村田喜代子のレビュー一覧

  • 屋根屋

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    村田喜代子とか、多和田陽子とか金井美恵子とか、ゆるぎない独自の世界のある作家は本当に素晴らしい。
    読んでいてこの小説世界から抜け出したくない気持ちになる。冷静に考えれば、ちょっと無理のある物語でも、一旦入り込んでしまうと全く気にならない。
    安易に屋根屋が男前だったり、二人の関係が発展してしまわないのが良い。あくまで二人で屋根を上から眺め、空を飛ぶうちに漂ってくる官能の雰囲気で十分背徳的な気分になる。(特に黒鳥になってしまうくだりは秀逸)
    多分、屋根を修理したり、ヨーロッパや日本の寺院を見て回ったりした著者の経験がこういう小説になったのだろうと考えると、一般人が同じ経験をするよりずっとたくさんの

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    2014年10月03日
  • 屋根屋

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    ある主婦が、雨漏りを修理に来た屋根屋の職人と雑談をするうちに、
    夢の中で好きな所に連れて行ってやると言われ、
    半信半疑ながらも教えられた通りに。
    夢の中で待ち合わせ、彼女の希望通りの場所へ行く二人。
    夢行きの旅はしだいに遠く、しまいにはフランスまでの長旅へ。
    それは幾晩も連続した夢を見るという、難しい技術が必要だった。
    リアルな夢に耽溺した主婦はどうなるのか....?

    誰かの夢と自分の夢がドッキングするという発想が、とても面白い。
    しかも相手はゆきずりの(?)屋根屋だ。
    旅する場所は、大きな寺院や大聖堂の屋根ばかり。
    地上から離れた、足場の安定しない屋根の上という状況が、
    吊り橋を渡る時のよ

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    2016年08月28日
  • 屋根屋

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    ここまで面白いとは思わなかったので、すごく得した気分!
    嫁さんのことを世界で一番分かってないのが旦那だということがよく分かった・・・

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    2014年06月09日
  • 屋根屋

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    上手いタイトルをつけたものだ。上から読んでも下から読んでも、右から書いても左から書いても同じ漢字を使った最短の回文「屋根屋」である。もっとも、作者が名うてのストーリー・テラーとして知られる村田喜代子。この人の書くものならタイトルが何であっても手にとるだろう。空を飛ぶ恋人たちやロバの絵で知られるシャガールの絵を表紙に使って、シャレた本が出来上がった。

    「私」は、北九州市に住む専業主婦。夫はサラリーマンで、休日はゴルフ三昧。息子は受験勉強とテニスの部活に忙しい。新しく東京に建てる電波塔の名が「東京スカイツリー」と決まった梅雨に入ったばかりの頃、築十八年の木造二階建てのわが家に雨漏りが始まった。素

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    2014年05月09日
  • 蕨野行

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     口減らしのための姥捨てなどの老人を切り捨てる方法。自然と向き合い、さらにその自然の懐に一生をゆだねると決めた社会の掟は、日本中どこでも見られた光景だったのかもしれない。嫁からお姑よい、と声がけ、姑からは嫁をヌイよい、と呼びかけ語り始める。その語りの中にが、互いを気遣う気持ちが伝わってくる。
     60歳、死を覚悟の蕨野入り。垢だらけ、髪は抜け、皮と骨だらけ、そんな最期は本当に仏のよう。末期目は見えなくても、老人が老女たちをイチイやエノキなどの木の実に例えて、思い描くシーンに慈しみを思う。老い支度、まさに死への恐怖を死への覚悟と変えてくれる本だと思う。還暦巡って零歳になるように、新たの命へと姑と嫁

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    2012年12月23日
  • 蕨野行

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    おばばよい、ヌイよい、と独特の方言によるやり取りが繰り返されていくうちに、どんどん物語世界に引き込まれた。悲惨なのに生命力があふれてる。

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    2011年01月25日
  • 蕨野行

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    2009.09.27. 姥捨ての体をしているけれど、昔の知恵が生きた老人たちの暮らしの在り方だと思う。「楢山節」とは、違うと思う。"お姑(ババ)やい"、"ヌイやい"という、若い嫁と蕨野へ行ったリンとの語りかけで成り立っているというのも、慣れるまではちょっと往生したけど、読み進むごとに現実味を増していく。森の匂い、人間の生きてる匂いが立ち上ってくるようでした。読み終えた日に、ちょうど映画化されたものをテレビで見て、市原悦子の「ヌイやい」との語りが、とてもしっくりきてた。また読みたい。

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    2009年10月17日
  • 屋根屋

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    初めて読む村田喜代子の小説。
    中年女性の日常の延長に、広がっていく夢の世界。
    官能と言うにはピュアすぎる気もし、ファンタジーと言うには屋根屋と主婦の年頃が生々しく感じられ…
    それでも、この物語に魅了されるのは、一線を越えるのではというハラハラ感と期待が入り混じる場面が、幾度となく訪れるからかもしれない。
    屋根屋が夢の中で突如消え、現実の世界からも失踪した状況にいたると、主婦「みのり」の行動や心情から目が離せなくなり、ぐいぐい引っ張られるように読んだ。
    永瀬屋根屋はいったいどこへ…。

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    2026年06月15日
  • 美土里倶楽部

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    連れ合いを亡くした”未亡人”美土里は、病院に忘れた亡夫の私物を受け取りに行った際、同じく亡夫の私物を受け取りに来た時実美子と言葉を交わした…。

    未亡人の本来の意味に抗うように柔らかく強く生きる、美土里と仲間の高齢女性たち。
    長い間連れ添った夫を失った喪失感から立ち直おろうとする彼女たちの姿は、ある意味で生きる逞しさを感じてしまう。
    実に穏やかな小説だった。

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    2026年04月10日
  • 姉の島

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    人の世には歴史がある。
    忘れ去られても、事実として残る。
    書物か言い伝えか、今で言うと映像か。

    だが、事象は残るが思念は残らないから、
    ただただその時代を生きていた人の気持ちに対して、思いを馳せる。
    そう思わせてくれる一冊。


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    2026年03月29日
  • 美土里倶楽部

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    夫を亡くしたばかりの倉田美土里が主人公。その辛さのなか、同じ未亡人達(時実美子、十鳥辰子)と、パソコン仲間の山城教子と過ごす時間が書かれていました。

    大切な人を亡くしたときには、同じ思いを知っている人と過ごすことと、日にち薬が一番なのかもしれません。

    美土里が孤独地獄から抜け出していく過程での様々なことが、気持ちを落ち着かせていくように思えました。

    まずは、パソコン仲間の教子さんの幼稚園での出来事。団子虫に聞かせるお経を作りたいという園児のために作られた団子虫経文。とても良くできていました。自然も成仏するんですね。

    美子さんの夫への思いを知ることも美土里の思いを整理するのに役に立ったの

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    2025年10月16日
  • 姉の島

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    五島列島のとある島で、長男夫婦と孫息子夫婦と暮らす海女さん。その地域では海女は85歳になると、倍暦といって春と秋の彼岸に1歳ずつ歳をとるようになるそう。つまり、85歳は170歳になるわけで、人間を超越した、仙人のような、神様に近いような存在になるようだ。
    一歩間違えば死に直結するというリスクを負って、2~3分も息を止め、素潜りで20~30メートルも暗い海の中へ潜る熟練の海女さんたちの姿は、なんというか、陸で生きる自分とは違う生き物のよう。
    最後のクライマックスが圧倒的だった。

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    2025年07月31日
  • 美土里倶楽部

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    未亡人となった高齢の女性たちの1年間。
    それぞれに亡き人を偲びながら。

    所々に心のどこかを刺激するような、新しい発見をするような言葉があり
    なんだかしんみりしつつも彼女たちの交流が羨ましくもあり。

    未亡人クラブの面々がそれぞれに精神的に自立した方々であり
    自分らしさをしっかり持ち合わせているのが素晴らしい。
    果たして人生の終盤にこの様な豊かな感性を持って生きていけるかな…と我が身を顧みる。

    意外と色彩豊かな作品だと思う。

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    2025年07月02日
  • 美土里倶楽部

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    「未亡人倶楽部」のメンバーは主人公の倉田美土里、時実美子、十鳥辰子。ほとんど同時期に夫を亡くした未亡人たちです。

    作中で美土里が「未亡人」という言葉をWebで調べる場面が出てきました。

    語源は古代中国で、夫が死んだ後、そのあとを追うこともせず、生き残っている妻のことを指す、と。

    なんとも屈辱的な意味合いの言葉だったのだなと、読みながら思います。

    私の夫は幸いにもまだ健在ですので、夫を失くすということは、実母が父を亡くした時の状況しか経験がありません。

    けれどこの作品を読みながら、夫を失くすと言っても残された妻の各々が置かれた立場で随分と違うものだと感じました。

    もちろん寂しさを感じ

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    2025年06月22日
  • 美土里倶楽部

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    美土里は、亡き夫の忘れ物を取りに行った病院で美子と出会う。美子の営む喫茶店『時知らず』にはパソコン仲間の教子、高齢の辰子も集うようになり…。

    女性の横顔がいくつも描かれている装画に目を惹かれた。門司を舞台にして、突然の夫の死にとまどう女性たちの一年が描かれていく。「遺された妻たちのためにこれを書かなければ」著者の祈りにも似た思いが込められた一冊だと思う。

    コロナ禍での葬儀、元旦の夜を一人で過ごし、桜の蕾が膨らみ始めた頃には、影の気配が遠ざかって行くように感じられた・・美土里は、仲間と時間を共有しながら少しずつ前を向くようになる。

    村田さんの書く女性は逞しい人が多い。美子や辰子の方がそのイ

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    2025年06月04日
  • 村田喜代子傑作短篇集 八つの小鍋

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     町田そのこさんが少し前に、村田喜代子さんの新聞連載コラムを激賞、先日は同氏の講演会に参加しサインもいただいたと、少女のように嬉々とSNSで投稿していました。これが村田喜代子さんに興味をもった単純な理由です。

     本作は8編の短編集で、いずれも25〜40年前に発表され、5編が芥川賞を始め様々な文学賞受賞、1編が芥川賞候補と傑作揃いのようです。
     何気ない日常を描きながら妙に刺さる読後感でした。大きな出来事も心情描写も少なく、掴みどころのない展開だと思っていると、徐々に心の底の澱が掻き回される感覚です。人生の奥深いところを平易な言葉で書き表す凄みからでしょうか…。

     村田さんは一部を除き、中心

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    2025年05月06日
  • 美土里倶楽部

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    村田さんの新作です。
    70代の女性の美土里が主人公。彼女の夫が亡くなるところから、一周忌を過ぎるまでを描いた作品です。どうも、村田さん自身の経験に基づく物語のようです。
    タイトルの美土里倶楽部という名前は本文中には出て来ませんが、夫の死後に美土里が頻繁に交流することになった二人の未亡人と一人の若い(と言っても40歳ほど)女性の集まりです。
    三人三様で夫の不在、お墓のこと、供養のことに立ち向かう女性達。色んな考え方があって、それを淡々と読める物語なのですが、雑誌連載の所為かぶつ切れ感あります。関係あるのかないのか良く分からないエピソードが次々に出て来て、すこし混乱。珍しく全体を2度読みをしたので

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    2025年04月26日
  • ゆうじょこう

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    学べる事がどれだけ幸せなのか。それでも女達は夜は自分を擦り減らさないと生きていけない。
    イチの訛りが気持ちいい。生きているという強さを感じる。
    立ち上がる事がどれだけ大変なことか。

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    2024年11月18日
  • 蕨野行

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    某所読書会課題図書:里とワラビ野の世界、重の森の墓所が設定されている中で、通常の生活をしている里の住民. 年齢を重ねることで、ワラビ野へ移住する老人たち.貧しい生活の中で集落全体が生き延びるための方策として、ワラビ野が設定されているが、そこで暮らす老人たちの何故か吹っ切れた生活態度が妙に親しみを覚えた.それに比較して、里の暮らしでは嫁に来た幼い娘が過酷な労働に耐えかねて自殺する件が何度も出てくるのは、読んでいて虚しさを感じた.老人たちは里へ支援に出かけることもあり、それなりの糧を得ているが、不作の年では自分たちが工夫して食糧を得ている逞しさが何故か微笑ましい.国が住民の生活をある程度支援する制

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    2024年04月21日
  • 火環

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    面白かった!八幡炎炎記だけでは足りない、これも合わせて堂々の完結。人が生きて死ぬ。いろんな欲がある。人の生き様が興味深い。子どもや若者は何事もなしていないから悔いがないという記述になるほど…!と思った。

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    2024年01月16日