西條奈加のレビュー一覧
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つい作家の名前で購入してしまった。苦手なファンタジー系だが、ミステリー風でもあるので何とか読み進められた。
猫と傀儡(人間)が主役。人を操って猫の為に働かせる傀儡師となった猫のミスジだが、前任の傀儡師の順松が失踪したことで昇格した。連作短編であり、最後は順松の失踪事件を人の傀儡とともに解決する。この人間を操る方法が読んでいてもピンとこない。猫の言葉を解せない人間を誘導して行くのだが、解せないのでもどかしい。傀儡師ということを、傀儡にバレては行けないこともあり、それなりにドキドキする場面もある。
犬より猫派ではあるが、小説となると猫が不気味に描かれるのは仕方ないのだろうか? -
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町与力の庶子で長唄の師匠でもあるお蝶。
先日、父親を亡くした後
兄夫婦から本宅で同居の誘いを受けているが
堅苦しいことは嫌なのでことわっていた。
ところがある日暴漢に襲われ
「父から預かっているものを渡せ」と
詰め寄られる。
まったく身に覚えのないお蝶だったが
やがてそれが江戸を揺るがす事件に繋がっていく。
いいわ〜。
連作短編の最初の3話くらいは
この父の遺品事件を横糸にしながら
市井の町人たちの諍いごと解決の話で。
ひとつ片づくごとに味方や知り合いが増えて
最終、彼らがお蝶さんを助けてくれる。
またこのお蝶さんはじめ
兄嫁さん、幼馴染、用心棒の若侍などなど
登場人物がみな気持ちいい!
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【収録作品】「祭りぎらい」 西條奈加/「天下祭」 諸田玲子/「関羽の頭頂」 三本雅彦/「往来絵巻」 高瀬乃一/「氏子冥利」 宮部みゆき
祭りをテーマにした時代小説アンソロジー。
「天下祭」はわからないが、それ以外は、いずれもシリーズものの一篇。単行本未収録の新しい作品と思われる。
「祭りぎらい」は「狸穴屋お始末日記」シリーズ。
「関羽の頭頂」は「運び屋円十郎」シリーズ。
「往来絵巻」は「貸本屋おせん」シリーズ。
「氏子冥利」は「三島屋変調百物語」シリーズ。
シリーズとして続いている作品ということで、さすがにどれも面白い。とはいえやっぱり、宮部みゆきは別格かな。 -
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やっぱり面白い。
短編でそこそこ盛り上げて、ラスト1話でガバリと引っ掻かれました。
西條さんと宮部みゆきの時代ものは、ホントにふとした時にその場に飛んで行けるような現実感が伴って、思わずリアルに感じてしまうのはなんでなんだろう。
生きたこともない時代なのに、
わかるのよ、長屋の差配さんの雰囲気が。
西條さん、わたしよく西加奈子さんと間違えて読んで、あ!またやっちまったって思うこと多いんだけど、他の人そんなことないんだろうか?
西加奈子さんのはイマイチ入り込めないのよ。
だから、読んでて?あれ?あれー?なんかなー?
あー!ー!!!!!!間違えた!!!!!西條ナカさんと間違えた!!!! -
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私の中では「金春屋ゴメス」や「まるまるの毬」の作者さん。直木賞を獲られた作品が文庫になったので遅ればせながら手にしてみた。
江戸、千駄木の一角に流れる小さく淀んだ心淋し川。そのどん詰まりに立ち並ぶ長屋で暮らす人々のお話。
働かない父を抱えながら恋人と一緒に今の生活から抜け出ることを夢見る娘を描く表題作「心淋し川」をはじめ、死んだ兄弟子の後を継いで飯屋を切り盛りする料理人の過去の悔恨が滲む「はじめましょ」や同じ岡場所から異なる道を進んだふたりの女性の行く末を描く「明けぬ里」など、終盤の転換が鮮やかな話が並ぶ。
四人の妾が住む家でお呼びのかからない最年長の女性の手慰みを描く「閨仏」には妙なおかし -
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(Ⅰ)「心淋し川」は流れのない川。塵芥が溜まっている。人もまた澱のように集まるが人にはそれでも流れがあるようだ。
(Ⅱ)短編連作は、住人のひとりひとりにフォーカスを当ててそれぞれの澱を描き出す。流れていく澱もあれば流れない澱もある。
(Ⅲ)じつのとこ、哀歓系時代ものは苦手やったりするんでたまにお試しのつもりで読む程度なんやけど、今回まあまあ読みやすかったのは一編一編が短くかつ展開があっさりしているからやろうか。文章がいいということもあります。
■簡単なメモ
【一行目】その川は止まったまま、流れることがない。
【心淋し川】ちほ、澱んだ心町(うらまち)から早く出ていきたい娘。仕立屋の志野屋で -
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『隠居すごろく』の続編。
老舗糸問屋〈嶋屋〉の元店主・徳兵衛の隠居家は、孫の千代太の“拾い癖”のおかげで毎日大賑わい。
組紐屋〈五十六屋〉、子供商いの〈千代太屋〉そして徳兵衛の妻・お登勢が師匠を務める手習所〈豆堂〉という三施設(?)を回している状況です。
そんな中、徳兵衛の末娘で出戻りのお楽が錺師の秋治と恋仲になり、赤子を身ごもっていることが判明して・・・。
前作に続き、すっかり“生活&就労支援センター”化している徳兵衛の隠居所。
各キャラの関係性などを思い出すためにも、巻頭の“登場人物紹介”がありがたかったです。
今回は、勘七や瓢吉の両親の問題だったり、善三の恋だったりと、男女のあれこれ