【感想・ネタバレ】屋根屋のレビュー

あらすじ

雨漏りのする屋根の修繕にやってきた工務店の男は永瀬といった。木訥な大男で、仕事ぶりは堅実。彼は妻の死から神経を病み、その治療として夢日記を付けている。永瀬屋根屋によれば、トレーニングによって、誰でも自在に夢を見ることができるという。「奥さんが上手に夢を見ることが出来るごとなったら、私がそのうち素晴らしか所に案内ばしましょう」。以来、二人は夢の中で、法隆寺やフランスの大聖堂へと出かけるのだった。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

ビル・チャーラップとリニー・ロスネスのピアノデュオ作品「ダブルポートレイト」のジャケットと同じシャガールの作品が表紙となっていて、ジャケ買いですですが、村田喜代子さんは、「新古事記」を読んでいて素晴らしかったので、別の作品を読むよい機会になりました。夢を自由に操る屋根屋の永瀬と夢の中で落ち合って、日本の寺院やフランスの聖堂の屋根を巡るという、不思議で少しロマンチックな話です。

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2024年08月04日

Posted by ブクログ

なんと切ない物語だろうか。
長瀬屋根屋はどこに行ってしまったのだろう。

夢の中で旅するシュールなお話かと思っていましたが、本当に切ない物語です。
もし長瀬がずっとここで暮らそうと言う言葉に従っていたら?
私も夢の中で旅してみたいな。

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2022年03月11日

Posted by ブクログ

村田喜代子とか、多和田陽子とか金井美恵子とか、ゆるぎない独自の世界のある作家は本当に素晴らしい。
読んでいてこの小説世界から抜け出したくない気持ちになる。冷静に考えれば、ちょっと無理のある物語でも、一旦入り込んでしまうと全く気にならない。
安易に屋根屋が男前だったり、二人の関係が発展してしまわないのが良い。あくまで二人で屋根を上から眺め、空を飛ぶうちに漂ってくる官能の雰囲気で十分背徳的な気分になる。(特に黒鳥になってしまうくだりは秀逸)
多分、屋根を修理したり、ヨーロッパや日本の寺院を見て回ったりした著者の経験がこういう小説になったのだろうと考えると、一般人が同じ経験をするよりずっとたくさんのことを学び、考え、感じているんだなと思う。そしてそれを結びつけてしまう能力。
選ばれて作家になった人なのだとつくづく思った。
こういう作家をリアルタイムで読める幸せをかみしめた。
シャガールの表紙絵もぴったり。

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2014年10月03日

Posted by ブクログ

ある主婦が、雨漏りを修理に来た屋根屋の職人と雑談をするうちに、
夢の中で好きな所に連れて行ってやると言われ、
半信半疑ながらも教えられた通りに。
夢の中で待ち合わせ、彼女の希望通りの場所へ行く二人。
夢行きの旅はしだいに遠く、しまいにはフランスまでの長旅へ。
それは幾晩も連続した夢を見るという、難しい技術が必要だった。
リアルな夢に耽溺した主婦はどうなるのか....?

誰かの夢と自分の夢がドッキングするという発想が、とても面白い。
しかも相手はゆきずりの(?)屋根屋だ。
旅する場所は、大きな寺院や大聖堂の屋根ばかり。
地上から離れた、足場の安定しない屋根の上という状況が、
吊り橋を渡る時のような緊張感を生み出すのか、
他人同然だった二人の距離がどんどん縮まっていく危うさに、
なんだかドキドキした。
セクシュアルな関係ではないけれど、精神のエロティシズムを感じた。
夢と現実が入り交じったような、不思議であいまいなラストがこのストーリーにはぴったりだ。

表紙のシャガールの絵にインスピレーションを得て書いたのでは?
と思わせる、斬新な着想の大人のファンタジー。
いろんな場所へ連れ回され、なかなか楽しい疑似体験の読書だった。

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2016年08月28日

Posted by ブクログ

ここまで面白いとは思わなかったので、すごく得した気分!
嫁さんのことを世界で一番分かってないのが旦那だということがよく分かった・・・

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2014年06月09日

Posted by ブクログ

上手いタイトルをつけたものだ。上から読んでも下から読んでも、右から書いても左から書いても同じ漢字を使った最短の回文「屋根屋」である。もっとも、作者が名うてのストーリー・テラーとして知られる村田喜代子。この人の書くものならタイトルが何であっても手にとるだろう。空を飛ぶ恋人たちやロバの絵で知られるシャガールの絵を表紙に使って、シャレた本が出来上がった。

「私」は、北九州市に住む専業主婦。夫はサラリーマンで、休日はゴルフ三昧。息子は受験勉強とテニスの部活に忙しい。新しく東京に建てる電波塔の名が「東京スカイツリー」と決まった梅雨に入ったばかりの頃、築十八年の木造二階建てのわが家に雨漏りが始まった。素人の夫では手に負えず、専門業者がやってきた。

「永瀬工務店」は、屋根専門の工務店。永瀬は以前寺社の屋根修復に関わっていたが、長期に及ぶ仕事中に妻が入院、勝手に休むこともできぬまま妻は息を引きとり、死に目に会えなかった。それ以降、大屋根の端から飛び降りたくなる強迫神経症を病み、医者にその日見た夢を記録する日記をつけることを言い渡され、そのお陰で快癒。夢日記はその後も続けること十年、今に及ぶという。

夫と一人息子が出かけた後、週日の日中を独り過ごす「私」は、毎日やってくる屋根屋との休憩時の茶飲み話を楽しみにするようになる。屋根屋は長年の修練で夢を自在に見ることができるという。そんなある日、夢でフランスのとある町の屋根の上にいたことを話したついでに「私」は、屋根の夢が見たいと口にする。永瀬は「私がそのうち素晴らしか所へ案内ばしましょう」と言うのだった。

ここまでなら社交辞令ですむ。ところが、次に会った時永瀬は、自分が見たい夢を見るには、見たい夢の体験を作ることだと言い、手帖を破るとその一枚に福岡市にある寺の所番地を書いて手渡した。近くの高いビルの上から屋根を見るのだと。実際に足を運んだ時点で、女は男の術中に陥ったと言えるかもしれない。次は、夢を思い出しやすいレム睡眠中に覚醒するため、いつもより一時間早く目覚まし時計をセットして眠るように、と永瀬は電話で指示を出した。後は、夢の中で会いましょう、と。

家族にかまってもらえないことで不満を燻らせていた専業主婦が、無意識の裡に募らせていた自分のことを見てほしい、という願望が識閾を超えて噴出したと見るべきだろう。たとえ、夢の中とはいえ、夫以外の男と逢瀬を楽しむことに、女は何の葛藤も感じていない。ところが、夢の中、ネグリジェ姿で寺の大屋根の上で男を待つ女の上に現われたのは、咆哮する金茶の大虎だった。消え去った後で屋根屋が言うには、心の隅で思っていたご主人が出て来たのだろう、と。罪の意識はあったのだ。

一度味をしめるともう止まらない。次は奈良にある瑞花院吉楽寺。瓦に落書きがあることで知られる古刹である。ここでは、オレンジ色の火の玉に脅かされる。どうやら屋根屋の死んだ妻らしい。どちらも疚しさを感じつつの道行きなのだ。極め付きは連続夢を使ったフランス旅行だ。シャルトルやアミアンの大聖堂の屋根を見てみたいと言う屋根屋の夢につきあって、毎晩夢での逢瀬を楽しむ「私」。二羽の黒鳥になって大空を飛ぶうちに屋根屋は、いっそこのままここで暮らさないかと女を誘う。男性読者としては、お気楽な夫に注意してやりたくなるが、同様の不満をかこつ女性読者なら、このまま突っ走れと応援するところかもしれない。

なにしろ夢の話だからフランスにだって行ける。豪華なホテルに宿泊し、料理だって味わえる。それどころか、鳥になったり、透明になったりして成層圏近くまで上昇し、ヒマラヤ山系の上を飛んで日本に帰ってくるという豪華な旅が家にいながら楽しめるのだから、考えようによっては最高である。しかし、部屋こそ別とはいえ、連日夫以外の男と海外旅行を楽しんでいるのだ。夢であることを自覚しながら見る夢を「明晰夢」という。この明晰夢の危険性の一つとして現実との区別が付かなくなることがあると言われている。「夢うつつ」の毎日が過ぎるうちに「私」が陥る危険とは…。

かつては、時々見た「空を飛ぶ夢」をほとんど見なくなった。フロイトの性的欲望説をとるなら、まあ当然と言っていいし、ユングの現実逃避や希望の拡大説をとっても、今更これといった希望もなければ、受け容れられないほど苛酷な現実もない。しかし、主人公のような立場にある人物なら、どうだろう。地方都市の住宅地にいて、夫も息子も自分のことに忙しい。自分のアイデンティティをすべてかけるほどの趣味もない。自分の知らない世界に住む強烈な個性を持った異性が現われれば、まして現実ではない夢の中の逢瀬なら、心が動くのは当然だろう。

「夢オチ」というのは、極めて安易な解決の手法であって、村田喜代子ほどの作家がそんな結末を採用するはずはないが、どうするつもりか、と楽しみにしながら最後まで読んだ。なるほど、こうきましたか、という結末に上質の怪談を読む喜びを感じた。すべてが終わった後に背中に残るざわつく感じ。読書の愉しみをたっぷり堪能させてくれる一冊。

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2014年05月09日

Posted by ブクログ

屋根屋さんが魅力的だからこその底知れなさ、闇深さが残って、こわいなー。
後半、引き込まれて一気に読みました。
村田さんの本、また読みたい

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2021年11月20日

Posted by ブクログ

表紙絵はマルク・シャガールの『街の上の恋人たち』。その絵からイメージを膨らませたような不思議な話だった。
家の屋根を修理しに来た屋根屋に明晰夢の見方を指南してもらい、私は屋根屋と一緒に夢の中の旅をする。
2人の旅は夢の中とはいえ、なんとも甘美。シャガールの空を飛ぶ恋人たちのように。黒鳥になる場面は「レダと白鳥」を彷彿させる。
2人が訪ねるのは、福岡市の東経寺大屋根、奈良の瑞花院吉楽寺、法隆寺の五重塔、フランスのノートルダム寺院、シャルトル大聖堂、アミアン大聖堂など。国宝建造物の屋根の上からの景色。フランス料理や極上ワインを楽しみ、水の中を泳ぎ、ヒマラヤの峰々の上を飛ぶ。夢のような旅(夢なんだけど)。夢が素晴らしすぎて、現実の世界が薄れる。夢に囚われていく。
「屋根瓦の上は、なんと静かな、清浄な空間でありますか。この何にもない所に二人で一緒に棲み着かんですか」屋根屋の言葉は哀しい。
屋根の美に魅せられ、妻亡き後は夢行きを楽しみながら独り静かに暮らしていた男の寂しさを感じる。
屋根上で仕事をしている男に対し、地に足つく生活感溢れる主婦の私はあくまで現実的。

読んでいる「私」が主人公の「私」になっていくような、夢の中に入り込んで迷子になりそうな不安を感じながらも、現実から逃避したい気持にもなる。
現実と夢の境界が曖昧になり、どちらが夢か、どこから夢か分からなくなる。やはり怖い気がする。

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2021年01月16日

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夢と屋根を組み合わせて、その組み合わせが絶妙でしょう。なかなか品の良い、コース料理をいただいたような読後感でした。こんな本が好みだなぁ。

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2019年02月10日

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ネタバレ

さて、不思議な小説です。

雨漏りの修理に来た夢を自在に操れる屋根屋とともに、主婦の「私」が夢の中で様々な屋根をめぐる旅をする内に。。。

二人が訪れる建物や屋根の描写が緻密です。日本の寺社や五重塔の空に飛び立つような屋根の反り。瓦の裏や法輪に書かれた大工や僧の落書きの面白さ。フランスの大聖堂建築のフライングバットレスや身廊(ずいぶん前ですがケン・フォレットの『大聖堂』を読んでいるので構造が目に浮かびます)。何か吐瀉しているように見えるガーゴイル(雨樋から流れてくる水の排出口)の魔物彫刻の群れ。それだけでも読み応えがあります。

ゴルフ三昧の夫とクラブ活動に夢中な息子。特に大きな不満も無いが、どこか家族の中で存在感の薄い主婦と、10数年前に妻を亡くし、一時は精神の不調に陥ったさえない大男の屋根屋。そんな二人の夢の中の道行きは、互いの孤独からの逃避に向かい、やがて夢と現の境さえ不明確になって行く。
著者が何を語ろうとしたのか良く判りません。読む人によって色んな解釈が出来そうですが、独特の空気感の中で、それぞれが自分なりの解釈をすれば良いのだろうと思います。

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2018年04月01日

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明晰夢の話…といったらなんの感慨もないけれど、どこまで本当なのかが、本当にわからなくなる話。なんだか、明晰夢を極めたくなっちゃいます。

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2017年10月30日

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こんな空想的な発想を、瓦職人の小説て表すなんて素晴らしいです。ホノボノして面白く、最後のオチもメルヘンチックです。

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2014年12月29日

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ゴルフ三昧の夫と部活に熱中する息子との日常に退屈している平凡な主婦と、妻を亡くした孤独な屋根屋との、夢の中だけの屋根を巡る旅。
大人の少女漫画という感じ、逆説的だけれど。主人公は、したたかで強い女だ。男性の方がロマンチストで、そして脆い。主人公が介入してこなければ、屋根屋は孤独だけれど、波のない夢の中での屋根を巡る旅を心穏やかに楽しめただろうに。
最初の方の、主人公が料理を振る舞う中で2人の距離が縮まり、初めて主人公が屋根の瓦を踏む、そして夢で二人が屋根の上で会う、その流れが心地よかった。後半の展開は、永瀬だけが追い詰められて主人公は結局何も失わないのがはがゆく、もう少し、なにかえぐられるものが欲しかった。それとも全てが主人公の夢だから、こんなに主人公は優位で足場がぐらつかないのか。
一つのものに執着して(今回は屋根)、それを軸に話が展開していく、こういうタイプの小説は好き。自分自身もそんな風に一つでも譲れないものから世界が広がっていったら嬉しい。そしてこの物語のようには身を滅ぼさないためには、現実を大切にしなければ。

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2014年11月18日

Posted by ブクログ

屋根の修理に来た永瀬という大男、すなわち『屋根屋』。彼の話から夢にただならぬ興味を持ち始める主人公の主婦。

「奥さんが上手に夢を見ることが出来るごとなったら、私がそのうち素晴らしか所へ案内ばしましょう」
その言葉通り、屋根に魅せられた二人が夢の中で様々な所を訪れる。

夢の世界なのに、夢とは思えぬほど丁寧でこと細やかな描写。
読んでいる自分自自身も夢の小旅行を体感しているかのよう。

結末には衝撃と物悲しさが残った。
一体どうなってしまったのだろう、と。
でもこれでよかったのかもしれない。

夢の続きがもう少し見たかったな、そんな気分になった。

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2014年08月31日

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ネタバレ

作品が読者を巻き込み、グイグイと中へ連れて行く。屋根屋の永瀬と屋根の修理をしてもらう家人の奥さんが中心の話。夢というのは起床時にはほぼ忘れている事もあり、深くは考えてないがこの作品を読むと夢ってコントロール出来るのかとちょっと興味を持った。しかし、夢日記に関してはいろいろと怖い話を聞くので実践はしたくない。すごく不思議な作品だがなぜか、それが心地いい。

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2014年05月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

家の屋根の雨漏りの修理に来た屋根屋の永瀬と、夢の中で逢瀬を楽しむみのり。
2人は京都の五重塔、フランスの大聖堂へと旅をした。

ゴルフ三昧の夫と、高校生の息子と3人暮らしの平凡な主婦みのり。
そこに現れた屋根屋の永瀬は、彼女に刺激を与えてしまったのでしょう。
夢の中だからいいよね、という気持ちでいながら、一歩踏み出す直前まで行ってしまっていて、どうなるのかと緊張しました。
何も無くて良かったんだと思います。

永瀬が残した落書き。
家の屋根瓦の上にあるかもと勝手に想像してました。
違った…。

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2020年01月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

2018/11/25
相当時間がかかった。
夢を好きなように操れると楽しいだろうなと思う反面、やっぱりそこから出られなくなる恐怖が付いて回る。
そういう意識せずに抱いていた感覚を見せてもらった感じ。
しかし登場人物が夢に入って行くときに私もつられて睡魔に襲われるもんだから読み進められないのだよ。
んだけ寝たか。
本読んでるのか夢を見てるのかわからなくなる。ことはないか。
よーく寝ました。

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2018年11月25日

Posted by ブクログ

これは結構変わった作品。明晰夢という夢に関するお話。キャラクターはかなり地味。ごく普通の感覚をもった専業主婦と瓦工事業を営む男やもめのふたり。主婦の家に雨漏りが発生したことによりふたりは出会う。
両者ともそれほどコミュニケーションを積極的にとるタイプではないが、いろんな建物の屋根の形状についての話から少しずつ仲良くなる。で、男は京都のある寺院の見事な屋根を見に行かないかと主婦を誘う。しかしそれは新幹線にのっていく普通の旅行ではなく、なんと夢の中でその寺院を訪れよう、というの。夢の中の旅行。男は明晰夢とも言われる「意識的に観たい夢を見る技術」を持っており、そのやり方を指導もできるという。そして、ひとつの夢の中で別の人間が同じ体験をすることも可能だそう。興味を持った主婦は教わったとおりに眠り、夢の中で京都で男に出会いガイドしてもらう。その後、夢の中の旅はエスカレートしていき、ついに海を超えてパリにまで行くようになる。そしていつの間にかふたりの間には、別の感情が芽生えていく・・・・。

というような話なんですね。まぁこれだけ書いちゃうとなんかファンタジックな不倫モノっぽいですが、あんまりロマンチックなところはないですね、問題は最初に書いたとおり、価値観を疑っている部分、ぶっちゃけ書いちゃうと、それだけ精密で好きなことが出来る明晰夢という技術を持っている人が、汗水たらして現実世界でがんばる必要はあるのか???という問題にいきついちゃうんですね。小説の中でそんな言葉は出てきませんが、どうしてもそのあたり考えてしまいますね。もちろんその「夢」というのは、今後間違いなく広がっていくだろうヴァーチャルリアリティの世界のメタファーともとれますね。

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2017年11月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

まさに表紙のシャガールの絵のような不思議な話で、面白かった。
ゴルフ好きな夫と高校生の息子と平凡に暮らす主婦が、屋根の修理にやってきた無骨な屋根屋と出会い、夢を舞台に旅するようになる。
不倫、恋愛といったドロドロ感よりも、寺社やヨーロッパの城などの建築物の細かな描写と、常に付きまとう死のイメージが印象的だった。

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2015年02月20日

Posted by ブクログ

日本のお寺の屋根は、西方のほうに飛んで行けるように広がっているが、教会の屋根は高く高くそびえている。天は上にある。屋根の話はおもしろかった。大聖堂も1万人が入れて、そこで生活が行われていたなどという話はおもしろかった。
夢で出会えて、行ったことのないところへ飛んで行ける。なんだか、屋根の話がつまらなくなってしまった。

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2014年09月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

主婦の主人公と屋根屋が、話の感じから六十代位と思って読んでいたら、途中でもっと若いと分かり、どうしても違和感が…。夢話に引き込まれていっきに読んでしまったが、読み終わると、全部主婦の夢だったんじゃないの…まとめたくなってしまった。
おもしろいんだけど、ケチをつけたくなる、ある意味不思議な小説。
作者と同世代の母には面白かったらしい。

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2014年09月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

どこからこの夢と言うか妄想が始まっているのかが分からない。でもいろんな屋根あるいは塔を眺める旅(夢)は素敵だった。屋根屋さんはさてどうなったのか?

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2014年08月21日

Posted by ブクログ

雨漏りのする屋根の修理にやってきた屋根屋。自在に夢を見られると語る彼の誘いに乗って、「私」は夢のなかの旅へ一緒に出かける。屋根職人と平凡な主婦の奇想天外な空の旅。

思い通りの夢を、しかも他人と共有できたら…といった夢に関する夢を小説で実現。作者の想像力には脱帽するが、作者の年齢を伺わせる表現が何カ所かあったのは残念。私が肝心の建築物に無知なので作品の本当の魅力を理解できたかどうか…。
(C)

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2014年07月12日

Posted by ブクログ

表紙のシャガールの絵がイメージぴったりの、不思議な物語だった。

雨漏り屋根の修理に来た職人の永瀬は夢を自在にコントロールできるという。
話を聞くうちに夢の世界と、そこで見る屋根の上に興味を持ち始める施主宅の「奥さん」。
夢に同行したがる「奥さん」と渋る永瀬。押し切られるように夢旅行を重ねてゆくうちに、二人の積極性が逆転し、だんだん雲行きが怪しくなりはじめる。
ファンタジー?
妄想?(なら、誰の?)
夢か現か?(どこからが?)

着地点が気になりページを繰ったが、中盤以降、冗長な気がした。
もっと短くしたほうが、二人の積極性が逆転する辺りからの不穏な空気感、夢に囚われてしまいそうな怖さ、なのに振り払いきれない未練、などが生きてくる気がする。
結末に向けての数十ページも少し描きすぎに感じた。

国宝級のお寺の屋根瓦に残る「落書き」についての話がおもしろかった。
瓦師の味わい深い日常、若い坊主の想い人への賛辞と名前、庶民の大工の手習いの歌、などユーモアやロマンたっぷりのそんな話を聞いたら、私が「奥さん」でも、きっと夢行きに同行したくなると思う。

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2014年05月24日

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