西條奈加のレビュー一覧
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私の中では「金春屋ゴメス」や「まるまるの毬」の作者さん。直木賞を獲られた作品が文庫になったので遅ればせながら手にしてみた。
江戸、千駄木の一角に流れる小さく淀んだ心淋し川。そのどん詰まりに立ち並ぶ長屋で暮らす人々のお話。
働かない父を抱えながら恋人と一緒に今の生活から抜け出ることを夢見る娘を描く表題作「心淋し川」をはじめ、死んだ兄弟子の後を継いで飯屋を切り盛りする料理人の過去の悔恨が滲む「はじめましょ」や同じ岡場所から異なる道を進んだふたりの女性の行く末を描く「明けぬ里」など、終盤の転換が鮮やかな話が並ぶ。
四人の妾が住む家でお呼びのかからない最年長の女性の手慰みを描く「閨仏」には妙なおかし -
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(Ⅰ)「心淋し川」は流れのない川。塵芥が溜まっている。人もまた澱のように集まるが人にはそれでも流れがあるようだ。
(Ⅱ)短編連作は、住人のひとりひとりにフォーカスを当ててそれぞれの澱を描き出す。流れていく澱もあれば流れない澱もある。
(Ⅲ)じつのとこ、哀歓系時代ものは苦手やったりするんでたまにお試しのつもりで読む程度なんやけど、今回まあまあ読みやすかったのは一編一編が短くかつ展開があっさりしているからやろうか。文章がいいということもあります。
■簡単なメモ
【一行目】その川は止まったまま、流れることがない。
【心淋し川】ちほ、澱んだ心町(うらまち)から早く出ていきたい娘。仕立屋の志野屋で -
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「人ってなぁ、てめえの思ったとおりには、決して動いてくれねえもんだな」p.232
■三つの魅力(1)金春屋ゴメスの人間離れした強烈さと、どつかれつつも活き活きしている周辺キャラクタたち。できればゴメスにはもっと大々的に活躍してほしかったかも。(2)すぐそこにある「江戸」の、スローでちょうどよい感じのゆたかな暮らし。(3)謎の病気「鬼赤痢」は人為的なものと推理したゴメスが犯人を搜すミステリも。
■江戸についてのてきとーなメモ
【一行目】十三夜の月に照らされた濡れ縁に、黒いしみが浮いていた。
【医師】江戸政府のお達しでどんな村にも最低二人は医師がいる。無医村などはない。その技術は東洋医療に西洋 -
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「西條奈加」の長篇時代小説『閻魔の世直し―善人長屋―』を読みました。
『善人長屋』に続き、「西條奈加」の作品です。
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裏社会の頭衆を襲う閻魔組。
「善人長屋」の面々は裏稼業の技を尽くしてその正体を暴く。
周囲から「善人長屋」と呼ばれる千七長屋。
差配も店子も表向きは堅気のお人好し揃いだが、実は裏稼業を営む悪党だらけ。
ある日、「閻魔組」と名乗る三人組によって裏社会の頭衆が次々に襲われ、惨殺される事件が発生する。
天誅を気取る「閻魔組」の暗躍は、他人事として見過ごせない。
長屋を探る同心の目を潜り、裏稼業の技を尽くした探索は奴らの正体を暴けるか。