蕨野行

蕨野行

520円 (税込)

2pt

押伏村には、六十歳を越えると蕨野という丘へ棄てられる掟がある。だが、死を待つ老人たちは悲惨で滑稽な集団生活を送りながらも、生への意志を逞しくしていく。死してなお魂は生き永らえるのか? 棄てられた姑と嫁の心の対話を通して、人間の「生」の本質に鋭く迫る、平成日本によみがえる衝撃の棄老伝説。
恩地日出夫監督、市原悦子主演で2003年に映画化。
解説・辺見庸

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蕨野行 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    棄老...姥捨......という一見むごい風習を描きながら、読めば「ヌイよい」「お姑よい」と、遠い二人の心の対話が不思議な浮遊感を生む。そのままするすると物語に惹き込まれていく。
    山野には異界への入り口があるみたいだ。順繰りに訪れる死。夢と夢のあわいをまどろみ、生きとし生けるものへの慈しみをよぎって

    0
    2025年09月29日

    Posted by ブクログ

    とても良い。世界観に引き摺り込まれた。
    文体と形式が独特で、最初は少し読みづらいが、しばらく読み進むと分かってくるし慣れる。
    途中、もの悲しく感じる部分もたくさんあったが全体としては悲しい話ではなく、むしろ明るいものなのかもしれない。
    この作品を良いと感じるのは、登場人物の女性ならではの繊細な視点か

    0
    2024年09月16日

    Posted by ブクログ

    お姑(ばば)よい
    ヌイよい
    二人の語らいに
    恍惚となりながら
    読み進めたる

    物語でありつつも
    我にとって二人は
    確かに存在した人生だと
    感じつろう
    押伏(おしぶせ)に生きた者らと比べ
    我が人生がいかに
    恵まれておったことか
    であるのにひ弱なものと
    なった我の半生を
    恥ずかしく思うて今後は
    二人のよ

    0
    2018年07月22日

    Posted by ブクログ

     口減らしのための姥捨てなどの老人を切り捨てる方法。自然と向き合い、さらにその自然の懐に一生をゆだねると決めた社会の掟は、日本中どこでも見られた光景だったのかもしれない。嫁からお姑よい、と声がけ、姑からは嫁をヌイよい、と呼びかけ語り始める。その語りの中にが、互いを気遣う気持ちが伝わってくる。
     60

    0
    2012年12月23日

    Posted by ブクログ

    おばばよい、ヌイよい、と独特の方言によるやり取りが繰り返されていくうちに、どんどん物語世界に引き込まれた。悲惨なのに生命力があふれてる。

    0
    2011年01月25日

    Posted by ブクログ

    2009.09.27. 姥捨ての体をしているけれど、昔の知恵が生きた老人たちの暮らしの在り方だと思う。「楢山節」とは、違うと思う。"お姑(ババ)やい"、"ヌイやい"という、若い嫁と蕨野へ行ったリンとの語りかけで成り立っているというのも、慣れるまではちょっと往生

    0
    2009年10月17日

    Posted by ブクログ

    某所読書会課題図書:里とワラビ野の世界、重の森の墓所が設定されている中で、通常の生活をしている里の住民. 年齢を重ねることで、ワラビ野へ移住する老人たち.貧しい生活の中で集落全体が生き延びるための方策として、ワラビ野が設定されているが、そこで暮らす老人たちの何故か吹っ切れた生活態度が妙に親しみを覚え

    0
    2024年04月21日

    Posted by ブクログ

    独特の表現で初めは驚いたが、お姑よい、ヌイよい、と呼びかけあう会話にだんだんと引き込まれる。
    押伏村では60歳になると、村から離れたワラビ野(いわゆる姥捨て山)へ行かなければならない。
    ワラビ野衆となったお姑よい達の、死へと向かうはずの生活が凄まじいのだが、滑稽な明るさもあり逆に生命力を感じる。

    0
    2019年04月07日

    Posted by ブクログ

    六十を過ぎた者は里を離れ野に建つ小屋に寝起きし、毎日里を訪れて仕事を貰い日々の糧を得るという暮らしに身をやつす。そうして老い衰えた者をふるいにかけ、豊かならぬ里は新陳代謝を図っていく。
    長雨続きの不作で、生まれた赤子は濡紙を口に当てられ、若い嫁は嫁ぎ先に暇を出され生家にも入れて貰えず行き処を失う。過

    0
    2019年01月13日

    Posted by ブクログ

    サバイバル姥捨小説。

    初めて読むような文体に戸惑った。何しろ物語は最初から最後まで、お姑と嫁・ヌイの方言のような古文の文体の会話で展開されるのだ。始めは読むのが苦痛なのだが、慣れて来ると面白くなる。

    押伏村に伝わる六十歳を迎えた老人は蕨野に棄てられるという哀しい掟。蕨野に棄てられた老人たちは、厳

    0
    2014年01月22日

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