西條奈加のレビュー一覧
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ネタバレ元凶は徳兵衛である。
面倒事とばかりに家族と向き合ってこなかったくせに、文句は言う。しかも、物事の決定権を持っているだけに始末が悪い。現に今回の騒動でも、癇癪の後に暴走したものの誰も止めることはできなかった。
「どうせ話が通じない」そう思うのも当然のことだ。不器用なだけなんだから除け者なんて可哀想とかいうレベルではないだろう。
ただその上で思うのは、相手は力を持っている、画策しても失敗したら元も子もないということ。大切なことは、やはり正攻法で主張するべきなのではないか。それでうまくいかなければ、出るとこ出るとか決別するとか二の矢三の矢を放つのがよろしいかと。
それは、はだかの王様になっている相 -
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西條奈加の連作時代小説『せき越えぬ』を読みました。
『秋葉原先留交番ゆうれい付き』、『烏金』、『まるまるの毬』に続き、西條奈加の作品です。
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たとえこの身に害が及んでも友を助けてみせる。
関所を巡る人間模様を描く人情時代小説。
東海道箱根の関所には、曰くありげな旅人が訪れる。
離縁され故郷に帰る女。
江戸から夜逃げをした夫婦……。
実直な番士武藤一之介は、親友の騎山市之助から関所に関する法外な依頼をされる。
一之介は逡巡するも決断する。
友の人生の岐路に際し何もしないのは裏切りも同然。
たとえこの身に害が及んでも必ず友を助けなければならない―― -
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西條奈加の長篇時代小説『烏金』を読みました。
『秋葉原先留交番ゆうれい付き』に続き、西條奈加の作品です。
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因業な金貸し婆・お吟のもとへ押しかけ、金貸し業の手伝いをする浅吉。
新しい発想で次々と借金をきれいにし、貧乏人たちを助ける彼には、実は秘密があった。
大金を得るべく浅吉が仕掛ける真の目的はいったい……。
日本ファンタジーノベル大賞作家が江戸を舞台に描いた痛快時代エンターテインメント小説。
文庫だけのオリジナル短編「勘左のひとり言」収録。!
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2007年(平成19年)に刊行された時代エンターテイ -
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「鬼」と「人鬼」の違い、本当に恐ろしいのは「人鬼」。
西条奈加は「心淋し川」で2020年下期直木賞を受賞。
NHKドラマの「善人長屋」をたまたま見て、ちょっと興味を持ったので読んでみた。
一見すると連作短編集のような構成であるが、短編同士の結びつきはさらに強い。
人情ものの時代劇ではあるが、ひょっとしたらタイムワープもののSF小説かもしれない。
森で知り合った民と小鬼の不思議な物語。脇役の黒鬼がいい味を出している。
ドラマ化(もしくはアニメ化)したときの黒鬼の配役で、できあがりが左右されるような立ち位置なのだ。
テーマは人の心にはびこる「悪心」の存在であるけど、人情ものとしての魅力の方 -
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西條さんの作品は、これが初めて。
ちょっと前に直木賞をとった、時代小説の作家さんだったと記憶している。
時代設定は現代。
でも、神楽坂の老芸妓さんが主人公とのことで、江戸情緒が漂うような作品かと思い、読み始める。
本作はシリーズの第二作。
視点人物の滝本望少年は、都内の私立高校一年生。
学校のため、北海道に移住した両親から離れ、神楽坂に住む祖父母の家に居候する。
主人公は彼の祖母、お蔦さん。
芸妓として生きてきた人で、人望は厚いが、料理はさっぱり。
滝本家はなぜか代々男性が料理を担う。
祖父なき今、望が料理男子として、日々の食卓に腕を振るう。
その家には、お蔦さんの年若い義弟、奉介さん