西條奈加のレビュー一覧
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「隠居すごろく」の続編。
前作から間が空いたので詳細を忘れていたが、読んでいくうちに思い出した。
糸問屋〈嶋屋〉の主人だった徳兵衛は還暦を機に隠居。人生を双六に例えれば、『隠居は上がり』だと思っていた徳兵衛だったが『上がり』どころか新たな双六が始まってしまう。
その大元は孫の千代太。
今で言えば貧困家庭の子供たちを連れてきて徳兵衛に助けを乞い、結果千代太をリーダーにした参詣案内商売をさせている。
また千代太の拾い癖がきっかけで組紐屋〈五十六屋〉を始めることになるのだが、これまでの『苦行』と違って商売を楽しむようになった…というのが前作までの話。
今回の続編を大まかに表現すれば第一話のタイト -
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「人ってなぁ、てめえの思ったとおりには、決して動いてくれねえもんだな」p.232
■三つの魅力(1)金春屋ゴメスの人間離れした強烈さと、どつかれつつも活き活きしている周辺キャラクタたち。できればゴメスにはもっと大々的に活躍してほしかったかも。(2)すぐそこにある「江戸」の、スローでちょうどよい感じのゆたかな暮らし。(3)謎の病気「鬼赤痢」は人為的なものと推理したゴメスが犯人を搜すミステリも。
■江戸についてのてきとーなメモ
【一行目】十三夜の月に照らされた濡れ縁に、黒いしみが浮いていた。
【医師】江戸政府のお達しでどんな村にも最低二人は医師がいる。無医村などはない。その技術は東洋医療に西洋 -
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「西條奈加」の長篇時代小説『閻魔の世直し―善人長屋―』を読みました。
『善人長屋』に続き、「西條奈加」の作品です。
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裏社会の頭衆を襲う閻魔組。
「善人長屋」の面々は裏稼業の技を尽くしてその正体を暴く。
周囲から「善人長屋」と呼ばれる千七長屋。
差配も店子も表向きは堅気のお人好し揃いだが、実は裏稼業を営む悪党だらけ。
ある日、「閻魔組」と名乗る三人組によって裏社会の頭衆が次々に襲われ、惨殺される事件が発生する。
天誅を気取る「閻魔組」の暗躍は、他人事として見過ごせない。
長屋を探る同心の目を潜り、裏稼業の技を尽くした探索は奴らの正体を暴けるか。 -
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以前出版された「隠居すごろく」の続編。
前作で巣鴨の糸問屋・嶋屋の隠居,徳兵衛が隠居家で始めた新しい商売組紐屋「五十六屋」,孫の千代太達が営む参詣案内の店「千代太屋」は好調で,手習い所に通う子どもたちも元気いっぱい。
それでも子どもたちを始め,その家族にまつわる厄介事には事欠かず,隠居したはずの徳兵衛もあれこれ始末に飛び回ることになっているのは変わらず。ところが今作では,そうしたことに加え遂に徳兵衛の身内に厄介事が発生してしまう。そして徳兵衛の生来の頑固さ意固地さが原因で話はこじれにこじれ,大騒動に発展する。
ネタバレとも言えるが,予め断っておくと,本作の最後ではすっきりと気持ちよくは解決しな