美土里倶楽部

美土里倶楽部

小説・文芸
2,420円 (税込)

12pt

昨日までそばにいた夫は一体どこに行ってしまったのだろう……。
夫を亡くしたばかりの美土里は、彼の忘れ物をきっかけに、同じ境遇の三人の女性と知り合い……。
「未亡人倶楽部」の四人が過ごした一年を描く傑作長編。

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  • カテゴリ
    :
    小説・文芸
  • ジャンル
    :
    小説 / 国内小説
  • 出版社
    :
    中央公論新社
  • タイトル
    :
    美土里倶楽部
  • タイトルID
    :
    1826889
  • ページ数
    :
    256ページ
  • 電子版発売日
    :
    2025年03月24日
  • コンテンツ形式
    :
    EPUB
  • サイズ(目安)
    :
    3MB

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美土里倶楽部 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    倉田美土里(くらた みどり)は、夫の寛宣(ひろのぶ)(80歳)を亡くして未亡人となった。
    彼女のまわりには、何となく未亡人が集ってくる。
    まだ夫を失ったことがないので、共感するとか、分かる、というふうにこの小説を読む事はできない。
    けれど、もうそれなりの歳なので、勉強させていただいた。もちろん、自分が先に逝くという場合もあるかもだけど。

    長年連れ添った夫を亡くした場合、若いカップルが相手を失ったような瑞々しい喪失感や号泣というものは伴わないであろうと思う。
    美土里の友人・山埜くら(やまの くら)によれば、長年一緒に過ごした夫婦には「夫婦ぐせ」というものがあり相手をなくして時間が経つにつれ、だんだんとそれが剥けていくらしい。
    一緒にいる間には、夫は日常の一部であった。近すぎて見えないこともあっただろう。
    亡くなってから、さて夫はどんな人だったのだろう?と改めて考えさせられる美土里。
    美土里の周りの未亡人たちの、夫に対する追想もさまざまである。
    喫茶店を営む、時実美子(ときざね よしこ)の夫は、無口な時計職人だった。
    86歳でパソコン教室に来た十鳥辰子(じゅうとり たつこ)の夫は裁判官だった。
    美土里の夫は設計技師で、小柄だけど偉そうに話す。愛情表現に不器用な昭和の男、かな。

    亡くなった人との向き合い方のいろいろな形を見せてもらった。
    お経を練習して、自分たちで法事の時に読経をするというのは、素朴で心温まる。
    仏教の、時間の単位の話も面白い。
    物理的な話、人間が呼吸をするのもゆっくりした燃焼であるというのは、科学なんだけど哲学的な感じがした。
    呼吸をして、燃焼して、酸化して行く・・・それが「老化」だという。
    自分がぼーっとしているこの一分一秒も、肉体は化学変化し続けているのかと思うと、体えらいなと思う。
    辰子の、地獄めぐりの俳句が個性的で、内面に豊かな世界観を持った、こんな老人になれたらいいなと憧れる。

    0
    2025年08月05日

    Posted by ブクログ

    もしも私より先に夫が亡くなったら、もう一度、この本を読もうと思った。
    自作(?)のお経を家族で読むシーンもステキだが、夫を亡くした女性たちの日々、最後に渡り鳥のハチクマを見に行くシーンは、本当に素晴らしい。
    「仲のよかった夫婦は、片方が死んでもいつまでも泣き暮らすことはない」
    は名言だと思う。後悔がないからなのか。
    美土里倶楽部、みたいな倶楽部、「その時」が来たらあるといいな。
    この本にもまた門司港が登場。ますます行ってみたい。

    0
    2025年08月01日

    Posted by ブクログ

    連れ合いを亡くした”未亡人”美土里は、病院に忘れた亡夫の私物を受け取りに行った際、同じく亡夫の私物を受け取りに来た時実美子と言葉を交わした…。

    未亡人の本来の意味に抗うように柔らかく強く生きる、美土里と仲間の高齢女性たち。
    長い間連れ添った夫を失った喪失感から立ち直おろうとする彼女たちの姿は、ある意味で生きる逞しさを感じてしまう。
    実に穏やかな小説だった。

    0
    2026年04月10日

    Posted by ブクログ

    夫を亡くしたばかりの倉田美土里が主人公。その辛さのなか、同じ未亡人達(時実美子、十鳥辰子)と、パソコン仲間の山城教子と過ごす時間が書かれていました。

    大切な人を亡くしたときには、同じ思いを知っている人と過ごすことと、日にち薬が一番なのかもしれません。

    美土里が孤独地獄から抜け出していく過程での様々なことが、気持ちを落ち着かせていくように思えました。

    まずは、パソコン仲間の教子さんの幼稚園での出来事。団子虫に聞かせるお経を作りたいという園児のために作られた団子虫経文。とても良くできていました。自然も成仏するんですね。

    美子さんの夫への思いを知ることも美土里の思いを整理するのに役に立ったのではと思いました。

    お話し会での女の子のストレートな表現は、私も「ボディブローを受けたみたいな感じ」でした。小さい子どもは、人生がまだ簡単だから、迷いがないということ。大人は「事情といきさつが人生のすべてみたいになってしまう」んですね。生まれたから死ぬことは当たり前と考えられることで、少しは楽になれるのかもしれないと思いました。

    十鳥夫婦の、死んだら地獄で合流っていう約束も、なんかいいなあと思ったり···。

    そうした日々を過ごしつつ迎えたお正月。娘との気持ちのすれ違い。お互いの気もちがわかるだけに、これも日にち薬が必要に思えました。

    そして、一周忌、初盆と時が流れていきます。お経をあげて心が穏やかになったり、故人のことを思い出して語ったり、自分の気もちを俳句にしたりして過ごすうちに、時がたっていた感じです。

    読後、大切な人を見送ったあとでも、こうやって人はなんとか生きていくんだなと感慨深くなりました。


    0
    2025年10月16日

    Posted by ブクログ

    未亡人となった高齢の女性たちの1年間。
    それぞれに亡き人を偲びながら。

    所々に心のどこかを刺激するような、新しい発見をするような言葉があり
    なんだかしんみりしつつも彼女たちの交流が羨ましくもあり。

    未亡人クラブの面々がそれぞれに精神的に自立した方々であり
    自分らしさをしっかり持ち合わせているのが素晴らしい。
    果たして人生の終盤にこの様な豊かな感性を持って生きていけるかな…と我が身を顧みる。

    意外と色彩豊かな作品だと思う。

    0
    2025年07月02日

    Posted by ブクログ

    「未亡人倶楽部」のメンバーは主人公の倉田美土里、時実美子、十鳥辰子。ほとんど同時期に夫を亡くした未亡人たちです。

    作中で美土里が「未亡人」という言葉をWebで調べる場面が出てきました。

    語源は古代中国で、夫が死んだ後、そのあとを追うこともせず、生き残っている妻のことを指す、と。

    なんとも屈辱的な意味合いの言葉だったのだなと、読みながら思います。

    私の夫は幸いにもまだ健在ですので、夫を失くすということは、実母が父を亡くした時の状況しか経験がありません。

    けれどこの作品を読みながら、夫を失くすと言っても残された妻の各々が置かれた立場で随分と違うものだと感じました。

    もちろん寂しさを感じるのは共通のようですが、長く一緒に生きてきたことによる思い出はそれぞれで、それに対する思いも大きく違います。

    物語は主人公美土里の語りによって進みますが、未亡人3人の状況や思いが丁寧に書かれていて、不謹慎ですが心地よささえ感じてしまいました。

    「小さな子どもは、くると、帰るの間に、できごとや時間というものがないんです。くると、帰るとがワンセットになっている。簡単なのですよ、人生が」
    (中略)
    「おとなはくると、帰るの間のスパンが長いのです。事情といきさつが人生のすべてみたいになってしまう」   本文p102-103抜粋

    読書に年齢は関係ないはずだけれど、やはり読む時期によって感想は変化していきます。

    この作品も私が夫を亡くした後に(私の方が長生きするという前提ですが)読んだら、また違った感想になるかもしれないと読み終わって思います。

    0
    2025年06月22日

    Posted by ブクログ

    美土里は、亡き夫の忘れ物を取りに行った病院で美子と出会う。美子の営む喫茶店『時知らず』にはパソコン仲間の教子、高齢の辰子も集うようになり…。

    女性の横顔がいくつも描かれている装画に目を惹かれた。門司を舞台にして、突然の夫の死にとまどう女性たちの一年が描かれていく。「遺された妻たちのためにこれを書かなければ」著者の祈りにも似た思いが込められた一冊だと思う。

    コロナ禍での葬儀、元旦の夜を一人で過ごし、桜の蕾が膨らみ始めた頃には、影の気配が遠ざかって行くように感じられた・・美土里は、仲間と時間を共有しながら少しずつ前を向くようになる。

    村田さんの書く女性は逞しい人が多い。美子や辰子の方がそのイメージに近いと思いながら読んだ。

    印象に残ったのは『おはなし会』の場面。
    読書ボランティアの美土里は子どもたちの前で『かぐや姫』の読み聞かせをする。「かぐや姫は何をしに地球に来たのですか?」兄の問いに小さな妹は「かぐや姫はきたから、帰るんです」と返した。"間"という認識を持たない子どもに対し、長く生きるほど"事情といきさつ"が増えていく大人。女の子の「きたから帰る」のストレートな回答が妙に腑に落ちた。

    美土里の祖父が関わった関門鉄道トンネル工事の話は興味深く、お寺の庭で園児たちが揃って歌う、まーるまーるこーろこーろ『団子虫経』も可愛かった。地獄絵図と俳句の取り合わせには驚かされたが…。

    油山から見たハチクマの群れは威張っていた夫にどこか似ている。まっしぐらに西に飛んでいく鳥たちの姿を見て、やっと美土里は夫を見送ってあげようと思えたのだろう。

    0
    2025年06月04日

    Posted by ブクログ

    村田さんの新作です。
    70代の女性の美土里が主人公。彼女の夫が亡くなるところから、一周忌を過ぎるまでを描いた作品です。どうも、村田さん自身の経験に基づく物語のようです。
    タイトルの美土里倶楽部という名前は本文中には出て来ませんが、夫の死後に美土里が頻繁に交流することになった二人の未亡人と一人の若い(と言っても40歳ほど)女性の集まりです。
    三人三様で夫の不在、お墓のこと、供養のことに立ち向かう女性達。色んな考え方があって、それを淡々と読める物語なのですが、雑誌連載の所為かぶつ切れ感あります。関係あるのかないのか良く分からないエピソードが次々に出て来て、すこし混乱。珍しく全体を2度読みをしたのですが、やはりつかめない。なんか一つの答えの様なものを期待してしまったのですが、どうも「色々あるよね」という話の様です。
    多分、村田さんが主人公の美土里なのでしょう。亡き夫を偲んで淋しがる。心で泣いて、でも表面では気丈に。ただ、どことなく村田さんらしくない感じもします。もうちょっと女傑イメージだったんだけど。そういう意味では最高齢の辰子の地獄俳句が一番ぶっ飛んでいて、彼女を主人公にしたらもっと面白かったかな。

    0
    2025年04月26日

    Posted by ブクログ

    時はコロナ禍。主人公美土里は突然夫を亡くす。趣味のパソコンクラブの友人と、夫の病院で知り合った女性と、いわば未亡人倶楽部を結成?独り身の女性たちと深く交流していく。その交流の中で、夫の死を受け止め、過ごした日々を振り返り、生きていく糧を得るというお話なのだが、話の展開は想像を超え、仏教、地獄、極楽、伝説から魂の世界へと広がっていく。ヒトが死ぬのも現象というくだりが興味深かった。蝋燭の火も燃焼だが、もっとも遅い燃焼が、ヒトが呼吸することという事実にも唖然。確かに、酸化作用で老化していく。ともあれ、ちょっと不思議な小説ではあった。

    0
    2026年03月02日

    Posted by ブクログ

    情景描写の言葉遣いが素敵。
    細やかな心情の表現も素敵。
    そして素敵に齢を重ねた登場人物たちのコミュ力、行動力が凄まじい。

    果たして私も同じ齢を重ねたとして、こんな生活が、こんな人付き合いができるだろうか。
    少し自分を見つめ直す機会を得た気がする。

    0
    2026年02月08日

美土里倶楽部 の詳細情報

  • カテゴリ
    :
    小説・文芸
  • ジャンル
    :
    小説 / 国内小説
  • 出版社
    :
    中央公論新社
  • タイトル
    :
    美土里倶楽部
  • タイトルID
    :
    1826889
  • ページ数
    :
    256ページ
  • 電子版発売日
    :
    2025年03月24日
  • コンテンツ形式
    :
    EPUB
  • サイズ(目安)
    :
    3MB

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