西條奈加のレビュー一覧
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西條奈加の長篇時代小説『烏金』を読みました。
『秋葉原先留交番ゆうれい付き』に続き、西條奈加の作品です。
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因業な金貸し婆・お吟のもとへ押しかけ、金貸し業の手伝いをする浅吉。
新しい発想で次々と借金をきれいにし、貧乏人たちを助ける彼には、実は秘密があった。
大金を得るべく浅吉が仕掛ける真の目的はいったい……。
日本ファンタジーノベル大賞作家が江戸を舞台に描いた痛快時代エンターテインメント小説。
文庫だけのオリジナル短編「勘左のひとり言」収録。!
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2007年(平成19年)に刊行された時代エンターテイ -
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「鬼」と「人鬼」の違い、本当に恐ろしいのは「人鬼」。
西条奈加は「心淋し川」で2020年下期直木賞を受賞。
NHKドラマの「善人長屋」をたまたま見て、ちょっと興味を持ったので読んでみた。
一見すると連作短編集のような構成であるが、短編同士の結びつきはさらに強い。
人情ものの時代劇ではあるが、ひょっとしたらタイムワープもののSF小説かもしれない。
森で知り合った民と小鬼の不思議な物語。脇役の黒鬼がいい味を出している。
ドラマ化(もしくはアニメ化)したときの黒鬼の配役で、できあがりが左右されるような立ち位置なのだ。
テーマは人の心にはびこる「悪心」の存在であるけど、人情ものとしての魅力の方 -
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西條さんの作品は、これが初めて。
ちょっと前に直木賞をとった、時代小説の作家さんだったと記憶している。
時代設定は現代。
でも、神楽坂の老芸妓さんが主人公とのことで、江戸情緒が漂うような作品かと思い、読み始める。
本作はシリーズの第二作。
視点人物の滝本望少年は、都内の私立高校一年生。
学校のため、北海道に移住した両親から離れ、神楽坂に住む祖父母の家に居候する。
主人公は彼の祖母、お蔦さん。
芸妓として生きてきた人で、人望は厚いが、料理はさっぱり。
滝本家はなぜか代々男性が料理を担う。
祖父なき今、望が料理男子として、日々の食卓に腕を振るう。
その家には、お蔦さんの年若い義弟、奉介さん -
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ネタバレ通称、猫町に暮らす野良猫のミスジ。
恩猫で憧れの先代、順松が行方知れずになり、新しい傀儡師に任命される。
人を遣い、人を操り、猫のために働かせる、傀儡師。
早速、履物屋のキジから依頼が。珍種の朝顔の鉢を台無しにした冤罪をかけられたのだ。
ミスジはミスジの傀儡である狂言作者、阿次郎を連れ出して。
かつて米問屋が多かった米町がネズミ対策で猫を飼ううちに猫の町へ。
そんな猫の町には傀儡師の猫がいて。
猫視点で猫を救うために傀儡を誘導しながら事件を解いていくうちに、ミスジは先代の順松失踪の謎に迫っていく。
事件と犯人に驚きはほぼ無いんだけれど、猫や烏の漢気や姉御肌が小気味良い。
仔猫たちはやんちゃだ -
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軽快、爽快、江戸人情長屋。
事前の情報なしで、読み始めて、善人の集合住宅と思っていたら、最初の数ページで、裏切って(まあ、そうでもないんだけど)NICEタイトル。
裏稼業を持っている(表もちゃんとある)、住民達の長屋。そこに、正真正銘の善人が紛れ込んでしまう。設定だけでも、面白そうな感じでしょ。ドラマの時代物を見ているような気楽さとテンポの良さ。
「犀の子守歌」は、性同一性障害について扱うのだけれど、なるほど、どんな時代にもどんなお家柄でも、現実的に起こりえた話だなって。今まで、あまり考えた事がなかったので、新鮮でちょっと衝撃を受けてしまった。
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以前読んだ梶よう子さんの「噂を売る男」のシーボルト事件でちらっと出てきた最上徳内。シーボルトに蝦夷地の地図を渡したにも関わらずお咎めなしだったという話に、何か黒い繋がりがある人なのかとイメージしていたが、全く違う人だった。
元々算術が得意で算術で身を立てるつもりだった徳内は、師の本多利明の影響で蝦夷地見分隊に加わる。その旅でその後の人生に大いなる影響を与えることになるアイヌの人々との出会いがある。
当時のアイヌの人々の置かれた状況には胸が痛む。松前藩と運上屋と呼ばれる一部の商人たちに徹底的に搾取され抑えつけられている。
アイヌの人々の訴えは、「農耕を行いたい」「和語(日本語)を覚えたい」「 -
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西條氏は8冊目。原点ともいうべきデビュー作で日本ファンタジーノベル大賞受賞作を読んで見た。
設定が現在の日本でありながら、場所は江戸という不思議な設定。だからファンタジーなのだろうが、この設定に馴染めず最後まで違和感が付きまとう。江戸と日本を行き来するために長崎奉行所が所管というのもどうだろう。この長崎奉行の一人が「金春屋ゴメス」なのだが、女性の怪物で意外な経歴。出番は少ないがインパクトは強い。
今の作風と大きく違っているし、内容も粗いのはデビュー初期なのだからと思う。今年中にシリーズ2、3が文庫書き下ろしで出されるそうだが、直木賞まで受賞した作者の力量に期待したい。