜怒哀楽がほとばしっているようで、昔が舞台の物語に生き生きとした勢いをつけている。
    ことさらに遊女の不幸を語りたてることなく、おそらくそうであったように、当時その場にいれば誰もが生きていた毎日として描かれているのも好感。イチ自身は最上格の遊郭で最

    0
    2022年02月26日
  • 屋根屋

    Posted by ブクログ

    屋根屋さんが魅力的だからこその底知れなさ、闇深さが残って、こわいなー。
    後半、引き込まれて一気に読みました。
    村田さんの本、また読みたい

    0
    2021年11月20日
  • エリザベスの友達(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    認知症で97歳の初音さんは、施設に入所している。
    現実よりも、輝いていた昔の記憶の中に生きている。
    会いにくる娘たちも高齢者。
    長生きは尊いのだろうけれど…。

    0
    2021年10月31日
  • 八幡炎炎記

    Posted by ブクログ

    1日で読んでしまった。
    出てくるのは、どちらかというとダメな人が多いけど、人間がリアルに生々しく、でもからりと描かれているところがいい。
    原爆と八幡製鉄所が太い芯になっていて、すっと読めた。
    ヒナ子がとても可愛い。

    0
    2021年09月14日
  • 八幡炎炎記

    Posted by ブクログ

    久しぶりに村田喜代子さんの小説を
    手にしました。
    以前に読んだのは
    「ゆうじょこう」
    「蕨野行」
    だつた気がする

    相変わらずの
    濃ゆく鋭い切り口の文章
    そして そこはかと漂うユーモアとエロス
    そして
    さすがに自伝的要素が含まれるとあって
    戦後の八幡の情景が見事に描き出される
    中でも八幡製鉄所の当時の様子が
    生々しく、神々しく描かれる

    村田さんの作品を
    読むたびに
    何とも言えない余韻が残っていく

    堀越千秋さんの挿絵がなんともすばらしい
    「情念」を描く第一人者であるなぁ 
    と改めて鑑賞させてもらう

    0
    2021年07月12日
  • ゆうじょこう

    Posted by ブクログ

    硫黄島育ちのイチのカラッとした芯の強さと、遊女という切ない仕事のギャップが素敵。
    遊廓の話といえば江戸時代ですが、明治という設定も斬新。
    福沢諭吉は、嫌いになりました。

    0
    2021年06月12日
  • 屋根屋

    Posted by ブクログ

    表紙絵はマルク・シャガールの『街の上の恋人たち』。その絵からイメージを膨らませたような不思議な話だった。
    家の屋根を修理しに来た屋根屋に明晰夢の見方を指南してもらい、私は屋根屋と一緒に夢の中の旅をする。
    2人の旅は夢の中とはいえ、なんとも甘美。シャガールの空を飛ぶ恋人たちのように。黒鳥になる場面は「レダと白鳥」を彷彿させる。
    2人が訪ねるのは、福岡市の東経寺大屋根、奈良の瑞花院吉楽寺、法隆寺の五重塔、フランスのノートルダム寺院、シャルトル大聖堂、アミアン大聖堂など。国宝建造物の屋根の上からの景色。フランス料理や極上ワインを楽しみ、水の中を泳ぎ、ヒマラヤの峰々の上を飛ぶ。夢のような旅(夢なんだけ

    0
    2021年01月16日
  • 村田喜代子傑作短篇集 八つの小鍋

    Posted by ブクログ

    8篇の村田喜代子傑作集。

    このひとは「おばあさん」を描かせたら最高。
    ほのぼのあり、しみじみありだ。

    中でも「白い山」の中にたくさん出てくるおばあさんのなかで、腰がひらがなの「く」の字ではなく「つ」の字になっているおばあさんがあったという、卓越した表現にはまいってしまった。

    いるいる。「つ」の字ねぇ!ご本人はつらくて大変だろうけれども笑えてしまう。

    ほんと、うまい作家と思う。

    0
    2020年08月19日
  • ゆうじょこう

    Posted by ブクログ

    よくある花魁モノとは全然違う。
    作者はこの時代この場所におったんか?ってくらい細かい描写が廓の地獄をよりリアルにする。
    でも主人公の性格のせいか、地獄の描写が暗くない。カラッとした不幸、滔々たる不遇。
    絶対だった物の崩壊と、女達の闘い。学問の必要性。

    0
    2020年07月11日
  • 焼野まで

    Posted by ブクログ

    灰の舞う薄暗い世界の淵を、その先にあると信じる小さな、たった一粒の小さな光を探し彷徨っているようなとても疲れる作品。
    そう。わたしも照射されているようにリアルだから余計疲れるのだけど、これだけの描写をやってのける作者の力は凄まじい。
    選択できるのであれば、なにがどうでも選択したいと思う。
    その可能性に縋りたい。

    0
    2020年01月09日
  • 掌篇歳時記 春夏

    Posted by ブクログ

    24節気を3等分した72候があることを知って、日本には季節を細かく愛でる文化があったのだと再認識した.その季節感を念頭に置いて、著名な作家が短編を綴るという贅沢な本だが今回は春夏を読んだ.村田喜代子の雷乃発声(かみなりすなわちこえをはっす)が面白かった.戦前の裕福な家庭に育った姉妹だが、それぞれにねえやがいて、様々な世話をするという、今では考えられない家庭内のやり取りが出てくる.あんな時代があったことは、映画や小説の中でしか接することはできないが、この姉妹の会話からその情景が想像できることが新しい発見をしたような感じだった.

    0
    2019年11月06日
  • 掌篇歳時記 春夏

    Posted by ブクログ

    トップバッターの 瀬戸内先生のが 一番俗っぽかったな と思うほど 瀬戸内先生 相変わらず かわいらしい人を書くんですね ほぼほぼ 幻想的で不思議な短編 ちょっと読むには 分かりにくいものもある 芥川賞作家が多いからでしょうか

    0
    2019年08月22日
  • 火環

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    『八幡炎炎記』が「第一部」となっていたので、少なくとも三部はあるに違いないと楽しみにしていたのだが、これで「完結編」!?
    村田さんの体調が悪いのだろうか、それとも第一部が売れなかったからなのか・・・。
    しかし、これも十分面白かった。
    村田さんは「ヒナ子」だと思うが、中学を出た後、働きながらシナリオライターを目指して家を出ようとするところまでなので、せめてシナリオライターの夢は破れ、小説を書こうとするところくらいまでは書いてほしいなあ。八幡製鉄所がまだ活気に満ちていたころ(朝鮮戦争特需、神武景気、岩戸景気があり、日本がどんどん豊かになっていったころ)の話なので、寂れてしまった北九州の様子も書いて

    0
    2019年08月16日
  • 村田喜代子傑作短篇集 八つの小鍋

    Posted by ブクログ

    何が言いたかったのか全く分からない作品ばかりだったが、不思議と読んで損したなどとは感じず、最後まで読んでしまった。情景の描写が個性的ではありながら豊かで、空気の匂いまでも伝わってくるよう。これまで読書は主にストーリーを楽しむものと思っていたが、描写や表現そのものの味わいを楽しむという読み方もあるのだと知らされた。

    0
    2020年02月17日
  • 蕨野行

    Posted by ブクログ

    独特の表現で初めは驚いたが、お姑よい、ヌイよい、と呼びかけあう会話にだんだんと引き込まれる。
    押伏村では60歳になると、村から離れたワラビ野(いわゆる姥捨て山)へ行かなければならない。
    ワラビ野衆となったお姑よい達の、死へと向かうはずの生活が凄まじいのだが、滑稽な明るさもあり逆に生命力を感じる。
    非常に心に残る作品です。

    0
    2019年04月07日