ブックライブでは、JavaScriptがOFFになっているとご利用いただけない機能があります。JavaScriptを有効にしてご利用ください。
無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで100万冊以上配信中!
来店pt
閲覧履歴
My本棚
カート
フォロー
クーポン
Myページ
3pt
貧しさゆえ熊本の廓に売られた海女の娘イチ。廓の学校〈女紅場(じょこうば)〉で読み書きを学び、娼妓として鍛錬を積むうち、女たちの悲哀を目の当たりにする。妊娠する者、逃亡する者、刃傷沙汰で命を落とす者や親のさらなる借金のため転売される者もいた。しかし、明治の改革の風を受け、ついに彼女たちはストライキを決意する――過酷な運命を逞しく生きぬく遊女を描いた、読売文学賞受賞作。
アプリ試し読みはこちら
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
両親により貧しさのために遊郭に売られた少女が読み書きを覚え言葉を通して自分の世界を広げていく姿は健気で美しくて希望を感じます。そしてその希望は社会の理不尽さや大人達の搾取によって容赦なく踏みにじられていく。10代の少女達がそんな現実をどう受け止めたんだろう、とても痛ましく思いました。 1万円札でお馴...続きを読む染みの福沢諭吉。女性にも教育を!と立ち上がってくれていたのかと思いきや「娼婦は人間以下」と語る場面には心底がっかりし、時代の残酷さを感じました。 どなたかのレビューで東雲さんを壇蜜さんをイメージしながら読んでいました、という方がいらっしゃいましたが私は木村多江さんでした。
かなり厳しく過酷な世界を、天真爛漫なイチ、一級の花魁東雲さん、女教師の鐵子さん、主に3人の視点から描く。 頻繁に挟みこまれるイチの日記が、もう面白くて面白くって。 突き放した優しい文体も素晴らしい。 とにかく面白かった、読書の醍醐味はこれだよなー。
村田喜代子さんにハマって三冊目。 明治後期の九州にある遊郭が舞台の物語。 貧しい親に売られた娘たちが次々と送り込まれてくる。 その遊郭は一番格の高い店ではあるけれど、行われていることは残酷だ。でもそれを受け入れないと生きていけない。 そして遊郭の外にも店はあり、そこでは一体何が行われているのかは分か...続きを読むらない、という言葉にはぞっとした。 主人公のイチは遊女のための学校に通い、読み書きを覚えて、いきいきと自分を表現し始める。 悲惨な環境の中で、光のかたまりのようなイチの素直な心に、不思議と励まされ救われるような気持ちがする。
三冊続けて少女を主人公にした女性作家の作品を読む。 原田マハ「永遠をさがしに」、高田郁「あきない世傳 金と銀 源流編」、そして村田喜代子さんの本作。 前の二冊は一気読みでしたが、この作品はじっくりと。少女漫画的な設定やストーリーの前二作とは密度が全く違います。 明治初年、薩摩の先の硫黄島から熊本の廓...続きを読むに売られた15歳のイチ。辛い運命の中でも靭さ逞しさを感じさせます。取り巻く脇役たちもズッシリとした存在感を感じます。そしてなんといっても、イチが毎日通う女紅所(廓の中の学校)で書き残して行く、仮名ばかり、訛りだらけの日記が秀逸です。 村田さん、初読みです。浅学にして全く知らなかったのですが、芥川賞、平林たい子賞、川端康成賞、野間文芸賞と数多くの受賞歴を持たれる実力派なのですね。そしてこの作品は読売文学賞。 とても充実した読書でした。
学べる事がどれだけ幸せなのか。それでも女達は夜は自分を擦り減らさないと生きていけない。 イチの訛りが気持ちいい。生きているという強さを感じる。 立ち上がる事がどれだけ大変なことか。
明治中期、硫黄島で生まれ育ち、当時全国有数の花街だったという熊本のなかでも最上格の廓に親によって売られたイチの1年ばかりの日々。明治の空気か女紅場のような一応の教育施設もあり、そこでイチはお師匠さんの指導のもと自分の気持ちを文章にすることに没頭する。そこここにその文章がはさまれるんだけど、硫黄島のこ...続きを読むとばそのままに文字になったようなその文章にイチの素直な喜怒哀楽がほとばしっているようで、昔が舞台の物語に生き生きとした勢いをつけている。 ことさらに遊女の不幸を語りたてることなく、おそらくそうであったように、当時その場にいれば誰もが生きていた毎日として描かれているのも好感。イチ自身は最上格の遊郭で最上位の花魁・東雲さんに面倒をみてもらうというなかでも恵まれた状況にあり、その一方で挿話的に転売されたり、病んでいつの間にかいなくなったり、妊娠する女たちの模様も描かれる。こんなんで遊女としてやっていけるのかなと思うようなイチの直情さが、それぞれの出来事に対して反応する様子をとおして深々と遊女たちの過酷な生き方が伝わってくる。 最後は遊郭を出たイチだけど、この後どうやって生きていけるだろうか。父親によって二重に借金を背負わされたこと以外は、これといって過酷な目に遭っていないようだし、周りについていくかのように遊郭を出たイチの先行きが不安。
硫黄島育ちのイチのカラッとした芯の強さと、遊女という切ない仕事のギャップが素敵。 遊廓の話といえば江戸時代ですが、明治という設定も斬新。 福沢諭吉は、嫌いになりました。
よくある花魁モノとは全然違う。 作者はこの時代この場所におったんか?ってくらい細かい描写が廓の地獄をよりリアルにする。 でも主人公の性格のせいか、地獄の描写が暗くない。カラッとした不幸、滔々たる不遇。 絶対だった物の崩壊と、女達の闘い。学問の必要性。
明治の熊本の遊郭を舞台にした作品。 「吉原炎上」やら、荷風その他の男性作家の作品と大きく違う。 硫黄島から、両親に売り飛ばされた娘、イチ。 その境遇は苛酷だけれど、「かわいそうな女性」と、ヘンに美化されない。 その体の上に起こる様々な状況、生々しい身体感覚も、意外とドライに描かれる。 だからこそ、心...続きを読むを動かされる。 イチの一本気な性格によるところもあるのかもしれない。 イチの人柄は、彼女が女紅場で師匠の鐵子さんに出す日記によく表れている。 皮肉なことに、彼女は遊郭に売られて、始めて文字を覚えた。 それ以来、書くことに憑かれたようになる。 鐵子さんも没落士族の娘で、かつて遊郭に売られた身。 イチたちを案じつつも、見守るしかないこの人も、教養のある人ながら、娼妓であったことで社会的に蔑まれてきた。 野生児のようなイチと、鐵子さんがつながる。 このことによって、物語が終盤、大きく動いていく。 読んでいて、わくわくするところだ。 イチの売られた娼館、東雲楼は、熊本きっての名店。 楼主も、それほど阿漕な人ではなく、比較的娼妓を大事に扱う。 娼妓同士の諍いも少ない。 えげつないプロレタリア文学は、これでもか、といわんばかりに、その悲惨さを強調するところだが、この作品ではそうではない。 だからこそ、最後に娼妓たちがストライキをして出ていくところが胸を打つ。 暴力に余儀なくされて逃げるのでなく、自らの考えで出ていくことを選び取っているように感じられる。 夜通しの「遊女の大行進」を、応援したくなってくる。
粗にして野だが率直で利発、磨かれる前の原石そのもののイチがどう成長していくのか、廓の天国と地獄の狭間でハラハラしつつ興味が尽きない。 「踏みしめる足場のない所」で垣間見える鐵子さんや東雲さんの優しさにホロッとくる。三人の心が交流する紅絹の休みの話が好きだなぁ。 反面、娼妓を取り巻く世間や環境は怒りが...続きを読む湧くことばかり。 火山の溶岩が海へ流れ出すような静かに燃える熱いラスト、彼女たちのあまりに険しい前途を思うと若干気持ちは暗くなる。それでもこの選択が報われることを祈らずにはいられなかった。
レビューをもっと見る
新刊やセール情報をお知らせします。
ゆうじょこう
新刊情報をお知らせします。
村田喜代子
フォロー機能について
「新潮文庫」の最新刊一覧へ
「小説」無料一覧へ
「小説」ランキングの一覧へ
姉の島
エリザベスの友達(新潮文庫)
光線
掌篇歳時記 春夏
新古事記
新編 尻尾のある星座
飛族
人の樹
「村田喜代子」のこれもおすすめ一覧へ
一覧 >>
▲ゆうじょこう ページトップヘ