村田喜代子のレビュー一覧

  • ゆうじょこう

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    学べる事がどれだけ幸せなのか。それでも女達は夜は自分を擦り減らさないと生きていけない。
    イチの訛りが気持ちいい。生きているという強さを感じる。
    立ち上がる事がどれだけ大変なことか。

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    2024年11月18日
  • 新古事記

    H

    購入済み

    最初は、著者の名前に、書名に興味を持って購入。
    読み始めるとアメリカの原爆開発の研究所に集まった科学者達の一人を彼(夫)とする日系3世の女性を主人公とする小説。
    原爆開発を行いながら、科学者達とその夫人達の生活がリンクしない。「新」古事記とは、夫人達の出産ラッシュ(生の始まり)と、明確には出ないが原爆(=死)との対比が、歴史の始まりとみるのか。

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    2024年10月04日
  • 新古事記

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    ロス・アラモスはアメリカの原爆開発の舞台となった地である。マンハッタン計画に基づき、高台のこの地に研究所が築かれた。それだけでなく、ここには科学者らの家族も住むこととなり、街が作られた。
    研究の性質からして、機密は守られなけらばならず、人の出入りも厳しく管理された。
    一風変わった、閉ざされたこの街で、科学者たちは研究に励みつつ、一方で家庭生活も楽しんだ。若い研究者らが多かったから、彼らの多くは子供をもうけた。
    夫たちが作ろうとしているものが何なのか、妻たちは詳しくは知らなかった。それよりも日々の生活を回すだけで精いっぱいだった。
    子供が生まれ、犬が駆け回り、普通の営みが行われている中心で、行わ

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    2024年06月10日
  • 新古事記

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    特殊な空間の物語
    戦争中でも一見平和な日常
    時々不審な流れがあっても
    過ぎれば忘却...
    深く考えるのを避けて...
    なんとも不気味な感じ
    心にざらりとした感触を残す

    庭文庫にて購入

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    2024年05月23日
  • 蕨野行

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    某所読書会課題図書:里とワラビ野の世界、重の森の墓所が設定されている中で、通常の生活をしている里の住民. 年齢を重ねることで、ワラビ野へ移住する老人たち.貧しい生活の中で集落全体が生き延びるための方策として、ワラビ野が設定されているが、そこで暮らす老人たちの何故か吹っ切れた生活態度が妙に親しみを覚えた.それに比較して、里の暮らしでは嫁に来た幼い娘が過酷な労働に耐えかねて自殺する件が何度も出てくるのは、読んでいて虚しさを感じた.老人たちは里へ支援に出かけることもあり、それなりの糧を得ているが、不作の年では自分たちが工夫して食糧を得ている逞しさが何故か微笑ましい.国が住民の生活をある程度支援する制

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    2024年04月21日
  • 新古事記

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    淡々と進む不思議な魅力の小説。原爆開発の機密都市での研究者の妻たちのドラマを描く。

    「ロスアラモスからヒロシマへ」という一科学者の妻の手記が原案の小説。ニューメキシコの荒涼とした土地に隔離された研究者とその家族だけが暮らす町での出来事が淡々と描かれる。

    題名に古事記を入れたところは、天地創造と圧倒的に破壊力を手にした人類との対比か。

    「われは死なり世界の破壊者となれり」オッペンハイマー博士が語ったヒンズー聖典の一行が印象に残る。

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    2024年01月18日
  • 火環

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    面白かった!八幡炎炎記だけでは足りない、これも合わせて堂々の完結。人が生きて死ぬ。いろんな欲がある。人の生き様が興味深い。子どもや若者は何事もなしていないから悔いがないという記述になるほど…!と思った。

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    2024年01月16日
  • 八幡炎炎記

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    戦後の八幡製鉄所近辺で暮らす人々の話。当時の生活ぶりが知れて貴重。祖父母が北九州出身なので方言や地元の風習が懐かしかった。第一部了、と書かれていてびっくり。続編があるのか。

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    2023年12月24日
  • 新古事記

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    知っている史実と全然知らなかった史実から出来た奥深い物語でした。歴史小説とは違う語り方で物理、哲学、宗教、国の成り立ち、人種…そしてあの原子力爆弾が描かれている。良い時間が過ごせたと思う。

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    2023年11月30日
  • 新古事記

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    あるアメリカ人女性(フィリス・K・フィッシャー)の『ロスアラモスからヒロシマへ 米原爆開発科学者の妻の手記』を村田喜代子氏が小説にされた作品。

    読み始めから「文明の行く末」に嫌な気持ちの不安を感じながら進みます。
    語り手若い女性の語り口が明るい(作者の手腕)のがちょっと救いだが、日系であることを秘めていることにされたのが、またぞろ不安を増しながらの読書...。

    場所はニューメキシコ、アルバカーキやサンタ・フェ近郊のロス・アラモス。ちゃんと地図にありました。それがまた恐ろしい。いえ、もう起こったことです。

    科学者の若い妻も知らされていなかったでしょうが、わたしたち幼児だった日本人も知らなか

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    2023年11月20日
  • エリザベスの友達(新潮文庫)

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    施設に入所している認知症の母とその娘たちの物語で、認知症老人を温かい目で描く良作。中国の租界や満州などの若い頃の体験を今の体験として感じているという説明に、認知症への理解が深まったように思う。

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    2023年11月09日
  • 新古事記

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    いやいや、原爆開発現場のすぐ隣で続く出産と犬病院の日常。失礼ながら、喜寿を超えての旺盛な創作意欲にただただ脱帽。タイトルも意味深。「勇者って人殺しと泥棒に長けた男たちのこと」「多くの物を持つより何も持たない方が厄介事は起こらないものだ」神と悪魔が肩を並べて一人の人間の中で共存できてしまう⁈昨日から再びイスラエルが戦争状態に突入。人は何も学べないのか…

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    2023年10月09日
  • エリザベスの友達(新潮文庫)

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    ネタバレ

    介護施設に入所できた場合、認知症患者自身は、外から見るよりも幸せに生きているのかもしれないと思った。見たい光景を見ているなら、良い事なのかもしれない。やりたいようにやらせてあげる、その余裕が家族にあるかは考えるだけで苦しい。
    初音さんのように夢心地でなく現実を生きている満州美さんのことが気になった。読んでいる限り内面はいたって穏やかに見える満州美さんだが、若くして後遺症を持つ身体になった苦しみが顔に表れているという。そして妹には心配かけまいとしている姉の心が涙ぐましい。
    陽気とされる千里も、そんな性格なら結婚して子どもの1人や2人いそうなものだがそうではないところに、作中には書かれていない千里

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    2022年10月18日
  • エリザベスの友達(新潮文庫)

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    不思議な味わいの作品だった。
    認知症となったお年寄りたちの内面世界を浮かび上がらせたかと思えば、見守る子供たちの気持ちにもよりそう。
    お年寄りが思いがけず反応を示す昔のことに、驚いたりする若い介護士たちの姿も描かれる。
    現代と、お年寄りが過ごした過去とを自由に行き来しつつゆったりと話が進んでいく。

    お年寄りたちの帰っていく過去は、多くの場合戦時中だったりする。
    自分の人生の最盛期に戦争を経験した世代の、半世紀以上経っても消えない傷がそこにある。

    主人公の初音さんは大正生まれで、戦時中は天津の日本租界で暮らした経験がある人だ。
    租界での優雅な暮らしは、終戦とともに終わり、現地で生まれた幼い娘

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    2022年09月12日
  • ゆうじょこう

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    明治中期、硫黄島で生まれ育ち、当時全国有数の花街だったという熊本のなかでも最上格の廓に親によって売られたイチの1年ばかりの日々。明治の空気か女紅場のような一応の教育施設もあり、そこでイチはお師匠さんの指導のもと自分の気持ちを文章にすることに没頭する。そこここにその文章がはさまれるんだけど、硫黄島のことばそのままに文字になったようなその文章にイチの素直な喜怒哀楽がほとばしっているようで、昔が舞台の物語に生き生きとした勢いをつけている。
    ことさらに遊女の不幸を語りたてることなく、おそらくそうであったように、当時その場にいれば誰もが生きていた毎日として描かれているのも好感。イチ自身は最上格の遊郭で最

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    2022年02月26日
  • 屋根屋

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    屋根屋さんが魅力的だからこその底知れなさ、闇深さが残って、こわいなー。
    後半、引き込まれて一気に読みました。
    村田さんの本、また読みたい

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    2021年11月20日
  • エリザベスの友達(新潮文庫)

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    認知症で97歳の初音さんは、施設に入所している。
    現実よりも、輝いていた昔の記憶の中に生きている。
    会いにくる娘たちも高齢者。
    長生きは尊いのだろうけれど…。

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    2021年10月31日
  • 八幡炎炎記

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    1日で読んでしまった。
    出てくるのは、どちらかというとダメな人が多いけど、人間がリアルに生々しく、でもからりと描かれているところがいい。
    原爆と八幡製鉄所が太い芯になっていて、すっと読めた。
    ヒナ子がとても可愛い。

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    2021年09月14日
  • 八幡炎炎記

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    久しぶりに村田喜代子さんの小説を
    手にしました。
    以前に読んだのは
    「ゆうじょこう」
    「蕨野行」
    だつた気がする

    相変わらずの
    濃ゆく鋭い切り口の文章
    そして そこはかと漂うユーモアとエロス
    そして
    さすがに自伝的要素が含まれるとあって
    戦後の八幡の情景が見事に描き出される
    中でも八幡製鉄所の当時の様子が
    生々しく、神々しく描かれる

    村田さんの作品を
    読むたびに
    何とも言えない余韻が残っていく

    堀越千秋さんの挿絵がなんともすばらしい
    「情念」を描く第一人者であるなぁ 
    と改めて鑑賞させてもらう

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    2021年07月12日
  • ゆうじょこう

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    硫黄島育ちのイチのカラッとした芯の強さと、遊女という切ない仕事のギャップが素敵。
    遊廓の話といえば江戸時代ですが、明治という設定も斬新。
    福沢諭吉は、嫌いになりました。

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    2021年06月12日