岡本太郎のレビュー一覧
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「自分のまわりに垣根をつくって、外ととけこめるはずがない」「下手でも自分自身の歌を歌えばいいんだ」。
岡本太郎の本を読むのは『自分の中に毒を持て』に続き2冊目。なぜこうも力強いのか。幼少からスジを通してきたという岡本太郎。先生至上主義である義務教育、そして軍国日本で徴兵されたときも自分を貫いて戦ってきた。
読んでいると、弱者が暴力(身体的、精神的にかかわらず)を振るい、強者が耐えて戦っているのだとつくづく感じる。残念ながら、理不尽は今の世もある。なぜ私がこんな目に遭うのか。そう思った人は少なくないだろう。ここで大切なのは、自分のスジを貫くということだ。迎合して生きるのが自分のスジだというなら迎合してよいし、反発するならしていい。なにくそ、と思う気持ちがエネルギーになる。
うまくやる、折り合いをつける、という風潮が当たり前な現代にそれでいいのかと真っ向から叫ばれてるように感じた。声の先を振り返ると岡本太郎がいて、力強い言葉の先に自分の姿が見えた気がした。いつの間にか、自分の姿の方に向かって歩き出していた。そんな、一冊。 -
Posted by ブクログ
岡本太郎が沖縄(八重山地域に関する話が多い)を訪れたときの旅行記と、日本文化に関する論考。
西洋的な現代美術及びその影響を深く受けた現代日本の美術や芸術は貴族文化がベースとなっているけれど、沖縄の文化(歌や踊り)は生活や労働に根付いたものであり、それが実は日本古来の文化なのではないか、という趣旨の論を展開している。
この考え方を敷衍して、沖縄が本土復帰するのではなく、本土が沖縄に復帰するべきなのだ、と主張している。
以前読んだ大江健三郎の『沖縄ノート』もこのような主張をしていた気がするので、この時期にこのような主張が流行っていたのかなとも思う。
岡本太郎の文章表現が非常に芸術的で、意図を読み取るのが難しい箇所も多くあったが、まだリゾート化する前の石垣島の様子も知れて、面白い本だった。 -
Posted by ブクログ
1970年代、当時50代であった著者が書き記した世界旅行記、岡本太郎という1人の人間のとてつもない知性と情熱に圧倒される一冊でした。
自分は現在40代前半ながら、ここまで知性と情熱に満ち溢れた旅行記を書くことができるだろうか...。
知識が豊富なだけでは決して書くことができない。年を重ね人間としての経験を積み上げて完成される世界観と信念があってこそ書くことができるはずだと思う。
そして、それは絶対的な個性であって、この本の中身こそが岡本太郎さんあり、1つ1つの文章から人間としての強いカッコよさがひしひしと伝わってくる...!
生を与えられた人間としての知性と情熱もうすこし燃焼させる気概で生きることが今の自分に大事なのかもしれない...、読み終えてのなんだかそう感じた。
本書を読む前、晩年に世界旅行するモチベーションは皆無であったが、今は色々巡ってその時々で感じる自分の正直な気持ちと思いっきり向き合って旅行してみたい気持ちである。 -
Posted by ブクログ
なんかふしぎな構成の印象だったんですが、人生相談を編集した本だったんですね。今なら村上隆が人生相談に答える的な感じだったんですかね…ちょっとちがうか。「人生、即、夢!」ってフレーズがいいですね。「悪・即・斬!」みたいです。太郎さんの本はいつも熱くて情熱的で、ソルボンヌ大学出身のインテリなのに(だからこそ?)八方破れでかなり人間的に魅力的です。周りにいる人はたまったもんじゃなさそうですが…。写真家のキャパの恋人ゲルダとの話にはビックリしました。太郎さんはもはや歴史上の人物ですね…。細かい価値観などはけっこう異なるのですが、いろんな人がいておもしろいじゃん!ということで星5つです。
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Posted by ブクログ
公開中の映画「岡本太郎の沖縄」(傑作)の元ネタということで手に取ってみた。
御嶽(ウタキ)とよばれる森の中の聖域。海辺には風葬の痕跡。
「久高島にはこのおびただしい死と、ささやかな生の営みが、透明な比重の層となって無言のうちにしりぞけあっている。生はひっそりと死にかこまれ、死が生きているのか、生が死んでいるのか。・・・しかしあたりは限りなく明るい光の世界。清潔だ。天地根元時代のみずみずしい清らかさ、けがれのなさはこのようではなかったか」(P114)。
私自身、竹富島で早朝のウタキに行ったことがあるが、ホウホウというなぞの鳴き声、さらさらとそよぐ葉、うっそうとした茂みから漏れる光、あれは確かに神聖な気配に充ちた場所だった。
沖縄は日本の原点。谷川健一らほかの多くの学者も主張していることだが、人類学の素養と審美眼の二つを併せ持つ著者による類まれなる一冊と思う。