西條奈加のレビュー一覧

  • 隠居おてだま

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    ネタバレ

    元凶は徳兵衛である。
    面倒事とばかりに家族と向き合ってこなかったくせに、文句は言う。しかも、物事の決定権を持っているだけに始末が悪い。現に今回の騒動でも、癇癪の後に暴走したものの誰も止めることはできなかった。
    「どうせ話が通じない」そう思うのも当然のことだ。不器用なだけなんだから除け者なんて可哀想とかいうレベルではないだろう。
    ただその上で思うのは、相手は力を持っている、画策しても失敗したら元も子もないということ。大切なことは、やはり正攻法で主張するべきなのではないか。それでうまくいかなければ、出るとこ出るとか決別するとか二の矢三の矢を放つのがよろしいかと。
    それは、はだかの王様になっている相

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    2023年07月15日
  • 隠居おてだま

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    「隠居すごろく」の続編。
    前作のラストですごろくはあがりだったので、まさか続編が出るとは思わなかった。

    末娘・お楽の一大事。徳兵衛を上手く纏めるために嶋屋総がかりで一芝居打つことに。
    お楽の幸せを優先してしまったが為に、一人だけ知らされず、騙されたことで徳兵衛の心がどれだけ傷つけられたか。
    ラストは上手く纏めようとしているのだろうが、何かスッキリしない。

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    2023年07月04日
  • とりどりみどり

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    ネタバレ

    お鷺はかわいい。
    キャラ強めの三姉妹がそれぞれのやり方で世間に抗う様もなるほどねと思う。
    でも、全てを悟りつつも騙されたふりをした男に、女は怖いとか言わせる展開は、私の趣味じゃなかった。

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    2023年07月01日
  • 曲亭の家

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    丁度夫婦喧嘩は犬も食わないを体験している途中に読み始めたので、主人公お路さんの言葉や態度に少し共感したりもした。私が伝記モノというかが苦手だからとは思うけれど、いつものようにページが進んだとは言いがたい。ノンフィクションをフィクションに仕立てることはやはり難しいのだと改めて思った。

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    2023年06月16日
  • とりどりみどり

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    主人公の鷺之介は末っ子らしい素直な性格で、可愛らしいなと思いながら読みすすめた。
    対する姉三人はかなり個性的。
    江戸時代にしては近代的な発想の持ち主なところは好きなのだけど、問題解決の時にすぐに大金をちらつかせるところがちょっと不快だった。

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    2023年06月12日
  • とりどりみどり

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    ネタバレ

    アクの強い三姉妹に末っ子の鷺ノ介は困らされてばかり、大好きな長兄に不満を漏らしつつお坊ちゃんとして日々を過ごしている
    その出自には大きな秘密が隠されていて…
    お七さんは穏やかに見せていただけで、心のうちでは思うところが多々あったのは間違いない
    三姉妹も奔放なようで自分の生き方を貫こうともがいているだけなのかもと思う
    父は全て分かった上で家族を大事にしていたのだから懐深いなあ(浮気は許せんけど!)

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    2023年05月10日
  • とりどりみどり

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    面白く読めた。
    3姉妹の潔い位の金持ちっぷりが、ただ鼻につく感じから徐々に隠された思いや思慮が感じられ、なんか好きになったぞ、とくに長姉が。

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    2023年04月30日
  • とりどりみどり

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    ネタバレ

    【収録作品】螺鈿の櫛/ふういんきり/箍の災難/とりかえばや/五両の手拭/鷺と赤い実/とりどりみどり

    破天荒な父親と堅実な跡取り息子が営む破格の大店。その三人娘と彼女たちに振り回される末息子の話。
    結婚しても好きなように振る舞う豪快な長女、おっとりしているようにみえて毒舌家の次女、我が道を行く賢い三女は、いずれも周りにはばかることなく自分たちの好きなように生きている。
    鼻持ちならない金持ちのわがまま娘たちなのだが、底流に「女」として差別される側であることに抗う覚悟があるから侮れない。

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    2023年04月30日
  • せき越えぬ(新潮文庫)

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    箱根の関所役人の日常が、いつの間にか二宮金次郎やシーボルトまで登場する史実混じりの憂国の志士の物語に変わっていた。
    でも、主要人物の造形が中途半端なのかイマイチ盛り上がりに欠けたなぁ。

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    2023年04月26日
  • とりどりみどり

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    廻船問屋『飛鷹屋』の末弟・鷺之介は幼いながらも周りを達観しているようで可愛い。
    シリーズ化しても楽しめそう。

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    2023年04月15日
  • 無暁(むぎょう)の鈴(りん)

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    西條さんの作品にしては予想以上に重い内容でした。
    八丈島の流人生活を具体的に長期間にわたって描いている小説を初めてだったのでかなり興味深く読みましたが、最後は本当に即身仏まで突き進んでしまうとは、、

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    2023年04月01日
  • 時代小説アンソロジー てしごと

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    【収録作品】「春雀二羽」 澤田瞳子/「藍の襷」 志川節子/「掌中ノ天」 奥山景布子/「姉妹茶屋」 西條奈加/「浮かれの蝶」 小松エメル/「おもみいたします」 あさのあつこ
    「春雀二羽」 京都鷹ヶ峰御薬園の薬師・真葛シリーズ。 「藍の襷」 色酢の麹造り職人・沙奈。
    「掌中ノ天」 根付職人に弟子入りするおりん。
    「姉妹茶屋」 妹の亥(いの)とともに秩父の峠で茶屋を切り盛りするそば打ち職人・蕗。
    「浮かれの蝶」 口寄せをする手妻師・市子。
    「おもみいたします」 揉み屋・梅シリーズ。

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    2023年01月17日
  • 亥子ころころ

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    『まるまるの毬』の続編。治兵衛が手首を痛めてしまい和菓子を思うように作れない。そんな時、店の前に倒れていた男を介抱する。その男・雲平は音信不通になった仲間・亥之吉を訪ねて京から来た和菓子職人だと、亥之吉が見つかるまで南星屋で治兵衛を手伝う事になる。治兵衛の弟で僧侶の石海も活躍し、亥之吉が姿を消した訳を解いていく。最後に雲平が出した答えには驚いたけど、という事はまだまだ続くってことですよね。3作目も期待して待とう。

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    2023年01月02日
  • 四色の藍

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    江戸時代の話を読むと、昔はこの道を江戸の人も歩いていたんだよな〜とか想像して生活ができて楽しい。
    登場人物たちもそれぞれ強い女性たちでみんな好きになった。

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    2022年12月13日
  • 千年鬼

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    ファンタジーなお話だか、きっちり相対性理論的な説明もあり楽しく読めた。怖いのは鬼ではなく人間なのね。

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    2022年10月28日
  • せき越えぬ(新潮文庫)

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    西條奈加の連作時代小説『せき越えぬ』を読みました。
    『秋葉原先留交番ゆうれい付き』、『烏金』、『まるまるの毬』に続き、西條奈加の作品です。

    -----story-------------
    たとえこの身に害が及んでも友を助けてみせる。
    関所を巡る人間模様を描く人情時代小説。

    東海道箱根の関所には、曰くありげな旅人が訪れる。
    離縁され故郷に帰る女。
    江戸から夜逃げをした夫婦……。
    実直な番士武藤一之介は、親友の騎山市之助から関所に関する法外な依頼をされる。
    一之介は逡巡するも決断する。
    友の人生の岐路に際し何もしないのは裏切りも同然。
    たとえこの身に害が及んでも必ず友を助けなければならない――

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    2022年10月25日
  • 烏金

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    西條奈加の長篇時代小説『烏金』を読みました。
    『秋葉原先留交番ゆうれい付き』に続き、西條奈加の作品です。

    -----story-------------
    因業な金貸し婆・お吟のもとへ押しかけ、金貸し業の手伝いをする浅吉。
    新しい発想で次々と借金をきれいにし、貧乏人たちを助ける彼には、実は秘密があった。
    大金を得るべく浅吉が仕掛ける真の目的はいったい……。
    日本ファンタジーノベル大賞作家が江戸を舞台に描いた痛快時代エンターテインメント小説。
    文庫だけのオリジナル短編「勘左のひとり言」収録。!
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    2007年(平成19年)に刊行された時代エンターテイ

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    2022年10月23日
  • 閻魔の世直し―善人長屋―

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    長編はやっぱり読み応えある!
    今回はお縫ちゃんの心の揺れが大きくどきどきした。

    悪人を襲う閻魔組の掲げる正義と言う名の大義名分は恐ろしい。
    それに迎合する世間もまた恐ろしく、善人長屋の人たちは怖かっただろうなぁ。
    彼らがどんどん閻魔組を突き止めていくけど、まさかの犯人にビックリした。

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    2022年10月14日
  • 千年鬼

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    「鬼」と「人鬼」の違い、本当に恐ろしいのは「人鬼」。

    西条奈加は「心淋し川」で2020年下期直木賞を受賞。
    NHKドラマの「善人長屋」をたまたま見て、ちょっと興味を持ったので読んでみた。

    一見すると連作短編集のような構成であるが、短編同士の結びつきはさらに強い。
    人情ものの時代劇ではあるが、ひょっとしたらタイムワープもののSF小説かもしれない。

    森で知り合った民と小鬼の不思議な物語。脇役の黒鬼がいい味を出している。
    ドラマ化(もしくはアニメ化)したときの黒鬼の配役で、できあがりが左右されるような立ち位置なのだ。

    テーマは人の心にはびこる「悪心」の存在であるけど、人情ものとしての魅力の方

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    2022年09月26日
  • みやこさわぎ

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    西條さんの作品は、これが初めて。
    ちょっと前に直木賞をとった、時代小説の作家さんだったと記憶している。

    時代設定は現代。
    でも、神楽坂の老芸妓さんが主人公とのことで、江戸情緒が漂うような作品かと思い、読み始める。

    本作はシリーズの第二作。
    視点人物の滝本望少年は、都内の私立高校一年生。
    学校のため、北海道に移住した両親から離れ、神楽坂に住む祖父母の家に居候する。

    主人公は彼の祖母、お蔦さん。
    芸妓として生きてきた人で、人望は厚いが、料理はさっぱり。
    滝本家はなぜか代々男性が料理を担う。
    祖父なき今、望が料理男子として、日々の食卓に腕を振るう。

    その家には、お蔦さんの年若い義弟、奉介さん

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    2022年09月25日